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完全オリジナルのお手軽スタンプ「お好みスタンプ」

2024/11/21

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、手描きの絵柄や文字をスタンプ型印鑑にしてくれるという商品。印刷技術や商品アイデアに定評のあるメーカーだけに、世界に1つだけのスタンプを安価で作ることが可能とか。株式会社タイヨートマー 代表取締役社長の松下幾三氏に、取材陣が伺いました。

―創業時はスタンプの機械や技術の開発をされていたとか?

松下 私は高校卒業以来、スタンプ製造一筋で、メーカーの社員として長く勤めていました。独立志向が強く、組織に属していてはできないようなことに挑戦したいと思うようになり、起業。1996年5月の設立ですから、約30年になりますね。

ちょうど独立のタイミングで、熱可塑性ラバーという印面の素材が出始めました。今でこそ、ファンシー系スタンプのほとんどは熱可塑性ラバーで作られていますが、当時は画期的な新素材。これはスタンプの時代が変わると直感し、これをもっと広めたいと思いました。創業してすぐ、サーマルプリンターという、熱で印字する機械で熱可塑性ラバーに焼き付けるスタンプ技術を開発。「サーマル工房」の名で展示会に出したところ、大きな反響を呼び、日本だけでなく、世界各国から引き合いをいただく機会になりました。

熱可塑性ラバーを使った印刷技術からスタート。

松下 滑り出しは上々でしたが、サーマル工房の継続が困難になりました。コンピューターから打ち出すシステムだったため、年々変わりゆくOSやソフトの更新にコストがかかりすぎたのです。そこで、次に開発したのが「フラッシュ工房」という機械です。原稿を製版したフィルムから、熱フラッシュで印面を作るという仕組み。印章店が、自分の店で短時間のうちに浸透印を作ることができる上、非常に安価な機械だったため、これまた飛ぶように売れました。

工房シリーズでもう1つ、「ネーム印工房」があります。同じく印章店が自分でネーム印を作れる機械で、サーマルプリンターの技術を応用しました。日本人の苗字、いくつあるかご存じですか?一説には30万ともいわれていますが、ネーム印は、そのうちの1万ほどが既製品で、残りは全部オーダー品。それをお客様の目の前で、わずか3分足らずで完成させる機械です。

フラッシュ工房は、中国にも持って行きました。ちょうど中国で実印の登録制度が始まる時期で、世界中からスタンプの機械を集めてテストをしていたのです。担当局の目の前でスタンプ印を作って見せたところ、めでたく採用になりました。機械自体はたくさんの模倣品が作られてしまいましたが、インクはいまでも我々の製品が使われているはずです。私、中国では公印スタンプを導入した人間としてとても有名なんですよ(笑)。

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海外での展示会にも積極的に出展。

―機械ではなくスタンプ製品の製造を始められたのは?

松下 機械や技術の開発に限界を感じました。スタンプの完成品を作ろうと考えて、中国に工場を作ったのが25年くらい前でしょうか。最初に完成したのがネーム印つきのボールペン。100円ショップで販売して、2000万本くらい売れたと思います。

いち早く中国に工場を作ったのが幸いしました。現在も低価格で高品質な商品をいろいろ提供できるようになっています。私が技術開発をした商品の製造を中国に委託するという流れ。朱肉を使う印鑑ではなく、スタンプ台や油性顔料インクを使うスタンプのみを製造しています。女子学生に好まれるようなファンシー系が強いでしょうか。自社ブランドもありますが、売り上げの多くは、スタンプを出したい企業さんの商品ですね。

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技術や機械にとどまらず、スタンプ製品の開発もスタート。

―OEMですか?

松下 OEMというより、ODMの方針を取っています。「こういう商品を作ってください」との依頼に答えるのがOEMなら、ODMはうちの方で企画から商品化までしたものを「こんな製品はいかがですか?」と持ち込む提案型。「オリジナルスタンプを作りたい」と漠然とした思いで来られるクライアントにも、具体的な提案をしています。

―商品のアイデアはどのように発想されるのですか?

松下 18歳からこの道一筋57年の私ですが、人間ですから次から次へとまったく新しいことを思いつくわけではありません。「ラムネの法則」と呼んでいますが、ラムネは忘れたころにまたヒットするんですよね。つまり、流行は繰り返すと考えています。売れたものを同じように作ってもダメですが、あの頃流行ったものの形を変えたら今の時代にフィットするかな、という発想が大事ではないでしょうか。 筆箱にさっと入れるスタンプはどうかな?コロコロ転がるタイプはどうだろう?小さなスタンプがいくつも連結しているのは?と、アイデアは無限に広がります。日々、四六時中スタンプのことを考えていますが、とてもワクワクします。

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ファンシーショップなどで取り扱いのあるスタンプの多くを作っている。

―スタンプのプロフェッショナルですね。

松下 日本で先駆けてコロコロスタンプを作ったり、中国でプレゼンしたりと、数々の経験をしてきたおかげで、スタンプで知らないものはないと自負しています。スタンプについての相談窓口みたいなものですね。

最近は、個人でスタンプを作りたい人が増えてきました。自分のデザインをスタンプにしてほしいというような。スタンプのロットは3,000個が通常ですが、少量でも要望にも答えます。スタンプについての知識がなくても、60種類あるホルダーの選び方、インクの色や素材など、細かく相談に乗りますからどんとお任せください。

手軽な商品として作ったのが、「お好みスタンプ」です。手描きでもパソコン描画でも、描いた図面をそのままスタンプにします。世界に1つだけのオリジナルスタンプ。7種類のインクから選べる浸透式印なのでポンポンと手軽に押せると、大変好評をいただいています。弊社の業務がとても忙しくユーザー向けのお好みスタンプは一時休止していますが(2025年再開予定)、自分のデザインをスタンプで商品化したいとの小ロット製造要望には対応しています。

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子どもの書いた絵や似顔絵などがスタンプに。

(一時中止、2025年再開予定)

―最新の商品は?

松下 2022年秋に、これまでの概念を覆す新商品「ファインカラースタンパー」を発売しました。これは、まず、裏写りしません。次に、色を替えることができる、そして、非常に繊細な部分も鮮明に表現できると、3拍子揃った商品です。

具体的には、印面に直接インクを塗る新しいタイプのスタンプで、特殊な印面ラバーを使用しているため、にじまず裏写りしにくいのです。さらに、インク同士が混ざらないので、複数色を使って塗り分けたり、一度塗った色の上に違う色を重ねて色替えしたりといったことが可能。高精細な図柄を鮮明にスタンプする技術で特許を取得しました。

2024年度BSOC中国文具大賞で大賞受賞しました、いち早く中国市場展開していましたので日本市場より早く中国市場で高評価していただいています。

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繊細な絵柄もくっきりと押すことができ、その場で色替えが可能、

1度インクを塗布すると50~300回はスタンプできるという

画期的な「ファインスタンパー」。

松下 発売から2年がたとうとしていますが、1番評価されたのが、裏写りしないというところです。次に鮮明に押すことができる点。色替えができるところは3番目の評価で、実は私はこれが1番だと思っていたので。意外でした。社員に「社長の感覚は若い人たちと違うんです」なんて言われてしまいましたよ(笑)。

しかし、私は、スタンプというものは、いかにきれいに押せるか、思いがけない絵柄を見せるか、その基本は変わらないと思っていますから、これからもいろいろなものを開発していきたいと思っています。

―今後の展望をもう少しお聞かせください。

松下 アメリカではラバースタンプがよく売れていると聞きますから、海外戦略を進めていきたいと思います。アメリカだけでなく、ヨーロッパにも注目しています。洗練されたデザインや、丁寧に作った日本製のスタンプは評価されるのではないかと考えています。私自身は、経験と知識に関して、まだまだ若いものには負けませんから、商品開発には携わっていきますが、海外展開の実務は、若い社員に任せたいですね。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

お好みスタンプ

「お好みスタンプ」現在受注休止中 2025年より再開予定(印面サイズ 26×26mm(角型)または直径26mm(丸型))

価格:¥1,540(税込)
店名:スタンプメーカー直販オンラインショップ タイヨートマー
電話:072-941-3327(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/taiyotomah/oks-1/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/taiyotomah/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

松下幾三(株式会社タイヨートマー 代表取締役社長)
1949年大阪生まれ、高校卒業後18歳でスタンプメーカーに入社し、スタンプのイロハを学ぶ。26歳で独立してスタンプ商売を始めるが挫折。30歳でスタンプ業界2位のサンビー株式会社に入社、38歳で営業部長、42歳で神戸工場長就任、営業部長と神戸工場長兼任する。1995年阪神大震災で神戸工場全壊、立て直し後1996年5月に独立し、株式会社タイヨートマー設立。サンビーより一緒に行動する2名は現在専務と常務。

<文/植松由紀子 MC/山口優花 画像協力/タイヨートマー>

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