お弁当が冷めてもおいしい、環境にもやさしい「曲げわっぱ弁当箱 高背小判型
2025/01/31
日本の国名「ジャパン」が漆器を指す言葉にもなっているように、漆器は日本が誇る伝統文化。近年、SDGsのひろがりとともに日本国内だけでなく、海外からもその素晴らしさが再認識されるようになりました。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、その漆器の「曲げわっぱ」お弁当箱。製作しているのは、多くの人に、もっと気軽に暮らしの中に取り入れてほしいとインターネットを中心に漆器の販売を行っている、株式会社三好漆器です。中でも「曲げわっぱ」のお弁当箱に力を入れているとか。代表取締役社長の三好佑紀氏に、取材陣がお話を伺いました。
株式会社三好漆器 代表取締役社長 三好佑紀氏
ー創業のきっかけを教えてください。
三好 1911年(明治44年)に私の曽祖父が創業し、漆器屋として今日まで続いてきました。弊社のある、和歌山県海南市というところが紀州漆器の産地でした。そうした土地柄、曽祖父は漆器に携わるようになったようです。紀州漆器は規模としては大きくないのですが、福島県の会津塗、石川県の輪島塗、山中塗などとともに日本三大漆器の一つなんですよ。
ー現在、御社は漆器のeコマース(インターネット販売)を中心に行っていらっしゃいますね。それは、社長の代から始められたのですか?
三好 そうです。父の代では、下請けの職人さんに外注して製品を作ってもらい、それらを自社に集めて最終的な仕上げを行い、地元の問屋さんに卸すという業態でした。
しかし、漆器業界全体の売り上げは下降の一途をたどり、私が家業に入った2004年の時点では、弊社でも注文がほとんどない状況に陥っていました。
当時、転職活動中に一時的に家業を手伝うつもりで入社しましたが、思いのほかやることがなく、時間を持て余していました。そこで、インターネット販売に挑戦してみようと思い立ち、楽天市場への出店を模索し始めました。そして2006年に楽天市場に参入することを決めたのです。当時の楽天市場は、現在ほど出店数が多くなく、漆器店はほとんど見当たらない状況でした。
和歌山県海南市にある株式会社三好漆器。eコマースを始めた当初は社長たった1人で業務にあたっていたが、
現在は約30人のスタッフとともに「漆器っていいね!」の感動を全国に届けようと努めている。
ー21年前というと、インターネットショッピングも現在ほど世の中に浸透していなかったような気がします。ご苦労があったのでは?
三好 そもそも私はインターネットにさほど詳しいわけではないし、ショップを立ち上げるにはどうすればいいか全くわからない。本を片手に独学で、すでに楽天市場に出店されている方たちはどうしているのか、それこそ見よう見まねで始め、研究を重ねながら少しずつ改善してきたといったところです
インターネット販売はむずかしいというより、本当にやることが多くて手間ひまがかかるんです。幸いながら、当時の私には時間が余るほどあったので、作業に没頭することができました。最初は、ページ制作、メルマガ配信、電話対応、受発注、ラッピング、発送などすべて私ひとりで行っていました。「楽天スーパーセール」には第1回目から参加しているのですが、発送が追いつかず、24時間寝ずに出荷作業をしていました。
ー今では、4000アイテム以上の商品を扱っていらっしゃるとか。主力商品は「曲げわっぱ」のお弁当箱だそうですね。
三好 漆器は日本人が古くから日常的に使ってきたものですが、近年はどちらかというと高級品のイメージが強かったと思うんです。もっと手軽に漆器に手を伸ばし、毎日の暮らしの中で使っていただけたらと考えて、行き着いたのが曲げわっぱのお弁当箱です。
曲げわっぱは、見かけよりもずっと軽いので、通学や通勤の持ち歩きにも負担になりません。電子レンジには使えませんが、適度に通気して熱がこもらないので、冷めてもご飯やおかずがベタッとせず、おいしい。食洗機も使えないのですが、手洗いで簡単に汚れが落ちます。
ー漆器というと「お手入れがむずかしいのでは」と敬遠しがちですが、意外とそうでもないのですね。
三好 はい。漆器は乾燥に弱いので、使わずにしまったままだと傷んでしまうこともあります。漆器は、毎日使っていただいてこそのもの。とくに曲げわっぱのお弁当箱は使い勝手がいいので、おすすめしたいです。
曲げわっぱの素材は自然のもの。「お弁当箱としての務めを終えたら土に還ります。環境問題の解決にも寄与すると思うんです」と三好社長。
ー今回、ご紹介させていたくのは、まさにその「曲げわっぱ弁当箱 高背小判型」です。商品の特徴を教えてください。
三好 三好漆器の人気商品です。「高背小判型」は容量が700ml、高さもあるので中身の量の調整しやすく、中高生の女の子から一般の男性まで使えます。サンドイッチを入れてもいいですし、お客様によっては小物入れや裁縫箱として使っていただいています。また、お弁当箱としての役目を終えた後、思い出としてプリザーブドフラワーを入れ、ずっとお弁当を作り続けてくれたお母さんにプレゼントした、という方もいらっしゃいます。
子ども向けの「お弁当箱 曲げわっぱくん」も人気です。お子さんに使ってもらいやすいように、お弁当の時間が楽しみになるように、ふたにニコちゃんマークをつけてみました。お母さんたちからは、「キャラクターもののお弁当箱は飽きてしまうこともあるけれど、これならずっと長く使える」とご好評いただいています。
「曲げわっぱ弁当箱 高背小判型 700ml」。高さ約6cm、長辺が約17.5cm 、短辺が約13 cm。
仕切りは取り外し可能で、本体と別々に洗えるため清潔に保つことができる。
ほのかな杉の香りと、手に取った時のぬくもりが心地よい。
高さ(深さ)があるので、おかずもごはんもふんわり。もちろん、ぎっちり詰められるので男子高生の“どか弁”にも。
小中学生向けに企画した、「曲げわっぱくん」は容量500ml(¥3,300 税込)。こちらは「白木」。「漆塗り」バージョンもあり。
大人でも、少食の方ならぴったりサイズかも。
ー2023年に「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2023 キッチン用品・食器・調理器具ジャンル賞」を受賞されました。率直なお気持ちをお聞かせください。
三好 こつこつ努力をしてきたことが実ったのだなあと。お客様のニーズに応えられるようアイテム数を増やし、商品写真の魅力的な見せ方、梱包のていねいさ、出荷の速さ、アフターフォローをしっかりするなど、ひとつひとつ地道にやってきたことを評価していただけたのだと受け止めています。
弊社は、パートの方を含め30名ほどの小さな会社ですが、だからこそ細やかな対応ができているのではないかと思うんです。ほとんどが手作業ですから、スタッフには手間をかけてしまいますが、「漆器っていいね! 感動を届ける。」という企業理念のもと、全員が頑張ってくれています。その頑張りがお客様に認めていただけたのだなあと、うれしく思っています。
ーインターネット販売のほか、実店舗「漆器のあるくらし」も運営されていますね。
三好 はい。おかげさまでインターネット販売は好調なのですが、やはり、ぜひ一度、手に取っていただいて漆器の魅力を肌で感じていただけたらと。小さな店なので、それほどたくさんの商品は並べられないのですが、だからこそよりすぐりの物を置かせていただいています。
2022年7月、和歌山市に初の実店舗「漆器のある暮らし」をオープン。
営業時間:平日11:30〜16:30、土日11:30〜17:30、水・木曜日定休。TEL :073-499-6637
曲げわっぱ弁当箱の品揃え日本一を目指し、約80種類の曲げわっぱ弁当箱を販売。
ほかにもカトラリーなど、生活に取り入れやすいアイテムが揃う。
ー今後は、どのように事業を展開していこうとお考えですか?
三好 ひとりでも多くの方に、日本の伝統である漆の器を使っていただけるよう、引き続き頑張って、コツコツ努力を続けていくつもりです。
並行して、もう一度、漆器製造にも参入したいと思っています。紀州漆器も、高齢化で職人さんがどんどん減ってきて、需要はあっても商品が作れない状況になっているんです。今後5年くらいで廃業するところが多く出てくると思います。弊社としては、なんとか紀州漆器の伝統を継承したい。もし若い人で漆器職人になりたいと考えている人がいたら、サポートしていきたいと思っています。弊社としても若手の職人を育成するべく、現在、職人希望の若者を弊社から職人さんのもとに出向させ、漆器製造のノウハウを少しずつ教えていただいているところです。
ー三好社長の漆器愛がひしひしと伝わってきます。漆器の未来が感じられるお話、ありがとうございました。
「曲げわっぱ弁当箱 高背小判型」700ml
価格:¥2,980 (税込)
店名:みよし漆器本舗
電話:073-482-3514(月〜金 9:00〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/miyoshi-ya/515355/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/miyoshi-ya/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
三好佑紀氏(株式会社三好漆器 代表取締役)
1984年和歌山県生まれ。2004年に家業に入り、2006年楽天市場にみよし漆器本舗を出店。2012年に株式会社三好漆器に法人化、2020年同社の代表取締役に就任。2023楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞。
<文・撮影/鈴木裕子 MC/田中香花 画像協力/三好漆器>