火の不始末の心配ナシ!8分で完全燃焼&ロウが残らず便利に使えるローソク「リュミエール」と特許取得の燭台「もえ」
2025/01/31
今回編集長アッキーが注目したのは、使い切りタイプの仏壇用ローソク「リュミエール」と特許を取得した燭台「もえ」。約8分で完全燃焼し、蝋も残らないため、後始末や火の消し忘れの心配ナシ。安全かつ便利な、新発想のローソクです。これを手がけるのは、140年以上の歴史を持つ老舗ローソクメーカー、株式会社東海製蝋。代表取締役の阿久澤太郎氏に、開発にかけた想いを取材陣が伺ってきました。
株式会社東海製蝋 代表取締役の阿久澤太郎氏
ー御社は日本ではじめて洋ローソクを作られた会社だそうですね。
阿久澤 弊社は1877年に横浜で創業した会社で、もともとは油や和ローソクの卸商を生業としていました。その後、ヨーロッパからモールディング(型抜き)工法を輸入し、日本で初めて洋ローソク、つまり皆さんがイメージする白くて丸いローソクの製造を始めたんです。その後、祖父の代で、第二次世界大戦中に疎開する形で富士宮に移りました。
ーなぜ富士宮を選ばれたのでしょうか?
阿久澤 ローソク作りは、水が命です。富士宮は富士山の伏流水が豊富に湧き出る土地。弊社の井戸は深さ150メートルから水を汲み上げていて、年間を通して水温14度を保っています。これが品質の要なんです。ローソクを作るときは水で型を冷やしてワックスを固めるのですが、水温は18度が最適。地下水と工場を巡って温まった水をブレンドすることで、理想的な温度管理が可能になります。この温度が1,2度違うだけで、穴が開いたり、ザラザラしたりと、きめ細やかな質感に仕上がらなくなってしまうのです。
長さ25mm、燃焼時間8分のローソク「リュミエール」と同時開発した燭台「もえ」。
ー社是「CLIMBING?」にはどんな想いがこめられているのでしょうか?
阿久澤 「Are you CLIMBING?」を略したもので、「今のかけがえのない時を一所懸命に生きよう。そのためには、ひたすらに登り続けよう。そして、人生を精一杯楽しもう」という想いを込めています。そして、日本の灯の歴史に残る製品を作り、この時代に生きた証を築くことを目指していこう。一歩一歩、高みを目指して山を登り、仕事を通じて自分の人生を豊かにしていこう。そんな理念とともに、この社是を掲げています。
「リュミエール」とはフランス語で光を意味する言葉。
たっぷり約330本入っているので、1日に2本ずつ使っても半年ほど持つのがうれしい。
ー仏壇・仏具などの専門店に向けた商品を中心に手がけているのだとか。
阿久澤 現在ローソク市場は、量販店と専門店の二つに分かれています。以前は地域の雑貨店が中心でしたが、約40年前の大店法改定により全国展開のスーパーマーケットが台頭し、業界構造が大きく変化しました。小規模メーカーの生き残りが課題となる中、我々は横浜の仏壇屋とのつながりを活かし、専門店に特化する方向に舵を切りました。この転換の利点は、メーカーが直接小売店を訪問してニーズを把握できることです。そのニーズを一つひとつ形にしていくことで、専門店向けローソクという新たな市場を確立することができました。
カラフルな芯は全8色。「今日は何色にしようか」と、気分に合わせて選ぶ楽しみも。
ー8分で燃え切るローソク「リュミエール」もそうして生まれた商品のひとつなのですね。
阿久澤 安全かつ便利なローソクを作らなきゃいけない、それが「リュミエール」開発の原点です。従来の仏壇用ローソクは一度で使い切ることはなく、火をつけては消して何度も繰り返し使用するのが一般的でした。そうすると使っているうちに、ロウが燭台の上で白く固まって残ってしまうんですよ。掃除の手間もかかるし、何より火の不始末も心配ですよね。我々にとって一番怖いのは、それを理由にローソクを使っていただけなくなることです。「これなら安全だから使って」と言える製品を作りたいという思いから、開発がスタートしました。
一回使い切りタイプの「リュミエール」なら消し忘れの心配がなく、ロウが残らないので使ったあとの掃除も不要。
ー長さ25mm、燃焼時間8分というところにも、こだわりがあるのでしょうか?
阿久澤 これより短いとお年寄りが持ちにくいし、長いと燃焼時間が10分を超えてしまうんです。本来、お経を唱えてお仏壇に手を合わせるには20分ほどかかると思います。でも、忙しく日々を過ごされる中で、それだけの時間を取れる方は、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。おそらく仏壇の前に10分もいないと思います。だから、燃焼時間が10分を超えると、一度消してまた使う人が出てきてしまう。そう考えると、長さ25mm、燃焼時間8分がベストかな、と。
ー燭台「もえ」についても教えてください。
阿久澤 これはリュミエールと同時開発した商品で、特許を取得しています。ローソクが最後まで完全燃焼し、ロウが一切残らない設計が特徴です。完全燃焼できるのは皿や針に使う素材や表面張力、熱伝導などいろいろな要素が絡み合ってのことですが、ローソクが燭台の針の根元までしっかり刺さるというのもポイント。リュミエールは長さ25mmですが、弊社独自の技術で20mmのところまで穴を開けています。その穴にあわせて針を設計しているため、ローソクが割れることなくぴったり入り、最後まで安全にご使用いただくことができます。
ロウが溶けて液状になると、芯が最後の一滴まで吸い上げて燃え切るため、嫌な臭いも発生しない。
ーこれからも新商品の開発をされていくご予定ですか?
阿久澤 そうですね。毎年1、2点は新商品を出していきたいと考えています。それがメーカーとしては一番楽しいところですので。お客様から「これ、良かったよ」という手紙をいただくことが何より嬉しく、開発の原動力になっています。
ー今後の展望をお聞かせください。
阿久澤 仏壇に手を合わせる行為は、宗教の有無に関わらず、生かされていることへの感謝を表現する大切な日本の文化です。この文化が失われることは、思いやりの心、美しい日本の心の喪失にもつながりかねません。より多くの人が安心して仏壇に手を合わせられる環境を整えることで、思いやりの心を持った人々が増え、より良い社会を叶えていく——それが我々の存在意義の中心だと考えています。
時代とともに、環境はどんどん変化していきます。核家族になったり、仏壇が小さくなったり。これからも変化に合わせた商品の開発を続けることで、日本人が大切にしてきた心を未来に伝えていきたいです。
ー貴重なお話をありがとうございました。
「リュミエール」(約330本)
価格:¥1,650 (税込)
店名:明りと香り本舗
電話:0544-28-3468
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://akaritokaori.com/products/akari-171-07?_pos=1&_sid=862f8ad13&_ss=r
オンラインショップ:https://akaritokaori.com/
「もえ(安全の特許燭台)」(1個)
価格:¥1,760 (税込)
店名:明りと香り本舗
電話:0544-28-3468
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://akaritokaori.com/collections/%E8%9D%8B%E7%87%AD-%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E8%A3%BD%E8%9D%8B/products/akari-166-01
オンラインショップ:https://akaritokaori.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
阿久澤太郎(株式会社東海製蝋 代表取締役)
静岡県富士宮市生まれ。早稲田大学卒業後、アメリカの大学院で修士を取得。信託銀行など金融関係の仕事に従事したのち、2002年に株式会社東海製蝋入社。工場勤務、営業を経て2007年に代表取締役就任。
<文・撮影/野村枝里奈 MC/田中香花 画像協力/東海製蝋>