子どもから大人まで気軽で楽しい! やみつきカードゲーム『音速飯店』

2025/03/12

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、紹介動画が16万回以上も再生されているカードゲーム。6歳からできるシンプルなルールながら、「もう1回!」と大人も夢中になる面白さとか。株式会社すごろくや 代表取締役の丸田康司氏に、取材陣が伺いました。

株式会社すごろくや 代表取締役の丸田康司氏

―社長のご経歴と創業の背景をお聞かせください。

丸田 コンピューターゲームのソフト開発をしていました。子どもの頃からゲームが好きで、まだ「マイコン」と呼ばれていたパソコンも、ゲーム作りを目的に勉強し、ゲームのプログラムを自作するような小学生。高校を卒業後、世界初だと思いますが、ゲームクリエイター養成校が開校したので、その1期生となりました。卒業後15年間、ゲーム開発を行っていました。

株式会社すごろくやの立ち上げを決めたのは2005年。当時勤めていた会社の業績が悪化し、チームの移籍話が持ち上がったのがきっかけでした。もちろん移籍するスタッフもいましたが、僕としては、これを機に全然違うことをやるのもアリかと思ったのです。自分にしかできないことをやってみようかな、と。自分の力量や経験を通して、ボードゲームを軸にした店舗展開や事業に挑戦することにしました。

-1号店のオープンが2006年。

丸田 新しい物を面白がるような人が集まりそうな、東京・高円寺で、駅のホームからよく見える物件を見つけました。雑居ビルの4階で、停車した電車内から目の前に見える場所。知る人ぞ知るようなお店ではなく、間口の広いボードゲーム屋さんを目指してオープンしました。

高円寺内での引っ越しを経て、2022年、現在の吉祥寺に移転しました。2018年には2店舗目となる神保町店を、「神田古書センター」の7階にオープン。ボードゲーム販売専門店としては国内最大級の品ぞろえ、規模、サービス内容だと自負しています。

会社としては、「ボードゲームの総合企業」と名乗り、自社製品の企画制作、海外製ゲームの国内向けローカライズ、全国小売店への卸流通、書籍出版、イベント運営、講座・研修など、ボードゲームに関するあらゆる事業を包括的に行っています。

東京都内に2店舗運営するボードゲーム販売専門店「すごろくや」。

-自社の斬新なECサイトを準備されているとか。

丸田 ボードゲームの魅力がもっと伝わるような、媒体としての機能をもつECサイトが必要だという想いから開発を続け、4月頃に本格稼動するのが「SUPPE(ズッペ)」です。メディアを内包したECサイトで、プロのライターレベルの良質な記事を書いていただき、読んだ人が評価した上でその商品を購入すると、書いた人に報酬が還元される仕組みになっています。

ボードゲームって、万人に面白いと感じてもらうのは難しくて、好みがかなり分かれるのです。大手ECモールにも出店していますが、そこで書かれるレビューには、好みに合わない商品を貶めるようなものも見られます。そうではなくて、本当に好き、おすすめしたいという気持ちを共有しながら買い物ができることを狙っていますから、よりいろいろな人たちの「推し」が広まるサービスになっていくと思います。

-自社製品はどのくらいあるのですか?

丸田 絶版にしたものもありますが、100種類くらいはあると思います。”すごろくや”として「面白いですよ!」と自信をもっておすすめできるものもかなり増えました。

-そのうちの1つが『音速飯店』ですね。

丸田 元は、ゲームの見本市のようなところに出展されていた個人制作のゲームです。ご家族で作られた『音速厨房』を原案に、多くの人がもっと楽しめるようにと調整しました。イラストは、お子さんが当時描かれたものをそのまま使っていまして、ゆるっとした線がかわいい、独特の世界観です。

説明書にも使われている、原作者ご家族の子ども作のイラスト。

-ルールや見直した点を教えてください。

丸田 このゲームは、「チャー」「ラー」「メン」「ハン」などの文字が書かれた手札を順に出して、「チャーシューメン」「テンシンハン」などのメニューにしていくというもの。早いもの順にどんどん出していくことができ、先に手札がなくなった人の勝ち。出すものがなくなる「詰み」もあります。カードの形や大きさ、構成などを見直したほか、カードを投げ込みやすくなるよう、中華どんぶり型のトレーを作りました。ゲーム名については、原案の「厨房」の漢字が難しいのと、中学生の俗称とされてきた響きを考慮して、『音速飯店』と変更しました。

13種類57枚の具材カードと3枚のとりけしカード計60枚で競う。2~6人でできる。

お品書き通り、12種類のメニューが作れる。

「チャー」は「シュー」や「ハン」を付けて「チャーシューメン」や「チャーハン」に。
反対に「マイ」は「シューマイ」のみ、「サン」は「サンラータン」しかできない。

よく耳にする「町中華」のメニューなので耳馴染みが良く、小学生くらいの子どもも気軽に始められます。かと思えば、とりけしカードがあったり、汎用性の高いカードと1つのメニューにしか使えないカードがあったりして、相手のカードを封じ込めたりと頭脳戦にも持ち込めるので、大人も楽しめます。

基本的なルールを理解すれば低学年でもすぐに楽しめて、繰り返すほどに夢中になる。

SNSで爆発的な話題となり、テレビで取り上げられるなど反響も大きく、発売から3か月で5万個を出荷する商品となりました。ユニークなゲーム性と手軽さを魅力に感じていただいているようです。大人こそが楽しめる、こういったゲームの面白さを、もっともっと広めていきたいと思っています。

-今後の展望を。

丸田 ボードゲームの知名度を上げ、体験する場や遊ぶ機会をもっと増やしたいですね。そのためには先ほどお話しした「SUPPE」の充実は欠かせませんが、実店舗も重要だと思っています。お店がないと、どういうものかを伝えるのが難しいのがボードゲームなのです。例えれば見たことのない映画のDVDみたいなものだと。箱だけを見て買うことをしませんよね。そこに、「名作だよ」「すっごく面白いよ」「あなた好みだよ」などという店員の生の声があることで、ぐんと興味がわくと思うのです。ネットで言葉を並べるより、お店に来てもらって好みを探りながら紹介できる場が実店舗。何にも代えがたいこの場所は大切にしていきたいと思います。

-素晴らしいお話をありがとうございました!

『音速飯店』
価格:¥1,650(税込)
店名:みんなのいい!が支え合うボードゲームストア「SUPPE(ズッペ)」
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://suppe.sugorokuya.jp/items/220112
オンラインショップ:https://suppe.sugorokuya.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

丸田康司(株式会社すごろくや 代表取締役)
1991年より15年間テレビゲーム開発に従事。関わった代表作は『MOTHER2』『風来のシレン2』『ホームランド』など。その後独立し“すごろくや”を設立。親子やカップルでにぎわう店舗展開と、情報発信企画、オリジナルゲームの企画制作、書籍の企画/制作/執筆、ゲームイベントやワークショップ、講座、教育対談の開催など、ゲームを主軸として活動、現在に至る。

<文・撮影/植松由紀子 MC/田中香花 画像協力/すごろくや>

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