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世界から大注目!包丁作りの伝統を担う、魅せる包丁「庖斬巴(ほうざんともえ)黒仕立て牛刀包丁 240mm」

2025/03/21

日本有数の金物産地、新潟「燕三条」エリア。江戸時代初期より金属加工の街として発展し、近年はインバウンドの増加によって、世界にもその名を知られることとなりました。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、その燕三条の包丁「庖斬巴(ほうざんともえ)」です。三条市で金物卸業を手がける金井産業株式会社が新たに立ち上げた包丁ブランド。燕三条の伝統技術に裏付けされた確かな品質と斬新なデザインで、国内外から熱い視線が注がれています。今回は、看板商品「庖斬巴 黒仕立て 牛刀包丁240mm」を中心に、同社代表取締役社長 金井孝夫氏に取材陣がお話を伺いました。

まずは、創業の経緯をお聞かせください。

金井 私の父が創業しました。父は大工のせがれなのですが、金物問屋で修行をしていたとき、最年少でありながら売り上げ一番になったそうなんです。そこで、これはもう人に使われているよりも自分で商売を始めようと、1954年に独立。建築金物と電動工具を扱う問屋を始めました。その後、1968年に法人化し、金井産業株式会社としてスタートしました。業務内容としては、作業工具のほか工具差し、腰袋、胴当てベルトなどといった職人さんの腰まわりのアイテムを中心としたオリジナル商品の企画制作、販売。オリジナル商品は「マルキン印」として販売しています。

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マルキン印の工具差し類(上)や腰道具用アタッチメント。
丈夫で耐久性があるだけでなく、高級感やデザイン性にもすぐれた商品は、職人さんたちのお墨付き。

社長は2代目でいらっしゃいますが、もともと家業を継ぐおつもりだったのですか?

金井 私は男4人兄弟の3番目なのですが、中学生の頃から夏休みと冬休みは父の会社でアルバイトをしていたくらいで、この仕事が嫌いではなかったんです。亡くなった祖父母からも「お前がいちばん賢い」「継ぐのはお前だろう」と言われ、自分でもそのつもりでいました。ただ、一度は他人の飯を食う、ではないですけど、外に出たほうがいいだろうということで、大学卒業後に4年間、大阪の金物問屋で修行しました。

その後、新潟に戻り、父のもとで働き始めました。当時、父は北海道に営業所を作ることを目標にしていたのですが、新潟でも寒いのに、さらに寒いところへ行くのはちょっと……と、私は関東を任せてもらうことに。

建築金物って、ボルトでもネジでも基本的に鉄でできていて、重いんです。それを、新潟の卸業者が運賃をかけて送るわけですが、関東の地元にも卸業者さんがいて、その人たちは自社便で品物を運んでいる。経費を考えると、価格面で我々は地元の卸業者さんに敵うわけありません。

ーどのような対抗策を取られたのですか?

金井 作業服店さんに営業をかけました。そうしたお店は当然、作業服がメインですが、そこに作業現場で使う工具類や、職人さんの腰袋などを置いてもらえばいいんじゃないかと思ったんです。

そこで、作業服店に「棚を1つください」とお願いして、工具を1つずつぶら下げさせてもらったんです。売れなければ交換する、という条件で。そうしたら、予想以上に売れたんです。そりゃそうですよね、職人さんたちが作業服を買いに来て、そこで工具も売られていたら便利じゃないですか。

作業服店さんを回っていると、職人さんたちの「この腰袋、ここがもうちょっとこうなっていたらいいのに」というような声が耳に入るんです。そこで、そのようにメーカーさんに伝えて作ってもらったら、職人さんたちの口コミで「これはいいぞ」という話が広がって、非常に売れるようになりました。

ーそこで、「マルキン印」というブランドが生まれたのですか?

金井 その頃、商品に品番もメーカー名もつけていなかったのですが、やっぱりブランド名をつけたほうがいいんじゃないかと。店頭のスタッフさんが、私から買ってくださった商品に関しては、プライスカードに手書きで、金という字を◯で囲んでくれていたんです。それを見て、じゃあカタカナで「マルキン印」にしようと。

職人さんのご要望通りに作ると、それがどんどんヒットするんです。これがまさに「ものづくりの原点」だ、なんて楽しいんだろうと。ある日、店頭で若い職人さんたちが弊社のオリジナル商品を見て「これ、いいんだよな。あいつにも教えてやろう」って、携帯電話で仲間に「ここにあるぞ」と連絡しているところに出くわしたんです。もう、本当にうれしくてガッツポーズですよ。「すみません、それ作ったのは私です」って(笑)。

ただ、ヒットすればすぐに模倣品が出てきます。しかも、国内需要はもう頭打ちの状態なので、弊社としては海外に出ていきたい。ただ、海外にはすでに中国や台湾の工具がたくさん出回っています。しかも、それらを一旦、日本へ入れてメイドインジャパンのタグをつけて。いくらマルキン印の商品に自信があるからといって、海外では知名度もないし、なかなか太刀打ちできません。そこへもってコロナ禍に見舞われ、さあ、どうしようかと。

弊社では月に1回、全体会議をします。営業の人間だけではなく内勤の人も含めて、全員でアイデアを出し合うんです。コロナ禍の間も、なんとか切り抜けようとみんなで知恵を絞り、意見を出し合っていました。

そうしたなか、ある社員が、地元では鍛冶屋ナンバーワンの日野浦刃物工房さんの、包丁の職人さんとのご縁をいただいて。その頃ちょうど、日本の包丁が海外で高く評価されているという話を聞いていたので、これだ!包丁なら海外に行って新たな販路を開拓できる、と思ったんです。

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マルキン印板金ハンマー。柄に●KIN(マルキン)のロゴの焼印。
ヘッドの色はシルバー、ゴールド、ブロンズの3色。
柄は蛇のように波打つ形が特徴的で、握り心地も抜群。
使いやすく丈夫な上に、色もデザインもおしゃれ!

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マルキン印のオンラインショップ(https://marukin.shopselect.net)には、
職人さん以外の人も普段使いできるような商品が豊富に揃う。こちらは、帆布の腰袋。
シンプルな色・デザインながら機能的。ガーデニングやDIYで活躍しそう。

「庖斬巴(ほうざんともえ)」の誕生ですね。

金井 現在、包丁の製造方法は大きく2つあって、1つは機械で包丁の形に型を抜いて作る方法、もう1つは、鉄と鋼を叩いて鍛えるという日本の伝統的な技法で1本1本手作りをする方法です。前者は、大量生産できるので包丁1丁、1〜2万円程度と手頃な価格で、それだけに市場にたくさん出回っている。そんなところへ、弊社のような新参者が入っていっても到底、戦えません。

日野浦刃物さんは120年の歴史を持ち、日本の伝統技術に基づいて包丁を1丁1丁作られているんですね。当然、価格も包丁1丁10万円近くとお高い。でも、大量生産よりも1丁1丁ていねいに作られ、それこそ世界に2つとない包丁という高級路線でいこうと。

そこで、日野浦刃物さんと包丁柄制作のスペシャリストである地元の株式会社和佐美さん、そして弊社は企画プロデュース的な立場で3社、「三つ巴」という言葉にならってブランド名を「庖斬巴(ほうざんともえ)」とし、2023年11月21日に「庖斬巴(ほうざんともえ)黒仕立て」を発売しました。

ー今回、ご紹介させていただく「庖斬巴 黒仕立て 牛刀包丁 240mm」は、95,920円(税込)高額ですね。

金井 はい。実際、国内でこの価格帯のものはなかなか売れないと思います。日本では今、100円ショップでも包丁が買えますから。ただ、価格が高いのにはそれなりに理由があって、たとえば切れ味は断然違います。プロの料理人の方々はそこをわかってくださいます。また、富裕層の方には、包丁のコレクターさんもいらっしゃいます。

海外での日本刃物の人気も私の想像以上で、とくに富裕層の人たちにとって15万円以下は普通の包丁なんです。ですから、むしろ「安い」と。このことは「庖斬巴(ほうざんともえ)」が世に出てからわかったことで、私も驚きました。

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看板商品「庖斬巴 黒仕立て 牛刀包丁 240mm IK-02240」。
全長395mm、刀身は刃渡り240mm×身幅52mm×厚さ3mm。
木柄は長さ140mm×巾25mm×厚さ20 mm。
商品重量約210g(ハンドメイド品につき多少のズレが生じる場合あり)。

高い価格には、理由がある。では、その理由とは?

金井 弊社のコンセプト「ありそうでなかった商品をあなたに」に基づいて開発された、唯一無二の包丁です。日野浦刃物工房の職人さんが作る「黒仕立て」の刃は、芯材に白紙2号、母材にオリジナルの特殊鋼を使用。伝統技術による究極の切れ味とサビにくさが大きな特徴です。それだけでなく、黒く浮き出た酸化被膜が、溶岩が冷えて固まるまでのプロセスを彷彿とさせる斬新なデザインとなっています。

柄には、株式会社和佐美の「レジン 八角柄」を採用しています。「共生」を理念として掲げ制作された柄は、木から滴る水滴をイメージし、オリーブの木を融合させたデザイン。細部の仕上げにもこだわり、道具としての役割をしっかり果たすだけでなく、包丁本来の美しさを引き出しています。

2024年3月、第46回「ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール」で審査員特別賞を受賞。美しいデザイン性と、包丁に込められたストーリーを評価していただきました。

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刃は、日野浦刃物工房作。芯材に白紙2号、母材にオリジナルの特殊鋼を使用。
母材はほぼ鉄に近い成分だが、鉄よりもサビにくい。ハンドメイドなので、
焼き入れ時の酸化被膜の黒と凸凹模様が1点1点異なる唯一無二のデザイン。

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和佐美作の木枝。複雑な木目模様のオリーブと、湧き出る樹液をレジンで表現したオリジナル柄。
硬質でありながら軽量で握り心地がいいだけでなく、デザインも美しい。
こちらも職人の手によるもので、1本1本表情が違う。

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庖斬巴の関連商品も企画開発中。
こちらは、組子細工が施されたなんとも美しい包丁ケース。
組子細工の起源は飛鳥時代に遡るといわれ、釘を使わずに木だけを組み合わせてつくる技術。
「日本の伝統技術を守り、その素晴らしさを国内外の人に知ってほしい」との金井社長の思いが込められている。

海外進出に関しては、いかがでしょう?

金井 現在、国内の展示会などに積極的に出展しているのですが、展示会を通して国外の需要も高いということがわかりましたので、いよいよと思っています。

2月7〜11日、ドイツ・フランクフルトで開催された「アンビエンテ」に出展しました。アンビエンテは世界最大級のBtoBの国際消費財見本市で、この業界ではアンビエンテへの出展が一番の目標なんです。

そのアンビエンテのCEOが、国内のある展示会にいらしていて、弊社のブースにも立ち寄られて「アンビエンテに出展しませんか」と声をかけてくださったんです。社交辞令だとは思いましたが、乗ってみない手はないと出展することにしたのです。

厳しい審査を経ての出展でしたが、十分、手応えを感じました。5種の包丁に関しては供給量が追いついていないので「ご予約での発注でお願いします」というスタンスで展示会に臨んだのですが、海外の方たちにも「日野浦さんの作品は即納不可、予約をして買うもの」という認識が浸透していて、日野浦ブランドの凄さを実感しいました。

オリーブとレジンの組み合わせの柄も「見たことがない」と多くの方から高評価をいただいて、改めて日野浦さん、和佐美さんとのご縁をいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

展示会に向けて何とか間に合った組子細工の包丁スタンドも高く評価していただき、日本の伝統文化・技術の1つである組子細工、さらに刺し子織の可能性を現地で、生の声で聞くことができた、本当に有意義な1週間でした。

―では最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。

金井 弊社のコンセプト「ありそうでなかった商品をあなたに」は、先代である父がつねに言っていたことなんです。つまり、誰のマネもせず、人々が必要としているものを提供し続ける。今後も、この方針は変えません。

現在、マルキン印の商品は500点。これからも社員全員で知恵を絞り、アイデアを出し合って新たなオリジナル商品をどんどん企画制作・販売を行っていきます。「庖斬巴」はアンビエンテ出展を足がかりに国内外で、包丁産業におけるブランド認知度の向上に努めてまいります。

―明るい未来が感じられる、素晴らしいお話をありがとうございました。

庖斬巴 黒仕立て 牛刀包丁 240mm IK-02240

「庖斬巴 黒仕立て 牛刀包丁 240mm IK-02240」
価格:¥95,920(税込)
店名:庖斬巴
電話:0256-35-1111(9:00-17:00 土・日・祝祭日休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365
日受付
商品URL:https://shop.kanai-hozan.com/items/81428653
オンラインショップ:https://shop.kanai-hozan.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

金井孝夫(金井産業株式会社 代表取締役社長)
1962年新潟県生まれ。大学を卒業後大阪での4年間の修業期間を経て当社へ入社。父親である初代の後を継ぎ2代目として現在に至る。オリジナル商品の開発へ注力。職人さんの腰回り道具を中心とした「マルキン印」に加えて高級手打包丁と関連商品で「庖斬巴」というブランドを新たに立ち上げ海外へ販路を伸ばすべく日々庖丁メンバーと奮闘中。

<文/鈴木裕子 MC/田中香花 画像協力/金井産業>

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