
企業の英知をペットの快適さに落とし込んだ逸品「ペット用 防滑・消臭・防水マット」
2025/03/26
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、独自技術をもつ印刷会社が、ペット目線で開発した快適用品。明和グラビア株式会社 代表取締役社長の大島規弘氏に、取材陣がお話を伺いました。

明和グラビア株式会社 代表取締役社長の大島規弘氏
―創業からの歩みをお聞かせください。
大島 私どもの会社は、1953年に私の父が創立しました。父は戦時中、旧日本陸軍の研究所で経済謀略作戦の研究に従事していました。終戦後、父は、上官が経営していた名古屋の印刷会社に誘われて就職し、当時出回り始めたプラスチックフィルムへの印刷技術を開発するプロジェクトチームの責任者に抜擢。子会社で研究を進めるうちに、軍隊時代に研究していた印刷方法がもっともきれいに刷れるというところにたどり着いたのです。
凹版印刷といって、版の凹んだ部分にインクを詰めて印刷をする方式。そうはいっても、印刷版も機械もインクもなかったため、すべて自分たちで手作りし、なんとか印刷できる仕組みを作り上げたそうです。しかし、同時期に親会社が倒産してしまいました。父は、一緒に取り組んでくれた仲間を連れて独立。1953年、明和グラビヤ印刷として設立しました。
余談ですが、グラビア(グラビヤ)は凹版印刷の代表的な印刷方式です。写真をきれいに印刷できることが特長で、その方式を取られていたことから、雑誌の巻頭などでアイドルの写真を掲載する特集を「グラビアページ」、アイドルを「グラビアアイドル」と呼ぶようになったのです。
明和グラビヤ印刷(現・明和グラビア)は、創業当初、昔のガスメーターや、電話機のダイヤル部分のような金属板への凹版琺瑯印刷を主にしていました。ほどなくプラスチックフィルム印刷の需要が高まり、特に、ビニール風呂敷が大ヒット。仕出し弁当などを包んでいた水玉模様が代表的な、あれです。
その後、日本は世界のいろいろな製品を作る生産地となる時代に入り、ちゃぶ台で食事をしていた日本にも「インテリア」という概念が生まれます。ビニール(塩化ビニル樹脂)印刷の技術をもって、インテリア製品を自社ブランドで作ろうと、ビニール製テーブルクロスの生産を始めました。これが、今も国内シェアNo.1を誇る弊社の主軸となっています。ビニールでレース調のテーブルクロスを作るために「モールドプリント」という印刷技術を開発。直訳すれば「成形印刷」で、ビニールで凹凸をつくり出すことのできる印刷方式です。
「グラビアプリント」「モールドプリント」の2大技術を様々に組み合わせ応用することにより、床材や壁紙、窓ガラスに張る装飾シートなどのインテリア関連商品にオリジナリティを出すことができています。


テーブルクロスは機能やデザインなど幅広い商品をラインナップ。
―御社ならではの強みは?
大島 まず1つには、「何でも自分たちで作る」という精神でしょう。何もないところから立ち上げた会社のベースがありますから、今でも機械は自分たちで設計して作りますし、印刷する版も、インクや処理剤まで全て、自分たちで作っています。
そして、それを支える社内のプロフェッショナルたち。私どものグラビアプリントの一番の特長は、伸び縮みするプラスチックフィルムを、寸法通り仕上げる技術です。ビニールは、引っ張れば伸び、引っ張らないとシワになる難しい素材。それをピッタリ寸法通りに仕上げることができるのです。
地球儀の形のビーチボールがわかりやすい例でしょうね。何枚ものパーツを継ぎ合わせて地球儀の形にしますが、継ぎ目のところで緯度の線がぴったり合っているのをお分かりいただけるでしょうか。これが私どもの技術です。
水性グラビア印刷や、抗菌、抗ウイルス、防汚、静電気防止などの処理剤をコーティングする技術など、枚挙に暇がありませんが、様々な技術や新製品の開発を続けています。おかげ様で、インテリア関連の自社商品はもちろんのこと、下着や絆創膏、冷却ジェルシート、給湯器のリモコンなど、他社様の製品にも弊社の技術を広く活用いただいています。

いくつものパーツを合わせたときに緯線も地図もピッタリ合う技術力の高さ。
―大島社長ご就任のタイミングは?
大島 私は父と割と年が離れており、私の入社から10年もたたないうちに父が大病をし、32歳で社長を継ぎました。文系出身の営業職で、技術のことに明るくなかったので大変でしたが、市場に助けられたところがありました。量販店やホームセンターが出店ブームでどんどん拡大した時代。必然的に売り場が増え、私どもの売り上げも大きくなっていきました。
出店に注力するストアさんの物流も担うベンダーとして、他社メーカーさんの製品を仕入れてお届けする業務を行っていた時期もあります。しかし、ストアさんがノウハウを積み上げ、物流や仕入れを自社でされるようになるころ、私自身は大きな危機感を感じていました。自社が、メーカーとしての色彩が薄まってしまったように思えました。そこで、90年代の終わりから2000年代にかけて、改めて物づくりに取り組むことにしたのです。
そうしてできたのが、窓の装飾シートなど、テーブルクロス以外の製品です。家庭用品、インテリア関連ではそれなりに実績が出てくると、また次が気になるようになりました。この売り場が飽和状態になった今、自分たちとは違うと思っていたテリトリー、ペット用品や資材関係、エクステリアなどで自分たちの技術を生かせる物づくりができないか?と考えたのです。

再度物づくりと向き合い誕生した窓の装飾シート。

新ジャンルへの挑戦としてペット用品に参入。
―最初に取り組まれたのがペット用品?
大島 ペットという新しい、どんどんホームセンターの中で拡大している売り場の中で、自分たちの技術を使って何ができるかを考えました。人間向けに作っている床材を応用してみてはどうかと……。濡れても滑らない、耐光性が高いという特性のある床材に、ペットのケガ予防につながるよう表面の凹凸を施し、長年インテリア業界で培ってきたデザイン性を盛り込んだ「ペット用 防滑・消臭・防水マット」です。

完全防水仕様で、食べこぼしや粗相もさっとふき取るだけ。

表面に凹凸が施してあり、ペットの足腰への負担を軽減。

必要なサイズにカットできる使い勝手も◎。
―どのような視点で開発を?
大島 ペット用品に関する時代の移り変わりは意識しました。外で飼うものだった犬がインテリアに入ってきた、その初期は、飼い主目線での商品が目立ちました。ペットが床を傷つけないための保護材や、猫が爪を研いでも壁に傷が入らないシートという具合に。しかし次第に、ペット目線が重要になってきました。猫が爪を研ぎたくなるようなものを作ろう、というように。
このマットも、第1弾は飼い主目線での商品開発でしたが、第2弾として、夏向けの冷感マット、第3弾は冬向けのあったかマットをペット目線で開発し、リリースしました。防滑・消臭・防水の機能はそのままに、モールドプリントの技術を使って新たな素材を盛り込んだものです。
―評判はいかがですか?
大島 第1弾は20年ほど前の発売で、ロングセラーとなっています。肉球との相性が良いようで、犬が爪を立てる必要がなく、走るのにも好都合ということで、ブリーダーさんのリピーターや、ドッグランに使いたいという要望などもあります。もちろん一般の方にもご好評で、ECモールのペットベッド・マット・寝具ランキングで1位を獲得しています。
用途に応じて最大120×180cmの4サイズ展開でしたが、大きいサイズが欲しいという声が多かったのでラグタイプを作り始めたところ、販売するとすぐに欠品するほどの人気となっています。
―今後の展望をお聞かせください。
大島 私どもは、「他人のやれない商品を作る」を社是としています。私はよく「シーズのスコップをもってニーズを掘り起こしに行こう」と社員に話します。商品開発にはニーズが大事だとよく言われますが、顕在化しているニーズを製品化してもオリジナリティが無いし、自分たちの特性が生かせるかどうか定かじゃない。ならば、自分たちの技術を生かせることを前提に仮定を立てて、その確認を兼ねてニーズを探すことで、オリジナリティがあって売れるものをつくれるのではないかと思うのです。
私どもの特長として、ストアさんと、ベンダーを挟むことなく直接ご商売をさせていただいている点があります。つまり、直接提案もできるし、売り場でテスト販売をさせてもらえる、その立場を生かしていきたいと思っています。
新商品や技術に開発に挑戦するにあたって大事にしているのが企業文化です。チャレンジには失敗が付き物ですが、それを個人の責任として責めないとか、在庫が過多になればみんなで売るとか、チャレンジによって発生した不良品を廃棄しなければならない工場スタッフの気持ちを受け止めるとか、そういう企業風土をとても大切だと考えています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「ペット用 防滑・消臭・防水マット」
価格:¥1,470~(税込)
店名:インテリアの明和グラビア
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/meiwa/10037990/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/meiwa/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
大島規弘(明和グラビア株式会社 代表取締役社長)
1961年生まれ。1985年同社入社。国内営業、企画、海外営業を経て、創業者である父親の体調不良を受け、1993年に32歳で社長就任。「他人のやれない商品を作る」を社是の筆頭に掲げ、「新しい価値」創造を目指して奮闘中。
<文/植松由紀子 MC/藤井ちあき 画像協力/明和グラビア>