ふんわり優しい使い心地に、洗濯機OKもうれしい。ビロードの老舗が作るメイクパフ「black ribbon -艶-」「white ribbon -優-」

2025/04/17

羽毛のような美しい光沢と風合いが魅力のビロード(天鵞絨)。この高級織物が、化粧用のパフにも使われているのをご存じでしょうか。今回、編集長アッキーが気になったのは、ビロードの特長を活かした大好評のリバーシブルパフ「white ribbon -優-」と「black ribbon -艶-」です。製造販売元である株式会社杣長(そまちょう)は、ビロード発祥の地・京都西陣で100年続くビロードメーカー。国産ビロード製パフ生地製造ではトップシェアを誇っています。3代目で代表取締役社長の杣栄二氏に、独自の技術開発やこだわり、商品の特長、今後の展望などを取材陣が伺いました。

株式会社杣長 代表取締役社長 杣栄二氏

-会社の成り立ちを教えていただけますか。

 1933年に私の祖父が現在の場所で創業しました。その8年ほど前から四条綾小路ですでにビロード屋をしておりまして、実際は100年経っているようです。その頃は着物が主流で着物用ショールやコートに使う生地を作っていたのですが、毛足のある織物ですからどうしても毛が寝てしまうという問題がありました。そこで、初代は生地の毛が寝ない工夫をし、少しずつ販路を広げていったようです。2代目の父は、化粧用パフの生地に洗濯しても毛が寝ない工夫を施し、資生堂様の第1号の商品から化粧用パフに関わってきましたし、ヨウジヤマモトさんや森英恵さんなど有名デザイナーの方からパリコレ用にオーダーをいただき、生地を作っていました。そのほか、ラビングクロスという液晶パネルの製造工程で使われる研磨用クロスも数年前まで作っていました。

安土桃山時代に鉄砲と共に伝来したビロードは、江戸時代、西陣の職人が初めて国産化に成功。
大正時代には300軒ほどのビロードの織元が西陣に存在していたが、現在は西陣においては同社を残すのみとなっている。

杣(そま)社長の祖父・長太郎氏が機2台から始めた同社。
今も50年以上改良を重ねた旧式のシャトル織機を用い、熟練の職人技で丁寧にビロード生地が織り上げられている。
最新の織機に比べて手間はかかるが、シャトル機ならではの高品質のビロードを作ることができる。

-この技術で第11回「ADY」※のグランプリも受賞されていますね。ご本業とは少しかけ離れた分野でのご活躍になりますか。

 使われているところは畑違いになりますが、素材としては同じビロードです。ラビングクロスは綿のビロードで、織組織でパイルに45度の傾斜角度をつける方法を開発し、特許も取得しています。初代から代々研究することが好きなものですから、液晶の研磨を研究されていた企業様からお声がけいただき、悪戦苦闘しながら開発しました。これは北京オリンピックの大きな掲示板を作る際の製造過程などにも使っていただきました。

ビロードの技術を活かして共同開発したラビングクロス。
液晶パネルの製造機械にとりつけて液晶を高速回転でこすることにより、液晶分子を美しく配向させられるという。
杣氏が社長に就任した1年後には、ラビングクロスを製造する別会社も設立された。

クロスを機械につける際に一番理想的なパイルの角度が45度。
同社の生地は織組織で立ったパイルを押さえるかたちで傾斜をつけているため、
加工でパイルを寝かせた他社製と比べて、角度がぶれず安定感がある。

-素晴らしいですね。将来のビジョンについてはいかがですか。

 今まで企業様とのお取引専門でやっておりましたけれども、今後は一般消費者の方にも目を向け、オンラインショップで販売するいろいろな商品を開発している最中です。新しいものとしては、例えばポリエステルのパフ生地に昇華転写プリントという特殊なプリントの技術を施していまして、大変高い評判をいただいています。

パフ生地に昇華転写プリントを施したクッションやアートパネルなども製作し、ビロードの可能性を広げている。

-今回ご紹介の「艶」と「優」もエンドユーザー向けの商品ですね。こちらについて教えてください。

 今までパフはパウダーの付属品というイメージが強く、なかなかスポットライトが当たる機会がなかったんです。でも、実はパフでのメイクはブラシやスポンジよりもお肌へのストレスが少なく、また均一にパウダーをつけるのには一番優秀であるという実験結果も出ています。本当に良いものなので皆さんに広めたいという思いがあり、2年ほど前から本格的に商品作りを始めました。

ジュエリーデザイナーの協力も得ながら、ギフトにも喜ばれるような商品作りに力を入れたというリバーシブルパフ。
高級感あるパッケージデザインも魅力。

パフにもいろいろな種類があり、様々な使い方を皆さんに試していただきたいということで、作ったのがこのリバーシブルパフです。2種類のパフのうち、「艶」の毛足の長いリボン面には、異形断面という糸を使用。ぼこぼことした糸なので、粉含みが良くしっかりと落ちにくいパウダー付けができます。反対側の面は「艶」「優」共通で、シルクの2分の1以下の細さのフィラメント糸を使用しており、細かいところを押さえる際などにお使いいただけます。

もう一つの「優」のリボン面は、ポリエステルとナイロンの糸をミックスに織り込んで作っています。ポリエステルのパイルに支えられた柔らかいナイロン部分がお肌に当たるようになっているので、肌触りがとても良く、ナチュラルにパウダーが付きます。
また当社の商品の売りといえるのが洗濯できること。洗濯機で洗っても毛が抜けたり寝たりせず、脱水工程で毛が復元されてしっかり立つんです。

パイルの糸がきらめくカバー力アップタイプの「艶」(右)と、
ナイロンとポリエステルの2種類の糸がナチュラルな仕上がりへ導く「優」(左)。
ともに毛足の長いリボン面は顔全体に、毛足の短いパフ面は細部に使うのがおすすめ。
柔らかく優しい肌触りで、使うのが楽しくなる。洗濯機で手軽にお手入れできるのも◎。

リボンの部分を裏返して反対の面を使えるリバーシブルタイプ。異なる2つの面を自由に使い分けたい。

-パッケージも高級感がありますね。購入された方の反応はいかがですか。

 触ってみると本当に違うねと。今までパウダーメイクをしなかったけれど、これを使うようになったというお声や、お友達にも買いたいというご意見もいただきます。リピートして買われる方もおられ、使って喜んでいただいていると思います。ビロードは高級品ではありますが、だからといって手が届かないとか美術品になってしまうのでは意味がありません。ビロードの可能性は多種多様で、私どももこのようにいろいろな商品開発をしていますので、皆さんにさまざまなかたちでビロードを楽しんでいただけたらと思っています。

明治・大正期の輪奈天鵞絨(わなビロード)標本帳をはじめ、ビロードの秀作を展示した同社の「天鵞絨(ビロード)美術館」。
リバーシブルパフはこちらでも購入できる。

デッドストックになったさまざまな種類のビロード生地をアップサイクルした商品も販売。
シュシュ、タブレットケース、スカーフなど、希少な高級ベルベットの風合いを楽しめる。

-本日は貴重なお話をありがとうございました!

※「ADVANCED DISPLAY OF THE YEAR」

「リバーシブルパフ black ribbon -艶-(カバー力アップタイプ)」(直径70mm 厚さ17mm/ポリエステル100%)
価格:¥1,320(税込)
店名:株式会社杣長
電話:075-432-2266
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://somacho.co.jp/product/black-ribbon-tsuya/
オンラインショップ:https://somacho.co.jp/original-products/

「リバーシブルパフ white ribbon -優-(ナチュラル仕上げタイプ)」(直径70mm 厚さ17mm/ポリエステル100%)
価格:¥1,320(税込)
店名:株式会社杣長
電話:075-432-2266
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://somacho.co.jp/product/white-ribbon-yu/
オンラインショップ:https://somacho.co.jp/original-products/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

杣栄二(株式会社杣長 代表取締役社長)
1951年京都府生まれ。大学卒業後、呉服店に入社し3年間の修業期間を経て1976年に家業である株式会社杣長に入社。2008年に同社代表取締役社長に就任。

<文・撮影/山本真由美  MC/藤井ちあき  画像協力/杣長>

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