働く主婦として、仕事に家事にと忙しい日々を過ごす、編集長アッキーこと坂口明子。「短時間で、しかもおいしく作れる食材はないかしら」と探していたところ、まさにその願いが叶う食材を発見! 注目したのは、国産野菜にこだわった「うまみ丸ごと野菜シリーズ」と、サラダにトッピングするだけでデリ風のおしゃれなサラダが簡単に作れる「パパっとDelisalaシリーズ」。商品の秘密を探るべく、取材チームが製造元のヤマサン食品工業株式会社の代表取締役社長の藤岡宏年氏にお話を伺いました。
30分で晩ごはん完成、作り置きも! ヤマサン食品工業の「うまみ丸ごと野菜」、「パパっとDelisala(デリサラ)」
2022/06/24
ヤマサン食品工業株式会社 代表取締役社長の藤岡宏年氏
―御社はもともと、タケノコや山菜の水煮加工品で全国トップのシェアを占めていると伺いました。
藤岡 ありがとうございます。1928年、私の祖父である藤岡重作が、地元富山県射水市の特産であるタケノコの缶詰製造を始めました。缶詰にしたことで、1年を通じてタケノコが手に入るとご好評いただいたようです。その後、缶詰を小分けにして袋に入れて販売するようになり、そこから、より日持ちするようにと、タケノコを真空パックボイル殺菌した、パック入りの販売を開始。ゼンマイやワラビ、フキなどの山菜を扱うようになったのは、その後のことです。
―3代目として就任されてから、藤岡社長が大切にされているのはどのようなことでしょうか。
藤岡 父の代で会社を設立、事業も大きく展開するようになりました。それを私の代で壊すことはできません。しかし、時代が変わり、消費者の方々のニーズや従業員たちの年代も変化していますから、父と同じような経営の仕方ではなかなかむずかしい。そのバランスについて悩みました。いちばん気にかけたのは、社内の雰囲気作りです。よい商品を作るためにも、従業員が自由に意見を出し合えるリラックスした雰囲気作りが大切ではないかと考えました。もちろん、それは私ひとりではできないので、従業員全員で取り組み、少しずつでも新しい変化を起こしていこうと。
―御社の人気商品「うまみ丸ごと野菜シリーズ」は、社員の方々の強いこだわりから生まれたそうですね。
藤岡 はい。野菜をカットしてレトルトパックした商品は、20年以上前からありました。ただ、日持ちさせるためにpH調整剤を入れるとどうしても酸味が強くなり、野菜そのものの味を邪魔してしまう。正直なところ、あまりおいしくないんです。また、レトルトにする際に強烈に熱がかかり、たとえばじゃがいもなどはドロドロになってしまいます。それを防ぐため、硬さを保持してくれる塩化カルシウムなどを加えるのですが、作り手としてはやはり、素材そのものの味や食感を消費者のみなさんにお届けしたいという声が、社内で上がったのです。当初は、すでに味をつけた商品のほうが幅広く、多くの方に手に取っていただけるのではと思いましたが、社員から「素材の味にこだわりたい」と。
「うまみ丸ごと野菜シリーズ」
上左から時計回りに「筑前煮の具」「五目豆の具」「豚汁の具」「カレーの具」「きんぴらの具」
すべて国産野菜使用。カット&加熱済なので、すぐに使えるのがうれしい。
パッケージの裏に書かれたレシピ通りに作ると、びっくり、プロの味!?
こちらはシリーズのうちの「うまみ丸ごとカット野菜」。こちらも国産野菜使用。
かぼちゃは、冷凍のものよりも煮崩れしにくく、ごぼうやにんじんは香りもシャキシャキ感もしっかり残っています。
―pH調整剤も塩化カルシウムも使わないとなると、商品化するまでにご苦労があったのでは?
藤岡 下処理の仕方を工夫したり、レトルトをかけるときに、それぞれの野菜の美味しさを引き出す温度と時間を見つけたりしながら弊社独自の製法が確立しました。野菜を水洗いしたりカットする必要がないだけでなく野菜から染み出した液まで、まさに「うまみ丸ごと」使えるのが特徴で、常温保存が可能です。
作るのが面倒で敬遠しがちな五目豆も、だしとみりん、醤油、砂糖があれば、すぐにできます。
五目豆を鍋にかけながら、同時にきんぴらごぼうも作れちゃう。所要時間15分ほど!
「きんぴらごぼうの具」「五目豆の具」、いずれもたっぷりの量なので、作り置きができます。
「うまみ丸ごとカット野菜」の「ささがきごぼう」
パッケージ裏のレシピにしたがって、「ごぼうと牛肉の混ぜごはん」
簡単&おいしい!
ものの30分で、夕ご飯が完成!
きんぴらごぼうは翌日のおかずに……。
―それぞれパッケージの裏にはレシピが掲載されていますが、野菜のうまみのおかげか、使う調味料の数が少なくてすみますね。すでに火が通っているので調理時間も本当に短い。忙しいなか料理を作る人にとって、うれしいことづくめです。
藤岡 社員たちの、こだわりとがんばりの賜物です。さらに、全社一丸となって開発し、2021年春に誕生したのが「パパっとDelisalaシリーズ」です。こちらは、パックから中身を出してサラダにパパっと振りかけるだけでデリ風のサラダができるというもので、商品の中に水が入っていない「ドライパック」が最大の特徴です。ドライパックの商品はすでにありましたから、そこにいかに付加価値をつけるかが課題でした。社内で議論を重ねた結果、やはり弊社の強みである野菜の技術を活かした商品だろうということで、たどり着いたのがこちらのシリーズです。
2022年1月「ジャパン・フード・セレクション」金賞に輝いた
「パパっとDelisalaシリーズ」の「豆ミックス」ほか3品、各60g。
常温保存可なので非常用に買い置きしておいても○。
―豆だけ、コーンだけ、という単体のドライパックは見かけますが「パパっとDelisalaシリーズ」には、いろいろな野菜も入っているのですね。
藤岡 豆類に大豆ミート、そして野菜や穀物も入っています。商品の企画を立てた2017年頃は、大豆ミートはまだまだ日本の食卓には浸透していなかったのですが、アメリカではすでに人気が高まっていたので、これは来るぞと(笑)。また、弊社は野菜や穀物をメインに製造していることもあり、工場が肉類を扱えない作りになっているんですね。でも、大豆ミートなら扱える。これまで野菜メインの商品しかなかったところに、肉の食感を加えられることに新しい価値を感じて、取り入れることにしたのです。噛みごたえがあり、高タンパクで低カロリーなのも健康志向のお客様によろこんでいただけるのではないでしょうか。
野菜にトッピングするだけでおしゃれなサラダに。
こちらは朝、ジャーに生野菜と「さつまいもミックス」、ドレッシングを入れておき、
夕ご飯の直前に出して盛り付けたもの。より味がなじんで、いい感じ。
「さつまいもミックス」パッケージ裏のレシピどおり、
アボカドとプチトマトを加え、シーザーサラダドレッシングであえただけ。
大豆ミートが食感、味わいともに”いい仕事”しています!
―新たにドライパック製品に挑戦されるにあたっては、ご苦労があったのでは?
藤岡 「パパっとDelisalaシリーズ」には弊社としては新しい素材がいろいろ詰まっています。その意味で、最初は課題がたくさんありました。いろいろな部署が知恵を出し合い、協力し合って形になった商品です。そうしたなか、2020年に窒素ガス置換包装設備という機械を導入し、豆類や野菜、穀類の栄養をキープしたまま、しかも常温保存が可能という理想的な商品が生まれました。
「豆ミックス」には、赤いんげん豆、ひよこ豆、大豆、青大豆、さつまいも、大豆ミートの6種類の食材が入っています。
「根菜ミックス」には、白いんげん豆、青大豆、ごぼう、れんこん、赤米、大豆ミートが。
「かぼちゃミックス」には、かぼちゃ、落花生、ひまわりの種、かぼちゃの種、大豆ミート。
「さつまいもミックス」は、さつまいも、ひよこ豆、青大豆、とうもろこし、人参、大豆ミート。
―2020年といえば、コロナ禍のまっただ中。設備投資を行うのには、さぞ勇気が必要だったのではありませんか?
藤岡 当時は弊社としても厳しい状況に置かれていたことはたしかです。しかし、消費者の方々のニーズには何としても応えたいという強い思いがありました。栄養価が高く、おいしくておしゃれなサラダがパパっと作れる。しかも、開封してそのままパラパラっと出せるので、手を汚さずにすみますし、洗いものも少なくてすみます。そういったことが、料理を作る方にはよろこばれるのではないかと。
―食品加工メーカーとしてすでに確固とした地位にありながら、あくまでも消費者の立場を考え、しかも「おいしさ」にこだわるというその姿勢が、2022年2月の「射水市きらりカンパニー顕彰事業」大賞受賞につながったのですね。
藤岡 ありがとうございます。設備投資を行いながら消費者のニーズを模索していることのほか、2020年から始めた、地元コンサートへの協賛、フードバンクとやま様への商品の寄贈といった、CSRやSDGsへの取り組みも評価していただけたように思います。
―最後に、今後のビジョンや展望をお聞かせください。
藤岡 商品については、私たちが考えたものがお客様のニーズとマッチするかどうかは、ふたを開けてみないとわかりません。もちろん、弊社の社員はみな自社目線ではなく、どんな方に買って頂けるかを想像しながら商品作りを行っていますが、10商品作って10商品とも売れないということもあります。それでも、企画の最初の段階から「これはダメだよね」という否定的な考え方はなく、社員全員が「おいしいものを作りたい」という一心でお互いに意見を交わしながら、いい意味でみながやりたいようにやっています。ビジョンとしては、弊社は7年後に創業100年を迎えるわけですが、そこに向けて今後どうしていくか、社員ともども考えている段階です。この先10年、20年と区切るのではなく、つねに世の中を見ながら、これを取り入れよう、あれを取り入れようというふうに、やっていくつもりです。そうやって、今後も愉しみながらいろいろな商品を作っていけたらと思っています。実は今、付加価値をつけた商品を開発中で、じきに市場に出せる予定です。その時に、また、手に取っていただけたらうれしいです。
―わあ、どんな商品でしょう。楽しみです! その時にはまた、あらためてお話を伺わせてください。本日は、どうもありがとうございました。
「お手軽時短料理アイテム9選セット」
うまみ丸ごと野菜シリーズ5品(国産きんぴらの具、国産五目豆の具、国産豚汁の具、国産筑前煮の具、国産カレーの具)、パパっとDelisalaシリーズ4品(豆ミックス、根菜ミックス、かぼちゃミックス、さつまいもミックス)
価格:¥2,970(税込)
店名:うまみ丸ごと屋
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamasanfood/37908c9/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/yamasanfood/
「うまみ丸ごと野菜 北海道産かぼちゃ 110g」(20袋)
価格:¥5,400(税込)
店名:うまみ丸ごと屋
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamasanfood/52014c20/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/yamasanfood/
「うまみ丸ごと野菜 国産ささがきごぼう 100g」(20袋)
価格:¥4,500(税込)
店名:うまみ丸ごと屋
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamasanfood/24078c20/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/yamasanfood/
「うまみ丸ごと野菜 国産ごぼうと人参 100g」(20袋)
価格:¥4,500(税込)
店名:うまみ丸ごと屋
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamasanfood/24083c20/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/yamasanfood/
「うまみ丸ごと野菜シリーズ3種(カレーの具、豚汁の具、筑前煮の具)×5袋入」
価格:¥4,980(税込)
店名:うまみ丸ごと屋
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/yamasanfood/37907c15/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/yamasanfood/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
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藤岡宏年氏(ヤマサン食品工業株式会社 代表取締役社長)
1973年、富山県生まれ。1995年9月、ヤマサン食品工業株式会社入社。2008年4月、代表取締役社長に就任。2021年度「射水きらりカンパニー顕彰事業」大賞受賞。2022年1月「ジャパン・フード・セレクション」で「パパっとDelisala豆ミックス60g」が金賞受賞。
<文・撮影/鈴木裕子 MC/橋本小波 画像協力/ヤマサン食品工業>