釜あげうどん_top

「手打ち式製法」の”もちつる”讃岐うどんで 人気の石丸製麺。新発想の「茶うどん」、 「全粒粉うどん」に注目!

2022/06/02

今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、讃岐うどん(乾麺・半生麺)の販売で高いシェアを誇る石丸製麺株式会社。国産小麦100%の讃岐うどんに力を注ぐだけでなく、新たなジャンルの商品も積極的に開発しています。その企業理念と今いち押しの商品について取材陣が、代表取締役社長の石丸芳樹氏に伺いました。

石丸社長②_社長_1
石丸製麺4代目 石丸製麺株式会社代表取締役社長 石丸芳樹氏

―御社は、製粉業と製麺業を併行されていた時期があるそうですね。

石丸 製粉業は、川の流れを敷地内に引き込み水車を回すという仕組みで、かつては全国各地で営まれていました。小麦を製粉し、より高い付加価値を持たせるために製麺も行うという発想はごく自然で、明治時代には製粉と製麺を併業する業者は多かったのです。ところが戦後、政府の方針で製粉業は大手に集約されたため、中小の製粉業者の多くは廃業し、製麺業に特化することとなりました。私の父の時代です。乾麺をメインに作り始めたのは、当時、地元でも需要が大きかったことと保存がきくことが大きな理由です。

―御社の乾麺は、特別な製法で作られていると伺いました。

石丸 はい。父が考案・開発した「手打ち式製法」です。同業者との競争を乗り越えるためには、何か特色がないといけない。当時、乾麺は機械式の量産製造がほとんどでしたが、父はそこに、手打ちの技を取り入れようと考えました。地元香川のうどん屋さんで主流だった手打ちの良さを乾麺で再現しようと。そのために、手打ちのうどん屋さんに伺って製法を学んで技術や機械の研究・開発を続けました。1983年に手打ち式乾麺専用の工場が完成。翌年、晴れて「手打ち式乾麺」が誕生したのです。

讃岐うどん_4217_2
「手打ち式製法」で打ち上げた麺生地を包丁切りカッターで1本1本丁寧に切った「技の極み讃岐うどん包丁切り」。
麺幅4mm と太く、食べ応えのあるもっちりした食感が特徴。

―乾麺に手打ちの技術を取り入れるとは、具体的にはどのように?

石丸 うどん生地をしっかりと作り上げ、麺棒(ローラー状の機械)で何度も何度も鍛えて延ばしていく。それも、一定方向ではなく多方向に延ばすことで、小麦が持っているデンプンやタンパク質の組成がより複雑に絡み合って、讃岐うどんの最大の特徴である「コシ」が生まれます。さらに、ゆで上がったときのツヤも讃岐うどんならではのもの。そのツヤを出すために、小麦粉と食塩と水を混ぜてこねた生地を帯のように平面化し、麺棒で薄く延ばしていきます。この時、麺棒と生地の接触面や接触回数が多いほど表面がなめらかになり、麺にツヤが生まれるのです。

ざるうどん(技の極み讃岐どん包丁切り)_3
讃岐うどんは見た目の艶やかさも大きな特徴。乾麺で、このツヤ!

―その工程を機械で行えてしまうとは、驚きです。「手打ち式乾麺」の登場で乾麺の質が格段に上がった、といわれるのも納得です。御社は、讃岐うどんの伝統の技を守るだけでなく、最新技術へも積極的に挑戦されているとのこと。「変わらず続けていること」と「変化させたこと」について、お聞かせください。

石丸 まず、弊社の事業には3つの柱があります。①国産小麦への取り組み、②創造的な融業、③うどん文化を世界へ、です。まず①について。地元高松は昔から小麦栽培が盛んでしたが、次第にうどんの原料は外国産小麦に取って代わられるようになりました。外国産小麦のほうが国産小麦より粘弾性や麺色が優れ製麺しやすい、またコストも手頃であったというのがその大きな理由です。しかし、消費者の方々からの「昔のように風味のある讃岐うどんが食べたい」という声が次第に上がるようになり、香川県農業試験場を中心としたプロジェクトチームが、9年という開発期間をかけて讃岐うどん専用小麦を新たに開発したのです。

―「さぬきの夢2000」ですね。

石丸 そうです。「さぬきの夢2000」はその後品種改良され「さぬきの夢2009」に引き継がれています。弊社はいち早く「さぬきの夢2000」を使って麺を作り始めました。国産小麦で製麺するというのは昔ながらのことですが、外国産小麦が主流だった中で今一度、国産小麦での製麺に着手したという意味では「石丸製麺の歴史にとって大いなる一歩」と言えるかもしれません。現在は「さぬきの夢2009」のほか、北海道、愛知県産の小麦を使用しています。

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近年の国産小麦は、かなり改良がくわえられ、
格段に粘りと風味が向上し、優れた味わいを出せるように。

―2本目の柱「創造的な融業」とは?

石丸 言葉の意味としては、「2つの異業種がお互いの強みを寄せ合いながら、創造的なビジネスを新構築していくこと」です。讃岐うどんは、庶民の知恵や努力、そしてさまざまな原料の積み重ねによって数百年の年月をかけて作り上げられてきました。その伝統を踏まえた上で、弊社は業界の垣根を超え、それぞれの強みを結び合わせた、他にはない、魅力的な商品を生み出していきたい。そこから新たな価値が生まれたり、新たな市場の開拓に繋がると考えています。その第1弾が「茶うどん」でした。

―茶そばはよく見かけますが、茶うどんは珍しいですね。

石丸 茶うどんは、弊社以外ではあまり作っていないと思います。香川県三豊市の高瀬町は県の生産量の8割を占めるお茶の産地なのですが、この「高瀬茶」はとても香りが高いんですね。これを生地に練り込んだら、お茶のいい香りがするうどんができるに違いないと考えました。高瀬茶を使うことで「地産地消」にも繋がります。結果、予想を上回るすばらしいうどんが誕生しました。お茶の香りとうどんのコシとツヤがしっかり味わえると香川県の品評会で最優秀と評価されたのです。それによって、私たちがやろうとしている融業は間違っていないと背中を押され、現在は徳島のれんこんや富山の昆布など、次々と共同開発を行なっています。

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「融業」第1弾の「讃岐 茶うどん」。2014年かがわ県産品コンクール知事賞(最優秀賞)受賞。
茶うどん(えびあんかけ)②_5
ひと口、口に入れた瞬間から、緑茶の香りが鼻を抜けて気分もさわやか。
これからの季節、ざるうどんやぶっかけ、あんかけうどんなど、いかが?

―第3の柱、「うどん文化を世界へ」というのは夢がありますし、日本人として誇らしい気がします。

石丸 乾麺は、小麦粉と塩と水という極めてシンプルな素材によって作られている自然食品です。しかも、味もシンプルなので相手を選びません。世界各国の風土や食材に合わせられる無限の可能性を秘めていると、私は考えています。現在、すでに20ヶ国以上に弊社の乾麺を輸出していますが、今後も引き続き、乾麺を通じて世界中の方々に讃岐うどんを食べていただけるよう努めます。東南アジアでは麺類がよく食べられていますが、麺類をあまり食べない地域でも、健康食品としてのニーズがあるのではないかと思っています。

―世界的に健康志向が高まっていますね。

石丸 はい。それに応えるべく作ったのが小麦の全粒粉による「国産小麦をまるごと使った食物繊維たっぷり細うどん」です。小麦の約15%にあたる表皮には、小麦内部より比較的ビタミンやミネラルが豊かです。特に近年では、今話題の「発酵性食物繊維」が豊富に含まれていることも分かってきました。玄米や胚芽米などなるべく精白しない穀物を食べようという考えは、栄養をバランスよく摂取することにつながります。先に話した「融業」でお茶や昆布などの優れた素材と出会ったことで、私も改めて食物繊維の重要さに気がつき、ならば全粒粉でうどんを作ってみようと、この商品開発に着手したのです。また、食材をまるごと食するということは、貴重な資源を無駄にしないという思いも適います。

讃岐うどん_4215_6
一般的なうどんの4.7倍の食物繊維のほかタンパク質、鉄やマグネシウム、亜鉛などミネラルも豊富な
「<全粒粉100%>国産小麦をまるごと使った食物繊維たっぷり細うどん」。

―ただ、食物繊維が豊富だと粉がまとまりにくい気がします。製麺はむずかしいのではないでしょうか?

石丸 おっしゃるとおりです。小麦の皮は硬く、そもそも微粒粉にするのが難しいのです。そのザラつき感が邪魔をして、生地を作り延ばし成型する際も切れやすく、棒状に切り上げて乾燥するまでの過程でさまざまな問題に直面しました。しかしここで、力を発揮したのが我が社の「手打ち式製法」でした。温度と湿度の管理を徹底し、ゆっくり時間をかけて生地を練り、粘りを出す。練る力と、麺棒で延ばし・鍛える圧力の最適な製法を見つけ出し、約1年半かけて開発に至りました。

細うどん細切り野菜のサラダ風_7
全粒粉の麺はともするとボソボソしがちですが、「手打ち式製法」のおかげでもちもちの食感。
小麦本来の風味も楽しめます。サラダ麺や和え麺に向いているかも。

―御社では工場見学も行なっていらっしゃいますが、さまざまなご苦労と長い年月から生まれた技術や工程を公開してしまうのは、もったいないような気がするのですが……。

石丸 工場見学は私が提案したんです。たしかに、せっかく開発した手打ち式製法もお見せすることになるので、父の大反対を受けました。しかし、私自身、異業種の工場をあちこち見学して学び得たことが非常に多かったのです。工場を公開することで、消費者の皆さまに讃岐うどんをより身近に感じていただけるのはもちろんのこと、見学を通してさまざまな業界の方たちとの出会いも生まれます。それが次なる創造的な事業、つまり融業につながっていくのです。

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工場のエントランスでは、直径5mの動く水車がお出迎え。

―社員の方たちにも変化が見られたそうですね。

石丸 社員は、お客様との間が透明なガラス1枚という、本当に近い場所で作業をしているので、常にお客様の目線を感じています。それはいい意味での緊張感であり、お客様の立場を考えて、より安全なものを、よりおいしく作っていこうというモチベーションにつながります。また、私は「工場見学はお客様へのおもてなし」だと考えています。例えば、現場の社員が時にガラス越しにお客様に向かって手を振り挨拶することも、そうしたおもてなしの1つとして行っています。手を振ると作業を止めることになるので、一見生産性が下がるように感じますが、この包装ラインを一瞬止め、手を休めることは社員の頭がリセットされることになり、おかげさまで社員のミスや事故が大幅に減少しました。より一層の安全・安心を実現することができています。是非そうした姿を見に、工場にいらしてください。私がご案内しますよ。

―社長ご自身が案内してくださるのですか! それは、お訪ねしなければ。その日を楽しみにしております。本日は、ありがとうございました。

讃岐うどん_4217_商品1

「技の極み  讃岐うどん包丁切り」(300g)
価格:¥320(税込)
会社名:石丸製麺
電話:0120−459140(平日8:30〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.store.isimaru.co.jp/html/page181.html
オンラインショップ:https://www.store.isimaru.co.jp

茶うどん_4219_商品2

「讃岐  茶うどん」(200g)
価格:¥370(税込)
会社名:石丸製麺
電話:0120−459140(平日8:30〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.store.isimaru.co.jp/html/page14.html
オンラインショップ:https://www.store.isimaru.co.jp

細うどん_4215_商品3

「<全粒粉100%>国産小麦をまるごと使った食物繊維たっぷり細うどん」(200g)
価格:¥350(税込)
会社名:石丸製麺
電話:0120−459140(平日8:30〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品ページ:https://www.store.isimaru.co.jp/html/page245.html
オンラインショップ:https://www.store.isimaru.co.jp

<Guest’s profile>
石丸芳樹氏(石丸製麺株式会社 代表取締役社長)

1960年香川県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社入社。1989年に石丸製麺株式会社入社。2004年、同社代表取締役社長に就任。2015年に新工場の見学コースを拡充。地元小学生から全国の農業団体まで幅広く、多くの見学者を受け入れ、讃岐うどん文化を発信している。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/橋本小波 画像提供/石丸製麺>

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