「油かす」という食べ物をご存じでしょうか。大阪の南、南河内地方で昔から食されており、料理に独特のうまみを加える唯一無二のものとか。特にうどんとの相性の良さに注目し、「かすうどん」の全国展開を目指す会社があります。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社グローバルキッチン代表取締役の津野新三氏に、取材陣が伺いました。

株式会社グローバルキッチン 代表取締役の津野新三氏

―かすうどん店「KASUYA」を、フランチャイズ含め約30店舗展開されています。1995年、大阪藤井寺に1号店となる本店をオープンされた経緯を教えてください。

津野　実は私はフランス料理店に勤めていました。独立を考えた頃、バブルが崩壊して日本全体が不景気になり、飲食業に求められるのは安価で手軽なものだと方向転換しました。大阪でなじみの深いうどんに、私の出身地、河内で昔から食べられてきた「油かす」をトッピングするかすうどんに焦点を絞ることにしたのです。

油かすととろろ昆布、ゆず粉をかけるのがKASUYA流かすうどん。

―「油かす」とはどんなものでしょうか？

津野　牛の小腸をじっくり油で揚げて、余分な脂や水分を飛ばしたものです。表面はカリカリで中はプルプルとした独特の歯ごたえ。肉のうまみが凝縮され、コクのある独特のおいしさです。手軽に牛肉の風味や味わいを加えられる食材として重宝されており、大阪ではお好み焼きや焼きそば、たこ焼きに入れたりもします。

コラーゲンが豊富で栄養価も高い油かす。
油かす単品も冷凍・常温で取り寄せ可能。

―うどんにトッピングすると、カリカリしていた油かすがつゆを吸って、トロトロになりますね。

津野　反対に油かすからはうまみがジュワっとつゆに溶け出します。うちのかすうどんは昆布だしがベース。油かすのうまみと脂分が加わることで、ぐっと奥行きのある味わいになり、独特の風味が生まれます。甘めの味付けも好まれていると思いますよ。きつねうどんといい肉うどんといい、少し甘いつゆが関西では特に受けが良いのです。

最初はすっきりとしたつゆだが、時間がたつにつれ油かすから溶けるコクと風味が増してくる。

―麺に関してはいかがですか？

津野　さぬきうどんのようにエッジが立って歯ごたえの強い太麺ではなく、昔から関西で食べられている麺を目指しました。コシはありながら固すぎず、太すぎずつゆが絡みやすい。実店舗では細うどんも選べますが、そちらも人気があります。

下の「冷凍 かすうどん個食パック」は上の常温商品に比べて麺はやや太く歯ごたえしっかり。

―実店舗では多くのトッピングが選べるようですが、基本となるのはとろろ昆布、ゆず粉にネギと、特徴的ですね。

津野　油かすの臭みを消しつつ油と相性の良いものをいろいろ試したところ、植物性の方があっさりして後口をさっぱりさせてくれるとわかりました。昆布だしのつゆに、「追い昆布」のイメージですかね。常温商品の方はゆず粉もセットになっています。

KASUYAオリジナル薬味のゆず粉。

―お店の味を家庭で手軽に食べられる商品にされるまでのご苦労は？

津野　味が安定するように何度も試作を重ねましたが、1番苦労したのは、油かすの材料となる牛小腸の調達です。実は牛1頭から、かすうどん100～150食分の油かすしか作れないのです。量もそうですが、できるだけ臭みの少ない、味の良いものが一定量必要となる。文字通り北米中を捜し歩きました、何日もかけて。あきらめかけた頃、声をかけてもらったご縁で今があると思います。

―それほど量産を目指した油かすの魅力は？

津野　油かすは牛肉のうまみがギュッと凝縮されています。干しシイタケをイメージしていただくとわかりやすいかな。パスタやハンバーグ、肉じゃがに入れているというお声もあります。フリーズドライや冷凍の商品なので保存ができて、気軽に牛肉のうまみを加えられる、1度試すとその便利さがおわかりいただけるのではないでしょうか。油かすとともに、日本の国民食ともいえるうどんと合わせたかすうどんのおいしさを、全国にもっと広めていきます！

うどん×油かすは抜群の組み合わせ。

―関西だけにとどめておくのはもったいないおいしさですね。すばらしいお話をありがとうございました！

「かすうどんギフト2食セット」
価格：¥1,280（税込）
店名：KASUYA通信販売
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.at-ml.jp/71592/2015/11/05/item-10/
オンラインショップ：https://www.at-ml.jp/71592/usces-list/

「冷凍 かすうどん個食パック」
価格：¥530（税込）
店名：KASUYA通信販売
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.at-ml.jp/71592/2015/11/05/item-9/
オンラインショップ：https://www.at-ml.jp/71592/usces-list/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
津野新三氏（株式会社グローバルキッチン 代表取締役）

1964年大阪府生まれ。浪速高校卒業後、様々な大手外食チェーンでの管理職経験を経て独立。1995年大阪府藤井寺市に加寿屋藤井寺店を新規オープン。1999年、有限会社グローバルキッチンを設立。2009年には株式会社に組織変更、FC展開開始。現在直営店6店舗、FC店22店舗を展開。これまで培ってきた調理技術・ノウハウ、特にあぶらかすの加工技術や設備についてはほかに負けないものを持っている。2022年、大阪市住之江区に新社屋完成予定。外食産業を取り巻く厳しい環境の中、今後はあぶらかすのトップメーカーを維持するとともにECビジネス、大手量販店向け商品開発などを積極的に進めたいと考えている。

＜文・撮影／植松由紀子　MC／橋本小波　画像協力／グローバルキッチン＞