お茶づくりに適した静岡のおだやかな気候風土のなかで、茶摘みから加工まで一貫体制で高品質のお茶を作り上げ、国内外の高い評価を得ている佐々木製茶株式会社。編集長アッキーこと坂口明子も注目する、お茶の豊かさが伝わる品々について、代表取締役社長の佐々木余志彦氏にお話をうかがいました。
お茶の楽しさを体験&発見! ! 静岡・掛川産「深蒸し茶飲み比べセット」と「本格和紅茶」
2022/06/20
佐々木製茶株式会社 代表取締役社長の佐々木余志彦氏
―1921年に創業されて、昨年100周年を迎えられました。挑戦続きの100年だったそうですね。
佐々木 お茶は、茶畑で栽培された茶葉を、工場で加工することで商品になるのですが、創業者である祖父は、茶畑と加工の工場の両方を持ち、自園自製の形で製茶業を始めました。戦争が始まり人材や燃料が不足すると地元の人たちに声をかけ、集まった150人で共同工場を作りました。さらに作ったものを自分たちで売ろうと、終戦直後に販売会社として佐々木製茶を独立させ、その後共同工場も株式会社化しました。農業と製造の連携や農業関連の株式会社、製茶業と販売の一体化は当時画期的なことだったようです。
―佐々木社長もチャレンジ精神を受け継いでおられますね。
佐々木 実際に見て学んだことをもとに、常に新しいことに取り組んできました。ライバルである他県の産地を見に行った時は、大量生産ができる土地を見て、量では勝てないと気づき、それなら質で勝負しようと、以来高級茶に力を入れるようになりました。高品質を目指して良質茶研究部会を設けるなど、目標に向かってグループで進める仕組みを作ったり、製茶業を農業生産法人に変更し、茶園管理を補助する部署を作って、荒れた農地を再生したり、地域に役立つ取り組みも行っています。トレーサビリティという概念がなかった時代に、茶畑1,000か所に名札を付けて管理を始め、現在は持続可能な農場管理の基準であるJGAP認証を取得、さらにグローバルなアジアGAPも取得しています。
―品質の研究にも取り組まれた結果、30回以上の農林水産大臣賞をはじめ数々の受賞につながったのですね。
佐々木 30年ほど前に研究室を作り、この研究室もお茶の品質分析の先駆けになりました。もともと掛川は栽培の条件や茶葉を揉む技術に優れた土地で、やぶきた品種が掛川の土質に合っていたというのもありますし、茶園周辺で刈った草を茶畑に堆肥として投入する茶草場(ちゃぐさば)農法によってもお茶の味がよくなるのです。除草剤を使わずに済み、近隣の生態系も守られるこの静岡の茶草場農法は、2013年に世界農業遺産にも認定されています。
現在計120ヘクタールの茶畑を管理。茶葉の栽培から加工まで連携して生産を行う。
―そんな味わい深いお茶を飲み比べられるセットは、お茶の魅力が詰まっています。
佐々木 一般に、お茶は茶葉の摘み取り時期の順に並べて販売されていますが、茶葉の成長によって味が違うといっても、初めての方は選びにくいし、楽しめないですよね。ふだんはペットボトルのお茶しか飲まないとか、急須を持っていないとか、そういう方が多い時代に、緑茶初心者の方も楽しめる、体験と発見がある商品ができないだろうかということで、人気の煎茶を集めたティーバッグセットを作ったんです。
5種の味わいが楽しめる、煎茶ティーバッグ 深蒸し茶5種 飲み比べセット。
―5種それぞれの特徴は?
佐々木 玉露の「うららか」は、希少品種のお茶を1ヶ月近く覆いをかぶせて栽培したもので、若葉の香りが残るお茶です。さえみどりブレンドの「かがやき」は、女性の人気投票1位のお茶。さわやかな旨味があります。柔ら芽一番茶の「雫穂」(しずほ)は、一番茶の新芽だけを使った特別な深蒸し茶で、ワインでいうフルボディ。強火焙煎の「ぶんぶく」は、旨味の多い品種を選んで強く焙煎し、コクと香ばしさを出したお茶です。ワインセラー熟成茶「碧音」(あおね)は、ぶどう産地信州にある有名ワインセラーでじっくり熟成させたお茶で、味に丸みがあります。
―食べ物との相性はいかがですか。
佐々木 食事中なら、あっさりした味わいの「かがやき」や「雫穂」がおすすめですね。甘みの強いお菓子と合わせるなら「ぶんぶく」。甘くてまろやかなものなら「うららか」がいいと思います。
女性に人気の「かがやき」はさわやかな風味。
ワインセラーで寝かせた「碧音」は旨味たっぷり。
―紅茶も作っておられるんですね。
佐々木 花粉症に効果があるといわれる「べにふうき」に着目し栽培をしていたところ、紅茶品種であることがわかりました。せっかく紅茶品種なのだから勉強していいお茶を作ろうと思い、作り方を学びに出かけたスリランカで出会ったのが、紅茶作りの第一人者アナンダさんでした。私たちはスリランカのニュービタナカンデ茶園の元工場長であるアナンダさんに直接指導を受けることができ、和紅茶「しあわせかほり」が出来上がったんです。
日本の品種ならではの旨味のある掛川紅茶
「しあわせかほり(SHIAWASE KAORI)」
スリランカ有数の茶師、アナンダ・フェルナンドさんが来日し、製造を指導。
―香りも味もやさしく、飲みやすいですね。
佐々木 べにふうきの香りに癒されると言われることが多いですね。タンニン値も高くなく、甘みがあってお砂糖無しで飲めます。
―名前もパッケージもすてきですし、ギフトにしたくなりますね。
佐々木 「アナンダ」という名は「幸せ」を意味すると聞き、すぐにこの名前が浮かびました。赤い缶は、和と洋の中間のようなイメージです。
掛川抹茶とホワイトチョコを組み合わせたオリジナルのラングドシャ「濃い茶みるく」と和紅茶は相性ぴったり。
掛川の名所や行事を紹介する「濃い茶みるく」のパッケージもかわいく印象的。
―今後の展望を教えてください。
佐々木 個人でスタートし、一緒にお茶で生きていこうという人が集まってできた会社ですから、その原点をこれからも忘れないようにしたいですね。原点は茶畑にありますから茶畑を大事にして、お客様の笑顔と満足、茶業や地域への貢献、次世代の消費者を作ることを目指していきます。若い世代には本物の味と文化を伝えることが大事ですし、何が喜ばれるか試行錯誤しながら、お茶業界を盛り上げていきたいと思います。
―お茶をもっと知って楽しみたくなりました。本日はありがとうございました。
「茶の庭 一煎茶ティーバッグ 深蒸し茶5種 飲み比べセット」
▶価格 ¥1,020(税込)
▶店名 茶の庭
▶電話 0537-28-7077 / 通信販売:0120-188-020
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL https://www.chanoniwa-online.com/c/all-item/gift-present/shizuoka-green-tea-5650
▶オンラインショップ https://www.chanoniwa-online.com
「和紅茶とお菓子のギフトセット」
▶価格 ¥1,880(税込)
▶店名 茶の庭
▶電話 0537-28-7077 / 通信販売:0120-188-020
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL https://www.chanoniwa-online.com/c/all-item/gift-present/tea-gift-8316
▶オンラインショップ https://www.chanoniwa-online.com
<Guest’s profile>
佐々木余志彦氏(佐々木製茶株式会社 代表取締役社長)
1958年静岡県生まれ。1983年に入社し、製造部と営業部を経て1993年に掛川中央茶業の代表取締役に就任。2003年から佐々木製茶株式会社の代表を兼務し、茶園から食卓までの一貫したサプライチェーンを築き上げてきた。2020年には、生産と販売が一体となった企業活動が評価され、天皇杯の受賞に繋がった。地域茶業の活性化や生産者の所得向上に注力したほか、静岡県の茶商組合の理事長としても茶業を牽引している。
<文・撮影/大喜多明子 MC/津田菜波 画像協力/佐々木製茶>