名古屋で話題の冷凍きしめん専門店、星が丘製麺所。きしめんが、うどんやそばに比べて知名度も評価も低い現状打破を目指してオープンした店です。あえて、機械打ち、冷凍の方法を取りながら、高いクオリティをキープした冷凍きしめんは、じわじわ人気上昇中。愛知県の郷土料理であるきしめんが、全国で市民権を得る日が来るのも近いかもしれません。

2021年5月、名古屋市の商業施設に、町名を冠してオープンした星が丘製麺所。実は、名古屋市内で人気を誇る手打ちうどん店の店主2人が仕掛け人です。自ら手打ちのうどんやきしめんを提供する中で、愛知におけるきしめんのイメージが「新幹線のホームでかっこむもの」でしかないことを残念に感じていたといいます。しかし実際問題、うどんに比べて作業効率が悪く、扱いも難しい。さぬきうどんのように、食べる側も提供する側も気軽なものにするには、数々のハードルがありました。

そんな折に訪れた自粛の日々。自店を休業し時間ができたタイミングで、最新の冷凍技術を体感します。ひと昔前とは大きく様変わりをしており、解凍時の再現性の高さに驚いたそう。きしめん普及への可能性を感じた2人が目指したのは、特別な技術を必要としない、出店のハードルが低いきしめんづくりでした。
そのため、職人ありきの手打ち麺ではなく、機械打ちに切り替えることに。手打ちの技術や知識をベースに機械打ちの良さを取り入れながら、丁寧に作業することで、クオリティの高いきしめんを完成させました。薄くて幅の広いきしめんは、ゆでたり調理したりという作業にも技術を要するため、最適な状態にゆで上げた麺を、最新の冷凍技術で冷凍するところがゴールとなったのです。

真空冷凍で届くきしめんを、家庭ではたっぷりの湯で3分ほど丁寧にゆでほぐすだけ。

合わせるつゆは、ムロアジなどの混合節と昆布のだしに、愛知県産の白醤油とみりんを合わせたもので、化学調味料や保存料など余計なものは一切不使用。だしの風味が強くすっきりしながらも奥行きがあり、関西でも好まれそうな味わいです。一般的に名古屋で出てくるきしめんに近い赤つゆ、豆味噌を使った味噌つゆもありますが、実店舗では、白つゆにすだちをトッピングした「太門」が1番人気とか。つゆもできたてを冷凍してあるので、解凍すれば薄めたりすることもなく手軽です。

流水解凍した冷つゆにすだちとネギを乗せてさっぱり。

つゆをレンジで温め、青菜やカツオ節をトッピングする王道の食べ方もおいしい。

麺は、名古屋で一般的に目にするものよりかなり幅広で薄いのが特徴です。きしめんの個性を極限まで際立たせながら、食べづらくはないというギリギリの線を攻めた結果だそう。薄さに反して、小麦の味やコシがしっかり感じられる出来栄えです。小麦粉は、麺にしたときの風味、食感、色味に優れた愛知県産「きぬあかり」100％。副材料は水と塩のみという潔さです。

ヒラヒラと心地よく口に収まる幅広の麺。

「きしめんを麺界のアイドルに仕立てよう！」という思いで走ってきた2人は、ロゴやパッケージのデザインにもこだわり、うどん店でメニューの端に並びがちなきしめんの存在感をぐっと強めています。そんな思いは20～30代の若者の心をとらえ、東海地域の飲食業界からの引き合いも増えているそう。

こだわりのロゴを配した雑貨なども店頭では販売している。

2022年6月には2店舗目をオープン。自店の発展だけでなく、チェーン展開や冷凍きしめんの卸売などあらゆる可能性を試しながら、きしめんの普及に取り組む予定です。「ただただ、おいしいきしめんを日常に。」きしめんのポテンシャルを信じる2人の自信作、試してみてはいかがでしょうか。

「きしめんと白つゆ 4食セット」
価格：¥2,000（税込）
店名：星が丘製麺所 Online Store
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品ページ：https://hoshigaokaseimenjo.stores.jp/items/61ac60033475ed44ceb487a8
オンラインショップ：https://hoshigaokaseimenjo.stores.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜取材・文・撮影／植松由紀子＞