海苔の隠れた名産地として知られる愛知県。三河湾と伊勢湾沿岸で養殖される海苔は冬に旬を迎え、栄養豊富で旨みの濃い味わいとなります。明治後期に創業し、産地問屋として海苔の目利きを誇る愛知県西尾市の海苔問屋。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社兼安 代表取締役の加藤安徳氏に、取材陣が伺いました。
熟練の職人が選ぶ愛知の海苔を丹念に仕上げた、歯ごたえと香りが抜群の「焼のり全形 むらさき」「卓上味のり きらっこ」
2022/07/12
株式会社兼安 代表取締役の加藤安徳氏
―明治後期の創業以来、海苔販売一筋とのことですね。
加藤 海苔問屋には、産地問屋と消費地問屋があって、うちは産地問屋です。愛知県三河地方、西尾市吉良町で長年商いをしています。弊社のシンボルは吉良三人衆。忠臣蔵で赤穂浪士により仇討ちをされる吉良上野介義央公、『人生劇場』を代表作とする小説家の尾﨑士郎、清水次郎長の兄弟分として活躍した吉良の仁吉という吉良ゆかりの3人をキャラクターにしたものです。
三州吉良にゆかりのある歴史上の人物をキャラクターに。
―三河地方では海苔養殖が盛んなのですか?
加藤 愛知県全体で行われています。愛知の海苔は全体的に香りと味、そして歯切れがよいのが特徴ですが、その中でも良し悪しはあります。弊社は産地問屋なので、養殖の現場を見ながら海苔を選ぶことができます。海の状態や養殖の様子を確かめるのとそうでないのとでは、やっぱり見方が変わるんですよね。産地問屋ならではの目利きで選んだ海苔だけを販売しています。
―海苔問屋さんとして最も大切にされていることは何ですか?
加藤 海苔問屋は、板海苔や乾海苔(ほしのり)と呼ばれる、乾燥させた海苔を入札方式で仕入れ、加工をして販売するのが仕事です。もちろん、焼きや味付けなどの加工方法も重要ですが、それを上回るのが仕入れの目利き。こればかりは理屈で学べるものではなく、とにかく多くの海苔を見て感覚を身に付けるしかありません。兼安にはおかげさまで熟練の職人がいて、本当に質の良いものだけを選んでいます。それを冷蔵在庫し、必要な時期に火入れや味付けなどの加工をします。
深い色で艶があり、香り高い兼安の焼きのり。
―焼きのりは磯の風味が良く、ほどよくパリッとしながら噛み応えもありますね。
加藤 おかげさまで、贈答用に購入いただき、贈られた方が注文くださったり、ふるさと納税返礼品に選ばれたりと、いろいろなところで評価いただけてありがたいですね。海苔というとおにぎりや寿司などご飯と合わせる印象が強いかもしれませんが、トーストに乗せたりスパゲティにかけたりなど、幅広く使えるんですよ。
ごはんはもちろん、パンやパスタなど洋食材との相性も◎。
―味のりは、白いご飯にもお酒にも合う甘辛味。止まらないおいしさですね。
加藤 たれを塗って焼いてあるのでパリッとして、味もついていて使い勝手が良いと思います。そのままでも、白いご飯を巻いても、おつまみにアレンジしても楽しんでいただけるのではないでしょうか。
王道の食べ方以外はもちろん、チーズとキムチを挟んで日本酒のアテにしたり。
―海苔の最もおいしい食べ方を教えてください。
加藤 焼きたての海苔のおいしさは格別です。板海苔(乾海苔)をご家庭で焼くのが1番おいしいと思います。オーブントースターでも手軽にできますよ。最近は、丁寧な暮らしが改めて見直されていますよね。手間暇かけて本当においしい海苔を味わう時間も良いのではないでしょうか。和食だけでなく、洋食や中華などにもどんどん取り入れていただきたいですね。
―日本の伝統食である海苔は、現代の食生活にも馴染むのですね。
加藤 古き良きものの新しい食べ方を提案するのも我々の役目だと感じています。例えばアイスクリームのチョコミント、私は個人的に好みではありませんが、多くのファンがいる。同じように、自分の感覚だけでなく広く多くの人の好みや意見を取り入れながら、海苔を使った新しい商品や食べ方を提案していきたいと思っています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「焼のり全形 むらさき」(10枚入×10袋/化粧箱入)
価格:¥3,672(税込)
店名:兼安e-shop
商品URL:http://kaneyasu.cart.fc2.com/ca1/3/p-r-s/
オンラインショップ:http://kaneyasu.cart.fc2.com/
「卓上味のり きらっこ」(8本入/箱入)
価格:¥3,564(税込)
店名:兼安e-shop
商品URL:http://kaneyasu.cart.fc2.com/ca2/6/p-r-s/
オンラインショップ:http://kaneyasu.cart.fc2.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
加藤安徳氏(株式会社兼安 代表取締役)
1971年生まれ。東北大学卒業後、株式会社東食に入社し、海外勤務を経て2002年に株式会社兼安に入社。2021年に同社代表取締役に就任。明治後期創業の老舗の暖簾を守る5代目。「味にこだわり、香りにこだわり、歯切れにこだわる」をモットーに、海と食卓の架け橋になるべく日々研鑽を重ねている。
<文・撮影/植松由紀子 MC/橋本小波 画像協力/兼安>