今回、編集長のアッキーが注目したのは、岐阜で栗を使った和菓子・洋菓子を製造販売する株式会社恵那川上屋。「超特選恵那栗」のブランド化にも成功しています。代表取締役の鎌田真悟氏に商品のおいしさの秘密について取材スタッフが伺いました。
岐阜・恵那の新感覚の栗菓子 みずみずしい夏の栗きんとん「栗観世」 香ばしい「栗サブレ‐山ノ栞‐」 お菓子のように甘い「おかしなトマト」
2022/07/26
株式会社恵那川上屋 代表取締役の鎌田真悟氏
―創業の経緯を教えてください。
鎌田 中津川の和菓子店で父は工場長をしていましたが、そこから独立して、恵那川上屋ができたんです。でも恵那には洋菓子店がなく、父が名古屋の先生を招聘して、教えてもらいながら洋菓子も販売するようになりました。私自身も和菓子店と洋菓子店の両方で修行しました。和栗のモンブランは今ではよくあるお菓子ですが、おそらく日本で最初に作ったのは私です。
―そうだったんですね!和菓子、洋菓子だけでなく、超特選恵那栗の生産もされています。
鎌田 百貨店などに出店して、栗のお菓子を大量に作ろうと思うと、地元の栗だけでは間に合わず、味が落ちてしまいます。でもうちは、地元の栗だけを使い、栗のおいしさを味わってもらいたいと考えました。そこで地元の栗農家と連携し、栗部会を立ち上げて、基礎から勉強しなおしたんです。するとどんどん品質が向上し、超特選恵那栗と名付けて、生産やブランド化に成功しました。2014年には6次産業化優秀賞、優秀事例として農水省の食料産業局長を受賞しました。
―超特選恵那栗はどういった特徴があるのでしょうか。
鎌田 厳しい栽培・出荷条件をクリアした農家の栗を、通常の倍の価格で買い取っているのが超特選恵那栗です。でんぷん質が糖に変わると、香りと色が変わるので、お菓子にする栗は、糖に変わる前に加工しなければなりません。そのためには収穫してすぐに加工する必要があるので、地元じゃないと難しいんです。地元に加工所があれば生産者が朝から栗を拾って、遅くとも次の日の朝6時ぐらいから加工を始めることができます。地域の自慢を作って、農家に自信を持ってもらうことで、地域だけでなく、東京のお客様も増えました。
「泡沫(うたかた)生地」で、栗きんとんを優しく包み、水辺に憩う蛍の姿を映した夏の栗きんとん「栗観世」。
―今回ご紹介する「栗観世」はどのようなところがおすすめでしょうか。
鎌田 夏はのどごしのいいものが求められるので、つるんと飲み込められるようなお菓子にしようと開発したのが「栗観世」です。秋の栗きんとんよりも柔らかく栗を炊き上げて、泡沫生地という独自製法の生地で包んでいます。簡単に言うと水まんじゅうの生地にメレンゲ気泡をたっぷり含ませたものが泡沫生地で、和菓子のマシュマロのようなイメージです。
生地を練る水は岐阜県の特産品である
「麦飯石(ばくはんせき)」に一晩ひたし、まろやかな口当たり。
―「栗サブレ-山ノ栞-」はどういった経緯で作られたのでしょうか。
鎌田 山の木陰で本を読んでる人が、栞の代わりに葉っぱを本に挿して移動すると、葉っぱは別の場所に運ばれていきます。そんな、栞が旅をする物語をイメージして、20年以上前に葉っぱの形のサブレを作りました。今後はいろいろなエリアでシリーズ化したいと考えています。たとえば、ほうれん草の粉を使った飛騨高山高原サブレ、高級食材を使った世田谷サブレといった具合に、ストーリーを作りながら「旅する山ノ栞」というブランドを立ち上げていこうと考えています。もともと地元で愛されるロングセラー商品ですが、粉にした栗の鬼皮を生地に加え、栗の風味をより引き立たせるサブレとしてリニューアルしました。
バターと卵黄を贅沢に使用し、渋皮入りの栗の漉し粉を加え、香ばしく焼き上げた栗サブレ。
プレーン、ココア、紅茶、黒糖の4種類の味が楽しめます。
―「おかしなトマト」は、どのように生まれたでしょうか。
鎌田 この地域は栗が名物で、秋はすごく賑わうのですが、他の季節は少し寂しい。栗の生産者も9月、10月の収穫が終わると手があくので、冬から春にかけて生産できる農作物を考えていました。そこで思いついたのがトマトです。お菓子のように甘いトマトを作ればおもしろいし、話題にもなる。なにより、栗の生産者が1年間安定して農業をできる環境を作ることが重要でした。
―おすすめの食べ方はありますか。
鎌田 そのままでも甘いのですが、甘いものと合わせたほうがおいしいです。たとえばみりんをちょっと蒸発させて、その中に剥いたトマトを入れて漬け込むとマスカットのような味わいになります。砂糖を振りかけて食べてもおいしいです。
お菓子のように甘いという「おかしなトマト」。
野菜を使ったスイーツに使うのもおすすめです。
―今後の展望について教えてください。
鎌田 トマトをスーパーで売ったらトマト売り場に置かれてしまうので、競争相手がたくさんいます。でも、自社で売ったら競争相手がいないので、売りやすくなります。だから農業もやりながら甘い野菜を売れるお菓子屋が全国でできるといいなと思っています。また、私にとって100年、200年経っても地元に栗が残ることが大事なので、和栗JAPANっという会社を立ち上げたいです。日本の栗文化を世界に発信し、産地をブランド化していく仕組みを作っていきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました!
「栗観世」 5入
価格:¥1,250(税込)
店名:恵那川上屋
電話:0120-26-9610(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.enakawakamiya.co.jp/item/0002315
オンラインショップ:https://www.enakawakamiya.co.jp/
「栗サブレ-山ノ栞-」 32枚入 プレーン・ココア・紅茶・黒糖 各8枚
価格:¥4,800(税込)
店名:恵那川上屋
電話:0120-26-9610(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.enakawakamiya.co.jp/item/2100245
オンラインショップ:https://www.enakawakamiya.co.jp/
「おかしなトマト」 1㎏ ※季節限定商品
価格:¥3,500(税込)
店名:恵那川上屋
電話:0120-26-9610(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
鎌田真悟氏(株式会社恵那川上屋 代表取締役)
1963年岐阜県中津川市生まれ。高校卒業後、東京での洋菓子修行、地元での和菓子修行を経て、株式会社恵那川上屋の前身である有限会社ブルボン川上屋に入社。1998年に代表取締役に就任した。恵那栗の生産・ブランディングに取り組みながら6次産業化にも注力し、2014年には6次産業化優秀事例として農水省食料産業局長賞を受賞。近年はお菓子のように甘いトマトの生産・販売も行う。近著に『栗が風を運んだ〜菓子店と農家が創る地域ブランディング〜』がある。
<取材/垣内栄 MC/根井理紗子 撮影協力/恵那川上屋>