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宮城県石巻市の水野水産の「石巻おでん種セット」は地元産練り製品とサバだしが極上の味わい。

2022/08/03

食事やお弁当作りで「あともう1品欲しい」とき、練り製品があれば重宝しますね。夏でもおでんを食べれば冷え対策になり、最近はキャンプでおでんを作るのも人気とか。おいしい練り製品を探していた編集長アッキーこと坂口明子が発見したのが宮城県石巻市の水野水産の商品。その味の秘密は?取材スタッフが専務取締役の水野武仁氏にうかがいました。

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水野水産株式会社 専務取締役の水野武仁氏

―御社のある石巻市はちくわやかまぼこなどの練り製品で有名ですね。

水野 宮城県の金華山沖は黒潮と親潮がぶつかる極上の漁場として有名です。中でも石巻は明治時代から焼きちくわなどの練り製品の生産が始められ、戦後の高度成長期には石巻港に水揚げされたスケトウダラをすり身にしてさつま揚げや笹かまぼこなどが盛んに作られ「練りもののまち」と呼ばれていました。当社は昭和の始めに私の祖父が魚の行商を経て創業し、当初は大手メーカーの下請けとして練り製品を製造していましたがその後、自社でも商品を開発し、関東一円のスーパーマーケットなどで販売していました。私は1996年に実家である当社に入社し、2008年に専務取締役に就任。その3年後に東日本大震災が起きました。

―大変な被害でした。

水野 石巻は地震と津波で大きな被害を受け、当社の事務所と工場は全壊しました。復興に向け社員一丸となって作業に取りかかりましたが苦労しましたね。しかしそんな中、全国からたくさんのボランティアの方が来て再開に向けて力を貸してくださって2年後の2013年に工場が再開しました。大変ありがたかったです。

―震災後に変化はありましたか。

水野 再開するまでに時間がかかる間にかなりの取引先を失いました。それ以前から私は従来の低価格、大量生産の事業に限界を感じていました。そこで震災後、ビジネスの形を見直したいと考え、さまざまな方法を模索する中で出会ったのが水産ビジネスに詳しいマーケティングの研究者、石原慎士教授(現、宮城学院女子大学)です。教授から「石巻の地域資産を活用した製品を開発してはどうか」という提言をいただき、その考えに共感しました。それからは地域の材料を使ってほんとうにおいしい商品を作って販売しようと決めました。

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「石巻おでん種セット」。焼き竹輪、いさだ天、こんぶ天、にんにく入りさつま揚げ、
鯖天、サバだしおでんつゆのセット(写真の大根、ゆで卵は演出品)。

―その地元へのこだわりの中で生まれたのが「石巻おでん」ですね。

水野 震災後、地域活性化のために地域が連携し、産学が協同して「石巻フードツーリズム研究会」が発足し、その中で明治以来続いてきた石巻の練り製品の味や生産技術を継続していこうと開発したのが「石巻おでん」です。「地のものを地のだしで煮込む」というコンセプトの下、地域の多様な事業者が協同してプロジェクトを進めました。宮城学院女子大学の学生さんたちも試作や市場調査などで開発に参加しています。

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水野水産の練り製品。主原料のすり身から野菜類にいたるまですべて国内産の素材を使用している。

―どんな点にこだわったのでしょう。

水野 当社の製品は魚から野菜まですべて材料は石巻産のもの、石巻になければ宮城県産、それでもないなら東北産、それで探せなくても必ず国産のものを選んでいます。歯応えがあり魚のうま味が詰まっています。保存料などの添加物は使用しないという方針も定めているので安心・安全です。「石巻おでん」は金華サバのだしを使っているのも特徴で、サバのうま味がおでん種と合い、あっさりしながらも奥行きの深い味わいになっています。2021年9月には「ご当地おでん」の1つとしてテレビの人気番組で紹介され、大きな反響がありました。

―水野さんはどんなときに食べていますか?

水野 おでんは冬に食べるものというイメージがありますが、夏でもエアコンが効いた部屋で食べるとおいしいという“夏おでん派”の方もいるようです。私はアウトドアが好きなので、キャンプに行ったときに「石巻おでん」を作っていますよ。練り物は下ごしらえが不要なので鍋にだしとおでん種を入れて温めるだけで簡単にできるのでおすすめしたいですね。

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水野水産の「鯖天」。スケトウダラのすり身に金華サバの中落ち、中骨が入っている。

―ぜひ試してみます。「おでんセット」の中にも入っている御社の「鯖天」が特においしかったです。

水野 主原料は国産のスケトウダラのすり身ですが、ここに金華サバの加工後に残る中落ちと中骨を加熱・加圧して柔らかくしたものを落とし身として入れています。スケトウダラと金華サバが一体になり独特の味わいになっています。またカルシウムもたっぷりで体にもいいですよ。それまで活用されていなかった素材を生かすという点では最近、話題になっているSDGs(2015年国連本部のサミットで採択された「持続可能な開発」のための目標)の考え方にも合致していると思います。

―おいしく食べる方法は?

水野 私はよくフライパンで少し焦げ目がつくまでカラ焼きして食べています。これからの季節は冷やし中華の具材にしてもおいしいと思います。もちろん、当社の「おでんセット」の中にも入っているのでおでんの具材にしてもおいしくいただけますよ。

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「鯖天焼き」。フライパンに油を敷かずに鯖天をのせ焦げ目がつくぐらいまで加熱する。
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さつま揚げなど練り製品は冷やし中華の具材にしてもおいしくいただける。

―今後の御社の方向性をお聞かせください。

水野 大手にはない、その地方にしかない製品を開発できるメーカーとして事業を展開していきたいと考えています。ビジネスを守りながら地域の同業・異業種と連携していきたいですね。今後は市場のグローバル化に伴い、海外のメーカーも競合相手になるでしょう。当社の製品は国内産原料を使用しているためどうしても割高になりますが、価格よりも素材の味を生かしたほんとうにおいしいもの、安心・安全なものを求めているお客様にお楽しみいただけたらうれしいです。

―本日はありがとうございました。

水野水産_2015_商品

「石巻おでんと笹かまぼこセット」(石巻おでん2袋、伝承牡丹焼鯖ちくわ2袋、国産の魚100%でつくった笹蒲鉾1パック、同(チーズ味)1パック、宮城・石巻発秋刀魚天1パック、同鯖天1パック)
価格:¥1,800(税込・送料別
店名:水野水産株式会社
電話:0225-96-3255
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://mizunosuisan-shop.raku-uru.jp/item-detail/1053259
オンラインショップ:https://mizunosuisan-shop.raku-uru.jp/

<Guest’s profile>
水野武仁氏(水野水産株式会社 専務取締役)

1970年宮城県石巻市生まれ。仙台市のスーパーマーケットで勤務した後、1996年に水野水産株式会社入社。2008年専務取締役に就任。社業の傍ら「石巻フードツーリズム研究会」の「石巻おでん部会」の活動に注力し、石巻から地域の食文化を発信している。

<文・撮影/今津朋子 MC/石井みなみ 画像協力/水野水産>

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