碧翆園_4607_top

宇治の銘茶をもっと身近に、誰でもおいしく いただける! 「大極(だいぎょく)」 「鳳凰」「松印 花やなぎ」

2022/08/04

静岡茶、狭山茶と並んで日本三大茶と称される宇治茶。今回、編集長アッキーが気になったのは、宇治の茶商として150年の歴史を持つ「碧翆園」です。日本茶をもっと身近に、おいしくいただくコツを教えていただこうと、代表取締役社長・堀井久輝氏に取材陣がお話をうかがいました。

碧翆園_社長_1
株式会社碧翆園代表取締役社長 堀井久輝氏

碧翆園の創業は慶應3年。西暦で1867年ということは、150年の歴史があるのですね。堀井社長は何代目でいらっしゃるのですか?

堀井 8代目です。平成26年、23歳で代表取締役に就任しました。

なんと、お若いときに! 子どもの頃から後を継ぐおつもりだったのでしょうか。

堀井 いえ、幼いころは全く考えていませんでした。ただ、関東の大学への進学を検討している時、地元の大学に通うことを望んでいた両親が「最終的に継いでくれるなら」と言って上京させてくれたので、やがて継ぐことになるとは思ってはいました。しかし想定していたよりはかなり早く継ぐことになってしまいました。というのも、就職してまもなく先代である父親が健康を害しまして、急きょ実家に戻ることになり、そのまま後を継ぐことになったのです。社会人としての経験もなかったですし、お茶のこともほとんど知らない状態でした。父は仕事を家に持ち込まないタイプの人間でしたから、私は父が具体的にどのような仕事をしているのか、わかっていませんでした。

碧翆園さんは、町で見かけるお茶屋さんとは違うのでしょうか。

堀井 弊社は茶業界でいうところの製茶問屋です。問屋というと、商品を仕入れ、それをそのまま小売店などに卸すというイメージが強いかもしれませんが、われわれ製茶問屋というのは半分、メーカーのようなものです。仕事の流れを申し上げますと、JAの入札販売会に出向き、茶葉の特性や品質を見極めて投札、落札して仕入れ、それを各問屋の基準で火入れ、合組(ごうぐみ=ブレンド)を行い、おいしいお茶に仕上げるのが仕事です。茶葉の見極めにしても入札にしても、経験のない私は何を基準にしたらよいのかわからない。ましてや合組なんて、いきなりできるはずがありません。まずは、入社後すぐに入団した城陽茶業青年団で茶審査技術などを一から学び、さらに親戚筋の茶問屋に通って合組について学びました。ただ、学んだだけではダメで、やはり経験がものを言います。父も、私を後継者にするなら10年、15年とかけて教え、いろいろと経験させようと考えていてくれたようです。しかし、その前に亡くなってしまった。従業員にも助けられながら技術を身に付けて、ようやく自分で、すべての茶の仕入れから合組まで行えるようになったのは、ここ2〜3年のことです。

碧翆園審査風景_2
茶審査の様子。色、香り、味を鑑定します。

堀井社長が目指す「碧翆園のお茶」とは、どういうお茶なのでしょう。

堀井 抹茶、玉露、煎茶といったお茶の種類にもよりますが、抹茶で言えば、「濃い緑色で、しっかりとしたコクと旨味」のあるお茶を目指しています。弊社のある城陽市を流れる木津川沿いで栽培されるお茶は、色も味も濃く、どっしりとした味わいなんですね。弊社では創業以来、その特徴を活かしたお茶づくりを心がけています。抹茶の原料は、覆いをされて育った茶葉を乾燥させた「てん茶」。てん茶を茶臼で微粉末状に挽いたものが、抹茶です。てん茶は、すぐに挽くよりも、しばらく寝かせてから挽いたほうがまろやかで口当たりのよい味わいになるんですね。そのため、弊社ではてん茶を一定期間熟成させてから加工しています。

今回、ご紹介させていただく「大極(だいぎょく)」には、どのような特徴があるのですか?

堀井 抹茶というと、どうしてもハードルが高いイメージを持たれがちですが、昨今、点て方の動画なども沢山あるので、茶筅さえあれば茶道を習っていない方でもご自宅で気軽に味わっていただけるのではないでしょうか。茶碗も、最初は口の広いマグカップなどで代用していただいてもいいのではないかと思います。「大極」は旨味と苦味のバランスがよく取れていて、初めて抹茶を飲まれる方にお勧めしたい抹茶です。こだわりとしては、一般的な機械摘みのてん茶だけではなく希少な手摘みのてん茶もブレンドしていることです。また、丁寧に石臼挽きをしていることもこだわりの1つです。石臼挽きの抹茶は、口当たりがなめらかで香りが立ちます。ところが効率が悪く、石臼1台あたり1時間で40g程度しか挽けません。ですから、大量生産の場合は粉砕機挽きがほとんど。ただ、そのぶん価格を抑えられるという利点もあります。弊社では、初心者の方にこそおいしい抹茶に出会っていただきたいとの思いから、手に取っていただきやすい価格でありながら原料茶葉と石臼挽きにこだわった「大極」をご提案しています。

碧翆園石臼画像_3
石臼で、ていねいにゆっくり挽いてこそ生まれる、
抹茶のよい香りとまろやかな味わい。
碧翆園_4487_4
お点前用抹茶「大極」。濃厚な味わいが特徴です。
碧翆園_4618_5
初心者向けに、「ダマができにくいカジュアルな薄茶の点て方」を教えていただきました。
約2gの抹茶に対して約10mlの水を加えて茶筅で混ぜてペースト状にし、
その後、80℃のお湯を50ml程度入れ、茶筅で泡立つように混ぜる。ぜひ、お試しを!

お茶と言えば「玉露」の2文字が頭に浮かぶのですが、高価なイメージで、抹茶と同様、ちょっとハードルが高いような気がします。

堀井 玉露というのは製法上の分類で、お茶の新芽が出る頃に樹に覆いをかけて直射日光を当てないことで、旨味成分であるテアニンが苦味成分であるカテキンに変化することを抑えます。手間がかかるので、どうしても高価になってしまうのですが、旨味が多く渋みが抑えられ、こっくりした甘みがあります。そのおいしさをぜひ、味わっていただきたい。こちらも、入門編としてはお求めやすい「鳳凰」をお勧めしています。

碧翆園_6
玉露「鳳凰」。保存しやすいチャック付きの袋を使用。
玉露は、茶葉のやわらかな芽を、蒸した後に揉みながら乾燥させて作ります。
碧翆園_4619_7
玉露の最大の特徴である「旨味、甘み」を味わうには、60℃程度のお湯で淹れることが肝心。
熱湯で淹れるとカテキンやタンニンなど渋味や苦味が抽出されてしまうからです。
堀井社長のお勧めは、渋味・苦味が少なく、玉露の旨味をしっかり味わえる「水出し」。
茶葉20gに対して1Lの冷水を注いで2〜3時間置けばOKです。フィルターインボトルが便利!

玉露に比べ、ぐっと親近感が湧くのが玄米茶。なんでも、碧翆園さんは玄米茶の発祥だそうですね。

堀井 玄米茶の発祥については諸説あるようで、その一説として、弊社が発祥であるということがいくつかの書籍に書かれています。実際に、大正12(1923)年に玄米茶元祖「花やなぎ」として商標登録しています。玄米茶は、茶葉と煎った米を配合したもので、玄米の香ばしい香りとさっぱりした味わい。日常的に、ごくごく飲んでいただけるお茶です。弊社の玄米茶「松印 花やなぎ」は、「花」とあるように、爆ぜて花のようになった米が混ざっているのが特徴です。

碧翆園_8
玄米茶「松印  花やなぎ」
碧翆園_9
お米が爆(は)ぜて、白い花のようになっているから「花」やなぎ。

では、今後の展開についてお聞かせください。

堀井 弊社の歴史を振り返ると、一説とはいえ玄米茶の発祥と言われていたり、大正時代には通信販売を始めていたり、ドメインがujicha.co.jpだったりと、常に新しいことに挑戦し続けてきました。私も、その姿勢を忘れずに進んでまいりたいと思っています。試みの1つとして2020年に「UJICHA STYLES」という新しいサービスを立ち上げました。現在、お茶の楽しみ方が多様化していて、さまざまな業種の方が日本茶を使った商品を開発されています。弊社ではこれまでもお客様からご相談を受け、積極的にサポートをさせていただいてきたのですが、今後はより一層、商品開発に特化したサービスにも力を入れていきたいと思っています。また、興味があるのは「シングルオリジン」のお茶です。我々製茶問屋にとって合組はとても大切な工程です。合組することによって品質が安定し、大量生産も可能になります。そして、合組こそわれわれ茶問屋の腕の見せどころでもあるのですが、現在、コーヒーのシングルオリジンやワインのシングルヴィンヤードのように、単一の畑で単一の生産者によって作られた嗜好品を楽しむ流れがありますね。日本茶の世界にも浸透しつつありますが、お客様が「この畑のこの人が生産した茶葉のお茶」を選べるようにする。需要としては大きくはないと思いますが、もし、そうした「とがったお茶」を求めている方がいらっしゃるなら、小さな会社ならではの身軽さで、そのニーズにお応えできるのではないか。そう考えています。

シングルオリジンのお茶、とても興味があります。日本茶の世界がどんどん広がっていくような気がします。素敵なお話をありがとうございました。

※碧翆園の最新情報はインスタグラム(https://www.instagram.com/hekisuien/) でチェックを。

碧翆園_商品1

「大極」(30g)
価格:¥1,404(税込)
店名:碧翆園
インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ujicha.shop/items/5dca6d13e3900717ae69d4e9
オンラインショップ: https://ujicha.shop

碧翆園_商品2

「鳳凰」(100g)
価格:¥1,080(税込)
店名:碧翆園
インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ujicha.shop/items/5dca71bfb9de650d487682d1
オンラインショップ: https://ujicha.shop

碧翆園_商品3

「松印 花やなぎ」(200g)
価格:¥540(税込)
店名:碧翆園
インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ujicha.shop/items/5dcb702c6379445995f9cb75
オンラインショップ: https://ujicha.shop

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
堀井久輝氏(株式会社碧翆園 代表取締役社長)

1990年、京都府城陽市生まれ。2013年に慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJ銀行を経て同年12月に碧翆園入社。翌2014年4月に同社代表取締役社長に就任。入社以来、茶の審査技術を磨き、現在ではすべての茶の仕入れ・合組(ブレンド)を自ら行っている。また、カフェなどへの抹茶メニューの提案に力を入れている。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/根井理紗子 画像協力/碧翆園>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter