パリパリ、ポリポリ、心地よい食感とやさしく上品な甘さ。京都・祇園に本店を構える京煎堂のお煎餅は、ギフトとしてもおうちのおやつとしても定番にしたくなる1品です。アッキーこと坂口明子編集長は、その味わいはもちろん、京都のお店を訪ねるようにお買い物が楽しめるVRサイトにも注目。株式会社京煎堂の取締役、松久剛氏に、商品づくりや新たな試みについて伺いました。
お豆たっぷりの「まめあわせ」や抹茶香る「うす焼き煎餅」。京都旅気分のVRショッピングも楽しい!
2022/08/08
―本店は抹茶パフェでも有名ですが、1階の売場ではお煎餅の「まめあわせ」がよく売れているそうですね。
松久 そらまめ、えんどう、黒大豆、落花生と4種ある「まめあわせ」は、1番人気の商品です。お煎餅ですが、生地よりも豆がメイン。これ以上豆を増やすと割れやすくなるというところまで、豆をたっぷり入れています。ちょっと塩気のある「えんどう」であれば、1枚にえんどう豆が30~40粒。ほとんどの種類で生地よりも豆の重量のほうが多いんです。素材感をお届けしたくて、量はもちろん、材料の質にもこだわっています。噛む間に豆それぞれの香ばしい香りがあふれてきて、それが生地と調和しています。
―豆によってお煎餅の生地は違うのですか?
松久 豆の種類ごとに生地の配合は異なりますね。基本は小麦粉、砂糖、卵ですが、水分が水であったり牛乳であったり、生地は同じようですべて違います。クッキーに近いとも言われますが、クッキーのようにバターは入れていません。
豆好きにはたまらない、豆たっぷりの「まめあわせ」。ほどよい塩気と甘みも魅力。
「まめあわせ」は、えんどう、黒大豆、落花生、そらまめの4種。
―「茶の葉煎餅」も素材感が豊か。薄焼きのパリパリした食感も魅力です。抹茶パフェのトッピングにも使われていますね。
松久 これも当店を代表する商品です。生地には、宇治の抹茶を100%、かなり良い質のものを大量に使用しています。色や風味は焼くと飛んでしまうものですが、焼き上がってからも感じられるように、たっぷり入れて、表面には玉露の粉を振っています。SNSでは抹茶好きの方々からもたくさんの「いいね!」をいただいています。
宇治抹茶100%の生地。サクサク噛む間もお茶の風味がお口に広がる。
―もちもちっとした食感のお煎餅もありますね。
松久 「菜宝楽(さいほうらく)」という商品で、小倉つぶ餡やゆず餡、栗餡などが入ったものがあります。中のあんこの水分を生地が吸って、おまんじゅうのような状態になるように作っています。しっとりとした、お煎餅の生菓子ですね。人参や三つ葉、青じそを生地に飾り、中にはあんこが入っているので、ギフトにも向くとご好評をいただいています。
しっとりとした食感が珍しい。お煎餅の生菓子「菜宝楽」。京都らしい木の芽の葉がアクセント。
―詰合せギフトの「花兆抄庵(かちょうしょうあん)」はどんなセットですか。
松久 まめあわせとうす焼き煎餅、菜宝楽を詰合せたもので、それぞれ数種ずつ入っています。基本商品のセットですので、長くご支持を頂戴しています。
季節のご挨拶や内祝、手土産などに用いられる「花兆抄庵」。
―創業されてどのくらいですか?
松久 90年ほどです。もとは伏見稲荷大社の参道で販売されている名物のみそ煎餅を製造していたのですが、工場を作り移転した頃に現在のお煎餅に専念するようになりました。
―近年は新しい商品も考案されています。パッケージもおしゃれですね。
松久 若い方にもなじみやすいものをということで、ココナッツを使った洋風焼き菓子の「京ここ。」、アーモンドクラッシュを使った「ある都。」、二つ合わせて「京都」となる姉妹商品を作りました。アーモンドやココナッツもですが、アーモンドに合わせる塩も吟味して細かな沖縄の塩を選ぶなど、やはり材料にはこだわっていますし、箱もぱっと見て気に入っていただけることを意識してデザインしました。従来の商品のデザインも少しずつ変えていくつもりですが、見た目だけではなくて、つくりたてのおいしさをよりフレッシュなまま、長くおいしく召し上がっていただけるようにするなど、品質をよりよくする技術開発も大切にしていきたいですね。
洋素材のココナッツをふんだんに使いつつ、バターを入れずに京煎餅の生地で焼き上げた「京ここ。」。
ここ京から、の思いも込められている。
アーモンドクラッシュを使った「ある都。」。
和洋の間のような上品な甘みと香ばしさ。猫のいるパッケージもかわいい。
―新装されたウェブサイトでは、京都や本店に行った気分になれるヴァーチャル体験がとても楽しいです。
松久 祇園にあるお店の雰囲気を体験していただけたらと思います。360度見ていただきながら、店頭の商品の説明のほか、煎餅を割る音を聞いて、食感を想像していただくこともできます。欲しい商品はそのままクリックで購入できますし、のしのプレビューがあるなど細かなところも工夫しています。もちろんレスポンシブなので、スマホでも快適にご覧いただけます。ぜひ、お気軽にバーチャルでウインドウショッピングをお楽しみいただいて、京都に行こうと思っていただけたらうれしいですね。
―コロナ禍での挑戦や今後の展望についてお聞かせください。
松久 従来の販路での売り上げの減少を補うために、一昨年から生活に密着したスーパーなどの店舗にもに新規出品をしてきました。またお菓子のお取り寄せでは、送料を気にされる方も多いので、日本郵政のクリックポスト(¥198)で商品が送れる、通販専用のパッケージを2020年に開発。それを活用した「京のおやつ便り」シリーズを発売。中でも「京の“おためし”おやつ便り」が好評です。厳しい時代でも、着実に足元を固め、今作れるものをしっかり作り、しっかりお届けする。そしてより多くの方々に知っていただけるよう、SNSでの情報発信も続けたいと思います。
お店を訪れたように楽しめる京煎堂のウェブサイト
―サイトや商品で京都を感じられますね。貴重なお話をありがとうございました。
「京の町家ぼっくす 京ここ。ある都。セット」(2箱16枚入)
価格:¥1,728(税込)
店名:京煎堂
電話:075-541-1141
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kyosen.do/products/detail/76
オンラインショップ:https://kyosen.do
オンラインショップ(VR体験):https://kyosen.do/vr/
「花兆抄庵」(生菓子・焼菓子詰め合わせギフト)
価格:¥1,306(税込)~
店名:京煎堂
電話:075-541-1141
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kyosen.do/products/list?category_id=76
オンラインショップ:https://kyosen.do
オンラインショップ(VR体験):https://kyosen.do/vr/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
松久剛氏(株式会社京煎堂 取締役)
1967年京都府生まれ。精密機器製造メーカーに入社し32年間ソフトウェア開発に従事。2019年より平日の業務は続けつつ、週末はカジテツとして株式会社京煎堂の経営に参画。2021年前職を退職、同社の取締役の業務に専念。会社運営やプロモーションの近代化に注力しつつ、「おいしいは正義」を信条に、より魅力ある製品作りを模索中。
<文・撮影/大喜多明子 MC/和田英利 画像協力/京煎堂>