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熟成酒の真骨頂。球磨焼酎の代名詞との呼び声も高い「35度 特吟六調子」 ブレンドの妙味を楽しむ樽熟成の熟成酒「大古酒とろしかや 38度」

2022/08/09

地名を冠することを世界的に認められている数少ない焼酎のひとつ、球磨焼酎(くましょうちゅう)。熊本県球磨地域で30近い蔵元がある中、常圧蒸留と長期熟成を極め、ブレンドの面白さを見出した会社があります。「焼酎のステータスを上げたい」その一心で、唯一無二の味わいを追及する日々。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった六調子酒造株式会社 代表の池辺道人氏に、取材陣が伺いました。

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六調子酒造株式会社 代表の池辺道人氏

―常圧蒸留・長期熟成酒に特化するようになられた経緯を教えてください。

池辺 1923年、祖父が「池辺酒造」として創業しました。もともと熊本県は、南部は米焼酎、北部は日本酒の文化でした。それが1970年代に第一次焼酎ブームが訪れ、北部でも焼酎が飲まれるようになりました。その火付け役ともいわれたのが、うちの米焼酎「六調子」で、後に社名となります。
同じころ、減圧蒸留という新しい蒸留法が普及し、実は、球磨で最初にその機械を導入したのはうちでした。減圧蒸留酒は瞬く間に広がり、うちの蔵人は絶賛したものの、先代である父は難色を示し、実用に至りませんでした。
その一方で父は、樽による貯蔵酒に注目をしていたようです。実は、貯蔵熟成酒には、減圧蒸留酒より常圧蒸留酒の方が向きます。酒類小売業免許の規制が緩和され、全国チェーンのドラッグストアやスーパーが増えたことで、地元の酒店が激減し、うちのような小さな蔵元の酒を置いてもらえなくなったことも手伝って、得意分野に特化することを決めたのです。

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創業から約100年の六調子酒造。

―常圧蒸留と減圧蒸留の違いを教えていただけますか?

池辺 球磨焼酎は、水と米と米麹を発酵させて作った醸造酒を単式蒸留(1回ずつ蒸留)したもの。蒸留とは、もろみを加熱気化し、沸点の違いを利用して成分を分離することを指します。
常圧下では、アルコールは80℃弱、水は100℃が沸点なので、80℃くらいで蒸発した気体を液化させるとアルコール濃度が高くなるという仕組みです。低気圧下では沸点も下がる関係を利用したのが減圧蒸留。40~50℃を沸点とするので、常圧では80~100℃で気化する成分が、減圧下では分離されてこない。したがって、減圧蒸留では雑味が少なくすっきりとした味わいになります。
常圧蒸留したばかりの焼酎は、いろいろな雑味がして正直おいしくないのですが、長期熟成する間に成分変化が起きて、驚くほど味に深みが出てまろやかな香りを生むのです。

―「35度 特吟六調子」は何年くらい寝かせたものですか?

池辺 うちの看板商品ですね。11年、ホーロータンクで寝かせています。11年という長い時間入れておくと、ステンレスや甕では、容器表面の成分と良くない反応を起こすことがあります。その点ホーローは表面がガラス質でコーティングされているのでその心配がない。純粋に焼酎の成分が経年変化することによる甘みやコク、深みのある香りを堪能できます。温度管理がしやすく、安定的に長期熟成させられるメリットもあります。

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ホーロータンクで11年熟成。
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味と香りとコクが調和し味わい深い。
ロックやストレートで。

―「大古酒とろしかや」の貯蔵方法は?

池辺 こちらは樽貯蔵です。樽自体の香りや成分が焼酎に抽出されることで、複雑で独特の風味が生まれます。うっすら琥珀色をしているのは樽の色素ですね。樽の場合、蒸発の具合でアルコール度数が変わったり、樽にカビが生えたりなど、温度や湿度の管理が非常に重要です。

―どのように管理されているのでしょうか?

池辺 熟成蒸留酒といえば世界的に有名なのがウイスキーやブランデーですよね。ですから私は、スコッチウイスキーの本場・スコットランドをはじめとする国内外の酒蔵を訪れて、樽の積み方、数、最適な温度や湿度などを研究しました。樽を平積みにしたり、空調設備を導入して温度や湿度を徹底管理したりして、スコットランドの高地に似た条件を作り出しています。コストはかかるし効率も悪いですが、それでないと良い酒はできません。

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断熱加工を施した樽貯蔵室で
温度と湿度の管理を徹底。

―熟成に関して天下無双でいらっしゃいますね。

池辺 それほどでもありませんが、地道に研究してきましたので、それなりの正解にたどり着いたと思います。そうなると今度は、ブレンドに興味がわきました。数種類の焼酎をブレンドすることで神秘的な変化が起き、想像を超える香りや味わいが生まれる、とてもクリエイティブな作業です。
「大古酒とろしかや」もブレンド酒。30年から10年物の米焼酎、10年以上熟成させた麦焼酎をブレンドしています。通常、原料の違うものをブレンドすることはまずないのですが、失敗を繰り返しながら完成しました。米の甘みやふっくらとした香りに、麦の香ばしさが合わさり、複雑で豊かな味わいになったと思います。

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ワイングラスで香りを堪能。
空気を含ませるたびに異なる香りが押し寄せる。

―「大古酒とろしかや 38度」は年間2,000本の限定商品ですね。

池辺 第一次焼酎ブームの終わり頃、私は東京で会社勤めをしていたのですが、コンビニで自社製品が目に留まり買って飲んだところ、それはそれはまずくて驚きました。退社して六調子酒造に入るとき、目が行き届く範囲で身の丈を超えない量を作り、質を落とさないようにしようと固く誓いました。

―国際コンクールで3年連続最高評価「三ツ星」受賞と専門機関から高評価です。

池辺 受賞はもちろん嬉しいですが、焼酎を飲んでもらうきっかけになればという想いです。私は、世界における焼酎のステータスをもっと引き上げたいのです。特に球磨焼酎や貯蔵熟成酒は、コニャックやスコッチウイスキーを凌ぐ酒だと信じています。貯蔵熟成技術とブレンドの妙をもってして、焼酎の価値向上を目指していくつもりです。

―貯蔵熟成酒の楽しみ方を教えてください。

池辺 スコッチウイスキーやブランデーのように、香りを楽しみながら単体で味わうことができる反面、食中酒としても楽しめるのが、熟成焼酎の最大の特長です。原料の米麹が食材とマッチするんでしょうね。刺身は日本酒と合うと思いますが、寿司となると圧倒的に熟成焼酎が合いますよ。すし飯の甘さをすっきりさせてくれます。

ワインや日本酒のように食事と一緒に味わうもよし、油っこいものや味の濃い料理の後で口の中をすっきりさせるもよし、醸造酒と蒸留酒の良さを併せ持つのが貯蔵熟成酒。みなさん大いに楽しんでください。

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寿司には貯蔵熟成酒。
中華料理や洋食にも合う。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

35度 特吟六調子_商品1

「35度 特吟六調子」(Alc:35度/容量:720ml)
価格:¥2,750(税込)
店名:六調子酒造 オンラインストア
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://rokuchoshi.official.ec/items/37590931
オンラインショップ:https://rokuchoshi.official.ec/

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「大古酒とろしかや」(Alc:38度/容量:720ml)
価格:¥5,500(税込)
店名:六調子酒造 オンラインストア
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://rokuchoshi.official.ec/items/37595850
オンラインショップ:https://rokuchoshi.official.ec/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
池辺道人氏(六調子酒造株式会社 代表)

1958年6月20日熊本県球磨郡生まれ。独協大学 外国語学部 仏語学科卒業。1981年に東京の出版社 株式会社交通タイムス社入社、1987年家業を継ぐため六調子酒造に入社、1994社長に就任し、現在に至る。趣味は李朝古陶磁、フランス文学、オートバイ等。過去に経験したスポーツは柔道(3段)、冬山登山、ロッククライミング。座右の銘は「死にたる者にその死にたる者を葬らせよ」。

<文・撮影/植松由紀子 MC/石井みなみ 画像協力/六調子酒造>

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