チューハイ、ハイボール、レモンサワー……時代ごとに変わりゆくお酒のブームをよそに、誕生以来、変わらぬ人気を博すサワー。関東近郊の居酒屋でしか飲めなかった味が、実は家庭でも楽しめるのをご存じですか？今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社コダマ飲料 代表取締役社長の池澤友博氏に、取材陣が伺いました。

株式会社コダマ飲料 代表取締役社長の池澤友博氏

―創業から現在までの沿革をお聞かせください。

池澤　1958年、東京・蒲田で、父がラムネ飲料の製造を始めました。社名は、同じ年に開通した東海道線の特急こだま号から付けたようです。その後本社を現在の大森に移転し、炭酸水の製造も始めました。ほどなくして、取引先である飲料メーカーから、急激に炭酸水の注文が多く入るようになったのです。聞いてみると「ホイス」なる割材と焼酎、炭酸水を混ぜた「ホイスサワー」が、居酒屋や大衆食堂で大変な人気とか。その後、焼酎を割るための炭酸飲料が一般発売され爆発的にヒットしたのを機に、わが社もお酒の割材の開発に乗り出し、徐々にそちらが主軸となっていきました。

―その流れの中で「バイスサワー」が誕生したのですね。

池澤　最初は他社さん同様、「コダマサワーレモン」を発売しました。その後、いろいろなフレーバーに挑戦してみようということで、青リンゴやウメなど展開。商品化できなかったものもたくさんありますよ、トマトやらアロエやら。そんな中、シソ風味が味も色も他にない点もよさそうだぞ、と。シソだけではあっさりしすぎていたので、リンゴ果汁を加えるなど調整をして、1984年に完成しました。

目を引く鮮やかなピンク色とさわやかなシソ風味が人気。

―「バイス」のネーミングはどのように？

池澤　バイス誕生のきっかけとなった「ホイス」にヒントをもらいました。ホイスは薬草やスパイスが香る、言葉で言い表すのが難しい独特の味わいなんですよ。

―誕生から約40年、人気のほどは？

池澤　宣伝もせず、業務用として飲食店に卸すのみでしたが、独特の色や味わいを好んでくださるお客様に支えられてきました。その後は2012年に雑誌で取り上げられたのを機にバイスサワーブームのようなものが起きたり、ハイボールブームの傍ら「バイスハイボール」が飲まれたり、昭和レトロが注目され古くて新しい飲み物として改めて認知されたりと、安定的に飲まれています。

大衆居酒屋や下町で人気のコダマバイスサワー。

―関東近郊以外ではお店でも取り扱いが少ないような印象です。

池澤　リターナブルボトルで自社回収しているので、どうしてもトラックで回れる範囲となってしまうのです。一般家庭でも欲しいという声を受けて、ワンウェイボトルに入れて販売を始めました。炭酸水を別に混ぜるタイプの原液も配送可能です。

340ml入りと飲みきりサイズの家庭用。
ラベルには飲み方説明も。

―おすすめの飲み方を教えてください。

池澤　王道は、ラベルにも書いてある通り焼酎とバイスサワーを1:2で混ぜる飲み方。焼酎はできるだけクセや味のない甲類が良いと思います。バイスサワーは炭酸が強いのでよく冷やしておくといいですね。夏は焼酎を凍らせて冷えたバイスを注ぐとシャリシャリキンキンを楽しめますし、冬は原液でお湯割りにする方法も。
合わせる料理は、油っこいものがおすすめ。ホルモン焼きや焼き鳥などの脂をバイスサワーがさわやかに流してくれます。

東京の下町にあるホルモン店から広がったともいわれるバイスサワー。
唐揚げや串揚げなども合う。

―コダマ飲料とバイスサワーの今後の展望は？

池澤　バイスサワーは、これまで1度も製法や材料を変えたことがありません。実はシソエキスの材料調達や抽出が非常に難しく、効率も悪いのですが、核となる大切な部分なので今後も変えるつもりはありません。その一方で、炭酸や割材を軸とした新しい商品開発にはどんどん挑戦していきます。私は困難な課題を与えられると燃えるタイプ（笑）。これまでもOEMで難しい形状のボトル詰めや他所で断られたという製品の商品化も成功させてきました。時代に即した挑戦を、スピードを大切に取り組んでいきたいと思っています。

―素晴らしいお話をありがとうございました！

「コダマバイスサワー」（340ml×15本入り）
価格：¥2,550（税込）
店名：コダマ飲料オンラインストア
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.kodamainryo.jp/collections/all/products/kodama-baisu-sour-340ml
オンラインショップ：https://www.kodamainryo.jp/collections/all

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
池澤友博氏（株式会社コダマ飲料 代表取締役社長）

1956年大田区蒲田3丁目に生まれる。1978年コダマ飲料に入社、2005年代表取締役社長に就任。組合活動に注力。東京都清涼飲料協同組合 専務理事、全国ミキサードリンク協会　副会長等を務める。

＜取材・文・撮影／植松由紀子　MC／石井みなみ　画像協力／コダマ飲料＞