和洋中華エスニックと日本の食卓は多彩ですが、焼き魚にご飯という和食は心安らげるお膳ですね。和食にこだわるアッキーこと坂口明子編集長は今回、函館港からやってきた天然の紅鮭に注目。昔ながらの製法に新しい工程を加えて熟成させた紅鮭のおいしさの秘密をヤマダイグループ・株式会社山大の代表取締役、小林大作氏に取材スタッフがうかがいました。
天然の紅鮭を塩と糀に漬け長時間熟成させた函館山大の「紅鮭の切り身」。うま味たっぷりの極上の塩鮭です。
2022/08/22
ヤマダイグループ・株式会社山大 代表取締役の小林大作氏
―紅鮭はどんな鮭ですか?
小林 鮭にはさまざまな種類があります。現在、流通している鮭は養殖された鮭が多いのですが、紅鮭、秋鮭は天然の鮭です。天然の鮭には身の締まりがあり、うま味が凝縮されているのが特徴です。今回、ご紹介する当社の「紅鮭切り身」はカムチャッカ半島付近で6~8月に獲れた脂のりのいい大型のものを厳選して使用しています。
「紅鮭」の名は身が鮮やかな紅色になることに由来する。
鮭の赤色には抗酸化作用がある酵素・
アスタキサンチンが含まれ、アンチエイジング効果があり、
紫外線対策としても有用と言われている。
―山漬けという方法で製造しているとうかがいましたが。
小林 かつて冷凍技術がなかった時代には遠洋で獲れた鮭の品質を保つために船の上で塩漬けにされました。今は冷凍技術が発達しているためわざわざ塩漬けはしないのですが、当社では熟成された鮭のうま味を味わっていただきたいと山漬けを復活させました。
山漬けされた紅鮭。
ウロコと逆方向に塩と麹を擦りこみ、
互い違いに山のように積み、
ムシロでくるんで鮭のうま味を引き出す。
―どのようにするのでしょう?
小林 まず紅鮭に塩を刷り込んでいきます。その鮭を並べて積み上げます。山のように積み上げることから山漬けという名前がつきました。塩は日本海に面した熊石産の海洋深層水を釜で煮出した粗塩を中心に、鮭の味をより引き出すために国内産、オーストラリア産の塩をブレンドして使っています。山漬けは本来、塩だけを擦りこむのですが、当社はこのときに麹を入れて発酵させています。麹を入れたら味がまろやかになるのでは?と思ってやってみたらやはりおいしくなったのでよかったです(笑)。これをムシロ(藁を編んだもの)で10日以上包みます。藁には好塩酵母菌という塩を好む酵母菌がついていて、これが鮭の臭み成分を分解します。昔の人は自然に今でいうバイオテクノロジーを知っていたのですね。
―手間も時間もかかるのですね。
小林 まだこの後時間がかかりますよ(笑)。山漬けした鮭の塩を落として吊るし、0℃で約1~2か月、氷温熟成させます。この間に鮭のたんぱく質がアミノ酸に分解され、うま味が増します。
―なぜ、手間も時間もかかる方法で商品開発しようとなさったのでしょう。
小林 函館港は北洋漁業の基地として栄えました。当社は1963年に祖父が魚市場の作業会社として創業し、父が事業を多角化して運輸から水産加工を経営するヤマダイグループになりました。その中の1社の水産加工会社として1996年に創業したのが山大です。私は2004年に入社したのですが、事業を続ける中で、蓄積したノウハウを生かし、消費者の皆さんに自信を持って提供できる、ポリシーのあるオリジナルブランドを作ろうと思いました。手間や時間がかかって多少価格が高くなっても、ほんとうにおいしいものを食べていただこうと思ったのです。そこで山漬け、長時間熟成の紅鮭を開発しました。
―開発にはどれぐらいの期間がかかりましたか?
小林 2014年から約2年間ですね。実は最初販売したところ、塩辛いという声があったので改良を加えるなどしました。試行錯誤して今が1番いい状態ではないかと自信を持っています。
―うま味と風味がすばらしいですね。社長のおすすめの食べ方はありますか?
小林 それはもう、いろいろアレンジせずに、鮭を焼いて、白いご飯とみそ汁に副菜を添えるという、昔ながらの素朴な和の献立で食べていただくのが1番だと思います。私自身、少しゆっくりと起きた休日の朝、家族と焼き鮭とご飯という食卓を囲むひとときに幸せを感じています。
日本の家庭の和食膳の代表として
焼き鮭は欠かせない存在。
ガス台の魚焼きコンロや魚焼きグリル、
フライパンにクッキングホイルを敷いて焼くなど
焼き方は自由に。
―酒の肴としてもぴったりでは?純米吟醸酒が合いそうです。
小林 そうですね。風味とコクがあるので日本酒にも合います。あとおにぎりの具にしてもおいしいですよ。私は岩海苔を巻いて食べるのが好きなんですよ(笑)。
コクと風味豊かな山大の「紅鮭の切り身」は
酒の肴にしても。
―それもおいしそうですね。御社の今後の展望をお聞かせください。
小林 高級レストランで高価なフルコースを楽しむのもいいと思いますが、普段の食事でちょっと品質のよいものを食べる贅沢に価値があると思っています。毎日の食事がおいしくて満足する、おいしい食べもので楽しむ……私たちは多くの方においしいものを食べて幸せを感じる時間を過ごしていただきたいと思って今後も日々、努力していきます。
―有意義なお話をありがとうございました。
「紅鮭切り身」
価格:1切入¥702(税込)
店名:函館 山大
電話:0120-55-4183
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.hakodate-yamadai.com/shop/item_list?category_id=491482
オンラインショップ:http://www.hakodate-yamadai.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
小林大作(ヤマダイグループ・株式会社山大 代表取締役)
1977年函館市生まれ。2004年ヤマダイグループ入社。2022年4月同社代表取締役に就任。
「夢を描き 未知を進み 喜びを創造する」をグループの経営理念に掲げ、食と物流を中心とした事業で地域貢献を目指している。
<文・撮影/今津朋子 画像協力/山大>