※ジャンボむしケーキ Wベリーは期間限定商品の為販売を終了しております。
愛され続けて40年。 ”よりおいしい蒸しパン”を目指して生まれた 木村屋總本店の「ジャンボむしケーキ」
2022/08/08
「酒種あんぱん」で全国にその名を知られる木村屋總本店。実は、「むしケーキ」の元祖でもあるということ、知っていますか? 木村屋總本店が世に送り出したのは「ジャンボむしケーキ」。昨年、誕生から40周年を迎えたというニュースを聞きつけ、「ロングセラーの秘密を知りたい!」という編集長アッキーに代わって取材陣が、木村屋總本店代表取締役社長・木村光伯氏にお話をうかがいました。
木村屋總本店 代表取締役社長の木村光伯氏
―今や「むしケーキ」の名がつくレシピや商品は数多く見受けられますが、はじまりは「ジャンボむしケーキ」だったのですね。なぜ、「あんぱんの木村屋總本店」がむしケーキを?
木村 「あんぱんの木村屋總本店」だから、と言えるかもしれません。あんぱんを発明した弊社のものづくりの精神が「むしケーキ」というジャンルを生み出したのだと、私は考えています。
―そうなのですね。では、まずはあんぱん誕生についてお聞かせください。
木村 弊社は明治2(1869)年に創業し、今年で153年目となります。初代木村安兵衛はもともと武士でしたが、江戸時代から明治時代への転換期に外国から伝わった「パン作り」に興味を持ちました。当時、日本では脚気という病気にかかる人が多かったそうですが、パンには脚気を予防するビタミンB1が含まれていることから、安兵衛はパンを健康食品として兵学校や病院に提供したらいいのではないか、と考えたのです。その時につくっていたのは、堅めのパンでした。それを一般の方たち向けにも販売していたのですが、文明開化によって西洋の文化が入ってきたとはいえ、日本の主食といえばやはりご飯。パンにはなじみがなかった上に、当時はイースト酵母がなくホップで作っていたため食感が固く、なかなか売れなかったようです。そこで、初代と2代目・英三郎が頭をひねり、日本人になじみのある酒まんじゅうにヒントを得て、酒種を使ったパンにあんこを入れた「酒種あんぱん」を生み出しました。創業から5年後、明治7(1874)年のことです。
初代・木村安兵衛と剣術を通じて知り合った
山岡鉄舟(幕末の幕臣、剣術家、明治期の官僚)の筆による「木村家」の看板。
木村屋總本店の看板商品、酒種あんぱん各種。
手前は明治天皇に献上する機会を得、天皇からおほめの言葉をいただいた「酒種桜」。
あんぱんのへそに八重桜の塩漬けが埋め込まれています。
―西洋の食文化と日本の食文化の融合ですね。
木村 はい。外国から入ってきたものと、日本の食文化に根付いているものを融合して、日本のみなさんに喜んでいただけるものを新たにつくり出すことを使命とするという、このときに生まれた弊社の信念は現在に至るまで変わっていません。その後、明治33(1900)年にジャムパン、昭和5(1930)年に酒種うぐいすが誕生しました。そして、昭和56(1981)年に、「むしケーキ」が生まれたのです。
誕生当初の「むしケーキ」。表面には源氏香「花散里」の焼印が。
―どの国の食文化との融合でしょう?
木村 中国です。昭和50(1975)年頃、中国から「馬拉糕(マーラーカオ)」が日本に入ってくるように。もともと日本の家庭でつくられていた蒸しパンと似ているので、この2つを融合させたらどうかという話になりました。問題は、マーラーカオの色のくすみと蒸しパンのパサつき感、さらに、どちらも老化が早くて口どけや風味が落ちること。これらを、弊社が長年培ってきた製パンと洋菓子づくりの技術で解決し、できあがったのが「むしケーキ」です。40周年を機に、「むしケーキ」の生みの親である小松誠助さんに商品開発にまつわる話をうかがったのですが、かなり試行錯誤を重ねたそうです。最終的には機械メーカーさんに協力していただいて専用の蒸機をつくってしまったほど、研究チーム一同、鬼気迫る表情で取り組んでいたと。
―その結果、「ジャンボむしケーキ」のふんわり、しっとり感が生まれたのですね。誕生した当初は、「ジャンボ」ではなかったそうですね。
木村 そうなんです。今よりひとまわり小さいサイズだったのですが、ふんわりしっとりとした食感を、家族のみなさんで体験していただきたい。おばあちゃんとお孫さんではんぶんこにして召し上がっていただけたら、という思いからジャンボになったのです。実際、むしケーキは小さなお子様からご高齢の方まで年代を問わずに召し上がっていただけているようです。「好き嫌いの多いわが子もむしケーキなら食べられる」「やわらかくてしっとりしている上に口どけがいいので、高齢の母も食べやすい」「自分が小さい頃から好きで食べていたので子どもにも、そして孫にも食べさせている」といったお声を頂戴すると、40年間、変わらずにつくり続けてきてよかったなあと、つくづく思います。
中国の馬拉糕と日本の蒸しパンの融合から生まれた「ジャンボむしケーキ プレーン」¥146(税込)。
卵をぜいたくに使用した濃厚な味わいです。
「日経POセレクション」で11年連続第1位!
※単品でのお取り寄せはできません。
―時代とともに、人々の味の嗜好も変わると言われます。「ジャンボむしケーキ」も40年の間に変化したことはありますか?
木村 プレーンについては味を変えていません。蒸す前に生地を樽に入れて寝かせるのですが、職人が1樽1樽チェックして、最適な状態を保てるようにコントロールしています。機械化できるところはしていますが、最終的にはやはり職人の感覚、経験に基づく勘が頼りになるんですね。そうした職人の”技”を絶やさないように、人材育成に力を入れています。その上で、みなさまにいつでも、いつまでも「ジャンボむしケーキ」を楽しんでいただけるよう、時代に合った新しい味、季節に合った味を生み出す努力をしています。
「ジャンボむしケーキ 夏のチョコ」¥146(税込)。
袋を開けるとチョコの甘い香り!冷やして食べれば、まるで高級デセールの味わい。
「ジャンボむしケーキ 瀬戸内レモン」¥146(税込)は、
酸味の奥に旨みが感じられる瀬戸内レモンのピューレ使用した、さわやかな味。
「ジャンボむしケーキ 宇治抹茶」¥146(税込)。
宇治抹茶の香りと旨み、渋みを生かした、大人の味。
―木村社長おすすめの、「ジャンボむしケーキ」の食べ方を教えてください。
木村 そのまま食べるのももちろん好きなのですが、とくに暑い季節は、前の晩に冷凍庫に入れ、朝にそれを出してひんやりした状態で食べるのが好きですね。凍らせてもカチコチにならず、ちょっとしたデザート感覚でいただけます。ほかには、プレーンをトースターで表面が濃いめのきつね色になるくらいまで焼いて、1〜2分冷ましてからいただくと、表面だけがパリッとして、中は、よりふんわりするんです。ホットケーキを食べているような気分になりますよ。ちょっとがんばったときなどには、ごほうびとしてバニラアイスを添えたりしています。
表面はパリッ、中はふわっ。
焼き色のついた部分がカラメルソースのような味わいで、
焼きプリンを食べているような気分に。
冷蔵庫でよく冷やした「ジャンボむしケーキ 夏のチョコ」に、
クロテッドクリームとラズベリージャムをトッピング。
甘すぎず、こっくりした味わいのチョコにラズベリーの酸味がぴったり。
―木村社長は7代目とうかがいました。経営者としてこだわっていること、大切にしていることは何でしょう?
木村 先代である父にはよく「うちはパン屋だ。その軸がぶれることのないように」と言われていました。父自身、毎日あんぱんの焼き具合を見て、パンの底が生焼けになっていないか、鉄板のこげがついていないかなど、ほんのちょっとしたことも見逃さないよう相当細かくチェックしていましたね。事業をどうする、マーケティングがどうだ、ということよりも、まずはパン1個をしっかり見る。その姿勢は、私も受け継いでいるつもりです。ですから、こだわっていることといえば、いかに職人を育てていけるか、でしょうか。おいしいパンは、職人の技があってこそ、ですから。昔は「背中を見て覚えろ」というのが職人の世界の常識だったかもしれませんが、いまはそういう時代ではありません。ただ、だからといってマニュアル化を進めすぎても、パンは生き物ですから、マニュアル通りにやればいつもおいしいパンができる、とは限らない。その日の気温や湿度によって微妙に変わる原料の状態、焼き具合などひとつひとつデータを取って分析しつつ、それらを実際に手で持って確かめながら、あんこを包んでいくんですね。ですから、デジタル化できるところはしながら人を育てていくという、両輪を回していきたいと考えています。
―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
木村 あんぱんを始めとする日本の菓子パンが、世界でも少しずつ市民権を得はじめています。日本でパン修行を積んだ人たちが、たとえばドバイやフランス、アメリカなどで活躍し、菓子パンを伝えてくれているおかげです。あんぱんの元祖としても、菓子パンを日本の文化としてもっともっと世界に発信していきたい。そのための課題は、まだまだたくさんあります。「発酵」が世界的に注目を集めていることもあり、海外の方たちにも「酒種あんぱん」を日常のものとして親しんでいただきたい。ただ、国や場所によって気候が違います。そうした中で、どうやって「酒種あんぱん」のおいしさを保てるか、日々、研究を重ねているところです。
―世界中の人たちが木村屋總本店の酒種あんぱんを、そしてジャンボむしケーキを食べられる日がくることを楽しみにしています。貴重なお話を、ありがとうございました!
「おやつセット」
※本記事で紹介した「ジャンボむしケーキ」が食べられるセット商品
(個包装あんぱん【桜・小倉・シャインマスカット・瀬戸内れもん】各種2個/ジャンボむしケーキプレーン×2/クリームメロン×2/クランベリーブレッド5枚×1)
※受注締切は8月26日(金)16時。
価格:¥2,992(税込)
店名:木村屋オンラインショップ
商品URL:https://kimuraya-net.jp/products/ksl000020
オンラインショップ:https://kimuraya-net.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
木村光伯氏(株式会社木村屋總本店 代表取締役社長)
1978年、東京都生まれ。学習院大学経営学部卒業後、家業である木村屋總本店に入社。学生時代から木村屋總本店のパン工場でアルバイトをし、入社後は製造現場、製造開発、百貨店内店舗での販売に従事。さらに日本とアメリカのパン学校でパン作りの基礎を学ぶ。2006年、28歳で株式会社木村屋總本店7代目社長に就任。
<文・撮影/鈴木裕子 MC/鯨井綾乃 画像協力/木村屋總本店>