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四国・高松のせんべいといえばコレ! バリッ、ボリッとした堅さがクセになる 宗家くつわ堂の「瓦せんべい」「瓦っ子」

2022/09/28

全国に瓦せんべいは数あれど、「形も堅さも瓦のイメージそのまま」の瓦せんべいは今どき珍しい存在です。今回編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、創業以来の製法を守り、あえて堅い瓦せんべいを作り続けている株式会社宗家くつわ堂。同社代表取締役社長の田村照夫氏に、製法や材料へのこだわり、そして地元高松の和菓子文化への思いをうかがいました。

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株式会社宗家くつわ堂7代目当主であり、代表取締役社長の田村照夫氏

せんべいをけて150年近くになるそうですね。

田村 香川県では江戸時代から「讃岐和三盆」という高級な砂糖を製造していて、幕府へ献上していました。初代当主・田村正一が、その砂糖を使ったお菓子はできないかと考えて生まれたのが、玉藻城(高松城)のそで瓦をかたどった「瓦せんべい」です。明治10年(1877年)、その「瓦せんべい」を看板商品として正一が「くつわ堂」を創業しました。以来、ずっと瓦せんべいを作り続けています。

せんべいは全国各地にありますが宗家くつわさんならではのこだわりや、製品特徴をおかせください。

田村 弊社の瓦せんべいは、和三盆の原料糖「白下糖」を使っています。上質な白下糖はさわやかな甘みと、口に入れるとさっと溶けるのが特徴で、成分的には、一般的な砂糖に比べるとビタミンやカリウム、カルシウムなどのミネラルが豊富。そのことが、弊社の瓦せんべいのまろやかな味わいにつながっているのだと思います。白下糖の原材料は、地元の在来品種である「竹糖(細きび)」です。弊社では創業以来、契約農家さんに栽培していただいた細きびから作られた白下糖を使用しています。それが、大きなこだわりと言っていいかもしれません。

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和三盆の原料糖、「白下糖」。
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田村家の家紋は薩摩藩と同じ「丸に十の字」でくつわ紋。
これが馬の轡(くつわ)に似ていることから屋号を「くつわ堂」とし、マークは家紋を変形させて四角形に。
包装紙には玉藻城の瓦があしらわれています。
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「瓦せんべい」は特々大、特大、中、小瓦、ミニ瓦とサイズが5種類。
こちらは「中」サイズで125mm✕98mm。
箱のふたに描かれているのは、もちろん玉藻城!

さとうきびというと、奄美沖縄というイメジがいのですが……。

田村 そうですよね。高松に細きびをもたらしたのも、薩摩藩奄美大島出身の関良介(せきのりょうすけ)という人です。和三盆が誕生する経緯には諸説あるのですが、おもな説としては、向山周慶(さきやましゅうけい)という医師が、病気で行き倒れになっていた関良介を助けて治療したのがきっかけだとされています。当時、高松藩5代藩主だった松平頼恭(まつだいらよりたか)の命で向山は砂糖作りの研究を進めていたのですが、なかなかうまくいかなかった。そんな時、助けた関が砂糖作りをしたことがあると知って、「砂糖づくりを教えてほしい」と頼んだそうです。命の恩人の頼みならと、関は藩外へ持ち出し禁止だったさとうきびを讃岐に持ち出して育て、和三盆を作った…ということのようです。

和三盆にそんなストがあったとは。ほかに、こだわっていらっしゃることはありますか?

田村 堅さ、でしょうか。香川県以外の瓦せんべいは、やわらかい生地を型に流し込んで焼き上げるもので弊社では、「くつわせんべい」と呼んで製造販売しています。弊社の「瓦せんべい」は、水分量の少ない生地を薄く伸ばし、型抜きをして1枚1枚、手で両面を焼いていきます。そして、艶出しのため表面に卵を塗って、再び焼く。焼きたては柔らかいですが、冷めるとすぐにバリッと堅くなります。

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材料(小麦粉、砂糖(白下糖)、卵、ごま)をこねて作った生地を薄く伸ばしていきます。
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薄く伸ばした生地を、瓦型に抜きます。
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鉄板に生地を並べ、両面を焼きます。
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艶出しのため表面に卵を塗り、再び焼いた後、「田 瓦せんべい」の焼印を押します。
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冷やし、固まったら余分な卵を削り、整形して仕上げます。

11手焼きをしているのですか! 

田村 その時々の温度や湿度などによって、材料の量や火加減、焼き時間などを調整する必要があります。調整せずに作ると、風味がまるで違ってしまうのです。弊社では熟練の職人が素材の量や鉄板の温度、焼き時間などを調整して、1枚1枚確かめながら、ていねいに焼き上げています。何度か機械化を試みたこともあるのですが、風味も食感もどうしても手焼きにはかなわないんです。ならば、創業以来の製法にこだわっていこうと。ただ最近は、瓦せんべいに限らず、やわらかい食感のものが好まれる傾向があるようですね。そこで弊社では、瓦せんべいの風味は従来のままにし、別に新しい商品を作ることにしたのです。

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「いかにも瓦せんべいという、この形と堅さがたまらない」「昔ながらの味で、うれしい」と、
現在でも「堅さ」に惹かれるファン多し。
噛めば噛むほど、まろやかな甘みが口いっぱいに広がります。
日本茶はもちろん、コーヒーや紅茶との相性も○。

それが、「」ですね。

田村 そうです。瓦せんべいよりもサクッとした軽い食感で、より食べやすいようにサイズも小さくし、表面に黒ごまを振って香ばしく仕上げています。瓦せんべいの生地を鉄板で焼くのではなく、オーブンで炙ることでサクサクした食感が生まれました。

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”瓦せんべい”のおともだち「瓦っ子」。
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堂々とした風情の「瓦せんべい(中)」と比べると、「瓦っ子」は可愛らしい感じ。
黒ごまの風味が効いています。
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田村社長いわく「ウイスキーに合います」。
たしかに、ほどよい甘さと黒ごまの香ばしさが、ウイスキーのさっぱりした味わいにマッチ。

宗家くつわさんでは、せんべい以外にも讃岐にちなんだ菓子っていらっしゃいますね。

田村 はい。瀬戸内海の藻塩を使った焼き大福や、玉藻城をかたどったもなか、小豆島の丸大豆醤油を使った焼き菓子のほか、小豆島産オリーブの葉と和三盆を使ったラスクなどがあります。また、松の餅、みるく山(みるくまんじゅう)、お城もなか、焼大福、大栗(栗饅頭)、どらやきの餡には「希少糖」を使っています。希少糖というのは香川大学で研究開発された糖類で、砂糖の7割程度の甘みがありながらカロリーがほぼゼロで、血糖値が上がりにくく内臓脂肪の蓄積を抑えることがわかっています。ということは、希少糖を使ったお菓子ならこれまで甘いものを制限されてきた方にも味わっていただける。菓子屋として、こんなにうれしいことはありません。

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玉藻城(高松城)の天守閣をかたどったもなかに、求肥と粒あんを添えた「玉藻のお城もなか」。
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小豆島産オリーブの葉と和三盆を使った、バター風味の「さぬきオリーブラスク」。

糖質注目まっている、まさにニズにえた商品ですね。せんべいという創業以来伝統りつつ、時代ったものをしていく。すばらしいですね! 最後に、今後のビジョンをおかせください。

田村 ビジョンと言えるかどうかわかりませんが……今年2月、バレンタインデーにSDGs宣言をしました。白下糖や希少糖を始め、地域産品を使用しながら香川の和菓子文化の発展に努めるのはもちろん、手土産用や自宅用の商品については簡易包装を実施して、廃棄物削減に取り組んでいます。また、女性社員の管理職登用を積極的に行なっており、現在はマネジャー以上の半数が女性です。まだまだ至らないところもありますが、持続可能な社会の実現はすなわち地元の和菓子文化を守り、発展させていくことにつながると信じ、日々精進しています。

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「瓦っ子」は、包装紙を使わず、箱そのものがかわいらしくデザインされたパッケージ。

貴重なお話をありがとうございました!

宗家くつわ堂_商品1

「瓦せんべい(中)」(8枚入)
価格:¥1,188(税込)※10月より
店名:宗家くつわ堂
電話:0120-11-9280(8:00~18:00)
定休日:なし、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kawarasenbei.jp/products/list?category_id=11
オンラインショップ:https://shop.kawarasenbei.jp

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「瓦っ子」(12枚入)
価格:¥799(税込)
店名:宗家くつわ堂
電話:0120-11-9280(8:00~18:00)
定休日:なし、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kawarasenbei.jp/products/list?category_id=14
オンラインショップ:https://shop.kawarasenbei.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
田村照夫(株式会社宗家くつわ堂 代表取締役社長)

1962年香川県生まれ。1985年、株式会社エヌジェーケー入社しコンピューターネットワーク販売に携わる。2004年、株式会社宗家くつわ堂入社。2009年に同社常務取締役総務部長に、2011年に代表取締役社長に就任、現在に至る。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/和田英利 画像協力/宗家くつわ堂>

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