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地元特産品を練り込んだ「パスタのようなうどん巡り」で兵庫県をグルメ散歩

2022/10/17

今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは「パスタのようなうどん巡り」。「パスタのようなうどん」って?「うどん巡り」って?しかも、もともとはパスタともうどんとも全く関わりのない製品を扱っている会社が作った商品と聞き、興味津々の編集長に代わって取材陣が、企画・販売元である株式会社高島商事 代表取締役社長の高島義典氏にお話をうかがいました。

株式会社高島商事 代表取締役社長の高島義典氏
株式会社高島商事 代表取締役社長の高島義典氏

―もともとは、うどんとは全く違う商品を扱う会社だとうかがいました。

高島 はい。1981年に私の父である高島豊が創業した、海産物や珍味、おつまみの直輸出入、卸売を行なっている会社です。おもにイカやタコ、アジなどの海産物をタイやベトナム、中国、韓国から輸入して業務を進めてきました。モットーは「正直に、誠実に」。というのも、取引先の国々での私たちの振る舞いや行動が、日本という国、日本人のイメージに直結するからです。たった4名の小さな会社ですが、仕事を通じて、諸外国と日本との架け橋になれるように、そのためには嘘をついたりいい加減なことをしてはいけない。そう、肝に銘じてやってきました。

―それがなぜ、うどんの販売を始められたのでしょう。

高島 おかげさまでお取引先とも20年以上、変わらずにおつきあいさせていただいていますし、日本のお客様にもかわいがっていただいています。それはやはり、海産物ひとすじに力を注いできたからと自負していますが、1つのことをずっと続けていると、どうしても考え方や発想が固定化してしまうんですね。それでは事業は広がらない。時代は流れ、消費者の方たちのニーズも変わってきますから柔軟な考え方、新しい発想が必要です。そこで先代は、時代の変化にいち早く応えるべく「全員経営参加」「能力主義」「女性の活用」を掲げ、社員全員で新商品の開発にあたってきました。そうした企業風土ですから、社内で「うどん」という話が出た際も、「おもしろそうだ。やってみよう」という話になったのです。

―はじまりは、「岩津ねぎうどん」とうかがいました。

高島 2年前、私が社長に就任したタイミングです。私としても何か新しいことに挑戦したいと考えていたところ、兵庫県朝来市出身の従業員から「地元の特産品である岩津ねぎを使った商品を企画したい」という声が上がりました。岩津ねぎは、群馬県の下仁田ねぎと福岡県の博多万能ねぎと並ぶ、日本三大ねぎの1つ。生産者が減って市場に出回らなくなったことによって「幻のねぎ」と言われ、現在は品種を守るために朝来市一帯でしか生産されていません。でも、岩津ねぎは白ねぎと青ねぎのよいところを合わせ持っていて、香りが高く、甘くてやわらかい。この岩津ねぎのおいしさを、多くの人に知ってもらいたいという従業員の思いから新しいプロジェクトが始まったのです。岩津ねぎは11月下旬~3月上旬までの限られた期間しか食べられません。このおいしさをいつでも楽しんでいただける方法はないかとアイデアを出し合ったところ、乾麺にしたらいいのではないかと。そんな折、岩津ねぎを粉末加工している会社さんとの出会いに恵まれました。聞けば、水分たっぷりの岩津ねぎを粉末にしておいしさを保つためには、生ねぎ1本からわずか3〜4gしか粉末ができないそうで、そんなコストのかかる粉末を使った乾麺を作っているところはないとのこと。「だったら、うちがやってみよう」と挑戦することにしたのです。

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いまや、兵庫県内でも知らない人が多いという
幻のねぎ、「岩津ねぎ」。
葉の内側のトロっととした部分が多く、甘みがあるのが特徴。
白根も青葉も余すところなく食べられます。
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岩津ねぎを乾燥させて作ったチップを練り込んだ
「岩津ねぎうどん」。
袋を開けると岩津ねぎのなんとも言えない、
甘い香りがします。麺つゆはもちろん、
「播州赤穂の塩」でいただくと甘みが引き立って美味。

―製麺会社さんとのおつきあいはあったのですか?

高島 いえいえ。父も私も海産物の乾物加工品にどっぷり浸かっていたので、それ以外のことについてはまったくの無知。ツテも何もありませんでした。ただ、兵庫県と言えば「揖保乃糸」というそうめんが有名で、製麺所もたくさんあります。その1つである、森口製粉製麺さんに直接アタックをして、「兵庫特産の岩津ねぎを全国の方々に味わっていただきたい」とう私どもの思いをお伝えしたところ、快く引き受けてくださったのです。繊細な岩津ねぎの味を最大限引き出せるよう、麺の太さなど、試作と話し合いを何度も重ねて、2020年に「岩津ねぎうどん」が誕生しました。

―何のツテもないところに直接アタックするなんて、すごいガッツですね。製麺会社さんも、そのガッツに心打たれたのでしょうね。

高島 従業員たちの強い思いが通じたのだと思います。私など、そもそも「うどん」という発想はなかったですし、ツテもコネもなくても自分たちで道を拓いていく従業員たちには、感心するばかりです。おかげさまで道の駅などの販売も好調で、県外の方々はもちろんのこと、兵庫県内の方々にも「岩津ねぎ、知らなかった。今度、食べてみよう!」と、弊社のうどんをきっかけに、あらためて岩津ねぎのおいしさに気づいていただくこともできました。

―そして、次なる挑戦が「パスタのようなうどん巡り UDON TOUR」。開発の経緯を教えてください。

高島 乾麺をシリーズ化しようと考えました。岩津ねぎを練り込んだ乾麺を販売しているのはおそらく弊社だけだと思いますが、乾麺自体は世の中にあふれています。何かもう1つ特徴をということで、だしつゆで食べるだけでなく、塩とオリーブオイルをかけたり、ソースをからめたりしてパスタのように食べられる麺はどうかという声が上がりました。そしてそこに、兵庫の特産品を練り込もうと。思えば、兵庫県は日本海と瀬戸内海、太平洋に面した全国でも珍しい県で、海の幸・山の幸ともに豊富。岩津ねぎうどんのほかにも、兵庫ならではの食材がいろいろあるはずだと情報を集め、展示会や品評会などにも足を運びました。そこで出会ったのが、「竹野のあかもく」「芦屋の米赤味噌」「上郡のモロヘイヤ」「明石の海苔」です。この4種に「朝来の岩津ねぎ」を加え、兵庫自慢の食材をみなさんに味わっていただき、兵庫県のことをもっともっと知っていただきたいという思いを込めて、今年2月1日、「パスタのようなうどん巡り」の発売をスタートしました。

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兵庫県自慢の特産品を麺に練り込んだ
「パスタのようなうどん巡り UDON TOUR」。
現在、麺は5種類あります。
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左から、「明石の海苔」「上郡のモロヘイヤ」
「朝来の岩津ねぎ」「竹野のあかもく」「芦屋の米赤味噌」。
それぞれ色が違うだけでなく、
香りや味もその特徴をしっかり味わえます。
それぞれ5分を目安に好みの固さにゆで、湯ぎりをしたら、
冷水で締めずにオリーブオイルを全体にからめるのが、
おいしくいただくポイント。
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それぞれ、麺つゆとオリーブオイルが添付されています。

―岩津ねぎうどん同様、商品化にはご苦労があったのでは?

高島 はい、今回も森口製粉製麺さんに食材を持ち込み、「これでいきたいんですけど、どうでしょうか」とご相談して(笑)。食材の配合率や、「パスタのようなうどん」にするために厚みや太さなど麺の形状をいろいろ変えて、試作を重ねました。

―県産品を使うことのほか、何かこだわりはありますか?

高島 これは岩津ねぎうどんもそうなのですが、まず、厳選した国産小麦100%の小麦粉を使用しています。そのほかには、たとえばモロヘイヤは農薬を使わずに1枚1枚手摘みしたもの、米赤味噌も兵庫県産の米、大豆、塩を使用し、じっくり熟成させたものというように、健康に配慮したものを使わせていただいています。

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「パスタのような」なので、パスタソースで。
おすすめの1つ、「芦屋の米赤味噌」をカルボナーラで。
米赤味噌のコクでカルボナーラソースにより深みが生まれます。
麺の食感とパスタのからみ具合は、フェトチーネを超えた!?
白ワインだけでなくロゼも合いそうです。
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「竹野のあかもく」を、
高島商事さんおすすめの無添加手作りトマトソース
「完熟八百ちゃんトマトのTomato&Garlic」で。
これはもう、トラットリアの一品!

―「パスタのようなうどん巡り」は地産地消、そして地方創生にひと役買っているのですね。

高島 少しでも貢献できていれば、うれしいです。たとえば、練り込む食材にモロヘイヤを選んだのは、とある販売会で上郡町鞍居地区のみなさんとの出会いがきっかけです。鞍居地区も人口減少、過疎化が進む地域で、「農業に興味を持ってくれる人が増えて町が活性化するように」と町民のみなさんが力を合わせて農園を運営し、手間ひまかけてモロヘイヤを栽培されているんです。そうしたみなさんの思いを、私どもの商品を通してひとりでも多くの方にお伝えできたらと思うんです。また、あかもくという海藻は、船のスクリューに絡まったりするため漁師さんたちを悩ませていたのですが、体によい成分が豊富で近年では「スーパーフード」として注目されています。食材として活用できれば、地域活性につながるかもしれないという思いから、使わせていただくことになったのです。

―お話をうかがっていると社長の、そして従業員のみなさんの強い「兵庫愛」がひしひしと伝わってきます。ちなみに、社長のお気に入りの麺や食べ方は?

高島 どの麺も、どうやって食べてもおいしいのですが、私のいちばんは原点である「朝来の岩津ねぎ」に塩をぱらりと振って食べる、でしょうか。岩津ねぎの香りと甘みをしっかり感じられるんです。私たちの思いを形にしたスタートでもありますから。

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高島社長のお気に入り、
「朝来の岩津ねぎ」を塩とオリーブオイルで。
岩津ねぎの甘みを塩が引き立ててくれます。
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「パスタのようなうどん」ですが、添付の麺つゆで
「うどん」としていただいても、もちろんおいしい。
こちらは「明石の海苔」。
海苔の香りとスルッとした風味がたまりません。
希釈タイプの麺つゆは、「パスタのようなうどん」に
もっとも合うものを担当者が探し当てた、
播州調味料株式会社のもの。ここにも兵庫愛が……。

―今後は、どのような展開をお考えですか?

高島 メインの海産物製品はもちろん、うどん事業も広げていきたいと考えています。兵庫県にはまだまだ、知る人ぞ知るのおいしい食材がたくさんあります。本当は、ぜひこちらにお越しいただいて、直接それらを味わっていただきたいところですが、まだ以前のように自由に旅行を楽しめる状況ではないという方もいらっしゃると思います。そうした方たちにも、弊社のうどんを召し上がって擬似的に兵庫県巡りをしていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

―兵庫県に行きたくて、うずうずしてきました……。素晴らしいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

パスタのようなうどん巡り UDON TOUR 5種

「パスタのようなうどん巡り UDON TOUR」5種(「明石の海苔」「上郡のモロヘイヤ」「朝来の岩津ねぎ」「竹野のあかもく」「芦屋の米赤味噌」)各228g(麺160g+麺つゆ、オリーブオイル)
価格:各¥810(税込)
店名:高島商事
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.takashima-shoji.jp/html/udontour.html
オンラインショップ:https://www.takashima-shoji.jp/index.html

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
高島義典(株式会社高島商事 代表取締役社長)

1973年生まれ、神戸市出身。1995年、神戸国際大学卒業。同年、株式会社高島商事に入社し1997年に取締役就任、2009年に専務取締役就任、2020年に代表取締役社長就任、現在に至る。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/柴田阿実 画像協力/高島商事>

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