今や人気の定番和菓子として注目される「フルーツ大福」。今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、厳選された素材で毎日手作りされる“完全自家製餡”にこだわる「夢菓房たから」。讃岐の自然がもたらす恵みと職人の技で新しい感覚の和菓子を追い求める株式会社夢菓房たから 代表取締役社長 濱田浩二氏へお話を伺いました。
代々続く伝統の技と新しい味づくりで旬の味覚たっぷりのフルーツ大福をお届け
2022/11/01
株式会社夢菓房たから 代表取締役社長の濱田浩二氏
―“和菓子づくりの極みは、素材選びにあり”ということを企業理念とされています。その想いに至られた経緯をお聞かせください。
濱田 古くから讃岐地方には“いただきさん”という風習がありました。目利きのいい人=専門家の意見を参考にして、良い食材を調達することから和菓子づくりは始まります。餡は和菓子の生命線です。小豆は良質の北海道十勝産と大粒で甘みが強く、風味豊かな丹波大納言、砂糖はふるさと讃岐の銘産、和三盆糖を使用。つき上げる餅米には近江産の羽二重餅を選んでいます。日本各地の豊かな大地の実りを贅沢に召し上がっていただけるよう産地に足を運び、目と舌で吟味し尽くした選り抜きの素材を使用しています。
素材を選び抜くことが和菓子作りの原点という濱田氏。
フルーツ大福に合わせる白餡は、
北海道十勝産の手亡豆、大福豆をブレンド。
ふるさと讃岐の和三盆糖が
やさしく上品な味に仕上げてくれる。
―自家製の白餡にこだわり続けていらっしゃいますね。
濱田 和菓子に使用する白餡、小豆漉し餡、粒餡はすべて店舗で毎日手作りしています。完全自家製で提供している店は県内でも数えるほどです。手間もかかり、1回の生産量にも限りがありますが、自家製の餡にこだわり続けるのは全国から厳選した良質な素材の風味を存分に味わっていただきたいという想いから。毎日作られる白餡は少々黄味色をしていますが、それは無漂白の証です。出来たての新鮮な生餡をすぐに練り上げ、一晩かけて冷ますことで白豆そのものの風味を引き立てます。
完全自家製にこだわり、
店舗内で毎日丁寧に手作りされる白餡。
白豆のそのものの天然の色合いからも
上品な甘さと風味の良さが伝わってくる。
―店を代表する大ヒット商品「夏瑞(なつみずき)いちご大福」の魅力をお聞かせください。
濱田 いちごは年末から春に旬を迎えるというのがこれまでの常識でしたが、いちご市場に衝撃をもたらしたのが北海道産の品種「夏瑞」。夏に収穫されるこれまでのいちごとは異なりメロン並みの糖度で、冬のいちごにも引けを取らない美味しさが特徴です。特製の白餡と羽二重米の大福餅で産直のフレッシュな大粒いちごを包むことで、甘みと酸味の絶妙な調和を楽しんでいただける自慢の一品です。
大粒の夏瑞を口いっぱいに頬張れる贅沢な大福。
きれいにカットするための“縁結びの赤い糸”も嬉しい。
甘さはじける最高の瞬間を召し上がれ。
―商品開発に至るまでの苦労された点を教えてください。
濱田 いちごを入れた大福が売り出された1985年のこと。その2年後に京都の老舗和菓子屋「与楽」へ修行に行きました。時代の流れもあって修行時代にいちご大福の開発チームに携われたことが、現在のフルーツ大福づくりの礎となっています。今では、いちごの甘みと酸味を引き立てる白餡が主流ですが、いち早く白餡を選んだのも修行時代の経験からです。北海道産のいちご「夏瑞」は、それまで東京への出荷はしていましたが、関西へは出荷していなかったので、農家の方へ連絡をして出荷を依頼しました。惚れ込んだいちごに合わせたのが、滋賀産の餅米「羽二重」です。冷えた状態でも繊細な餅米の香りするのが特徴で、いちごの甘酸っぱさを引き立てています。このようにこだわりの材料とのご縁があったからこそ、この商品が出来上がりました。
―フルーツ大福ブームの先駆けでもありますね。現在商品のラインナップは何種類ありますか?
濱田 30年程前にいちご大福の販売を始めた後、フルーツ大福の販売をスタートしました。現在、四季折々の旬のフルーツをはじめ38種類以上のバリエーションがあります。
―今後の展望をお聞かせください。
濱田 オンラインショップからもお買い求めいただけるよう販路を整え始めたのが10年ほど前になります。初めは苦労もありましたが、今では地元の香川だけではなく、全国のお客さまへ新鮮な商品をお届けできるようになりました。和菓子作りを通して笑顔や調和が生まれるひとときをご提案することが私たちの想いであり、使命だと思っています。幅広い世代の方たちに親しまれる和菓子屋であり続けること、お客さまやその家族、引いては地域社会の幸せにも繋がっていると思います。現在、フルーツ大福専門店で全国展開してきたマーケットは成熟期に入りました。これからも志を抱いて、日々みなさまに愛される和菓子を作り続けていきます。香川の本店には季節の移ろいを感じられる庭やお茶席のご用意もありますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
香川に構える「夢菓房たから」春日本店。
緑あふれる店舗のイートインスペースで
季節限定の旬の味覚を堪能したい。
―貴重なお話をありがとうございました。
「夏瑞いちご大福」【販売期間:6月中旬~8月上旬 ※多少前後致します】
価格:6個入¥2,130(税込)
店名:夢菓房たから
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品ページ:https://e-takara.jp/premium_nathumizuki/
オンラインショップ:https://e-takara.jp/item/
「秋のフルーツミックス大福」
価格:
2個入¥950(税込)
4個入¥1,870(税込)
6個入¥2,790(税込)
店名:夢菓房たから
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品ページ:https://e-takara.jp/?p=1016
オンラインショップ:https://e-takara.jp/item/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
濱田浩二(株式会社夢菓房たから 代表取締役社長)
1965年香川県生まれ。北九州市立大学 経営学科を卒業の後、京都の和菓子屋で6年間の修行を積む。和菓子の製法を習得した後、1993年に実家の有限会社宝饅頭に入社。1996年の店舗改築を機に社員採用を始め、2001年に代表取締役社長に就任。2006年に現在の春日町に移転。今でも「現場第一主義」をモットーに、空いた時間には現場に顔を見せている。社内親睦にも注力しながら、定期的にイベントも開催している。
<文・撮影/渡辺彩子 MC/橋本小波 画像協力/夢菓房たから>