今回アッキーが気になったのは、愛知県田原市で茶の栽培から製茶、店頭販売まで一貫して自社で行う磯田園製茶さん。創業以来、深蒸し茶一筋60余年。半世紀以上にわたり愛され続けるその理由を探るべく、代表取締役・磯田尚久氏にお話を伺いました。
累計販売数130万袋!毎日飲んでも飽きのこない「岡女男面茶」サッと溶かしてすぐ飲める「深蒸し粗挽き茶MARUGOTO」
2022/10/24
磯田園製茶株式会社 代表取締役の磯田尚久氏と
農園部部長の前田氏
―創業の経緯を教えてください。
磯田 創業は1954年。父がお茶の行商から始め、私は2代目にあたります。もともと父は農家の生まれで、高校卒業後に親類が営む茶舗へ丁稚奉公に出て卸の仕事をしていました。その後、会社が潰れてしまいお茶の行商で生計を立てるようになったんです。仲卸へも事業を拡げていくなかで「自分の畑を持ちたい」という想いを抱くようになり、製茶工場を共同で運営しはじめ、次に畑を購入して……と、段階的に拡大していき、茶の栽培から製造、販売まで一貫して行う今のスタイルを確立しました。
―お茶づくりにおいて大切にしていることは?
磯田 業界では「茶天狗」と言うのですが、お客様の好みを無視した“独りよがりのお茶づくり”にならないよう心掛けています。つくり手の理論や価値観を優先するのではなく、ニーズに沿ったものづくりをしていく“マーケットイン”の姿勢ですね。時代の流れや飲まれる方の世代、季節によってもお客様の嗜好は変わっていきますので、それに合わせた商品を提供していかなければならないと思っています。
自社茶園のある渥美半島は隠れたお茶処。
温かな気候と豊かな水が深蒸し茶に適した茶葉を育む。
―お客様目線で商品づくりをしているからこそ、長く愛されているのですね。
磯田 私たちは店頭に立ってお客様のお声を直接聞くことができますので、それを統計化して、商品づくりに活かしているんです。規模は小さいですが、すべて自社で行っているからこそ、部分的な改良も行いやすく、お客様のニーズにも早く対応できるのではないかと思います。
私たちは、お茶づくりに「正解」はないと考えているんです。あるべき形を限定してしまうと、ほかの可能性が見えなくなりますしね。ただし、自分たちの軸をしっかり持っていないと、それはそれでおかしなことになってしまいますので、そのバランスが難しいところですね。
50年以上愛され続ける
ロングセラーの深蒸し茶「岡女男面茶」(左)。
「深蒸し粗挽き茶 MARUGOTO」(右)は
急須がなくても飲める手軽さが◎。
―岡女男面茶「金印」は、累計販売数130万袋にも上るとか。
磯田 長く販売していますからね。これは自園の「やぶきた」と「ゆたかみどり」という品種を使った深蒸し茶なのですが、時代にあわせて味も変化させているんです。日常的に飲んでいただくことを想定してつくっていますので、毎年ごとの茶葉のできによってブレンドや製法にも工夫して、朝昼晩、毎日飽きずに飲んでいただける味に仕上げています。そういったところに理由があるのかな、と思っています。
岡女男面茶には1番人気の「金印」ほか、
より気軽に飲める「銀印」、
新芽の香りとほのかな芳ばしさが楽しめる「特選」も。
深蒸し茶は、浅蒸しの煎茶と比べて渋味が少なく、
まろやかな味わいが特徴。
―“おかめひょっとこ”というユニークなネーミングには何か由来が?
磯田 本来“おかめ”は美人で“ひょっとこ”は勇敢な男という意味ですが、現代の感覚だとちょっと滑稽なニュアンスがありますよね。針のように揉んだお茶が美人だとするなら、深蒸し茶はそうではないだろうということで、父が「おかめひょっとこ」と名付けました。
パッケージには、長寿への願いを込めた鶴と亀のモチーフも。
磯田園製茶では「医食同源」もコンセプトに掲げている。
―深蒸し茶の正しい淹れ方は?
磯田 世間一般に言われている基本の淹れ方はありますが、あまり気にせず好みの濃さで自由に淹れていただくのが1番です。朝に飲みたい濃さと昼に飲みたい濃さは違うと思いますしね。「こう淹れなきゃいけない」と思わずに、楽しみながら飲んでいただきたいです。何なら、水で淹れたっていいんですよ。カフェインとカテキンは60〜70℃以上にならないと抽出されにくいので、同じお茶でもまた違った味を楽しんでいただけると思います。
80℃のお湯で30秒侵出するのが基本の入れ方。
1人分なら茶葉3g、お湯120ccが目安。
―難しく考える必要はないんですね。
磯田 淹れ方でみなさん何に迷うかというと、分量なんですよね。コーヒーだとサーバーの大きさやメジャースプーンなど、だいたい大きさが決まっていますけれど、お茶にはそういったレギュレーションがありませんから。なので、まずお手持ちの急須の容量を知ることからはじめていただくといいと思います。まずは濃いめにつくってみて、だんだん薄くしていって好みの味を見つけてみてください。
付属のスプーン1杯で
150mlのお茶がつくれる深蒸し粗挽き茶「MARUGOTO」。
特製シェーカーは、底の突起が対流をつくることで、
粉がダマになりにくい仕組み。
―深蒸し粗挽き茶「MARUGOTO」は、粉末を水やお湯にサッと溶かすだけなので、より気軽にお茶が楽しめますね。
磯田 ティーパックよりも簡単に飲んでいただけると思います。使っているのは「こまかげ」という玉露などによく使われる品種です。黒いネットをかけて光合成を抑えることで、濃い緑色をした渋味の少ない茶葉にしているのですが、本来そうして育てた茶葉は抹茶にもできるんです。でも抹茶だと、きちんと点てなきゃいけないイメージがありますよね。この商品は、普段お茶を淹れない方にこそ手に取っていただきたかったので、あえて煎茶の製法でつくりました。「MARUGOTO」という名の通り、茶葉だけでなく、芽や茎もまるごと深蒸しして粉末化しています。
アイスクリームにかけてもおいしい!
牛乳に溶かして緑茶ラテにしたり、
ビールに混ぜるのもおすすめ。
―今後の展望をお聞かせください。
磯田 いまお茶製品へのニーズは、どんどん多様化してきています。でもその一方で、茶葉栽培は担い手も減ってきていて、なかなか厳しい状況に置かれています。そのような中でお茶業界全体を元気にしていくためには、我々を取り巻く環境を変えていかないといけない。その第一歩として、私たちが持つ情報や場を他社さんに提供したり、外から参入してくる方たちへ小ロットでのOEMを提案したりしていきたいと考えています。我々もそれを通して新しい考え方に接することができ商品開発のヒントになりますし、新たな市場の発見にも繋がっていきます。そうやって、みなさんと高めあいながらお茶業界を盛り上げていきたいと思っています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
「岡女男面茶【金印】」(90g)
価格:¥1,080(税込)
店名:磯田園製茶
電話:0120-21-2202(10:00-17:00 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.isodaen.com/products/detail/399
オンラインショップ:https://www.isodaen.com/
「深蒸し粗挽き茶お試しセット 深蒸し粗挽き茶×2、特製ミニシェーカー×1」
価格:¥1,242(税込)
店名:磯田園製茶
電話:0120-21-2202(10:00-17:00 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.isodaen.com/products/detail/312
オンラインショップ:https://www.isodaen.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
磯田尚久(磯田園製茶株式会社 代表取締役)
1962年愛知県生まれ。大学卒業後すぐに入社し、東京巣鴨店でお客様に直接接客しながら、また、関東地区の路面店出店、ショッピングセンターへの出店をしながら、お客様はどんなお茶を求めているのかを製造側へ伝えていました。
そんな中、32年前に水出し番茶を自分で企画テストした結果に創業者の父が驚いたのをみて、商品開発はマーケットインでするべきだなと感じ、今もその基本コンセプトで商品開発をすすめています。
<文・撮影/野村枝里奈 MC・撮影/津田菜波 画像協力/磯田園製茶>