大阪ミナミの千日前本店を始め、関西や九州に展開する人気の行列たこ焼店。味へのこだわりはさることながら、大阪を代表する企業として、地域活性化や災害ボランティアなどたこ焼を軸とした幅広い活動に大注目。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社和なか 代表取締役会長の和中徹氏に、取材陣が伺いました。
大阪ミナミで大人気のたこ焼。できたての味をたっぷり味わえる「わなか特製たこ焼セット」
2022/11/11
株式会社和なか 代表取締役会長の和中徹氏
―和中会長は元美容師でいらっしゃるとか。
和中 私はヴィダル・サスーン氏の斬新でおしゃれなカットに刺激を受け、美容の道へ進みました。無欠勤で勤めていたのですが、仕事中に腰を痛めてしまいました。別の道を模索する中で、実は以前から気になっていたたこ焼を極めようと思い立ったのです。両親が飲食店を経営していたこともあり、別業界への転身に抵抗はありませんでしたし、美容師の経験を生かしたたこ焼屋になれるとも思いました。
―具体的には?
和中 当時、1980年代のたこ焼店のイメージと言えば、飲食店というより露天商の色合いが強かったので、美容室のように接客のクオリティの高いたこ焼店を目指すことにしました。同じ「ありがとうございました」の言葉も、語尾を上げるか下げるかなど、言い方ひとつで品が変わりますからね。味、立地、そして接客の3本がしっかりしていればきっとうまくいくと信じて始めました。
昔の本店でたこ焼を焼く和中会長。
―1号店が現在の千日前本店ですね。
和中 両親の店が飲食店から軽食・菓子屋となっていて、その軒下でたこ焼を焼き始めたのが1986年。それから間もなく、すぐそばに有名なお笑いの劇場ができ、周辺はにぎやかに発展していきました。
創業当時の千日前本店。
―創業から30年以上。味の変遷は?
和中 大きく変わった出来事がありました。あるお客様が大病をされ、うちのたこ焼をたくさん食べられなくなったと言うのです。理由を知りたくて自分で100個くらい食べてみたんですね。すると、いろいろを足し過ぎていたことに気がつきました。例えば、タコから十分に旨味が出るのに、出汁を入れすぎると甘みや苦みが出て舌に残り味が変化し、ショウガそのものの風味を生かすには紅ショウガでなく塩漬けのショウガが良いとか。タコの旨みや小麦粉の甘みをシンプルに味わうには引き算なんですよね。それが今のうちの味のベースになりました。多くの人に愛され、いくつでも食べられる飽きのこない味を目指しています。
創業以来研究を重ねてたどり着いた味。
―たこ焼セットの味わいもそれが再現されていますか?
和中 もちろんです。ミックス粉は、キメの細かい小麦粉に、ほどよい出汁と塩加減、外はカリっと、中はとろけるような食感になるよう、工夫を凝らしてあります。「ゴージャス豪華11点」は、味付け用調味料が4種類、天かすや木船、竹串やたこせんまでついていますから、わなかの味も雰囲気も本格的に楽しんでいただけますよ。
たこ焼の素1袋(400g)はたこ焼約90個分。
人数に応じて1~2回たこ焼パーティができる。
―味付け用調味料が4種類も!
和中 定番はやはり万能ソースです。他にない、わなからしい味を模索して開発に時間もかかりました。あっさりしながらも旨みが強く、酸味と甘みのバランスが良く、さらっとかけられるソースに仕上がっていると思います。もっともシンプルに生地を味わっていただくには塩。訪れた寿司屋で習った「炒り塩」をヒントに、甘みのあるまろやかな塩を使用しています。なので、ただしょっぱいだけじゃなく旨みが引き立ちます。だし醤油は小豆島でわなか用にブレンドしてもらっていて、ほんのりカツオが香ります。ポン酢の酸味も生地に合うものを選んでいますから、お好みでいろいろ楽しんでください。
左からこだわりの万能ソース、釜炊き塩、
だし醤油、ポン酢は小分け袋で。
―「たこせん」とは?
和中 大阪では、エビせんべいでたこ焼を挟んだスナックを「たこせん」と呼びます。このえび煎餅もわなかオリジナルでほんのり甘く、生姜のアクセントが効いています。お子様のおやつにも、ビールと一緒におつまみにもオススメですよ。
バーガー袋もセットになっているのでたこ焼を挟んで大阪の味がそのまま再現できますよ。
たこせんを再現できるキットもセット。
―肝心な、たこ焼を焼くポイントを教えてください。
和中 わなかの味を再現していただくのに、いくつかポイントがあります。生地は、卵と水でミックスを溶いて表示どおりに作っておいてくださいね。まず、油を引いたらネギを先に入れて香りを出します。つぎに生地を半分くらいまで流し、タコを入れます。そして、タコに蓋をするイメージで、また生地を流す。最後に天かすと塩ショウガ。ひっくり返したときに天かすが香ばしく焼けます。このとき、タコが出ていると焦げてしまうので中に閉じ込めるイメージがいいと思います。
ネギと塩ショウガの風味が立ち、
なめらかに溶いた生地で外はカリっと、
中はとろとろに焼き上がる。
木船皿で本格的な盛り付けも。
まずはシンプルに塩で味わい、
万能ソースやだし醤油などで味変を。
―会長が一番お好きな食べ方は?
和中 ベーシックな、ソースとマヨネーズに和からしですね。ケチャップとマヨネーズと合わせたオーロラソースに和からしもよく合います。具材に関しては、自由に楽しんでいただければいいのではないでしょうか。あえて挙げるとするなら、エビやホタテのようなシーフード、野菜ならサトイモやカボチャも合いますよ。
ソースとマヨネーズがよく合う。
生地がおいしいので具材のアレンジも自在。
子どもにはソーセージやコーンも。
―材料、生地、ソース、焼き方、アレンジ、すべてにこだわりがあり、たこ焼への愛をたっぷり感じます。
和中 たこ焼をもっと広めたいと、音楽と合わせた「大阪たこ焼ジャンボリー」というイベントを主催しているんですよ。初回は2019年、天王寺公園エントランスエリア「てんしば」で開催しました。友人のミュージシャンを招いて私も一緒に歌いましたし、たこ焼にちなんだ遊びやダンス、トークショーなど盛りだくさんに企画しました。プロサッカーチーム「セレッソ大阪」協力の下「わなかカップ」を開催したり、東日本大震災の支援でつながった岩手の方々が来てくれたりと、とても充実した2日間でした。コロナ禍に入り、2回目の開催が延期続きなのが残念です。
大盛況に終わった第1回「大阪たこ焼ジャンボリー」では
会長自ら舞台で歌を披露。
―社会貢献活動にも精力的ですね。
和中 「セレッソ大阪」のオフィシャルスポンサーになるなど、たこ焼をキーワードに、大阪をもっと盛り上げたいと思っています。「ご当地ベア」という、地域ごとの名物をモチーフにしたくまのぬいぐるみに、大阪のたこ焼代表として選んでいただいたときは、大阪で愛される企業に近づけたのかな、としみじみしました。
たこ焼をモチーフにしたわなかベア。
―2022年現在、実店舗が13とオンラインショップでの展開。今後の展望は?
和中 「こんな場所でたこ焼き!?」と、驚くような場所やにぎやかな街に出店していきたいですね。実際に進んでいる計画もあります。コロナ禍、実店舗でお会いできないお客様にも、通販のセットや冷凍をお楽しみいただいています。おかげ様で全国にファンがいてくださるので、出店やイベント催事などでわなかの味を楽しんでいただけたら。みんなに愛される味を広めていきたいですね。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「わなか特製たこ焼セット ゴージャス 豪華11点」(たこ焼の素400g×2/天かす40g×2/特製えびせんべい(たこせん)8枚/木船7寸×4枚/バーガー袋(たこせん用)4枚/竹串8本/焼き師が使う竹箸2本/味付け用【濃厚ソース300g・釜炊き塩250g・醤油150ml・ポン酢25g×4袋】)
価格:¥3,564(税込)
店名:たこ焼道楽わなか オンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://wanaka.shop-pro.jp/?pid=149433267
オンラインショップ:http://wanaka.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
和中徹(株式会社和なか 代表取締役会長)
1961年大阪府生まれ。1979年より美容師の道へ。美容学校を卒業後、福島の美容室ロックフィールドへ入社し、後に店長となるも、パーマ施術中に腰を痛め美容師の道を断念。
催事・飲食業の会社での修業を経て1986年に独立。両親が営む店(現在の千日前本店)の軒先でたこ焼をオープン。日々研究を重ね今のわなかが誕生する。2019年たこ焼、音楽を楽しめるイベント『大阪たこ焼ジャンボリー』をてんしばで開催。たこ焼や食の魅力を広める活動にも注力している。
<文・撮影/植松由紀子 MC/柴田阿実 画像協力/和なか>