新潟県長岡市の日本海沿岸に位置する港町・寺泊。大正時代からこの地で商いを続ける「山六水産」は、活きの良い鮮魚から加工品まで海産物が豊富に揃う活気溢れるお店です。お取り寄せでも評判の商品にかける想いを、山六水産株式会社の代表取締役社長・山口誠太郎氏に伺いました。

山六水産株式会社 代表取締役社長の山口誠太郎氏

―御社の歴史を教えてください。

山口　創業は大正時代。私の祖父が寺泊で魚問屋を開いたのがはじまりです。1972年には先代である父・十三郎が法人格を取得し、山六水産株式会社を設立ました。卸から小売りへと舵を切ったのも先代の時代です。私自身は学校を出てすぐ、県内の魚問屋へ修行に出て荷受と呼ばれる卸の仕事をしていました。それから少しして寺泊に戻り、山六水産へ入社。3代目として会社を引き継ぎ、魚屋2軒とそれぞれに併設される食堂を運営しています。

寺泊港ほど近くの“魚の市場通り”に2店舗を構える山六水産。
2階の食堂では新鮮な海の幸が堪能できる。

―お店がある“魚の市場通り”は、通称「魚のアメ横」。寺泊漁港のほど近くに鮮魚店がズラリと軒を連ねていて、日本海の幸を求めて県外からもたくさんの人が訪れるそうですね。

山口　今のように小売店が軒を連ねるようになったのは40年ほど前です。それまでこのあたりは、寺泊港で水揚げされた魚を東京へ出したり、近郊の魚屋や旅館に卸したりする魚問屋がほとんどで。1975年頃になって、弊社や関東・信越地方に鮮魚専門チェーンを展開する角上魚類さんが小売りの魚屋を出店したのが魚の市場通りのはじまりです。安くて新鮮な魚を求めて来られるお客様の増加にともない、徐々にお店も増えていきました。1982年の関越自動車道開通以降は観光バスもたくさん来るようになり、爆発的に売上が伸びていきましたね。

店頭には確かな目利きで競り落とした地魚や、市場から直送される各地の旨い魚がズラリと並ぶ。

―創業当初から受け継がれている理念はありますか？

山口　祖父は私が生まれる前に亡くなっているのですが、父から受け継いだことはたくさんあります。ひとつは「こだわってもとらわれるな」ということ。こだわるのは味や値段であって、商品そのものにとらわれていてはお客様が離れてしまうよ、と。その時々の上質な魚をどれだけ集めて、お客様に買い物を楽しんでもらえるかっていうのが、私たちの商売ですから。できるだけ価格も抑えて、安心してご購入いただけるように努めています。

実は弊社では「○○円まけとくよ」っていうのは禁句になっているんです。これも父から受け継いだことで、「値引きしているようではダメだ」と。値引きできるのなら、最初から引いておきなさい、ということですね。

魚種の豊富さも山六水産のこだわりのひとつ。
その場ですぐに味わえるお刺身も好評！

―「銀鮭三点セット」をはじめ、オンラインショップの商品もどれもリーズナブルな価格ですよね。

山口　できるだけ店頭価格にうわのせしたりせず販売しているので安く感じられるのだと思います。普段から召し上がっていただけるような、安くておいしい商品をご提供したいというのが1番にありますので。

たとえば「銀鮭三点セット」は職人が1つ1つ手づくりしているため量産が難しい商品ですが、チリ産の銀鮭を使うことで価格を抑えています。もちろん素材の味にもこだわっていますので、脂がのっていてすごくおいしいんですよ。でも、世界中でいろいろなものが値上がりしていく今、この値段をキープするのにちょっと苦労していますね。この部分を今後どのように手当していくかが悩みどころです。

ひと塩・味噌漬け・粕漬け各3切れを真空パックした「銀鮭三点セット」。

―製法にも何か工夫があるのでしょうか？

山口　特別なことは何もしていません。少しずつ丁寧に、基本的な製法でつくっています。あまりこだわりすぎると、値段にも影響してきますしね。ご飯のおかずやお弁当などに使っていただきたいので、できるだけシンプルに。「ひと塩」「味噌漬け」「粕漬け」と3種類ありますが、どれも大ぶりの切り身で食べ応えも満点です。

―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

山口　オンラインショップで販売している海産物もぜひ手に取っていただきたいのですが、弊社はやっぱり魚屋ですからその時期の鮮魚を1番食べていただきたいんです。今はまだお客様になかなか来ていただきにくい状況ですけれども、これからもみなさんに楽しくお買い物していただけるよう頑張っていくしかないと思っています。基本は魚を売るのが仕事ですので、そのなかでどうやってお客様に喜んでいただくか、ただそれだけですね。

―貴重なお話をありがとうございました！

「銀鮭三点セット（ひと塩、味噌漬け、粕漬け）」
価格：￥2,000（税込）
店名：山六水産
電話：0258-75-3161（9:00～16:00）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://yama6suisan.theshop.jp/items/42329603
オンラインショップ：https://yama6suisan.theshop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
山口誠太郎（山六水産株式会社 代表取締役社長）
1963年新潟県生まれ。

＜文／野村枝里奈　MC／根井理紗子 画像提供／山六水産＞