―それでは最後に、今後のビジョンについてお聞かせいただけますか?
椎名 2006年から約5年間、弓田の片腕として「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のシェフを務めていた川瀬誠士を、2020年に再びシェフとして迎えました。
当店のことをすべて把握し、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子のことを深く理解し、弓田の味を継承している人ですから、弓田も「どんどん新作を作っていってほしい」と期待していますし、私どもも、川瀬によってより多くのお客様に「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子を味わっていただけることを、とてもうれしく思っています。
川瀬のもと、まずは店の体勢を整えた上で、全国の方々に「本当に美味しいお菓子」をお届けするべく、委託販売も含めて新しい販路の拡大も視野に入れています。オンラインショップも引き続き、お菓子のほかワイン、製菓材料や器具など、内容をますます充実させていく予定です。
菓子教室は、コロナ禍によって一時期、オンラインがメインとなりましたが、現在は代官山の教室も以前の賑やかな授業風景となりました。うれしいことに、生徒さんの数が増えました。
というのも、オンラインで学んだ方が「やっぱり、現地で習いたい」とおっしゃって。以前は教室に通う時間を作れなかったけれど、テレワークなど働き方が変わったことで自由に使える時間が増え、通えるようになったという人も少なくありません。やはりオンラインとは違い、講師と直接やりとりができますし、生徒さん同士で刺激しあうこともできるようです。
そうした中からまた、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子の味を広め、本当のお菓子の美味しさを伝える人が生まれたら、うれしいです。