イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_top

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌの 「塩味のクッキー缶」 「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」

2022/12/21

生のケーキは直接お店に出向かないとなかなか手に入れられませんが、焼菓子なら遠方からも名店の逸品をお取り寄せできるのが、オンラインショップのよいところ。そんななか、編集長アッキーこと坂口明子が心を引かれたのは、東京・代官山の名店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の「塩味のクッキー」と「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー」。発売開始と同時に大人気となった超ヒット商品です。

現在、療養中である店主の弓田亨氏に代わって、長年、同氏の片腕として「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」を牽引してきた椎名眞知子氏に、取材陣が、多くの人々を惹きつけてやまない味の秘密を伺いました。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_副校長_1
代官山「嘘と迷信のないフランス菓子教室」副校長、パティスリー代表の椎名眞知子氏。

改めて、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の沿革についてお聞かせください。

椎名 オーナーシェフである弓田亨が2度に渡るフランス・パリ「ジャン・ミエ」での研修を終えて帰国した後、1986年に東京・代々木上原に「ラ・パティスリー  イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」を開き、1995年にパティスリーとフランス菓子教室を代官山に移転しました。同じ建物内にありながら、長くパティスリーと教室は別の場所にありましたが、2019年にパティスリーと教室としてリニューアルオープン、現在に至ります。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_2
「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」オーナーパティシエであり、
株式会社イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画 代表取締役の弓田亨氏。
お店の名前「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」とは、日本語で「セーヌに雨は降る」の意。
氏がフランスでの研修時代、日本へ残してきた家族を想いながら眺めていたセーヌ川の情景であり、
当時のお菓子作りへの決意を忘れないようにと付けられた名前です。

自他ともに認める「日本一美味しいフランス菓子の店」として、貴店が大切にしているのはどのようなことでしょう。

椎名 「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の活動理念として、弓田はまず第1に「真実のおいしさを伝える」を掲げています。

弓田が目指すのは「本当に美味しいもの」、「真のフランス的味わい」です。味わいの希薄な日本の食材で心と体に迫るフランス的な味わいを表現したい、そのためにいっさい妥協することなくお菓子作りに専念。それによって培われた技術と精神性によって、これまで数々のお菓子が生み出されてきました。

弓田が闘病に入ってからは、私どもは留守を預かる者として「弓田のレシピに忠実に、きちんと作る」ことを何よりも大事に考えています。

幸いなことに、弓田は1つ1つのお菓子について、誰がそれを読んでも作ることができるようにと、本当に事細かにレシピを残してくれています。それが私どもの助けになっているのですが、「レシピに忠実に作る」というのは簡単なようでいて、実は難しいんです。

というのも、やはり長くこの仕事に携わっているとどうしても自分のクセが出てしまうというか、自分なりのやり方をしがちだからです。でも、それでは「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の、心や体に押し寄せるような味わいは出ません。

ですから毎日、「レシピに忠実に、きちんと作る」を肝に銘じながらアトリエに立っています。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_3
クッキー缶のパッケージ。「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」と言えば、
この淡い、品のよいブルーをイメージする人も少なくないのでは?

椎名さんと弓田氏との出会いについて、教えてください。

椎名 私は子どもの頃から料理を作るのが好きで、短大の栄養学科を卒業後は料理学校で助手をしていました。結婚後は主婦として、母として料理やお菓子作りをし、教室にも通ったりしてブラッシュアップしていたのですが、ある日、近所に「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」というパティスリーがオープン。

そこで初めて弓田のお菓子に出会ったのですが、そこで、単に「美味しい」というのとも違う、何とも言葉にできないほどの衝撃を受けたのです。

それを機に製菓に目覚め、子育ての合間を縫ってフランスのイッサンジョー国立高等製菓学校での講習に参加。その折、講習会の参加者の間で話題になっていた「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」が主催するドゥニ・リュッフェル氏の講習会に、帰国してすぐに参加し、それがきっかけで「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子教室第1期生として弓田の元で学び始め、1995年に教室スタッフとなりました。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_4
「いりこを中心とした乾物で味を組み立て、ダシごとすべて食べる」と弓田氏が提唱する
「ごはんとおかずのルネサンス プロジェクト」のおかず講習会にて、弓田氏と。

「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子の特徴は、どんなところにあるのでしょう。

椎名 「フランス的な味わい」を作るための精神性がすべてのお菓子の元になっている、ということでしょうか。

材料はすべて納得のいくものを選び、いっさい妥協はしない。お菓子の生地はもちろんのこと、ジャムやジュレ、クレームやガナッシュなど、作れるものはすべて作る。それでこそ最高のお菓子の味が出来上がるのだ、というのが弓田の考えで、その結果、お客様にも「美味しい」と言っていただけているのだと思っています。

お菓子の味わいとしては、味だけでなく香りや食感も大切ですが、弓田は順番として「香り」を1番に考えています。まずは、お菓子の入っている箱や缶を開けた時に感じる香り。そして、それを口に運んだ時に鼻を抜ける香り。

次に、噛んで、舌で味わいながら感じる香り。それが喉を通っていく間も香りが漂う……。弓田いわく、「飲み込んだ後も、香りは最後まで持続する」。それが、当店のどのお菓子にも通じていることだと思います。

今回、ご紹介させていただく「塩味のクッキー缶」も「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」も缶を開けた途端、フワーッと香りが立ってきますね。これまで、クッキーの缶を開けると何となく香ばしさやバターっぽい香りを感じることが多かったのですが、「塩味のクッキー缶」と「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」はそれぞれ個性の違う香りに鼻をくすぐられます。
ではまず、「塩味のクッキー缶」について、商品の特徴を教えてください。

椎名 弓田はよく、私どもに「次は何がいい?」「どんなお菓子を食べたい?」と聞きます。自分のためだけのお菓子作りではなくて、周りの人たちの幸せや健康のためにもと、いろいろと意見を取り入れるんです。ですから私どもは勝手に「あれがいい、これがいい」と(笑)。

「塩味のクッキー」ですが、代々木上原時代に作られていたサラミの入った塩味の薄焼きのカリッしたサブレが私は大好きでした。原材料費もとても高く生産性の面からも作り続けることが難しく、代官山に移ってからは作っていませんでした。

ただ、教室の生徒さんの中に、自分は甘いものはあまり得意ではないけれど、家族のためにきちんとした焼菓子を作りたい。だからここへ通っている、という人が少なからずいたんですね。そこで、それに替わるものとして弓田が改めて考えてくれたのが、この「塩味のクッキー」なんです。

チーズの香りがよく、アーモンドと松の実がたっぷり入っていて、リズミカルな歯応えが楽しいお菓子です。おやつとしてはもちろん、お酒のおともに召し上がる方も多く、発売と同時に爆発的なヒットとなりました。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_5
「塩味のクッキー缶」(上)と「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」(下)。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_6
フランス・ゲランドの塩とエダムチーズ、スペイン産アーモンドと松の実がたっぷり。
香り、歯ごたえ、サクサクという音……まさに五感に訴えるクッキーです。

「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」については、いかがでしょう。名前がユニークですね。

椎名 以前は、たとえば「ゴッホのようなバナナ」といったような、弓田の頭の中のイメージをそのまま言葉にした名前や、詩的で長い名前が多かったのですが、毎年毎年、新作を発表しているので、だんだん名前をつけるのが大変になってしまったようで(笑)。

今では、素材の名前がそのままお菓子の名前になるものが増えました。それで、「塩味のクッキー」だったり「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー」だったり。

「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー」は、弓田が「誰も覗くことのできない心の深淵の動き」をイメージしたものです。「私の中の変わり者が作るおいしさ」と言っているように、誰もが好きな味ではないかもしれませんが、塩味のアクセントとほろ苦い余韻、口に運ぶとほろりと崩れるその触感に「ハマる」人はハマるお菓子です。

こっくりしたコーヒーに合いますが、紅茶ならあまり香りが立つものではないタイプに合うかもしれません。お酒なら、赤ワインにぴったりです。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_7
カカオの香り高く、口に入れるとほろりとくずれる、心に染み込む食感。
ほろ苦さと甘みに塩の塩梅が絶妙です。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_8
「甘いだけがクッキーではない」と知る、大人の味わいです。
ワインやシャンパンとのマリアージュも善き哉。

それでは最後に、今後のビジョンについてお聞かせいただけますか?

椎名 2006年から約5年間、弓田の片腕として「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のシェフを務めていた川瀬誠士を、2020年に再びシェフとして迎えました。

当店のことをすべて把握し、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子のことを深く理解し、弓田の味を継承している人ですから、弓田も「どんどん新作を作っていってほしい」と期待していますし、私どもも、川瀬によってより多くのお客様に「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子を味わっていただけることを、とてもうれしく思っています。

川瀬のもと、まずは店の体勢を整えた上で、全国の方々に「本当に美味しいお菓子」をお届けするべく、委託販売も含めて新しい販路の拡大も視野に入れています。オンラインショップも引き続き、お菓子のほかワイン、製菓材料や器具など、内容をますます充実させていく予定です。

菓子教室は、コロナ禍によって一時期、オンラインがメインとなりましたが、現在は代官山の教室も以前の賑やかな授業風景となりました。うれしいことに、生徒さんの数が増えました。

というのも、オンラインで学んだ方が「やっぱり、現地で習いたい」とおっしゃって。以前は教室に通う時間を作れなかったけれど、テレワークなど働き方が変わったことで自由に使える時間が増え、通えるようになったという人も少なくありません。やはりオンラインとは違い、講師と直接やりとりができますし、生徒さん同士で刺激しあうこともできるようです。

そうした中からまた、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子の味を広め、本当のお菓子の美味しさを伝える人が生まれたら、うれしいです。

貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_商品1

「塩味のクッキー缶」(34枚入り)※発送日限定販売
価格:¥6,491(税込)
店名:イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://patisserie002.stores.jp/items/632abfe323c2aa5d24dd642b
オンラインショップ:http://www.ilpleut.co.jp/onlineshop/

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ_商品2

「あくの強いチョコレートと塩味のクッキー缶」
(約30枚入り)

価格:¥4,428(税込)
店名:イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://patisserie002.stores.jp/items/5eabb952bd21780370598a7e
オンラインショップ:http://www.ilpleut.co.jp/onlineshop/

※写真はイメージです。

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
椎名眞知子(代官山 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ代表、「嘘と迷信のないフランス菓子教室」副校長)
短大栄養学科卒業後、料理学校へ。結婚後、主婦として母として料理づくりに励む。「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子と出会ったことを機に、弓田亨のもとで製菓を学ぶ。1995年よりイル・プルーの教室スタッフに。2018年、「オンライン イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ  フランス菓子教室」を開講。2019年より、「代官山 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ パティスリー代表、「嘘と迷信のないフランス菓子教室」副校長に。

弓田亨(株式会社イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画 代表取締役)

1947年、福島県会津若松市生まれ。1970年、明治大学商学部卒業、熊本市で菓子作りの道へ。1978年、フランス・パリ「パティスリー・ミエ」で研修。翌年、フランス菓子協会より銀メダルと賞状を授与。1986年、東京・元代々木町に「ラ・パティスリー  イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」を開店。1995年、代官山に移転。同年、技術と素材の開拓に対し、フランス菓子協会より金メダルと賞状を授与。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/鯨井綾乃 画像協力/イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter