今回、編集長アッキーが気になったのは、最中ひと筋の名古屋の菓子処「不朽園」 。株式会社不朽園・代表取締役の杉村武宏氏に、おいしさの秘密を取材陣が伺いました。
名古屋を代表する最中の名店 餡と種のハーモニーが絶妙「不朽最中」
2023/01/12
株式会社不朽園 代表取締役の杉村武宏氏
―創業の経緯を教えてください。
杉村 創業は1927年で、私は4代目になります。初代が「不老園」というお店で修業していたこともあり、のれんわけという形で「不朽園」という屋号になりました。
もともとは甘味処から始まっており、最中はそこで出していた商品のひとつでしたが、「おいしい」と口コミで広まっていきました。私が生まれた時にはすでに当店は「最中屋さん」として知られる存在になっていました。
今では売上の7割が最中という人気商品です。父の代のときに百貨店にも進出し、今では名古屋の百貨店でほぼ取り扱っていただいています。
小ぶりで餡がぎっしりのこだわりの最中。
―小さい頃から家業は継がれるつもりでしたか。
杉村 家を継ぐのが当たりまえとして育ちました。家業に入る前に和菓子の吉野屋に入社して、5年間修業をし、いろんな種類のお菓子に関わることができて、いい経験になりました。
―2018年に社長になられて、ご苦労はありましたでしょうか。
杉村 私が社長に就任した矢先にコロナが蔓延し、その影響で売上が2割減になりました。会社は絶対潰せないので、お金を借りれるだけ借りて、コスト削減できるものを探り、従業員一丸となって生き延びるために頑張りました。
まだ経験も浅く、経営のこともわかってない状態だったので大変でしたが、去年、今年は黒字になって少し安心しております。とはいえまだまだ勉強の身で、昼間は製造に関わり、その後に社長業を行っているため、朝から晩まで休みなく働いている毎日です。
―今回ご紹介させていただく「不朽最中」のこだわりを教えてください。
杉村 とくに変わった原材料は入っておらず、シンプルに砂糖とあずきと寒天、水あめ、もち米だけです。小豆は北海道の十勝産で、1番グレードの高いものを使っています。最中種(皮)は種屋さんにうちの餡に合う種をお願いして焼いてもらっています。
基本的な配合は今も昔も変わっていません。味が落ちてしまうと、お客様は離れていくので、味を変えずにおいしいものを作り続けることがモットーです。最中は本当にシンプルなお菓子なので、逆に難しくもあります。何かいつもと違うことをするとすぐに味に出てしまうので、お客様の期待を裏切らないことが1番です。
不朽園の伝統とも言える定番商品の「不朽最中」。
“最中づくり一筋”の言葉にその思いが伝わるパッケージ。
―小豆の炊き方も工夫されているのでしょうか。
杉村 餡はジャムと同じくらい糖度が高いのですが、くどく感じず、あっさり食べれる味を目指しています。
1個食べて、お茶を飲んで、もう1個と何個も食べられるような最中を作っています。小豆を炊くときは熱を入れすぎるとくどくなり、かきまぜすぎると粘りがでてしまうので、タイミングや火加減の調整がポイントになります。1分ずれるだけでも味が変わってくるので、機械で作るのは難しく、職人さんの感覚でおいしい味を生み出しています。
最中種は餡を引き立て、餡は最中種との相性をととのえる。
―どういったお客様が多いでしょうか。
杉村 小さい頃から食べてる馴染みの味としてお買い求めくださったり、以前、名古屋に住んでいて、引っ越したけれどもうちの味が忘れられないとご来店くださったり、さまざまです。手土産として買っていただく方も多いです。
―おいしい食べ方はございますか。
杉村 最中は保存がききますが、お店では作りだめをしないようにしていて、朝生菓子と同様に、できるだけ出来立てを提供しています。ご自宅ではオーブントースターで軽くあぶっていただくと、出来立てに近い状態となって味わえます。
また、時間がたった最中の楽しみ方もあります。始めパリッと香ばしく、時間が経つと餡が最中になじみ一体感のある最中となります。飲み物は緑茶など渋み苦味のあるものがぴったりだと思います。
緑茶との相性は抜群。
餡は水分を含み、種は乾いていますが、その2つが合わさると、
始めはパリッと香ばしく、時間が経つと餡がなじみ一体感のある最中に。
―今後の展望を教えてください。
杉村 コロナ禍で本店の売り上げが不安定になったこともあり、お店のお客様を大事にしつつ、今後はB to Bの仕事も増やし、店の売り上げと2本柱でいきたいと考えています。
EC部門も採算性がとれる事業には育てたいと力をいれていきます。今は名古屋の最中処として知られていますが、名古屋だけでなく、日本を代表する最中処として知られるよう、努力していきます。
―貴重なお話をありがとうございました。
「不朽最中 小10個」
価格:¥1,382(税込)
店名:不朽園
電話:052-321-4671(7:00~19:00 水曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.fukyuen.co.jp/fs/monaka/kikusho/kikusho10
オンラインショップ:https://www.fukyuen.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
杉村武宏(株式会社不朽園 代表取締役)
1975年愛知県生まれ。株式会社吉野屋に入社し5年の修業期間を経て2006年に株式会社不朽園に入社。2018年に同社代表取締役に就任。名古屋の最中処として親しんでもらえる菓子屋を目指す。
<取材/垣内栄 MC・撮影協力/鯨井綾乃 撮影/坂口明子 画像協力/不朽園>