寒い季節になると、無性に飲みたくなるのが牛乳たっぷりのロイヤルミルクティー。でも自分でつくるとなると、ちょっとだけ「めんどくさいな」と思ってしまうのが正直なところ。
今回、アッキーが気になったのは、「おいしい紅茶」で話題のアムシュティーの大人気商品、「マイカップオブティー」。紅茶専門店で飲めるようなリッチテイストなミルクティーが、家庭で簡単に楽しめるんです。
株式会社ビッグメイク代表取締役の北原和光氏に、そのおいしさと人気の理由や、より紅茶を楽しむためのヒントを、取材陣がお聞きしました。
2023/01/10
寒い季節になると、無性に飲みたくなるのが牛乳たっぷりのロイヤルミルクティー。でも自分でつくるとなると、ちょっとだけ「めんどくさいな」と思ってしまうのが正直なところ。
今回、アッキーが気になったのは、「おいしい紅茶」で話題のアムシュティーの大人気商品、「マイカップオブティー」。紅茶専門店で飲めるようなリッチテイストなミルクティーが、家庭で簡単に楽しめるんです。
株式会社ビッグメイク代表取締役の北原和光氏に、そのおいしさと人気の理由や、より紅茶を楽しむためのヒントを、取材陣がお聞きしました。
―紅茶の仕事をするようになったきっかけは。
北原 大学を出て、紅茶とは全然関係ないインテリアや家具を扱う商社に就職しました。でも、「起業したい」という強い思いがあったので、5年で退社。自分の人生をかけられる仕事は何だろう、と模索していました。
そんなとき、ある人に紹介されてすごくおいしい紅茶に出会ったんです。とくに紅茶好きではない私でも、ひと口飲んだだけで衝撃を受けるほどおいしい紅茶でした。
もともと私は、コーヒーを飲まない人間です。でも打合せの際には、どうしても「コーヒーか紅茶か」ってなるじゃないですか。仕方なく紅茶を飲んでいたんですが、正直、紅茶をおいしいと思ったことがありませんでした。紅茶を飲むと、最後に口直しの水が欲しくなるんです。そんな私が、おいしい紅茶、「水を飲まなくてもフィニッシュできる紅茶」に出会ったのです。
日本はお茶文化があるのに、紅茶文化はそれほど根付いていないですよね。そして日本の紅茶業界を牛耳っているのは、海外のブランドばかり。「日本人が選んだ紅茶を飲んでもらいたい」と強く思いましたし、紅茶には大きなポテンシャルがあると感じました。それが20年前のことです。
―元々紅茶好きではなかったというのは意外です。
北原 会社を立ち上げたときは、周りから驚かれましたね(笑)。まずは、紅茶をたくさん飲むことから始めました。その中で茶葉の違いやお水との相性、おいしい淹れ方などを研究し、原産国であるスリランカにも実際に足を運んで知識を深めていきました。
紅茶業界のこともいろいろ勉強し、老舗の紅茶メーカーや、舶来の紅茶メーカーなど、自分なりにマーケティングをしました。
ところが調べれば調べるほど、作り方がどうだとか、歴史がどうだとか、そんなことばかりこだわっていて、一般の人の「おいしい」という感覚が置き去りになっている印象を受けました。
そこでうちの会社は、徹底的にお客様目線でやろうと決めました。日本に、もっともっとおいしい紅茶を広めていきたい、今の紅茶文化を変えていきたいという気持ちでスタートしました。
―「ビッグメイク」という社名の由来は。
北原 私は商社にいたので、ビジネスっていうのはとにかく大きくしなくてはいけないと思っていました。大きいマーケットをしっかりつくっていきたいなと。「ビッグメイク」という名前にしたのは、そういう気持ちからです。
ところが事業をスタートさせてすぐのころ、たまたま車の中で聴いていたラジオから、SMAPの『世界に一つだけの花』が流れてきたんです。「No.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one」という歌詞を聞いて、はっとしました。
「会社を大きくすることが目的ではない。私も、自分にしかできないオンリーワン企業を目指そう」、そう思ったのです。そのためには、しっかりした高品質のものを、ひとりひとりのお客様、エンドユーザーさんに届けて満足してもらうことが何より大切だと。そう決めた瞬間、気持ちが高ぶったことをよく覚えています。
初めのころは、机だけおいた小さな事務所で、たった3人のスタッフ、紅茶の段ボールに囲まれて仕事をしていましたが、最近ではおかげさまで売り上げも順調に上がってきまして、スタッフ数も25人くらいになってきたので、再び「紅茶業界のナンバーワン企業を目指そうかな」と思っています(笑)。「ビッグメイク」と社名をつけたときの気持ちに戻ってきているのです。
大きくマーケットをつかんで、ひとりでも多くの方においしい紅茶に出会ってもらいたいと思っています。
―ブランドの「amsu(アムシュ)」という名前の由来は。
北原 〝amber″と〝sure″のはじめの2文字をつなぎ合わせてつくった造語です。amberとは木の樹液が固まって化石化した、黄金色の琥珀(こはく)のこと。本当に上質な紅茶は琥珀色をしています。
そして琥珀は人々に「幸運と健康」をもたらすパワーストーンとして、古代よりお守りとして用いられてきました。私たちが厳選した紅茶も、皆様にとって琥珀のような存在であってほしい。そして皆様に確かな(sure)幸運と健康をお届けしたい、という想いからamsu teaという名前を考えました。
―「amsu tea」の紅茶の魅力はどんなところでしょうか。
北原 新鮮で渋みとか苦みが少ない、スッとのどに通るような飲みやすさ、などの特徴がありますが、結局、「おいしい」としか言いようがない(笑)。飲んでもらえばわかります。
「今までは、紅茶は一杯飲めばもういい、という感じになっていた」という人たちが、私たちの紅茶は「何杯でも飲みたくなる」と言ってくださるんです。
―スリランカ産のセイロンティーにこだわっていらっしゃるそうですね。
北原 スリランカには多様な紅茶があるので、そのなかで日本人好みの紅茶を探すのに苦戦しました。私たちだけでは無理なので、現地にいる熟練のティーテイスターの力を借りるのですが、こちらの理想とする紅茶のイメージを理解してもらうのが、最初は難しかったですね。
スリランカ人には、「日本はお茶の国だから、渋みや苦みが好き。だから紅茶も濃い方が好きなんだろう」という思い込みがあったのです。でもあきらめずコミュニケーションをとり続けることで、飲みやすくコクのある紅茶、うまみのある紅茶を見つけてくれるようになりました。
―問屋や商社を通さないというやり方を選んだ理由は。
北原 僕は商社にいたので、商社や問屋に流せれば、すぐに大きなマーケットがとれると考えていたんです。しかし実際は、値段との戦いでした。
私たちは、スリランカの上質な茶葉を厳選しています。すると、ほかの会社の5倍くらいの値段になってしまう。問屋も商社も全然相手にしてくれなくて、半年くらい売り上げがほとんどありませんでした。
そこで、カフェやレストランに飛び込みで営業してみたんです。「サンプルを置いていくから飲んでみてください」と。そうしたら、徐々に手ごたえを感じるようになりました。
また、カフェやレストランの人は直接お客様と接しているので、どういう反応だったかを私たちにフィードバックしてくれます。「苦い」「薄い」などの感想があったと聞けば、再度お店に出向いて淹れ方をアドバイスしたりして、親密な関係を築くことができます。「お客様においしい紅茶を出したい」と本気で思っているお店は、ちゃんと理解してくれます。そういうクライアントと一緒にやっていこうと決めました。
ホテルに進出するときは苦戦しましたが、「ティーアース」という別のブランドを立ち上げて、部屋やビュッフェにティーバッグを置いてもらえるようになりました。2009年からはインターネット販売も開始し、一般のお客様向けの事業もスタート。おかげさまで、順調に業績を伸ばすことができています。
―直営店「アムシュティーハウス」も人気ですね。
北原 有名なブランドのものは高くても売れますが、アムシュはまだ無名です。ブランド力を高めるためにも、うちの紅茶を知ってもらうためにも、お店を出したいなと思っていました。
紅茶1杯1000円くらいとホテルなみの単価なので、満足して帰っていただけるよう、味はもちろんですが、雰囲気も、スタッフの対応も最高のものをと心がけています。お客様から「おいしい紅茶ありがとう」とか「もうほかの紅茶は飲めなくなった」と言われると本当に嬉しいです。
コロナ禍で外食産業は大きな打撃を受けていますが、私どもの店は幸いに、オープンした当初に比べると倍以上の売り上げになっています。駅前でもないし、2階なので全然立地はよくないんですよ。
でもいいものを出せば、リピーターが増えるし、口コミも広がってお客様は来てくれる。通りがかりに、というよりも、わざわざ電車に乗って来てもらえる店になったと思っています。
―「マイカップオブティー」のシリーズはどのように開発されたのですか。
北原 ティーハウスでお客様からまず感動していただけたのが、ミルクティーでした。「今までこんなにおいしいミルクティーは飲んだことない」と言っていただけて、抜群に評判がよかったのです。そこで、なんとかティーハウスの味を家庭でも楽しんでいただけるようにできないかなということで開発しました。
おいしさの理由は、びっくりするくらいたっぷりの量の茶葉を使っていることです。通常、ティーバッグの中に入っている茶葉は2.5gくらいですが、この商品は5g入っています。
そしてロイヤルミルクティーには、「つくるのが面倒くさい」というイメージがありますよね。とにかく手軽に作っていただこうということで、牛乳を入れてレンジでチンするだけでできる商品にしました。ポットや鍋を洗う必要がないから、本当に簡単です。
厳密にティーハウスと同じ味とまではいきませんが、普通の茶葉で作るよりも濃厚な、牛乳の味に負けない、しっかりとしたロイヤルミルクティーを味わっていただけます。
―家で紅茶をおいしく淹れるコツはありますか。
北原 浄水器を通した水を使うことです。よく、「紅茶には水道水を使うな」とか言われますが、うちは逆で、塩素を除去した水道水を沸騰させて使うことをお勧めしています。できれば軟水がいいですね。
「マイカップオブティー」のようなティーバッグの場合は、スプーンで押し出すようにするとより濃い紅茶になります。あまり、作法だとか、薄いティーカップじゃなきゃだめだとか難しいことは考えず、楽しんでいただければと思います。
―今後の展望をお聞かせください。
北原 日本でカフェに行くと、紅茶ってダージリン、アールグレイ、アッサムあるいはウバ、と3種類くらいしかないですよね。味の違いをわかる人もまだ少ないと感じます。
でもだからこそ、ポテンシャルはすごくあると思うんです。紅茶って産地や気候、茶葉の大きさでも味が変わってくるので、それをどう伝えていくかが今後の課題です。
来年には、東京に出店する計画もあります。まだまだ力不足ですが、今後は地方の方にも知っていただけるように、戦略を練っているところです。
日本にはお茶文化があるのですから、紅茶文化も築き上げていきたいと思っています。夏はみんな、冷蔵庫に麦茶を常備していますよね。それが水出しのアイスティーに代わったらおもしろいなと思います。冬はぜひ、ミルクティーを飲んでもらいたい。デザートの代わりに、キャラメルやチョコレートフレーバーの紅茶を楽しんでほしい。そういう文化を日本に定着させたいです。
そのためには、やっぱり「おいしい紅茶」にこだわり続けることしかないと思っています。
—今日は素晴らしいお話をありがとうございました!
左から「ホリデーチャイ」「クラシックロイヤルミルクティー」「ミルキッシュオレンジ」(ティーバッグ5個入り・1包に茶葉5g入り)
価格:¥648(税込)
店名:amsu tea
電話:06-6713-3564(10:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.amsu-tea.com/products/mycup-of-tea
オンラインショップ:https://www.amsu-tea.com/pages/online-store
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
北原和光(株式会社ビッグメイク 代表取締役)
1973年11月大阪府生まれ。小学校から高校まで野球一筋。大学ではバイト一筋。大学卒業後は東京で商社に入社。体育会系のノリで業績を伸ばし、多くを学ぶも、5年で自ら退社。大阪に戻り2003年に起業。以来一念発起して紅茶一筋で、日本の紅茶界に一石を投じるべく日々精力的に取り組んでいる。
<文・撮影/臼井美伸(ペンギン企画室) MC/津田菜波 画像協力/ビッグメイク>