今回アッキーが注目したのは、日本三大うどんの1つに数えられる「稲庭うどん」。江戸時代のはじめ頃、秋田藩・稲庭地区で生まれた手延べ製法による干しうどんです。
そんな郷土食の伝統を大切にしながらも、革新を続ける「稲庭うどん小川」の代表取締役社長・小川博和氏に製法へのこだわりや商品にかける想いを伺いました。
2023/01/19
今回アッキーが注目したのは、日本三大うどんの1つに数えられる「稲庭うどん」。江戸時代のはじめ頃、秋田藩・稲庭地区で生まれた手延べ製法による干しうどんです。
そんな郷土食の伝統を大切にしながらも、革新を続ける「稲庭うどん小川」の代表取締役社長・小川博和氏に製法へのこだわりや商品にかける想いを伺いました。
―創業の歴史をお聞かせください。
小川 1982年に創業いたしました。義父が初代にあたるのですが、もともとはタクシー会社を経営していたんです。当時はお客さんとして食品のバイヤーさんを乗せることも多く、稲庭うどんの実情をよく耳にしていたようです。メーカーによって品質にバラつきがあるとか、県外への安定的な供給ができていないとか。そういった問題を自分の手で何とかしたいと一念発起し、起業したのだと聞いています。
―ものづくりをする上でのモットーは?
小川 品質管理を徹底し、お客様へ安心安全な商品をお届けすることです。高品質な原材料を使用することはもちろんですが、季節や気温、天候などを考慮しながら配合率を変えたり、生地の熟成時間を調整したり。その時々の条件を敏感に感じ取りながら、常に一定の品質が保てるよう工夫しています。
担い手1人1人が自らの作業に責任を持って取り組めるよう、工場では工程ごとに担当する職人のネームプレートを入れるようにしています。そこにも、当社の品質管理へのこだわりが表れているのではないかと思います。
たとえば、紐状にした生地を棒で平らにしていく“つぶし”の工程。人の手で行うものなので、つぶし加減が甘かったり、不均一だったりすることもあるんです。そういったときにネームプレートが入っていれば、次の工程を担う職人が担当者に指摘して、次回にいかすことができますよね。
―創業当初から小麦粉には特にこだわっているそうですね。
小川 小麦粉とひと口に言ってもさまざまな種類がありまして、製粉する場所や配合によっても、うどんにしたときのコシの強さや喉ごしが違ってきます。
当社はメーカーさんに特注していて、小麦の芯となる部分、胚乳部だけを削っていただいています。農産物ですから同じ品種の小麦でもその年の降雨・日照量などによって状態は均一ではありません。そのため、あらかじめ設けた規格に合わせて製粉してもらっています。ときには、まず少量を製粉していただき、試食させてもらうこともありますね。
―製法に関して、気をつかっていることは?
小川 稲庭うどんには製法の規定がありませんので、各社それぞれ独自の手法で作っています。たとえば生地の熟成にかける時間。ほかのメーカーさんは2日だったり3日だったりしますが、当社の場合は4日間。段階的に熟成を重ねることによって麺の中にかすかな気泡が生まれ、独特のコシと食感のある麺に仕上がるんです。
“二度練り”も当社独自の製法ですね。ふっくらとした丸い形になるまで手で練り合わせ、1時間ほど休ませてから再び練り上げます。ハリが出るまでしっかりと練り込むことが、喉ごしの良さ、コシの強さに繋がりますので、そこは絶対に手を抜いてはいけないと思っています。毎日生地を練る製麺工員の指には練りダコができるのですが、やっぱりそれは製麺工員としての誇り。丹念に仕込んだ証ですね。
―「稲庭うどん無添加つゆ 詰合せギフト」のつゆもオリジナルだとか。
小川 そうです。鰹節問屋さんと一緒に開発しました。目指したのは、甘すぎず辛すぎず、稲庭うどんの白さを邪魔しないキレイな琥珀色のつゆ。いわし・さば・かつお、3種の削り節から取った出汁のうまみと香り、醤油の風味が麺のおいしさをより一層引き立てます。安心してお召し上がりいただけるよう、食品添加物・保存料は一切使用しておりません。
―パッケージも素敵ですね。
小川 ありがとうございます。稲庭うどん業界はどちらかというと歴史や伝統を重視する和風テイストのパッケージが多くて、当社も以前はそういうデザインにしていたんです。でも、もっと若い方や稲庭うどんを知らない方にも気軽に手に取っていただきたいという想いから、今のデザインに変更しました。
―ビーガン向けのつゆも開発されたそうですね。
小川 当社では2021年より、稲庭うどんの伝統を守りながら現代の食環境に合わせた価値づくりを目指す「TENOBE INOVATIONプロジェクト」に取り組んでいて、その一貫として海外への輸出拡大にも注力しているんです。現在は29か国に市場を拡げているのですが、EU圏に関しては2021年4月から動物性由来食品の輸出が規制されるようになってしまって。それを受けて開発したのが、昆布と椎茸のお出汁を使ったビーガンつゆです。
何度も試作を重ねた甲斐あって、10月に実施したフランスの展示会でのアンケートでは、100%の方においしいと言っていただけました。特に印象的だったのは、両親と試食に来てくれたお子さんです。両親とブースを離れたあと、また戻って来て自ら稲庭うどんが入ったカップを手に取ってくれたんです。おいしいと感じてくれたんだな、というのを目の当たりにした瞬間でした。
―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
小川 輸出に関しては、3年後に50か国まで拡大するのが目標です。国内でも“本物”の稲庭うどんをもっと知っていただけるよう周知を強化していきたいですね。冷凍の稲庭うどんしか食べたことがないという方も結構いらっしゃって。そうしたお声を聞くにつけ、残念に思っているんです。やっぱり乾麺をゆでて、独特のコシや喉ごしを感じていただきたくて。
稲庭うどんは乾麺でも冷凍麺と同じくらい短いゆで時間で食べることができますし、常温で2年も保存できますので、気軽に手に取っていただきたいなと思っています。そのためにも、ホームページやSNSで食べ方の提案をするなど、情報発信を続けていきたいですね。
―本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
「稲庭うどん無添加つゆ 詰合せギフト」(うどん90g×6、無添加つゆ20ml×6)
価格:¥3,240(税込)
店名:稲庭うどん小川
電話:0183-43-2803(8:30~17:30 土・日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.ogawaudon.com/items/62092367
オンラインショップ:https://shop.ogawaudon.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
小川博和(株式会社稲庭うどん小川 代表取締役社長)
1970年秋田県生まれ。東北学院大学卒業後、1994年有限会社稲庭うどん小川商店に入社し、専務取締役就任。2005年には社名を株式会社稲庭うどん小川に変更。2014年代表取締役社長就任。2016年から海外事業に注力し、現在29か国まで輸出実績を伸ばす。
<文・撮影/野村枝里奈 MC/鯨井綾乃 画像協力/稲庭うどん小川>