福島県の内陸部に位置する喜多方市と言えば、やっぱり喜多方ラーメン!磐梯朝日国立公園に含まれる飯豊山系の伏流水に恵まれたこの地は、昔から酒や醤油、味噌の醸造業が盛んな土地で、それゆえラーメン文化も発展したと言われています。
今回お話を伺ったのは、そんな喜多方ラーメン圏の中でも唯一、「喜多方ラーメンの袋麺」を製造・販売している、株式会社五十嵐製麺 代表取締役社長の五十嵐隆氏。喜多方ラーメンの歴史や、麺づくりへのこだわりなど、今すぐに喜多方ラーメンをいただきたくなるお話が伺えました。
「全国ご当地インスタント醤油袋めん選手権」、堂々の1位獲得!喜多方ラーメンを、自宅で気軽に。
2023/02/21
株式会社五十嵐製麺 代表取締役社長の五十嵐隆氏
―御社の歴史について聞かせてください。
五十嵐 私どもの会社は、1931年に米穀商として創業しました。麺の製造を始めたのは戦後まもない1949年。父の話によると、食糧難の中、「何か新しいものを」ということで麺を作り始めたようです。そして1987年に有限会社 五十嵐製麺を設立し、父が代表となりました。
―五十嵐社長はいつ頃、御社に入られたのですか?
五十嵐 私は1度県外へ出て、25歳の時に喜多方に戻り、入社しました。当時は喜多方ラーメンも今ほど全国区ではありませんでしたし、社員は両親と私、従業員合わせて10名ほどの会社でした。主な仕事は、地元の食堂にうどんやそば、ラーメンの麺を卸したり、小売店やスーパーを回ったり。しかしその後、1967年に福島県学校給食の指定工場となって以降、生産量が一気に増加したことから、1992年に株式会社五十嵐製麺となり、1998年に私が代表取締役に就任しまして今に至ります。
「五十嵐製麺」の本店であり第1工場は、白壁の趣ある建物。
1990年には第2工場、2002年には写真の第3工場を新設。
―そもそも、喜多方ラーメンとは?
五十嵐 大正時代の後半に、大陸から喜多方へやってきた方が屋台でラーメンを売ったのが始まりだと聞いています。彼らの故郷ではもしかすると少し違った味わいだったのかもしれませんが、この辺りの醤油を使うことで、日本的な醤油味のラーメン、喜多方ラーメンとして親しまれるようになったようです。今では、塩味や豚骨醤油味の喜多方ラーメンも出てきているのですが、一般的に「喜多方ラーメン」というと、醤油味のラーメンです。
―今回ご紹介いただいた「喜多方自家製乾燥ラーメンしょうゆ味」誕生のきっかけについて教えてください。
五十嵐 こちらは1998年に、夏場でも日持ちする麺が作れないだろうか、ということから生まれた商品です。日持ちする麺には、インスタントラーメンのように油で揚げたり、熱風をかけて麺の肌を荒れさせるノンフライにするような製法があるのですが、こちらは48時間、じっくり低温で乾燥させる手法をとっています。飯豊山系の伏流水と、アメリカ・カナダの小麦粉で練った麺です。かつては喜多方産の小麦粉を使ったこともあるのですが、やはりどうしても安定した入荷が難しく、製粉会社に相談して納得のいくものを探してもらいました。スープは、喜多方のあっさりした醤油味。昔からの味を再現しています。
商品のパッケージには、古い建物が残る喜多方の街並みが。
―苦労した点はどんなところですか?
五十嵐 弊社では麺を手作業で四角い型に入れ、風を当てて乾燥させるのですが、しっかり中まで乾燥させるためにずいぶん工夫をしました。というのも、強い風を当てすぎてもいけませんし、弱い風を当てすぎてもいけない。空気の流れを上手に使って均一に乾燥させるために、何度も試しました。現在も、製造時には水分計量で乾燥がちゃんとなされているかを確かめるなど、品質管理を徹底しています。それから喜多方ラーメンと言えば平打ちの麺なのですが、生麺だと茹で時間が3分のところ、乾燥麺にするとその倍くらいかかってしまいます。それを少しでも短くするべく工夫して、乾燥麺でもゆで時間5分を実現させました。
しっかりと乾燥が施された、喜多方ならではの平打ち麺。
―そのご苦労の甲斐もあり、TV番組の「全国ご当地インスタント醤油袋めん選手権」では堂々の1位を獲得されたとか。
五十嵐 ありがたいですね。喜多方ラーメンの乾燥麺では唯一のラーメンですし、嬉しかったです。以前、お年玉ハガキの抽選で、当選すると47都道府県の名品と引き換えできるというものがあったのですが、その中でも1位を獲得したのですよ。あとこの商品は、東南アジアを中心に海外でも販売しています。札幌、博多の次に、ラーメンと言えば喜多方、と覚えていただけるように頑張ります。
―ちなみにこちらの袋麺は、どのようなトッピングと共に楽しむのがおすすめですか?
五十嵐 喜多方ラーメンは、地元のラーメン店のトッピングも比較的シンプルです。まずは、刻みネギとメンマ、チャーシューなどで楽しんでいただくのはいかがでしょうか。またお客様からは、「茹で野菜をラーメンに乗せて味わいました」というお声もいただきました。こちらもヘルシーで良いですよね。
―20袋入りで、ドーンと届くのも良いですね。
五十嵐 試行錯誤の結果、賞味期限を6カ月まで伸ばすことができたので、たっぷりストックしていただけたらと思います。
家族皆で楽しめるたっぷり仕様。保存食として購入する人も。
―今後の展望についても聞かせてください。
五十嵐 喜多方は小さな町ではありますが、それでも「喜多方」と言えば「ラーメン」と認識していただけるまでになりました。可能であればぜひ一度、喜多方へ足を運んで、地元のラーメンを楽しんでもらい、帰ってからはこの袋麺と共に、喜多方の余韻を楽しんでいただけたらと思います。
―「五十嵐製麺」のオンラインショップには、今回ご紹介した定番の「しょうゆ味」の他、「みそ味」「しお味」「坦々麺」などが!ぜひそれぞれの味をお楽しみください。そして五十嵐社長、お話をありがとうございました!
「喜多方自家製乾燥ラーメンしょうゆ味20食」
価格:¥5,280(税込、送料込)
店名:株式会社五十嵐製麺
電話:0241-22-0457(平日10:00~18:00)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://www.gurutto-koriyama.com/detail/851/store-detail-7254.html
オンラインショップ:https://www.gurutto-koriyama.com/detail/851/index.html
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
五十嵐隆(株式会社五十嵐製麺 代表取締役社長)
1954年2月13日生まれ、みずがめ座。妻と二人暮らしのところに2022年12月3日に初孫が誕生し、現在4人暮らし。趣味は映画鑑賞、美術館巡り。
<文・撮影/鹿田吏子 MC/柴田阿実 画像協力/五十嵐製麺>