殻付き牡蠣のおいしさを知ってはいても、処理の手間を考えるとついむき牡蠣を買ってしまう……そんな方に朗報です。面倒な下処理は一切不要、電子レンジ5分でとびきりおいしい蒸し牡蠣ができ上る、画期的な商品をご紹介しましょう。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社丸杉水産 代表取締役の伊藤大生氏に、取材陣が伺いました。
驚くほどに手間いらず。新鮮で風味豊かな広島牡蠣を堪能。「殻付き牡蠣真空パック」
2023/02/27
株式会社丸杉水産 代表取締役の伊藤大生氏
―牡蠣養殖の歩みをお聞かせください。
伊藤 私の祖父が、喘息を患っていて会社勤めが難しく、自分で事業をと考えて、当時は珍しかった江田島での牡蠣養殖を思い立ったようです。祖父の弟が養殖業に就いていて、多少の経験や知識があったのでしょう。祖父の跡を継いだ父が急逝し、私が3代目を継いだのが2015年。牡蠣一筋、自然が相手ですから試行錯誤の日々です。
―初めから家業を継ぐおつもりだったのでは?
伊藤 物心ついたときから家業の手伝いをしていまして、まあそれが嫌で嫌で(苦笑)。学校を出た後は社会の非常勤講師として高校に努めながら父を手伝う程度でした。父が急逝し、家業を絶やすわけにもいかず社長として専念することにしました。
―江田島牡蠣の特徴を教えてください。
伊藤 広島県ではあちこちで真牡蠣の養殖が行われています。江田島は呉湾に位置しますが、たくさんの川から水が流れ込み、プランクトンが豊富です。波が穏やかで気候も牡蠣の生育に適しています。そんな海で育つ江田島の真牡蠣は、風味が強くてクリーミー。大ぶりではありませんが、風味の良さはどこにも負けないと自信を持っています。
丸杉水産の牡蠣が育つのはプランクトンが豊富な呉湾。
―牡蠣養殖の流れを簡単に教えていただけますか?
伊藤 まず、牡蠣の赤ちゃんをホタテの殻につけます。ある程度大きくなったところで抑制棚に移動。干潟で干満の差を利用して強くします。その後、筏状の牡蠣棚につるして1~2年、沖で育てます。筏を動かすタイミングや場所が重要になってきます。牡蠣の成長を見ながら、潮の当たりやエサの量など最適な環境を見極めるのがとても難しい。ある程度経験があっても、自然が相手で気候は毎年変わるので、定説通りというわけにはいきません。広島で牡蠣の水揚げは10月に解禁となり、だいたい5月まで。1~2年ものが出回ります。
牡蠣棚から引き上げられ、この後1個1個ワイヤーから外す。
―牡蠣が1番おいしいのは?
伊藤 実は1年ものぐらいの若い牡蠣がいいんですよ。養殖期間が長いと生存率が下がるという理由もあって、1~2年程度で出荷しています。
―そんな牡蠣をおいしく手軽にいただける商品についてお聞かせください。
伊藤 取れたての牡蠣を真空パックにしました。そのまま電子レンジで5分(600W)加熱するだけで蒸し牡蠣ができ上ります。特殊なパック方法なので、蒸し上がるときに貝柱も外れますから、殻をむくのもとても簡単だと思います。
パッケージのまま耐熱皿に乗せてレンジでチン。
蒸気を逃がしてから開封。殻が半開きになっているのですぐに外せる。
―開発のきっかけは?
伊藤 私の親友の後輩に、パッケージで特許を取ったから、牡蠣に使ってみないかと持ちかけられたのがきっかけです。殻付きの牡蠣は焼き牡蠣にするとおいしいのですが、殻がはじけて入ってしまうとか、焼いた後の掃除が大変だとか、一般家庭にはハードルが高かったんですよね。配送する際の大きな発泡スチロールも、エコの観点から気になっていました。この真空圧縮パッケージならそれらの問題がクリアでき、うってつけだと思いました。
完成までは、牡蠣の大きさや加熱時間、パッケージデザインなど、最適になるまで何度も何度もテストしました。牡蠣の個体差も許容できないといけませんしね。最終的に、最もおいしい状態で召し上がっていただけるバランスになったと思います。
―おすすめの食べ方は?
伊藤 私はレモン派です。キュッと絞ってなにもつけずに自然の塩味で食べます。大根おろしなどの薬味を乗せたり、オリーブオイルに漬けたり、このあたりは好みですから、いかようにも。袋の中にはうまみたっぷりのスープが残るので、汁物にしたりパスタソースにしたりと、こちらも活用できると思います。
指定の加熱方法なら、ふっくらプリプリに仕上がる。
レモンを絞るもよし、薬味を乗せるもよし、日本酒のアテにもよし。
―オンラインショップには、むき牡蠣や殻付き牡蠣などもありますね
伊藤 「カンカン焼き」(ナイフ・軍手・説明書付き/1キロ[10~15個]¥4,300[送料込・税込]~)もおすすめですよ。缶に入った状態でお届けするので、水か酒を少し注いで直火で10分くらい加熱するだけと、こちらも気軽です。どの商品も、喜んでくれる人のために、おいしいものを提供したいという気持ちで作っています。
―今後の展望をお聞かせください。
伊藤 自然が相手なので、毎年、毎日、試行錯誤です。ですが、江田島の牡蠣、中でもうちの牡蠣はどこにも負けないおいしさがあると自負しています。事業を大幅に拡大するとか、爆発的に売れてほしいとかよりは、知る人ぞ知るおいしい牡蠣屋くらいでありたいと思います。そのために、スタッフがけんかなく楽しく牡蠣に向き合い、お客様に感謝し、よりおいしい牡蠣を提供できるよう、工夫、精進していくつもりです。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「殻付き牡蠣真空パック」(5個入り1袋)
価格:¥1,900(送料込・税込)
店名:丸杉水産オンライン
定休日:牡蠣は販売期間が定められているので、サイトでご確認ください
商品URL:https://marusugi.raku-uru.jp/item-detail/1057348
オンラインショップ:https://marusugi.raku-uru.jp/
*価格は変動します
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
伊藤大生(株式会社丸杉水産 代表取締役)
1977年広島県江田島市生まれ。祖父が立ち上げた家業を父親が受け継ぎ、幼い頃は家業を手伝いながらプロ野球選手を目指した時期もありましたが家業に専念。2015年父親の急逝により引き継ぎ、日々奮闘しています。
<文・撮影/植松由紀子 MC/津田菜波 画像協力/丸杉水産>