1度口にしたら、ほかにはもう戻れない!? 本場フランスの味「カヌレバニラ」「ドミニクセレクション」

2023/03/09

コーヒーブレイクのおともにぴったりな、おいしいお菓子はないかと探していた編集長アッキー。そこで出会ったのは “フランス風ではない、本当のフランスの味”を届けてくれるお店でした。代表取締役のドミニク・ドゥーセ氏はフランス・ノルマンディー地方に生まれ、祖国で厳しい修業を積んだ経験の持ち主。日本でF1グランプリが開催された1987年に鈴鹿サーキット専属シェフとして来日し、独立後も三重県鈴鹿市で「ドミニクドゥーセの店」を営んでいます。今回はそんなドゥーセ氏に、もの作りにかける想いを伺いました。

株式会社ドミニクドゥーセの店 代表取締役のドミニク・ドゥーセ氏

-社長のパン・お菓子作りの原点は?

ドゥーセ もともとはパンやお菓子ではなくて、料理の世界に入りたいと思っていたんです。でも当時はやりたいという気持ちだけでは、修業先を見つけることすら難しい時代で。両親と付き合いのあったパン屋さんに入れてもらえることになったので、まずはそこで14歳から16歳まで2年間修業しました。お店で売るものはすべて手作りしていましたので、とても勉強になりましたよ。その後は町で1番有名なお店に入り、ケーキ作りの修業を2年。18歳になったとき、まだ料理をやりたい気持ちが残っていたので、パリへ出て料理を学び始めました。

-パリではジョエル・ロブション氏に師事されていたとか。

ドゥーセ コンコルド・ラファイエット(現・ハイアット リージェンシー パリ エトワール)で料理を勉強していたので。たまたまそのときのシェフがジョエル・ロブション氏だったんです。彼のもとで身につけた料理の基礎が、今も私のベースになっています。たとえば、ベシャメルソース。今はコーンスターチを使う人も多いですが、私は小麦粉とバター、牛乳を使った伝統的な製法で作ります。ミートパイを作るときもフィリングは前の日に16時間くらい煮込んで作ったり、自分が食べておいしいと思うものだけを商品としてお出ししています。

現役の職人として、丁寧なもの作りを続けるドゥーセ氏。
店頭やオンラインショップには、これまで培ってきた技術と本場の伝統が結集したパンや焼き菓子、デリカテッセンが並ぶ。

-日本に来られたきっかけは?

ドゥーセ 鈴鹿サーキットでの「F1日本グランプリ」開催にあたり、ホンダさんからオファーがありました。当時のF1関係者はほとんどフランス人だったので、彼らが日本に来たときにちゃんとした料理を出したいということで、料理もケーキもパン作りもできる人物を探していたようです。

その頃、私はすでに家庭を持っていましたし、フランスでお店を出したいと思っていたので1度はお断りしました。でも、その後また連絡があって。はじめは“日本の大きな会社”とだけ言われていたのですが、聞けばホンダで、しかも鈴鹿サーキットでの仕事だというので驚きました。というのも、私はレースが大好きなんです。それで1年くらいなら行けるだろうと思って、オファーをお受けしました。その後は、1年どころか36年間ずっと日本で仕事をすることになるわけですが。

-レストランのシェフをしながらF1関係者やレーサーの食事も担当されていたとか。どれくらいの期間、従事されていたのですか?

ドゥーセ 7年間働きました。私は大学には行っていませんが、“鈴鹿サーキット大学”に通った、と思っているんです。多くのイベントに携わり、そのなかで本当に色々なことを学ばせてもらいました。その間、ほかからのオファーもありましたが、自分のお店を持つまでずっと鈴鹿サーキットひと筋でやってきました。独立した今でも、コンサルタントとしてサーキットに携わっています。

バニラとラム酒の風味を効かせたカヌレバニラ。素材や形状にこだわったオリジナルの型で焼き上げている。

-その後、鈴鹿市内に「ドミニクドゥーセの店」を開業。お店で販売する商品は、“本物のフランスの味”を大切にしながら手作りされているとか。

ドゥーセ そう、だからマーガリンやショートニングは一切使っていません。材料もできる限りフランス産を選んでいます。カヌレの場合は、バターも牛乳もノルマンディー産のイズニーイズニー牛乳を使っているのは、たぶん日本でうちだけだと思います。卵は輸入できませんから滋賀県産を使っていますが、オーガニックの小麦粉砂糖もフランス産。砂糖はカブから採ったもので、日本のものとは風味も少し違います。

-カヌレの製法で大切にされていることは?

ドゥーセ 最近はいろんなお店でカヌレが売られていますよね。そのなかでも、うちのカヌレがおいしいとみなさんに言っていただけるのは、発酵の手間を惜しまないからだと思います。発酵って、すごく難しいんですよ。温度が2度違うだけで使いものにならなくなるので。そういったロスを避けるために発酵を省略して、砂糖の甘みだけで作っているお店も多いと思います。

人気の焼き菓子を詰め合わせた「ドミニクセレクション」。
サブレとフィナンシェ(バニラ・ショコラ)、プチドームチョコが味わえる。

-「ドミニクセレクション」に入っているサブレは、サクサクでバターの香りも豊か。そのおいしさに病みつきになりそうです。

ドゥーセ サブレはフランスの自社工場で作った生地を冷凍輸入しています。なぜ冷凍なのかと言うと、1つは保存料がいらないから。もう1つは、焼き上げた状態でフランスから送ると日本に到着するまでに1ヶ月以上かかるんです。その分おいしくなくなってしまいますが、冷凍なら品質を下げることなく輸入できますので。店で解凍・成形したものを焼いて、販売しています。

サブレはバターサブレ、ココナッツサブレ、ナント地方の伝統菓子・サブレナンテの全3種類。
「ドミニクセレクション」にはその中から2種類がランダムに入っている。

-しっとり濃厚な「プチドームチョコ」は、お店オリジナルのお菓子なのでしょうか?

ドゥーセ ガトーショコラをヒントに作った私のオリジナルです。90度くらいの低温でじっくり時間をかけて焼いているので、水分を残したしっとりとした生地に仕上がるんです。食べる前に10秒くらい電子レンジにかけると、さらにおいしくなりますよ。

14歳からずっと同じレシピだというフィナンシェは小麦粉の量を極力減らし、時間がたっても生地のしっとり感をキープ。
プチドームチョコともに、材料は100%フランス産。

-今後の展望をお聞かせください。

ドゥーセ いま力を入れている冷凍食品をもっと広めていきたいです。フランスでは私が小さい頃から当たり前にあって、スーパーに行くと半分くらいが冷凍食品。専門店もあるほど広く親しまれています。日本でもブームになりつつありますが、買ったらすぐに冷凍庫に入れないと不安になる方も多くて、なかなか手に取ってもらえないというのが現状です。家に帰ったときに解凍されていたら、そのまま冷蔵庫に入れればいいんです。そのまま4、5日は持ちますから。サブレの話とも重なりますが、冷凍食品は保存料を添加する必要がないので健康的だし、味も品質もキープできる。手軽においしいものが食べられるので、日本でももっと市場が育つといいなと思っています。これまで色々なことにチャレンジしてきましたが、これが私の最後のチャレンジですね。

-貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

「カヌレバニラ」(冷蔵・9個セット)
価格:¥1,980(税込)
店名:ドミニクドゥーセの店
電話:059-373-7211(9:00~17:00 平日)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://dominique-shop.jp/?pid=148457252
オンラインショップ:https://dominique-shop.jp/

「ドミニクセレクション -Dominique selection-」
価格:¥3,600(税込)
店名:ドミニクドゥーセの店
電話:059-373-7211(9:00~17:00 平日)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://dominique-shop.jp/?pid=166094768
オンラインショップ:https://dominique-shop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
ドミニク・ドゥーセ(株式会社ドミニクドゥーセの店 代表取締役)
幼少期にパン職人を志し、「AUX ARMES DE NIEL」などあらゆる名店で修業。パンはもちろんケーキ部門では、選ばれた職人しか入会が許されない「サンミッシェル組合」に入会。パリのコンコルド・ラファイエットでジョエル・ロブション氏に師事し料理も習得。ホンダからのオファーにより26歳で来日。31歳で独立し、鈴鹿にて「ドミニクドゥーセの店」を開店。

<文・撮影/野村枝里奈 MC/隅倉さくら 画像協力/ドミニクドゥーセの店>

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