アッキーこと坂口明子編集長が見つけたとっておきのアイスミルクとチーズケーキをご紹介。北海道で明治時代から運営されてきた牧場が作るおいしい生乳を素に作られた製品は、濃厚なのに後味さっぱり。この商品の味の秘密を有限会社岩瀬牧場 代表取締役 岩瀬亮輔氏に取材スタッフがうかがいました。
北海道の牧場発!広い大地が育んだ生乳で作ったアイスミルク、チーズケーキはおいしさ満載。
2023/05/02
有限会社岩瀬牧場 代表取締役の岩瀬亮輔氏
―岩瀬牧場は明治時代に開設されたのですね。
岩瀬 はい。1892年(明治25年)に私の曽祖父がこの地に入植して、土地を開墾することから始めたと聞いています。私が小学校に行くちょっと前まで、曽祖父たちが住んでいた家が残っていました。すきま風がびゅうびゅう入り込むような木造の家でした。そんな粗末な造りの家に住み、北海道の厳しい気候の中、曽祖父、曾祖母が一生懸命、土地を開拓していったのだと思うと、今、私がしていることなんてたいしたことはないなと思いますね。
祖父の代には米や野菜、小豆を作るのが主で、酪農は兼業として行っていましたが、父の代に酪農専業になりました。父は酪農に加え、1992年にジェラートショップを開店して観光客の皆さんにおいしい乳製品を提供するようになりました。2000年にはレストラン「リヴィスタ」がオープン。こちらも国内外の方に人気です。
砂川市にある岩瀬牧場は、車で新千歳空港インターチェンジ、
砂川スマートインターチェンジを経由して約1時間30分。
牧場のほか、近くに岩瀬牧場経営の「ジェラートショップ」、
「レストラン リヴィスタ」があり、楽しめる。
―岩瀬さんは牧場経営に役立てようとアメリカでフードビジネスを学んだのですか。
岩瀬 実は違うのです。高校時代の私はいわゆる反抗期のさなかでして(笑)、進路を決めるにあたってはなるべく遠いところに行きたいと思いました。岩瀬牧場から一番遠い場所はどこだ?と考えニューヨークに行きました。なにしろ反抗期ですから(笑)、親のお金を使うのもしゃくなので、奨学金をもらい、食事はカフェテリアで働けば賄いが食べられるから生きていけると思いました。で、カフェテリアで働くために何を勉強したらいいかと考えて選んだのがフードマネジメントです。ですから将来、岩瀬牧場のためになると思って学んだのではないんですね(笑)。ただ、帰国してこの仕事をする上で、衛生管理などの面で、アメリカで学んだことが生きた・・・結果的には牧場経営に役立ったと言えます(笑)。
60haの広大な牧場に約200頭のホルスタイン種が放牧されている。
―帰国後はどのようなことを目指しましたか。
岩瀬 小さいころから牛舎にいたので仕事はそれなりにでき、牛が好きで牛に育ててもらったという気持ちがあるので酪農の仕事に取り組みました。しかし、私には酪農に関する免許も資格もありません。当時、周囲の人は「アイツはほんとにできるのか」と思っていたと思います(笑)。そこで、つきあいのある獣医師や農業協同組合、機械メーカーの方々に教わりながら酪農の仕事をしていきました。父からも「わからないことがあれば聞いて覚えていけ」と言われていたので、現場で学び自分ながらのやり方でやっていきました。
―岩瀬牧場の牛乳はなぜおいしいのでしょうか。
岩瀬 おいしい生乳は元気な牛から搾られます。牛に元気でいてもらうには、おいしい草を食べればいい。でも、そこで疑問が湧きました。どうして日本では牧場においしい草が生えているのにわざわざ乾いた飼料を食べさせるんだろうと。
そこで牛を放し飼いにする放牧酪農に目を向けました。25歳のときのことです。牛舎を開け放つと牛は広い牧場に喜んで出ていき、おいしい草を食べておいしい生乳を出します。日本では廃れつつあった放牧酪農ですが、ニュージーランドなどでは放牧酪農をしています。北海道もニュージーランドも気候が似ているのでできないことはないと思い、そこで放牧酪農に切り替えました。
今でも牛を飼う中でこの方法でいいのだろうかと迷うことは多々ありますが、牛のためにも乳質のためにも放牧酪農がいいことだけは確信しています。どんな状況になっても岩瀬牧場では放牧酪農を続けると思います。
―理想的な牛乳とはどんなものですか?
岩瀬 ここの牛乳はおいしいねと言われ続けることですね。うちには3人の男の子がいますが、三男が3歳のとき、家族旅行先のホテルでそこの牛乳を飲んだんですよ。そしたら「これ、牛乳みたいな味がするね。なんだろう?牛乳なのかな」って言ったんです。ホテルの牛乳はいつも飲んでいる牧場の牛乳と味が違うので不思議に思ったのですね。
そのとき私は「勝った」と思いました(笑)。うちの牛乳は濃厚さの中にさっぱりした味わいがあって本当においしいです!「岩瀬牧場の味を守っていけばいいんだ」と再認識した出来事でした。
「岩瀬牧場カップアイス10個セット」は
「しぼりたて」「ストロベリーミルフィーユ」「抹茶」
「ごま」「ブルーベリー」「ヨーグルト」「あずき」
「チョコレート」「バニラ」「チーズ」の詰め合わせセット。
―今回は岩瀬牧場のジェラートショップから2品、紹介いただきました。
岩瀬 ジェラートショップの商品は、どれも岩瀬牧場の牛乳のおいしさを生かすという点にこだわって開発、製造しています。「岩瀬牧場カップアイス」(120ml 10個セット)も当社の牛乳をベースにしています。具材はかぼちゃや小豆は北海道産を使っています。
10個セットの中で特におすすめなのは「しぼりたてアイスミルク」で、濃厚さの中にさっぱりした味わいがありおいしいです。ほかのアイスミルクはこの「しぼりたてアイスミルク」を素に作られている、10個の中の原点です。どのアイスを食べてもしぼりたての牛乳が包み込んでくれるという点で、包容力があります。個人的には、抹茶とかごま、チョコレート味が好きですね。他社製品も食べますが、『やっぱりうちのがおいしいよね』と思います(笑)。
「しぼりたてアイスミルク」は「岩瀬牧場カップアイス」の基本の味。
「岩瀬牧場カップアイス」(120ml 10個セット)の中の「ストロベリーミルフィーユ」。
イタリアのストロベリーペーストを使ったいちごの味わいが堪能できる一品。
「全国選抜ご当地アイスグランプリ2012」で最高金賞を受賞した。
「酪農一番」は濃厚クリームチーズと、酸味のあるフロマージュブランの
2種類を使った贅沢な味わいのベイクドチーズケーキ。
土台の香ばしいサブレ生地には岩瀬牧場の搾りたてミルクが使われている。
―チーズケーキ「酪農一番」のおいしさのポイントは?
岩瀬 ベイクドチーズケーキをうちが本気で作ったらこういう商品になりますと言いたくて開発した商品です。クリームチーズは濃厚なオーストラリア産のものを使っています。酸味のあるフロマージュブランと2種類を使っていますが、チーズが全体の48%と濃い分、レモン果汁を入れていて、重くなくさっぱりした味わいが特徴です。ベイクドチーズケーキが好きな方はぜひ味わっていただきたいですね。
「酪農一番」はジェラートショップでも人気のメニュー。
―今後の岩瀬牧場はどんな展開を考えていらっしゃいますか。
岩瀬 常に選ばれる牛乳でありたいと考えています。
注目しているのがA2ミルクです。牛乳を飲むとおなかがごろごろする人がいるのは、牛乳に含まれるβ-カゼインというたんぱく質が関係していて、ごろごろしやすいA1タイプと、なりにくいA2タイプがあります。
A2タイプのβ-カゼインを含む牛乳がA2ミルクです。誰にでも飲みやすい、飲む人に寄り添う牛乳で、当社では2018年からA2ミルクになるよう牛群改良に取り組んでいます。
また、岩瀬牧場の製品が海外で展開できたらいいと考えています。
―本日は有意義なお話をありがとうございました。
「岩瀬牧場カップアイス」(120ml 10個セット)
価格:¥3,600(税込)
店名:岩瀬牧場オンラインショップ
電話:0120-113-529(9:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.iwasefarm.co.jp/cn4/ice-top.html
オンラインョップ:http://www.iwasefarm.co.jp/online-shop.html
「酪農一番」
価格:¥1,750(税込)
店名:岩瀬牧場オンラインショップ
電話:0120-113-529(9:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.iwasefarm.co.jp/cn4/cn31/pg2866930.html
オンラインョップ:http://www.iwasefarm.co.jp/online-shop.html
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
岩瀬 亮輔(有限会社岩瀬牧場 代表取締役)
1982年北海道砂川市生まれ。高校卒業後、アメリカ・ニューヨークでフードマネジメントを学ぶ。2003年実家である岩瀬牧場に戻る。2007年乳質の向上と牛が自由に過ごせる環境作りを考え、放牧酪農に切り替える。2018年取締役就任。同時に牧場全体の生乳をA2ミルクになるよう牛群改良に取り組む。2022年代表取締役就任。
<文・撮影/今津朋子 MC・撮影/鯨井綾乃 画像協力/岩瀬牧場>