和田久_top

枕崎産の鮪節を削った「鮪ソフト」。ご飯のお供、料理のトッピングにぴったり。

2023/04/18

今回、アッキーこと坂口明子編集長が注目したのは枕崎産の鮪節を削った「鮪ソフト」。鮪節は鰹節とはまた違ったコクがある上品な味わいで注目されています。鮪の味を最大限生かした「鮪ソフト」はお料理をグレードアップさせる強い味方。この、鮪ソフトの味の秘密を株式会社和田久、会長の和田昇三氏に取材スタッフが伺いました。

株式会社和田久 会長の和田昇三氏
株式会社和田久 会長の和田昇三氏

―御社は創業98年。あと2年で創業100年になります。

和田 そうです。株式会社和田久は私の父が兵庫県の淡路島から大阪に出て丁稚奉公し、神戸で修業した後、上京して1924年(大正14年)に日本橋馬喰町(東京都中央区)で鰹節商として創業しました。その後、両国に工業を建て、私はそこで生まれました。削りの作業場が遊び場でしたね。戦後、築地の東京中央卸売市場内に出店しました。

―会長は2代目なのですね。

和田 鰹節屋としては2代目ですが、実は父の実家は淡路島では江戸時代から続く「和田屋」という商家でした。作家・司馬遼太郎は『菜の花の沖』で江戸末期に日露交渉の橋渡し役を務めた高田屋嘉兵衛の一生を書きましたが、わが家は高田屋嘉兵衛の伯父の血筋を引いています。「和田屋」から数えると私は11代目になります。

和田久_2
和田久の鰹削り節は枕崎産の鰹を3段階にわたり熟成させ、うま味を凝縮させて作られる。

―ご両親はどんな方でしたか。

和田 おやじはアイデアマンでね、戦前には陸軍に商品を納めたり、戦後は鉄鋼関係の仕事もしていました。新しいことをするのも好きで、1988年には江東区北砂に工場を建て、いち早く機械を入れ削り節の生産を自動化しました。1977年には業界で初めて削り節の真空不活性窒素ガス充填包装を業務用に開発しましたし、1980年には削り節を簡単に煮出しせる「ブレンドだしパック」を業務用に作りました。

―パイオニア精神溢れる方だったのですね。

和田 高度成長期には1日に何回もうちから仕入れるトラックが来るほど繁盛しましたが、築地に移った当初は商品が売れない時代があったそうです。母はいつも、お客様が1人いらして一つひとつ売る積み重ねで今があると言っていましたね。父も母も大変な思いをして朝早くから働いていたのを見ていました。

私も入社してからは、早朝から工場に行って、その後は築地の店に行き、夜は夜で父のつきあいに同行したりして1日中働き詰めでした。今考えるとよくやったなあと思いますね(笑)。でも、楽しかったですよ。仕事は楽しくないといけません。いつも笑顔で楽しくやる。そんな気持ちで今もやっています。

和田久_3
鹿児島県枕崎での鰹節を天日干しする光景。

―心に響くお言葉ありがとうございます。御社の商品の特徴をご紹介ください。

和田 まず原材料は鹿児島県枕崎産の鰹節を中心に選び抜いたものを使っています。これを常温でじっくりと「ねかせ熟成」した後、「天日干し」します。さらに削る工程で「遠赤外線焼軟」をする3つの熟成方法で鰹のうま味を最大限引き出しています。「天日干し」は手間がかかるので今はやっているところが少なくて。時代に逆行しているような製法でね(笑)、手間がかかりますが、その分うま味が凝縮されます。全然違うんですよ。
私は「天日干し」すると鰹節がおいしくなることを科学的に証明しようと、1995年から京都大学大学院の眞鍋教授といっしょに研究を始めました。太陽が鰹節に与える影響を科学的見地から調べた結果、翌年の1996年、天日干しするとうまみ成分であるヌクレオチドの含有量が多くなり、水分のクラスター構造が発達することが判明しました。お天道様の恵みがおいしい鰹節を作ることが実証されました。

和田久_4
和田久の鮪削り節「鮪ソフト」。
和田久が業界に先駆けて開発した不活性ガス充填包装がされ、新鮮度が保たれる。
パッケージを開いた途端、鮪削り節の上品な香りがふわっと立ち上る。

―今回は「鮪ソフト」をご紹介くださいました。

和田 鰹節はよいだしが出ておいしいのですが、鮪には鮪のおいしさがあり、鮪のだしを使う高級料亭があります。私は甘味があって優しい味わいの鮪が好きでね。2015年にきはだまぐろ節を細く薄くふんわりと削った「鮪ソフト」を作りました。白くてきれいな削り節ができました。鰹節には少し酸味がありそれが持ち味になっていますが、鮪は酸味が少ないので海外の人にも好評です。

私はこれを宣伝するために、茶碗に「鮪ソフト」を入れ、梅昆布茶を加えてお湯を注いだものを用意して店頭に立ち、試飲サービスをしました。紙コップに入れれば手間は省けるけれど、それは嫌なのでそのためにオリジナルの湯飲みを製作してね。当社は2018年に豊洲に「豊洲市場店」を開店しましたが、豊洲の店でも試飲してもらったら1日400袋も売れました。「和田さんのとこは人がいっぱいだね」と言われてうれしかったですね。

和田久_5s
「鮪ソフト」と梅干し、細切り昆布を好みで各適量茶碗に入れ、湯を注げば即席和風スープができる。
うま味が体に沁みとおるようなおいしい天然のスープだ。
和田久_6
和田久_7
食材の味を引き立ててコクを出す「鮪ソフト」はほうれん草のお浸しや冷奴にぴったり。

―家ではどんな使い方ができますか。

和田 ほうれんそうのお浸しにトッピングしたり、冷奴の上にのせると味が引き立ちます。レタスやトマト、パプリカにのせると和風テイストのサラダになります。

和田久_8
サラダにのせれば和風サラダとして楽しめる。

―会長の今後の希望はありますか。

和田 会社は息子たちが頑張ってくれているので安心です。私としては「鮪ソフト」の良さをもっと多くの人に知っていただきたいですね。店頭での試飲サービスはコロナの影響でできなくなりましたが、状況がよくなればまた再開したいですよ。
ご協力くださる方がいたら、どこでも削りの機械を持って行って鮪節を削って、削りたてをスープにして味わっていただきたいです。できれば海外にでも行きたいものです。
あと、鰹節や鮪節でスイーツができないかなと考えてもいます。厚く削ってチョコレートや抹茶クリームをコーティングするとかね。いろいろ考えていると楽しいですよ。

―本日は楽しいお話をありがとうございました。

鮪ソフト

「鮪ソフト」(40g)
価格:¥605(税込)
店名:和田久オンラインショップ
電話:03-3640-0009(8:00~16:00 市場休市日、日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.wadaq-sanq.com/SHOP/1813.html
オンラインショップ:https://www.wadaq-sanq.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
和田 昇三(株式会社和田久 会長)

1938年生まれ。1961年株式会社和田久に入社。1981年社長に就任。2013年会長に就任。2002年藍綬褒章を受賞。

<文・撮影/今津朋子 MC/升谷遥香 画像協力/和田久>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter