言わずと知れた高級肉の近江牛を、明治時代から提供し続けてきた「松喜屋」。丁寧に育てた美味しい肉を生産・販売し続けています。A5などの一般的な等級とは一線を画した、独自の美味しさのランク付けもあるということで、今回も、編集長アッキーと取材班がお伺いしました。
「すき焼きなら松喜屋」と言われる近江牛専門店から、最高級の味をご家庭へ。通だけが知っている贅沢カレーも必食。
2023/05/24
株式会社松喜屋 代表取締役 西居基晴氏
―近江牛の老舗、銀座にお店があった、すき焼きの「松喜屋」さんですね?
西居 弊社は、明治時代から滋賀県竜王町で牛馬商をしておりまして、近江牛を育てて、東京のお店へ牛肉を納入していました。当時は文明開化の時代で、牛鍋をやっていたんです。それが、近江牛のすき焼き屋の元祖「松喜屋(まつきや)」さんですね。
当時としては画期的なことだったのですが、牛を船で運んでいました。神戸港から横浜港へ船で運び、そこから東京・銀座のお店に運んだんですね。その後は鉄道ができたので、貨物列車になりましたけれど。
そういったご縁で、大正末期に、3代目の祖父・西居義雄が暖簾と職人を継承し、瀬田川畔石山に店舗を構え、現在は、4代目の私が石山の本店を営業しています。
瀬田川畔石山にある現在の「れすとらん 松喜屋」本店。
―牛の育て方が独特とか?
西居 預託と言いまして、子牛を買い付けて、それを指定の農家さんに委託して飼育してもらい、仕上がったところで引き取るという方式を取っています。農家さんと一緒に飼育方法や体重管理なども密にコミュニケーションしながら育てることができ、肉質が安定します。
あまり一般的なやり方ではないですが、1年間に出荷する総数の、3分の1程度をこの方法で丁寧に生産しています。
―地域産業の活性化にもなりそうな取り組みですね。改めて、「近江牛」の人気のわけは?
西居 脂質がいいということですよね。人肌で溶ける脂が特徴です。サシがたくさん入っているような見た目が派手なお肉ではないのですが、それは肉のキメが細かいということなんです。
―御社では、独自の美味しさの等級があるとか?
西居 一般的な「A5」といった等級ではなく、独自のランクづけをして価格を決めています。
実は、「A5」といったランクは霜降り具合を視覚で見ているだけで、肉質とか脂質とかのことを指しているわけではないんです。うちの場合は、「食べて美味しいお肉」というのを基準にしています。
同様に、よくみなさん「色がきれい」「霜降り」「柔らかい」とかとコメントされますが、実はそれは「味」の表現ではないですよね?うちでは見た目や柔らかさというより、「食べて美味しい味」にこだわっています。
具体的には、職人が手で触って、脂、肉質を判断しています。脂自体がカチカチの硬い脂ではなく、人肌で溶けるものでないとダメです。触って脂がなじむものでないと。硬いとパサパサで美味しくないんです。
また、水分を極力飛ばしています。それぞれ個体によって水分量が違うので、見極めは大事です。私自身が冷蔵庫の現場へいって、一頭一頭、仕上がりを判断しています。乾かし過ぎてもダメですが、水っぽいと味が凝縮されないので、見極めが重要です。
―一番のオススメの食べ方は、やはり「すき焼き」でしょうか?
西居 「すき焼き」か「しゃぶしゃぶ」ですが、うちの肉は「すきしゃぶ用」としています。サシが細かいため、あまり薄く切れないのです。これ以上薄くすると鍋でバラバラになっちゃいますから(笑)。そのため、少し厚めにカットしていますが、両方に使えます。
一番のオススメはやはり「すき焼き」です。シンプルに醤油と砂糖で召し上がってほしいです。
細かいサシの入った見事な近江牛。
すき焼き・しゃぶしゃぶと、どちらでもOK。
―お店は大繁盛店ですが、ネット販売にも力を入れていらっしゃいます。
西居 今の時代、ネット通販は強化部門ではありますから、いかにお客様に美味しく届けるかを研究しています。
やはり美味しい状態で届けることが一番の課題です。うちでは、ー40℃の超低温冷凍で、出来るだけ早く冷凍状態にしています。1〜ー4℃の通過時間をいかに短くするかが美味しさを維持するために大切だと科学的に言われていますので、超低温の冷凍庫を導入しています。
また、お届けする際は、竹の皮に入れています。竹の皮には殺菌作用があるといわれています。レトロ感というか、風情もありますよね。これもこだわりです。
さらに、ガスパックといいまして、特殊なガスを注入しています。変色を防止して、これは開けた時の喜びに繋がるかなと思っています。
出荷するまでにかなり手をかけてます。とにかく美味しい状態のままお届けできるように。そこだけですね。
竹の皮に包まれて届くお肉。
封を開けた時のワクワク感も大きくなりそう。
―ご紹介いただいた「近江牛肉 すき焼き肉 極上ロース」の特徴は?
西居 ロース、肩ロースという部位で、最高級とされる評価の高い部位です。サーロインなんかもその一部です。
食べ方は、「すき焼き」がやはりいいですね。すき焼きでなければ、さっとフライパンで炙るだけでも美味しいです。
関西の「すき焼き」では、お肉を脂で焼いて、醤油と砂糖でさっと味付けして食し、そのあとの肉汁で野菜を焼きますね。東京の方にもおすすめしたい食べ方です。
―今回は、「プレミアムビーフカレー」もご紹介いただいています。
西居 レギュラーカレーは以前から好評をいただいていましたが、もっとお肉がゴロゴロ入ったものを作ってみたいと思い、開発しました。いくら高くてもいいから、とにかくお肉たっぷりなものをという発想です。
実際、230gの内容量のうち、お肉の分量が100g(生肉換算)です。ほとんど肉、というか、ビーフシチュー並みに肉が入っています。「毎スプーンに肉だね」なんて言いながら作りました。
ただ、肉を多くしたら、ルーの味が変わってしまって。なので、そこからルーも作り直しました。総料理長が必死で、なんども配合をやり直して完成しました。
近江牛がゴロゴロ入ったカレーは、まさにプレミアム。
カレーマニアも驚いてくれそう。
―お値段もやはりプレミアムですが、どんな方が購入されますか?
西居 カレーは子どもから年配までファンの年齢が幅広いですよね。でも、年齢によって好みは変わります。大人の方で、贅沢な美味しいカレーが食べたい、という方向けを作りたかったんです。そういう層の方に喜んでもらえるものになったと自負しています。「レトルトカレーでこの高級さ!」というサプライズ感があるものになりました。
味は、やはり大人向けのスパイシーな味になっています。お肉は、お店で手切りした近江牛を工場へ送っています。
品質の方が大事なので、量販は目指してません。知る人ぞ知るでいいと思っています。製造は工場にお願いしていますが、本社で一元管理にして、味見も毎回しています。
―ちなみに、レトルトカレーにも食べ方のコツがあるとか?
西居 消費期限内にはもちろん食べていただきたいのですが、少し寝かせると美味しいんですよ。カレーって一晩おいたほうが味が馴染むと言いますよね。レトルトカレーでも同じなんです。一度試してみてください。
―豆知識ですね。今後の展開について、お聞かせください。
西居 最初にお話した、牛の生産についてですが、預託の割合をもっと増やしていきたいですね。
今、畜産業はどんどん減っていってしまっています。産業自体が縮小すると得るものがなくなってしまいますから、そこに手を入れられたらと思っています。
近江牛は長期飼育なんです。地域でも違うのですが、24ヶ月くらいで出荷するところもあります。うちでは、黒毛和牛を丁寧に30ヶ月くらいかけて生産しています。若年では出しません。それは、牛にあまり無理させずに大きくしているということです。やはり飼育期間と味は比例しますから。
―これからも美味しいお肉を食べるには、地域の生産者さんとの協力が欠かせないのですね。さらに近江牛のファンになりました。ありがとうございました!
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価格:¥12,204(税込)
店名:松喜屋
電話:077-534-1211(10:00~19:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.matsukiya.net/oumigyu/products/detail/472
オンラインショップ:https://www.matsukiya.net/
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価格:¥4,968(税込)
店名:松喜屋
電話:077-534-1211(10:00~19:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.matsukiya.net/oumigyu/products/detail/359
オンラインショップ:https://www.matsukiya.net/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
西居基晴(株式会社松喜屋 代表取締役)
1966年滋賀県生まれ。同志社大学卒業後、株式会社大丸に入社し、4年間の修業期間を経て1992年株式会社松喜屋入社、1994年同社代表取締役就任。地元の商工会議所にも注力している。
<文/尾崎真佐子 MC/和田英利 画像協力/松喜屋>