さっぱりとした甘味がほしくなるこれからの季節。独特のコリコリ＆歯切れのよい食感が楽しめる“ところてん”を使った「フルーツあんみつ」で、とっておきのおやつタイムを過ごしてみてはいかがでしょう？作っているのは、静岡県に工場を構える「栗原商店」。ところてんの原料となる天草の産地・伊豆から、全国においしい甘味を届けてくれる5代目社長・栗原康浩氏に商品誕生秘話を伺いました。

株式会社栗原商店 代表取締役社長の栗原康浩氏

―創業は1869年。古くからところてんを製造・販売されていたのでしょうか？

栗原　先代である父の代まではこんにゃくをメインとした製造卸業で、ところてんは夏場にだけ作っていました。スーパーマーケットを中心に卸していたのですが、90年代に入るとバブル崩壊や大店法の緩和等の影響で地元のスーパーが相次ぎ閉店。卸先がなくなってしまいました。私が入社したのは、ちょうどその頃です。

各種「フルーツあんみつ」と「富士山羊羹」を詰め合わせたギフト商品。
竹かごと風呂敷を使った高級感あるラッピングなので、
大切な人への贈り物やお祝いごとにもぴったり。

―ネット販売に舵を切ったきっかけは？

栗原　卸先もなくなり、これからどうしていこうかという時に、東京まで楽天の三木谷さんのお話を聞きに行ったんです。そこでインターネットの可能性を感じ、ネットでの販売を始めました。それがちょうど2000年のことです。しばらくは卸しも続けていましたが、2005年に卸事業は廃止。中心に据える商品もこんにゃくからところてんに変更し、「ところてんの伊豆河童」の名で通販を主軸に行うようになりました。

あんみつには、寒天ではなく“ところてん”を使っているので
独特のコリコリ感と歯切れのよさが楽しめる。
ローカロリー＆食物繊維豊富なので、健康や美容を意識する方にもおすすめ。

―なぜ、ところてんに特化されたのですか？

栗原　こんにゃくの原料は、静岡県では採れないんですよ。なのでネット販売する時に商品の特徴づけや、他社との差別化がしにくかったんです。その点、ところてんの原料となる天草は、伊豆産が全国で最も高価で質が良いといわれています。
弊社ではとくに良質な海女さん手摘みの天草を、通常の2倍量使用。富士山の伏流水である柿田川湧水で煮溶かして冷やし固めることで、コシがあり、喉ごしの良いところてんに仕上げています。

数年かけて探したという餡は、京都の老舗製餡所のもの。
沖縄産黒糖100％の黒蜜は、濃厚ながらもスッキリとした甘みで後味も◎！

―昔ながらの製法で作っているのでしょうか？

栗原　実を言うと、スーパーに卸していた頃は短時間・大量生産向きの圧力釜で作っていたんです。でもネット販売をメインにすることに決めた時、祖父の代まで使っていた“開放釜”に戻しました。圧力釜なら1,2時間で煮上がるのですが、開放釜だととろ火でじっくり5時間ほどかかります。天草は収穫する年や地区によって状態や特性が異なるので、煮上がり具合を見極めながらエキスを抽出していきます。熱いうちに布で3回漉してなめらかにしてから、自然冷却で固めるという製法です。時間も手間もコストもかかるのですが、その分上質なものが作れますので、お客様にもご好評いただいています。

抹茶を練り込んだところてんをお茶の香りの蜜で味わう「フルーツお抹茶かさね」、
素材の美味しさが際立つクセのない白蜜味など、計4つのフルーツあんみつが楽しめる。

―「フルーツあんみつ」は昨年販売開始した商品だとか。

栗原　ところてんと餡、蜜をセットにした「あんみつ」は以前から販売していたのですが、「フルーツあんみつ」を作れるようになったのは去年なんです。ずっと「やっぱりあんみつにはフルーツが乗っていないといけない」という想いを抱いていたものの、フルーツを長期保存するノウハウがなく、製法を確立できていなくて。フルーツはとくに傷みやすいので、糖度をあげたり、pH値を調整したり、色々工夫が必要なんです。他社製品を買って研究したり、製法に関して様々な所に問い合わせたり、2年ほどかけてそこをなんとかクリアしていきました。

「富士山羊羹」は富士山をかたどったひと口サイズの羊羹。
カラフルな見た目と、枇杷や桜葉、青柚子などユニークなフレーバーに胸がときめく。

―最後に今後のビジョンをお聞かせください。

栗原　伝統的な製法を守りながら、ほかにはないものを作っているという自負がありますので、今後もやっぱりところてん、あんみつを中心としたものづくりと販売を続けていきたいですね。販売方法は時流にのった方法を試みながら、守るところは守って、新しさも取り入れるというスタンスでやっていければ、と思っています。

―本日はありがとうございました！

「ギフト フルーツあんみつ 4個 春吉富士 富士山羊羹 竹籠風呂敷セット」
価格：¥5,501（税込）
店名：ところてんの伊豆河童本店
電話：055-975-0100（9:30～17:00 土日祝日を除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.tokoroten.co.jp/c/gift/fruitanharukichi
オンラインショップ：https://www.tokoroten.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
栗原康浩（株式会社栗原商店 代表取締役社長）

1966年静岡県生まれ。東京農業大学卒業後（株）菱食（現・三菱食品（株））にて4年働いた後、1994年入社。2010年に代表取締役に就任。近年は地元の活性化の為、「伊豆ところてん倶楽部」代表や「アスルクラロ沼津」のスポンサーなどでも活動しています。

＜文・撮影／野村枝里奈　MC／鯨井綾乃　画像協力／栗原商店＞