今回、編集長アッキーが気になったのは、静岡県三ヶ日町で蜂蜜やみかんジュースを販売する「長坂養蜂場」。株式会社長坂養蜂場・代表取締役の長坂善人氏に、商品の特徴を取材陣がうかがいました。
すっきりした甘さでゴクゴク飲める 「三ヶ日みかん青しぼり」 高品質へのこだわりとフルーティな美味しさ 「国産三ヶ日みかん蜂蜜 450gボトルタイプ」
2023/06/29
株式会社長坂養蜂場 代表取締役の長坂善人氏
―創業の経緯を教えてください。
長坂 1935年に祖父が創業しました。祖父は8人兄弟の末っ子で、家が貧しかったので高校に行けず丁稚奉公に。しかし肋膜炎を患ったため、2年ぐらいで戻ってきて、家で寝こんでいる青年時代を過ごしていました。当時祖父の父が趣味で庭先でミツバチを飼っており、そのミツバチの恵みで滋養をとって自身の健康を回復させたことから、「養蜂業をやろう」とスタートしたのです。
当時は蜂蜜を軒先で近所の人に売ったり、一斗缶で問屋さんに販売する商売でした。それが2代目の父の代になり、蜂蜜を使った蜂蜜飴の開発を行い、少しずつ蜂蜜商品の販売に力を入れていく事になりました。
静岡の三ヶ日町は日本でも有数のみかんの産地。ミツバチと自然にやさしい養蜂を行っています。
―2013年に代表取締役に就任されていますが、小さい頃から家業を継がれるつもりでしたか?
長坂 長男だったので継ぐつもりでしたが、就職の際、父から「継がなくてもいい」と言われたので全く関係のない仕事に就きました。2001年に現在の店舗に移転した際、忙しさのため母親が病気になってしまい、私も会社を休んで手伝いに行っていたのですが、そのときに父から「継いでほしい」と言われたのです。すぐに入社するのではなく、取引先の蜂蜜製造会社で修業をし、一通り学んでから、家業に入りました。
―「ぬくもりある会社をつくりましょう」という経営理念について教えてください。
長坂 修行から帰ってきた当初、スタッフは10人程度でしたが、そこから新しい商品を作ったり、通販を強化したりして、会社として規模が大きくなってきました。そんな中で、「経営で一番大切なのは共に働く人とその家族の幸せ」だという人を大切にする経営学会会長の坂本光司氏の講演を聞き、衝撃を受けました。ただの仕事場での関係ではなく、家族で支え合っているミツバチと同様、大きな家族のように共に働く人と接することが大事だと気づき、「ぬくもりある会社をつくりましょう」を経営理念にしたのです。
―コロナ禍の影響はありましたか。
長坂 お店のある三ヶ日町は人口1万4,000人の町ですが、年間30~35万人ぐらいのお客様がお店に来てくださっていました。そんな中当時コロナが蔓延しだしスタッフも地域の人も心配するだろうと、全国緊急事態宣言が出る前に閉店をすることを決め、ふだんなかなかできなかったミーティングを重ねました。結果、スタッフ発案の商品が生まれたり、通販のお客様に手書きでお便りを送ったりすることを始めました。すると毎日お客様からは何通もの手紙が届きだし、「手紙に感動しました」「涙が出ました」といったお声をいただきました。コロナ禍で色々と変えていったものもありますが、コロナ禍でも経営理念や創業の精神など、大切な事を大切にすることが、平時も緊急時も大事だと感じました。
―今回ご紹介させていただく「三ヶ日みかん青しぼり」について教えてください。
長坂 みかん農家さんは夏に成りすぎているみかんを間引きします。長坂家では母がこの間引きした青みかんを絞って、蜂蜜を入れたジュースをつくってくれいつも飲んでいました。青みかんも蜂蜜も体にいいものなので、まず長坂家の味を商品にしようと、私が最初に作ったのがこのジュースです。今でこそSDGsと言われ、廃棄するものを再活用する動きがありますが、当時は捨てるものをわざわざ収穫するわずらわしさがあり、大量のみかんを集めることも大変でした。最初の年に販売が成功したので、みかん農家さんも喜んでくれ、毎年、快く購入させてくれるようになったのです。「三ヶ日みかん青しぼり」はさっぱりと飲めるので夏場に人気です。
早摘みした青みかんの酸味とはちみつの相性がピッタリ。
―「国産三ヶ日みかん蜂蜜 450gボトルタイプ」はどういった商品でしょうか。
長坂 当店では日本一厳しい自社基準で最高品質の蜂蜜をお届けしています。江戸時代から三ヶ日みかんの栽培が始まりましたが、ここは日本で一番日照時間が長く、温暖な地域で、みかんの花もすごく蜜を出します。ほかのみかん産地はいろんな品種があるのですが、三ヶ日は早生と青島のほぼ2品種だけです。加工場もないのですが、それは、加工しなくても農家さんが食べていけるためで、全国でも貴重な産地なのです。みかんの種類が2種類だけなので、いろんな柑橘の花蜜が交じり合わず、三ヶ日みかんのみの蜂蜜が完成します。透き通った色と香りの高さ、すっきりとした甘みが特徴です。
みかんの爽やかな香りが広がる。
今の上皇様が皇太子の時代に、毎年浜名湖にご静養に来られていました。その折、県知事からのお土産品として、当店の三ヶ日みかん蜂蜜を毎年献上させていただいておりました。
上皇様に献上していた蜂蜜。
また、年によっては他の花の蜜が混じることがあります。お客様にはわからない程度の味の違いがあるのですが、三ヶ日みかんの名前をつかっているものに関しては厳格であろうという考えで、他の蜜が少しでも混ざったらそれは三ヶ日みかん蜂蜜としては売らないことにしています。
みかんジュースも同様で、みかんの出荷のタイミングが遅れて、若干、味がぼやけた年がありました。工場に果汁の加工代は支払っても、その果汁を使ってジュースはつくりませんでした。
地元民として私も三ヶ日みかんに誇りを持ってますし、何よりみかん農家さんの苦労も知っております。みかん農家さん達へのリスペクトも含めて、三ヶ日みかんの名前がつく商品の品質にはとてもこだわっています。
―おすすめのアレンジレシピはございますか。
長坂 ギリシャ系の水分の少ないヨーグルトにたっぷりの三ヶ日みかん蜂蜜を入れると、それだけでスイーツになるぐらい美味しいです。クリームチーズともすごく相性がいいですね。
ヨーグルトとの相性が抜群。
―ご購入された方からの感想はいかがですか。
長坂 みかんの花の香りに感動される方が多いですね。みかんの花は「ネロリ」という精油のもととなる香りで、癒しの力が強いことで知られています。みかんの花が咲く時期は1年のうち1~2週間なのですが、町中がいい香りに包まれます。
マフィンやトーストにバターとともにハチミツを。
―今後のビジョンや展望をお聞かせください。
長坂 週末の朝食でホットケーキに蜂蜜をかけて食べるだけで何だか幸せを感じるように、蜂蜜のある暮らしで幸せ感が得られます。ミツバチは蜂蜜をもたらすだけでなく、花の受粉を手伝って、そこから実が成って、果物が出来上がり、花や植物の循環にとっても大切な存在です。私どもはこういったミツバチの生き方から学び、恵みに感謝をして、すべての人が幸せになるような会社でありたいと考えています。三ヶ日町内のどこかにぬくもりの感じられる健やかな暮らしを体験できる施設の集合体「ぶんぶんヴィレッジ」をいつか実現出来たらと思っております。単にビジネスを拡大したいわけでなく、ぬくもりのある世界観や価値観を表現し、お客様により深く楽しんでいただけるそんな場所をつくっていきたいと考えています。
―貴重なお話をありがとうございました。
「国産三ヶ日みかん蜂蜜」(450gボトルタイプ)
価格:¥3,480(税込)
店名:長坂養蜂場
電話:0120₋40₋1183(9:30~17:30 毎週水・第2火曜を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://www.1183.co.jp/c/all/japanese/2130
オンラインショップ: https://www.1183.co.jp/
「三ヶ日みかん青しぼり」
価格:¥1,080(税込)
店名:長坂養蜂場
電話:0120₋40₋1183(9:30~17:30 毎週水・第2火曜を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://www.1183.co.jp/c/all/drink/8110
オンラインショップ: https://www.1183.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
長坂善人(株式会社長坂養蜂場 代表取締役)
1977年静岡県浜松市三ヶ日町生まれ。大手はちみつメーカーにて3年間の修業期間を経て2005年10月に入社。2013年に同社代表取締役に就任。2010年に経営理念「ぬくもりある会社をつくりましょう」をつくり、人を大切にする経営を実践。2020年「日本でいちばん大切にしたい会社大賞 審査委員会特別賞」を受賞。
<文/垣内栄 MC/鯨井綾乃 撮影/坂口明子 画像協力/長坂養蜂場>