「本当においしいコーヒー」を追い求め “小さな焙煎”にこだわる土居珈琲 「甘いブレンド」「グァテマラ カペティロ農園」

2023/07/14

「本当においしいコーヒーって、どういうコーヒーなのかしら?」と考えていた編集長アッキーのアンテナに引っかかったのは、大阪・堺に本社を置く土居珈琲。「どの銘柄を飲んでも、本当においしい」と評判のコーヒー通販専門店です。なぜ、土居珈琲が作るコーヒーはおいしいのか、他のコーヒーと何が違うのか、代表取締役社長の土居陽介氏にお話を伺いました。

株式会社土居珈琲代表取締役社長の土居陽介氏

ー創業の経緯をお聞かせください。

土居 1971年、私の父である土居博司が創業しました。父はそれまで別のコーヒー会社に勤めていたのですが、思うところがあって独立。自分の会社を立ち上げたのです。
1970年初頭、日本には喫茶店開業ブームが起きていて、「脱サラをして自分の喫茶店を開く」というのが流行しました。当時の日本は娯楽が少なく、「休みの日に喫茶店に行く」というのがレジャーの1つだったようです。そしてコーヒー自体も、飲んだことのある人の数はまだまだ少なかった。そうした状況だったので、喫茶店の看板を上げればそれだけで、お客様がたくさん来店したんですね。
その頃のコーヒー会社の主な業務と言えば喫茶店にコーヒーを卸すことでしたから、喫茶店がどんどん増えるのは大歓迎。父が会社に勤めていた時も、新しく開店した喫茶店に飛び込みさえすれば新しい得意先を獲得できたそうです。
ただ、父はもともと職人気質の人だったので、喫茶店へ営業に回っているうちに自分でコーヒー豆を焙煎したくなったんですね。そして、「自分だけの味」をお客様に味わっていただきたい。そう考えて自分のコーヒー会社を創業したというわけなのです。

ーお父様の「自分だけの味」とは、どういう味だったのでしょう?

土居 当時は、コーヒーに求められたのは味よりも価格でした。ですから、喫茶店が取引先として選ぶのは、納入価格が安い会社。しかし、安いコーヒーを作ろうとすると、使える生豆は限られてしまいます。父としては、それは納得がいかない。というのも、父には最初から、「自分が作りたいコーヒーの味」が明確にあったからです。
父が理想としたのは、「何杯飲んでも飽きない味わい」のコーヒーでした。それを実現するためには品質の高い生豆が必要で、そうなれば当然、価格の高い生豆を使わなければいけません。つまり、当時のコーヒー会社の流れとは逆のことをしないといけない。それでも、父は自分の考えを曲げなかったんですね。
実際、私も子どもの頃から父が焙煎したコーヒーを飲んでいて「おいしい」と感じました。そして、「コーヒーの味はこういうものだ」と思っていたのですが、自分で喫茶店に行くようになると、なかなか「おいしい」と感じられない。そこで初めて、父のコーヒーの味は特別なのだとわかったのです。

土居珈琲創業者、土居博司氏。

ーでは、土居社長は自ら、お父様の後を継ぎたいと?

土居 いえいえ。父は気性が激しく、怖くて、どちらかと言うと私は父を避けていました。ですから、後を継ぐつもりは全くなかったんです。大学卒業後は、たまたま採用してくれた建築内装材を扱う会社に入り、営業職に就きました。時期としては、バブルが弾けた直後です。先のコーヒー業界の話のように、取引先から求められるのは質より価格。信頼関係も築けず、仕事にやりがいを感じられなくなり、辞めてしまったのです。ただ、すでに家族がいたので、すぐに次の仕事を見つけないといけない。今度は、自分に嘘をつかず、自信をもって仕事をしたい。自分が本当にいいと思うものをお客様にお届けして、信頼関係を築きたい……と考え続け、たどり着いた結論は父の会社に入ることでした。

ーそのタイミングで、インターネットでコーヒーの個人向け販売を始められたのですか?

土居 そうです。父がこだわり抜いて作るコーヒーはたしかにおいしいのですが、商売的には苦戦していました。いくつか理由はありましたが、最も大きな原因は喫茶店の減少でした。ブームに乗って増え続けていた喫茶店も、店主の高齢化などによって次々に廃業していったのです。喫茶店以外に、お客様と父のコーヒーが出会える場所はないだろうかと考えた時、頭に浮かんだのがインターネット販売でした。小さなコーヒー会社がテレビCMや新聞広告を出せるわけもない。でも、インターネットを使えばたくさんの人に父のコーヒーを知ってもらえるのでは、と考えました。
私が父の会社に入社した2000年当時、インターネットがかなり身近になり、一般の家庭でもパソコンを持ち始めていました。そこに望みをかけたのです。ホームページ制作を専門会社に頼むというのがいちばん手っ取り早いとは思いましたが、自分の思いや考えをお客様に伝えるにはやはり、他人に任せるよりも自分でやったほうがいいと考え、自分で作ることにしたんです。とはいえ、私はホームページ作成の知識もノウハウも持ち合わせていなかったので、パソコンの前で苦しむ毎日でした。そんなに大変な思いをしてホームページを立ち上げたのに、当然ながら注文はさっぱり(笑)。それが、ある時、全国紙で「インターネットで個人向けにコーヒーを販売している会社」として弊社のことが記事として取り上げられたのをきっかけに全国からたくさんのご注文をいただけるようになり、現在に至ります。

「とてもおいしかったから」と、大切な方へのギフトとして選ぶ人も多いそう。

ー土居珈琲ならではのコーヒーを作るために「小さな焙煎」にこだわっているそうですね。「小さな焙煎」とは、どういうことなのでしょう。

土居 通常、業務用のコーヒーは一度に大量の生豆を焙煎するので、大きな焙煎釜を使います。弊社は現在、業務用のコーヒーは作っていませんが、個人のお客様向けのコーヒーにしても、効率を考えれば大きな釜で一気にたくさんの生豆を焙煎したほうがいいのかもしれません。しかし、弊社は小型の釜を使っています。コーヒーの銘柄によって豆の持つ個性は違います。その個性を最大限引き出すには、それぞれ焙煎の時間や温度を変えないといけませんし、同じ生豆でも季節によって焙煎を変える必要があります。その微妙な調整はコンピュータではなく、やはり人間の手が頼りです。となると必然的に、コーヒー豆と焙煎士が直接対話できる小さな釜を使うことになるのです。
ほかに弊社のこだわりとして、コーヒー豆を作る際にはすべて「ハンドピック」しています。ハンドピックとは、人間の目で不良豆を取り除くこと。この作業は機械ではできず手間がかかるため省かれることもあるのですが、不良豆はコーヒーの味を大きく落とす原因となるので、弊社としてはそれを見逃すわけにはいきません。ハンドピックは手間も時間もかかるため1日に作れるコーヒーの量には限りがありますが、弊社では大量生産を目的としていませんし、良質で本当においしいコーヒーをお客様にお届けするためには、ハンドピックは欠かせない作業です。
なお、コーヒーをいちばん良い状態でお客様にお届けするために、すべてのコーヒーは出荷当日に焙煎しています。

土居珈琲では小型の焙煎釜6機をフル稼働して、お客様からの注文の都度、焙煎するのだそうです。
つまり新鮮、だからおいしい!
焙煎後、コーヒー豆を1粒1粒人間の目で確認。小粒な豆、変色した豆、形がいびつな豆、欠けた豆などの不良豆は
コーヒーの雑味の原因になるので、丁寧に取り除きます。
不良豆の1つ、豆の中身がえぐれている「貝がら豆」。
送っていただいた豆はこのとおり、色づきも形もよく、ふっくら艶やかです。

ーまさに渾身の作であるコーヒーの中から、今回お薦めいただいたのは「甘いブレンド」と「グァテマラ カペティロ農園」です。それぞれ、特徴を教えていただけますか?

土居 「甘いブレンド」「グァテマラ カペティロ農園」のいずれも、お客様からの人気の高いコーヒーです。「甘いブレンド」は、父の土居博司が40年以上かけて、自分が理想とするコーヒー、つまり「毎日飲んでも飽きのこない味」を具現化したものです。飲みやすく、どんな料理にも合い、お客様の日常の中に置いていただける味にしたいと、ビターチョコレートのような甘みを重視して作ったブレンドコーヒーです。
「グァテマラ カペティロ農園」は人気が最も高い銘柄で、やはり深い甘みが特徴です。カペティロ農園は、グァテマラの数あるコーヒー農園の中でもトップクラスで、世界中から買付のオファーが殺到するほど、質の高いコーヒー豆を生み出しています。このカペティロ農園の生豆を取り扱っているのは、日本では弊社だけです。

トレードマークは、土居の「土」。
「甘いブレンド」は、ブラジル産銘柄をベースにコロンビア産銘柄、メキシコ産銘柄をブレンド。
ビターチョコレートのような甘み、柔らかな口当たりが特徴です。
「グァテマラ カペティロ農園」。柑橘系の爽やかさとナッツの甘さをあわせもつ、品のよい味わいと香りが特徴で、
後味にチョコレートの甘みを感じます。
カペティロ農園オーナーのペドロ・エチェベリア・ファリャ氏。
土居珈琲が取り扱っているのはカペティロ農園でも希少な「レッドブルボン種」。

ーおすすめのコーヒーのたて方、飲み方はありますか?

土居 商品をお届けする際には、ペーパーフィルターを使ったコーヒーのたて方をご紹介したリーフレットを一緒にお送りしていますが、たて方にさほどこだわらなくても、コーヒーメーカーでもおいしいコーヒーをたてられるのが弊社の自慢なんです。

ーコーヒーそのものの質が高く、おいしいということですね!

土居 と、自負しています。そのまま飲んでいただいてコーヒーそのものを味わっていただくだけでなく、この2つのコーヒーに関しては和菓子と一緒に楽しんでいただけたら。大福やおまんじゅうなど普段使いの和菓子とよく合います。ぜひ、お試しください。

おすすめいただいた通り、豆大福と黒糖まんじゅうと一緒に。たしかに合います!
とくに「グァテマラ カペティロ農園」と「黒糖」のコクがマッチしてしみじみおいしく、心からホッとする味わい。

ー最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

土居 時流に流されず、自分たちが「本当においしい」と思えるコーヒーをお客様にお届けする。そのためには効率や価格優先ではなく、良質な生豆を仕入れ、あくまでも「小さな焙煎」にこだわる……といったことは、この先も変えるつもりは全くありません。ですから、今後のビジョンといえば、土居珈琲として正しいコーヒー作りを続けていく、ということでしょうか。
ただ、今後もおいしいコーヒーを作り続け、多くの方に味わっていただくために、昨年4月から新しく「手と手 Connection Plan」を始めました。現在、コーヒーの産地でも効率化、機械化が進んでいて、ひとつひとつ手作業でていねいにコーヒー豆を育てる農園は、どんどん減っています。ただ、丹精込めて作られたコーヒー豆のほうが明らかに味わいが強く、おいしい。弊社がこだわる「小さな焙煎」には、彼らが作った豆が絶対に欠かせません。ですから、彼らには安心して、これまで通り昔ながらの農法でコーヒー豆を育ててほしい。それには彼らからコーヒー豆を買い続ける、つまり買い支える必要があると考えました。
そこで、彼らから定期的に一定量以上買い続けるために、お客様のお力をお貸しいただけないかと考えたのが、「手と手 Connection Plan」。ひとことで表すと「お客様に毎月必ずコーヒーを買っていただく」プランです。心を込めた手仕事で質の高いコーヒー豆を生産する農園と、彼らが育てた生豆の力を最大限引き出す努力を続ける弊社、そしておいしいコーヒーを求めていらして、なおかつ弊社の考えにご賛同くださるお客様の「手と手」、正確には「手と手と手」ですが(笑)、そのつながりを今後もずっと大切にしていけたらと考えています。

「手と手 Connection Plan」は毎月1回、土居珈琲からおすすめのコーヒーが届きます。
プラン概要は、「3つの“手と手”」¥5,076(税込)/200g×3銘柄、「小さな“手と手”」¥5,940(税込)/
100g×5銘柄、すべての“手と手”¥7,560(税込)/200g×5銘柄、です。

ー単なるサブスプリクションサービスではない、コーヒーを愛する人たちの温かいつながりを育み続けられる素晴らしい取り組みですね。貴重なお話を、ありがとうございました。

「甘いブレンド」200g
価格:¥1,944(税込)
店名:土居珈琲
電話:0120-49-5021(平日9:00-16:00)FAX:0120-164-518
定休日:土日祝(ただし、インターネット・FAXでのご注文は24時間365日受付)
商品URL:https://www.doicoffee.com/product/036/special-mix.html
オンラインショップ:https://www.doicoffee.com/

「グァテマラ カペティロ農園」200g
価格:¥2,268(税込)
店名:土居珈琲
電話:0120-49-5021(平日9:00-16:00)FAX:0120-164-518
定休日:土日祝(ただし、インターネット・FAXでのご注文は24時間365日受付)
商品URL:https://www.doicoffee.com/product/018/guatemala-capetillo.html
オンラインショップ:https://www.doicoffee.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
土居陽介(株式会社土居珈琲 代表取締役社長)

1971年大阪生まれ。2000年同社入社。喫茶店中心だった販路をインターネットを通じての個人向け販売に切り替えた。珈琲焙煎士。

<取材・文・撮影/鈴木裕子 画像協力/土居珈琲>

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