京都の名産品として人気の京漬物。日常使いからお土産やギフトへとその魅力を広げたのが、「京つけもの 西利」の名で知られる株式会社西利です。ブームを起こした浅漬やラブレ乳酸菌を使った漬物を開発するほか、近年は発酵をテーマに漬物の枠を超えた多彩な商品を提供するなど、伝統を守りながら常に新しい試みで業界をけん引しています。今回編集長アッキーこと坂口明子が気になった4代目で代表取締役社長の平井誠一氏に、企業としての想いや商品開発の経緯、こだわりなどを伺いました。

株式会社西利 代表取締役社長の平井誠一氏

―会社の沿革を教えて下さい。ご創業が昭和15（1940）年。

平井　私の祖父が老舗の西利商店から暖簾分けされ創業しました。製造卸が主でしたが、父の代で小売に転換。百貨店出店を広げ、祇園に初めて直営店を出しました。そしてブランド力向上のため商品のネーミングやパッケージ、店舗デザインなどにも力を入れた結果、商品が贈答に使われたり、お土産に選ばれたりするようになりました。

松原商店街の中に店を構えた創業時の様子。
本家の西利商店は現在なく、同社だけが「西利」の名を残している。
初代の平井太朗氏は、京都府漬物協同組合の初代理事長などを務め、
すぐれた後進を育成するなど京漬物業界の発展に貢献。

更に3代目の叔父は、刻んだ浅漬を百貨店でヒットさせ、次に「京のあっさり漬シリーズ」を発売して浅漬ブームを起こしました。一方で古来漬物は塩漬・発酵により食物繊維やミネラル、乳酸菌がとれる保存食として、日本人の体を守ってきました。叔父はその漬物本来の役割を大切に発酵についても研究を重ねていた中で、ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田博士と出会い共同研究でラブレ乳酸菌（注）を使った「西利 乳酸菌ラブレシリーズ」を開発したんです。こうした仕事を受け、私が4代目になっています。

京料理からヒントを得て、昆布だしで漬けた「京のあっさり漬」は、
浅漬ブームの火付け役に。

―大切にされてきたことは？

平井　一つは、社是である「旬 おいしく、やさしく。」です。旬のおいしいものを作る探求心を持ち、体にやさしいものを提供する。そして野菜を作る環境にもやさしい企業でありたいと、早くから環境保全活動にも取り組んできました。もう一つは、世の中に求められているものを達成しようというチャレンジ精神。特に父はそういう気風でした。叔父は漬物屋がやるべき仕事を追求し、「漬物は体にやさしくておいしくあるべき。」という考え方。私も叔父と仕事をして、いかに食と健康、そして商品の基となる環境を守っていくかを重視するようになりましたし、社会の潜在的ニーズに応えながらそれを行うのが大事な仕事だと思っています。

工場における野菜残渣の堆肥化施設を設置し循環型農業を実践したり、
再生紙を使った包装材の展開をしたりするなど、
かなり早い時期から環境に配慮した取り組みを数々行っている。

―ラブレシリーズ発売が1994年。腸活が話題になる大分前ですね。

平井　ただ、時代が早すぎて売れなかった。同シリーズ誕生以降、糠漬や古漬など豊富なバリエーションを展開してきましたが、お客様により健康的な食生活を送っていただきたいという考えから2017年に「乳酸菌ラブレ20g」を作ったんです。毎日の食事に付け加えやすく、かつ手軽に摂っていただくため20g1パックとし、1日1パック、朝昼晩いずれかの食卓に加えていただくだけで約1億のラブレ乳酸菌を摂取することができます。これでおなかの調子が良くなったとのお声も聞きます。

おしゃれなパッケージに食べきりサイズの漬物が7種入った
「乳酸菌ラブレ20g 7日間セット」は、
毎日の食生活にとり入れやすく自宅用にも手土産にも最適。
また同社ではラブレ乳酸菌を使った発酵糠床も販売。
家庭で手軽に糠漬が作れる。

―それはうれしいですね。同時期にできた「発酵生活」についても教えて下さい。

平井　これは腸活などを行う高感度な女性に、漬物は最高の発酵食品であることに気づいてほしいとの想いから作ったブランドで、ラブレ乳酸菌で発酵させた野菜を用い、ドレッシングやスープなどを開発。ドレッシングをかけるだけで乳酸菌たっぷりのサラダができるし、その日の食卓に合わせていろいろアレンジして楽しんでいただきたいです。

約2年かけて完成したというおすすめの
「発酵生活」乳酸発酵 野菜スープと乳酸発酵 野菜ドレッシング。
発酵野菜のペーストを使用し、野菜の旨味たっぷり。
ドレッシングなどを使ったさまざまなアレンジレシピを
同社のSNSに掲載しているので、ぜひチェックを。

―ご紹介の「甘麹熟成食パン」開発のきっかけは？

平井　2018年に漬物用の麴をラブレ乳酸菌で発酵させた乳酸発酵甘麹「AMACO」を作り、冷凍で売り出しました。そこから発酵甘麹のスイーツを製品化することになって。開発チームで食パンもいけるという話になり生地に入れたら、すごくおいしい食パンができたんです。ふわふわでもっちりとしてほんのり甘い。時間が経ってもやわらかいんですよ。一度食べるとやめられないという方も結構おられます。

甘麹とラブレ乳酸菌で作った発酵甘麹「AMACO」を使用して
食パンやチョコレート、ケーキなどのスイーツに。
写真は、生クリームの代わりに乳酸発酵甘麴AMACOを使った人気の「甘麹熟成食パン」。
トーストすると、外はカリッと中はフワッとした食感に。
生食ならサンドイッチにしても。
オンラインショップのほか京都の数店舗で取り扱い、全国の百貨店で臨時販売も。

―最後に今後の展望を。

平井　その土地の風土に合った食は健康への近道なので、これをきっかけに和食や漬物に関心を持っていただき、本来日本人が食べるべきものを食べていただく社会になれば。また、今海外で和食が見直されているので、大阪万博に向けて各業界が手を組み、発酵をキーワードに海外の方にも喜んでいただけるお土産を用意できたらと思っています。

同社では「発酵生活」「AMACO」に加え、発酵の技術を活かし、
京都の食文化を守り伝えるブランド「酵房西利」を立ち上げ、
漬物を軸に健康的な食生活をトータルに提案。
京都駅にある「酵房西利 亰店」では、
西京焼弁当やふりかけなどを販売している。

―本日は貴重なお話をありがとうございました！

（注）ラブレ乳酸菌：1992年、ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田綱太郎博士が、京都の伝統漬物の「すぐき」から発見した乳酸菌。インターフェロン産生能やNK細胞の活性を高め、免疫機能を向上させる効果がある。

「乳酸菌ラブレ20g 7日間セット」（らっきょう、古漬胡瓜きざみ、しそなす、古漬キャベツと人参、古漬壬生菜きざみ、瓜きざみ、大根きざみ）
価格：¥1,328（税込）
店名：京つけもの 西利 オンラインショップ
電話：0120-2-81812（9:00～17:30 年中無休）※携帯電話からはご利用いただけません
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.nishiri.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=602
オンラインショップ：https://www.nishiri.co.jp/shop/

「【発酵生活】乳酸発酵 野菜スープ・乳酸発酵 野菜ドレッシング詰合せ」（乳酸発酵 野菜ドレッシング140ml／たまねぎ、にんじん各1本／乳酸発酵 野菜スープ150g ／とまと、とうもろこし、えだまめ各1袋）
価格：¥2,970（税込）
店名：京つけもの 西利 オンラインショップ
電話：0120-2-81812（9:00～17:30 年中無休）※携帯電話からはご利用いただけません
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.nishiri.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=795
オンラインショップ：https://www.nishiri.co.jp/shop/

「【AMACO】甘麹熟成食パン2斤」
価格：¥1,200（税込）
店名：京つけもの 西利 オンラインショップ
電話：0120-2-81812（9:00～17:30 年中無休）※携帯電話からはご利用いただけません
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.nishiri.co.jp/shop/products/list.php?category_id=329
オンラインショップ：https://www.nishiri.co.jp/shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
平井誠一（株式会社西利 代表取締役社長）

1967年京都生まれ。大学卒業後、山本海苔店に勤務した後、京つけもの西利へ入社。
取締役営業部長、代表取締役専務を経て2013年代表取締役社長に就任。
「旬 おいしく、やさしく。」をモットーに和食文化を大切に食卓に健康と笑顔をお届けすることを目標にしている。「京つけもの西利」を核とし、和食を応援するブランド「酵房西利」や現代の食生活を応援する「発酵生活」「AMACO」など4つのブランドを活用し様々な商品の提案を行う。

＜取材・文・撮影／山本真由美　画像協力／西利＞