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かぶりつき必至!プリプリ食感がクセになる「鯛ちくわ」

2024/01/24

今回、編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、瀬戸内鞆の浦の名産品「鯛ちくわ」。直火焼きの香ばしさと独自の製法が生み出すプリプリ食感。その上質な味わいは、一度口にしたら虜になること間違いなし!
そんな魅力たっぷりのちくわを製造する株式会社阿藻珍味の代表取締役社長、粟村元則氏に誕生秘話や商品へのこだわりなど、直接インタビュー取材にうかがいました。

株式会社阿藻珍味 代表取締役社長の粟村元則氏
株式会社阿藻珍味 代表取締役社長の粟村元則氏

―家業を継がれるまでの経緯をぜひお聞かせください。

粟村 創業者は実の祖父にあたるのですが、子供の頃から「3代目社長はお前だ」と言われてきましたので、どこかに反発する気持ちもありました。元々私が「阿藻家」の直系ではないこともありましたし、中学、高校、大学と進むにつれて「自分の運命は自分で決めたい」との思いが強くなり、大学を出るとまったく畑違いの鉄鋼の会社に就職しました。そこで働きながらも、新しい商品を出したり新規出店したりといった社の情報は耳に入っていて、関心を失うことはありませんでした。

鉄鋼会社で10年ほど働いた頃、叔父である2代目社長(現、会長)を支えていた私の父が引退することになったこと、私自身も30代となったことで望郷の念もあったのでしょう、社に入ることになりました。

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エビをはじめとした魚介類の宝庫、鞆の浦で操業を始めました。

―鯛ちくわの誕生秘話を教えてください。

粟村 日本は戦後しばらく甘いものに飢えていた時代がありました。瀬戸内海でたくさん取れていたエビを甘辛く仕上げた佃煮をつくり始めたのが当社の発祥です。

エビ以外にも魚を使った鞆の浦(とものうら)の名産品として、鯛を丸々塩焼きにした「鯛の浜焼き」がありました。今も続く福山市主催の観光イベント「観光鯛網」、当時は観光客相手に毎年盛り上がっていましたが、徐々に観光客が減り、「鯛の浜焼き」の需要も減少しました。そこで既に鞆の浦の名産だった“練り製品”に参入することになりました。昭和50年代のことと聞いています。

―鯛ちくわの特長についてお聞かせください。

粟村 まずはインパクトのある形にご注目です。芯に竹を使ったちくわ自体が全国でも数少ない中、こぶし大くらいの大きさが生むプリッとした食感は他では中々味わえないものです。

弊社の鯛ちくわは原料にも特長があります。決して悪く言う意味ではなく、量販店で売られている練り製品は原料にデンプンを多く含んでいるものが多いのです。そのためおでんのような煮物に使うと味がしっかり染み込むのです。

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原料の温度を適切に保つ影の功労者、御影石の石うす。

反対に弊社の鯛ちくわは魚のすり身をより多く使用していますので、煮物にしようとしても味が染み込みにくい特性があります。東京でのイベント販売の際にも、関東の方は練り物イコールおでんというイメージを持たれている方が多いので、「そのまま食べるのが一番美味しいです」と説明すると驚かれる方が多かったですね。すり身を多く使うことによって、プリプリの食感が増すわけです。

―食べ方は常温でもよろしいでしょうか?

粟村 はい、焼き上げてすぐに冷却する工程でつくっていますので、基本的には冷たいままでも少し加熱しても十分においしくいただける商品になっています。丸のままいただけば素材の食感をダイレクトに感じられますが、料理の材料としても十分に堪能できます。たとえば野菜と一緒に煮物にしたり、スライスして天ぷらにしても良さを失わうことなく、違った味わいを楽しむことができます。

ちなみに本社施設の体験コーナーでは私どものスタッフが焼き上げた出来立てを提供していますから、機会があればぜひお試しください。

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直火で表面をパリパリに香ばしく焼き上げます。

―加工時の温度管理で独自に引き継がれている技術があるとお聞きしました。

粟村 原料のすり身を加工するときに御影石を原料にした石うすを使用しています。魚の身を擦っていく工程で機械が動くと、どうしてもすり身の温度が上がっていくのですが、石うすを使うことによって温度の上昇を抑えることができるんです。

水を加えながら擦っていきますが、夏は氷を使って冷やしながら行うほど温度管理は重要です。ここで熱すり身の温度が上がり過ぎるとプリプリ感が失われ、ぞわぞわとした悪い食感になってしまいますから、いい食感を生み出すために石うすが活躍してくれるのです。

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かじりつけば口いっぱいに香ばしさが広がります。

―社長ご就任はコロナ禍の頃ですが、経営方針への影響はありましたか?

粟村 コロナ禍では本当に地元のお客様に支えていただきました。緊急事態宣言が出て時短営業となってからは、通常営業ができなったため、早くからお弁当のテイクアウトをメインに切りかえていました。幸い弊社は、もともと扱っていたお弁当を開発せずにすぐに販売することができ、売り上げは予想を上回るほどで、全体のロスをいくらかカバーする大健闘でした。お弁当の助けもあり、弊社の直営売店や飲食店はコロナ禍の真っ只中でも最悪の状態には至らなかったのです。

それでも人の移動がなくなったため、お土産の売り上げはほとんどゼロの状態です。では誰が商品やお弁当を買っていたかというと、地元の方だったんです。中には里帰りできない家族に地元を感じる弊社の商品を送るといったご利用ケースもたくさんありました。

困っているときに助けられたのですから、ご恩が忘れられない気持ちと同時に、「地元の方に支えていただいてこそ、会社が存続できる」という思いを社員にしっかり伝えることが、経営者の責務だと感じました。
コロナショックは、地元の方たちに瀬戸内鞆の浦を感じていただける食を育て続けようと、改めて決意するきっかけにもなりました。

―そうした地元への思いを反映させた具体例はありますか?

粟村 地元らしい食を提供するために、その思いを結びつけた新商品を開発しています。その1つが地元鞆の浦産のみりんとみりん粕、さらに市内唯一の酒蔵の酒粕を使った「粕漬」です。そのオリジナルの漬け床に相性の良い魚の切り身を漬け込んでつくります。

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脂ののった魚を漬け込んだ逸品。ぜひ焼いてお召し上がりください。

類似した商品は以前からありますが、新しい粕漬は地元のメーカーさんとコラボして魚を漬け込む粕床に地域のこだわりを詰め込み、リニューアルした自信作となります。

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他の具材との煮物も相性バツグン。

―今後の展望をお聞かせください。

粟村 これからも、瀬戸内福山を感じていただきたい気持ちが一番大きいので、そこは外さず前面に出して商品開発、会社運営に取り組んでいきたいと思います。

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鯛ちくわの旨味を閉じ込める磯辺揚げもオススメ。

―粟村社長の瀬戸内海鞆の浦への熱い思いがひしひしと伝わった今回のインタビュー。素敵な地元愛のお話ありがとうございました。

鯛ちくわ

「鯛ちくわ」(3本袋入)
価格:¥840(税込)
店名:株式会社阿藻珍味
電話:084-982-3333(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.amochinmi.co.jp/?pid=156957759
オンラインショップ:https://shop.amochinmi.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
粟村元則(株式会社阿藻珍味 代表取締役社長)

1969年広島県福山市生まれ(生まれも育ちも、鞆の浦)。1992年春大学卒業後、鉄鋼商社に入社し、広島市内に勤務。その後、2004年に阿藻珍味へ入社。主に営業的な業務に就き、2020年10月に代表取締役社長に就任。

<文・撮影/田中省二 MC/伊藤マヤ 画像協力/阿藻珍味>

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