今回、編集長アッキーが気になったのは、元祖カレーメーカーとして知られるハチ食品株式会社。旅行情報誌『るるぶ』とコラボした、ガイドブックのような体裁のカレーが話題に。最近では海外グルメのシリーズも追加されています。ハチ食品株式会社 代表取締役社長の高橋慎一氏に商品の人気の秘密を取材陣がうかがいました。
旅行ガイドブックのようなパッケージで話題「るるぶ×HACHI コラボカレーお試しセット」「るるぶ×HACHI コラボシリーズ 海外 ごはんにかけるお試しセット」
2024/01/25
ハチ食品株式会社 代表取締役社長 高橋慎一氏
―御社の創業について教えてください。
高橋 1905年(明治38)に日本で初めて国産のカレー粉を作った会社です。薬種問屋を営んでいた今村弥兵衛が漢方薬がしまってある蔵の中でカレーのような匂いがすることに気づき、自分で調合して作ったのが始まりです。
そのとき窓に1匹のハチが止まっていて、朝日に照らされ、黄金に輝きを放っていたことに感銘を受け、カレー粉の名前は「蜂カレー」と名付けました。
カレーが日本にやってきたのは明治の初めでしたが、イギリスのカレー粉を使っていたので、値段も高く、供給も不安定でした。そこで国産のカレー粉を作ったことで、日本にカレーが普及する大きなきっかけになったのです。飲食店にカレーがどんどん普及し、家庭へと入っていきました。国産カレー粉、カレーのルー、レトルトカレーへと進化していき、カレーは国民食と言われるまでのカレーの普及に貢献したのではないかと思います。
旅行情報誌『るるぶ』の表紙に見立てた仕様で本屋さんでも販売されています。
―社長になられた経緯を教えてください。
高橋 私はもともと食品関係の会社に勤めており、ハチ食品は取引先でした。2016年にハチ食品に入社し、2020年に社長になりました。コロナ禍で外回りが難しく、社内の改革もあまり手を付けることができなかったのですが、今年からようやく本格的に取り組みが始まりました。
一方、コロナ禍は在宅の人が増え、家庭向けのレトルト食品が非常に売れました。レトルトカレーやレトルトパスタソースの生産が間に合わず、増産や設備を増設するといったことが課題となりました。業務用はマイナスでしたが、家庭用がプラスで全体の利益としてはややプラスとなりました。
全国的に知名度の高い会社ではないですが、この時期に新規のお客様がものすごく増えました。ハチ食品の商品を初めて手に取る方が多かったので、「美味しい」とわかっていただけたのがうれしかったです。
またサラリーマンの方々がお昼に家で食事を取るのに、カレーもそうですがパスタが手軽で人気を博していました。
―社長になられてからの改革はどういったことを行われていますか。
高橋 1つは設備の投資です。増産をするための設備投資だけではなく、人材不足もあるため機械ロボット化の設備投資を進めていかなくてはなりません。2つ目はやはり人への投資ということで、新卒を計画的に採用し始めています。研修制度もかなり充実させて、採用と育成に力を入れております。3つ目がブランドへの投資ということで、広報活動や宣伝活動だけでなく、2024年からは企業ロゴの変更も行います。新しいブランディングにも投資することを昨年の初めからスタートさせています。
―大切にされている企業理念やモットーはございますか。
高橋 中小企業ですので身の丈に合った、あまり背伸びをしない堅実経営が基本です。ただ時代の流れに合わせて少しずつチャレンジングな、先ほどの投資案件もそうですが、積極的に取り組んでいるという状況であります。
国民食と言われているカレーをメインで事業をしているため、カレーだけは負けないもの作りにこだわりたいと思っております。カレー作りの歴史・伝統があるので、技術やこだわりを継承しながら、新しい時代に向けたチャレンジングなテーマも大事にしていきたいと思います。
また、食品を扱っているため、安全安心な商品を提供し、品質不良を起こさないことが、経営のこだわり方としては最初に来るテーマです。
―ブランディング戦略を教えてください。
高橋 当社の商品は、100円台で買えるものも多く、低価格というイメージがあると思います。今後は200円台へ価格帯を上げて、プレミアムな付加価値をつけて、中高価格帯で勝負できるようにしたいと考えています。そのため、ロゴも少しアッパーな感じをイメージして作りました。
今回ご紹介する「るるぶ×HACHI コラボカレー」も1点250円(税抜)の設定となっています。
―「るるぶ×HACHI コラボカレー」「るるぶ×HACHI コラボシリーズ 海外 ごはんにかけるお試しセット」を開発された経緯を教えてください。
高橋 2018年から発売していますが、当時はご当地のスナック菓子が話題になっていました。お土産で買って帰る人が多かったので、ご当地カレーがあってもいいのではと考え、北海道、沖縄、京都、福岡のカレーを販売したのです。当初は500円という価格で販売したのですが、結果的にはあまり売れず失敗でした。
そこでお土産ではなくて、自宅で旅行気分を味わうために自分で買うという設定に変更し、価格も見直して、都道府県も追加をしました。すると売り上げが伸びていきました。ちょうど、コロナ禍で旅行に行けない人も多かったという背景もあります。
食材はご当地食材にこだわるより、おいしいイメージを打ち出しています。たとえば横浜では中華料理店のカレーが意外と人気があるため、横浜中華街のカレーのようなイメージで作りました。ガラスープを使ったカレーで売れ行きも評判も良い商品となりました。
売場はお土産物屋さんから書店やスーパーへと変わっていきました。
今年からは地域貢献、地方創生という要素も加え、小笠原のカレーも発売します。小笠原の食材を使い、売上の一部を小笠原村の自然環境保全活動に役立てていただけるように寄付することがセットになった初の試みです。
地域貢献を強く打ち出したからということで、評価の中身も変わっていますが、コンセプトがあってということですね。
コロナ禍で海外旅行に行けなくなったこともきっかけとなり、海外シリーズを発売し、こちらも好評です。
るるぶ×HACHI コラボシリーズ 韓国 ごはんにかける タッカルビ 。
るるぶ×HACHI コラボシリーズ フランス ごはんにかける 彩り野菜のラタトゥイユ。
―シリーズの中でも人気商品はございますか。
高橋 北海道のチーズバターカレーです。これが一番売れていますし、北海道ブランドはやっぱり強いですね。
―制作にあたってのこだわりを教えてください。
高橋 カレー粉から自社工場で作っております。ご当地のイメージを強調しすぎるとカレーの味から離れていくため、スパイスをうまく使って味のバランスを整えています。20~30種類ぐらいのスパイスを調合し、奥行きのある味と香りを出しています。
グルテンフリーのカレールウも販売しており、健康も意識しております。
―制作にあたって困難だった点はございますか。
高橋 今回の商品に限った話ではありませんが、スパイスは粉砕したり焙煎したりして使いますが、スパイスの種類によって焙煎の温度や粉砕する条件が全部違います。香りを飛ばさず、キープするためにそれぞれ一番良い条件を研究・分析し、様々なスパイスを組合わせて香り高いカレーの味を出していくのが一番難しいところです。
たとえば北海道の商品ひとつにしても、バターやクリーム、チーズの組み合わせの中でスパイス感をどう出していくか、カレー感をどう出していくか、試行錯誤を重ねて完成させています。
るるぶ×HACHコラボカレー 北海道 チーズバターカレー。
―購入してもらいたいお客様のターゲットはございますか。
高橋 関東ではまだ知名度が低いので、東日本に向けての販売戦略の見直しをしています。るるぶコラボ商品を中心に今、積極的に販売活動をしており、スーパーに置いていただくよう活動強化している最中です。
―今後の展開やビジョンを教えてください。
高橋 るるぶコラボ商品は取り上げていただく機会も多く、第6弾、第7弾を検討中です。
また、カレー製造がメインですが、市場のニーズとしてはパスタソースやスープもあるので、商品ラインナップを広げていければと考えています。
社会貢献にも力を入れていきます。コロナ禍でカレーを福祉施設や医療施設などに寄付させていただき、すごく喜ばれました。最近も神戸の医療施設とイベントスポンサー契約を結びました。寄付をすることは、食品製造業としてやるべき社会貢献のひとつだと思っています。
SDGs的なアプローチとしては、長野県に大きな工場があるのですが、地元の農産物を使ったカレーを作って盛り上げようという取り組みも始めています。
―貴重なお話をありがとうございました。
「【通販限定】るるぶ×HACHI コラボカレーお試しセット」(11品11個)
北海道 チーズバターカレー 中辛/大阪 甘辛ビーフカレー 中辛/京都 和だしカレー 中辛/沖縄 キーマカレー(タコライス風) 中辛/広島 レモンクリームチキンカレー 中辛/神戸 赤ワイン煮込みビーフカレー 中辛/博多 明太子チーズカレー 辛口/鹿児島 黒豚カレー 中辛/横浜 中華カレー 中辛/金沢 濃厚コク旨カレー 中辛/青森 りんごとガーリックのチキンカレー 中辛
価格:¥2,610(税込)
店名:ハチ食品 オンラインショップ
電話:06-6471-3785(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.hachi-online.net/fs/hachi/3291
オンラインショップ:https://www.hachi-online.net/
「【通販限定】るるぶ×HACHI コラボシリーズ 海外 ごはんにかけるお試しセット」(3品3個)
韓国 ごはんにかける タッカルビ/中国 ごはんにかける 四川風麻婆豆腐/フランス ごはんにかける 彩り野菜のラタトゥイユ
価格:¥850(税込)
店名:ハチ食品 オンラインショップ
電話:06-6471-3785(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.hachi-online.net/fs/hachi/3301
オンラインショップ:https://www.hachi-online.net/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
高橋慎一(ハチ食品株式会社 代表取締役社長)
1960年生まれ。2015年4月MCフードスペシャリティーズ株式会社(現・三菱商事ライフサイエンス株式会社)常務執行役員。2016年8月ハチ食品株式会社入社。2017年6月取締役営業部長。2018年6月常務取締役営業部長。2020年6月代表取締役社長。
<文/垣内栄 MC/高橋美羽 撮影/坂口明子 画像協力/ハチ食品>