淡路島産の玉ねぎといえば、肉厚で甘く、全国的に人気の高い特産品です。炒めるなど熱を加えればとろけるような甘さが引き出され、新玉ねぎの季節には水分がとても多いので、水にさらさずとも生のままおいしくいただけます。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった、NHK職員から農家に転身し、高糖度な「フルーツ玉ねぎ」を栽培する、株式会社善太の代表取締役社長の清水くみ子氏に、取材陣が伺いました。
肉厚でジューシー、メロンと同じ糖度の甘さを誇る、淡路島産「フルーツ玉ねぎ」
2024/02/05
株式会社善太 代表取締役社長の清水くみ子氏
―2012年にお父様が淡路島で創業された会社の代表に就任されたとのことですが、その前はNHK職員だったそうですね。
清水 大学卒業後にNHK奈良放送局に入局しました。県内のニュースを発信する仕事に就き、取材から編集、レポーターも経験しました。奈良のネタだけで1時間分の番組をつくる必要があったので、地域密着でとてもローカルな話題も扱いましたし、地域の方々と密に接して、いろいろなお話を伺うことができました。そのときに、奈良にはすごく魅力的で、長年地元のみなさんが継承してきたもの、たとえば、伝統芸能やおまつり、食べ物などがたくさんあると知ったんです。地域のいいものに触れたことで、自分も地元・淡路島の食べ物や魅力あるもの・コトを発信する仕事をしたいなと思い、NHKを辞めて実家を継ぐことにしました。
―その会社では、地元食材を使ったドレッシングが人気です。
清水 当時は、結婚式や葬式などの祭事でお渡しするギフトの一つとして、玉ねぎを使ったドレッシングをつくっていました。淡路島産ということで全国から多くのみなさんに興味を持っていただき、テレビの取材を受けたこともありました。もっと淡路島の商品を広げていきたいと考え、島内のあちこちで栽培されている「玉ねぎ」そのものに目をつけ、インターネットでの販売を始めました。
淡路島産玉ねぎを使った「玉ねぎドレッシング」。まとめ買いするリピーターも多いという。
―淡路島の玉ねぎ農家さんたちはインターネット販売をしていなかったんですか?
清水 今でこそ、インターネットを活用して直接販売する農家さんは多いですが、当時はほとんどいなかったんです。なので、私たちの会社が販売を開始すると、「ネットで買えるようになってすごく嬉しい」などという反響がすごくありました。淡路島の玉ねぎはおいしい、と知っている方が多くいらっしゃったと分かりました。
一方で、農産物ですので、皮にキズができたりサイズが小さいなどの“ワケあり”玉ねぎがどうしても出てしまいます。廃棄するのはもったいないので、それらもすべて農家から買いとって加工し、玉ねぎの粉末スープを製造、販売することにしました。
スープ類は人気が高く、今や「フルーツ玉ねぎスープ」「ポタージュ」など7種類をそろえる。
―個包装になっているのでお弁当のおともに便利で、スープとしてだけではなく、炒飯やパスタなどに調味料としても使えます。何よりとてもおいしいです!
清水 ありがとうございます。玉ねぎスープも好評だったのですが、やはり農産物というのは、天候や気温に左右され、価格や品質がなかなか安定しません。あるときから、“この仕入れ値ではこれ以上スープの製造はできないな……”という年が続きました。そこで、自分たちで玉ねぎの栽培からやってみよう、ということになったのです。
―とはいえ、淡路島にはすでに玉ねぎ農家さんが多いですよね?
清水 当然、差別化を考える必要がありました。ちょうどその頃、世間では「フルーツトマト」が出回りはじめ、「甘くて高品質」という印象を打ち出していました。そのコンセプトに共感し、うちのオリジナル玉ねぎのネーミングを「フルーツ玉ねぎ」にしようと決めました。そして、その名にふさわしく、メロンと同じくらいの糖度を目指し、とても甘い玉ねぎをつくろうということになりました。
―糖度は11度くらいだとうかがいました。どういう工夫をされているのでしょうか。
清水 いろいろと試行錯誤をして、オリジナル肥料と堆肥を使ういまの方法に落ち着きました。まずは肥料。淡路島は酪農も盛んなので、牛の堆肥をいただいて、畑にすきこんでいます。栄養分が増えて、サイズは大きくなり、甘さも増しました。さらに、玉ねぎを育てている自家農場は、海抜ゼロメートルに近い場所、海がすぐそばのところにあります。おかげで、海水のミネラル分が土の中に入っていて、糖度の高い玉ねぎになっているのだと思います。
自然豊かな淡路島は、食料自給率100%を超えると言われるほど、農畜産に向いている。
―その方法は、とても手間がかかるのでは?
清水 はい、雑草の管理が一番大変ですね。気温が上がると草がぐんぐん伸びて硬くなって、手作業では抜けなくなってしまうので、まだ背の低いうちに抜きたいのですが、ほかの作業に時間を取られて少しでも日が経つと、知らぬ間に伸びていたりして……。ここ数年の暑さは異常なので、すぐに伸びてしまうんです。私たちも体力勝負ですが、できる限り農薬を減らした玉ねぎづくりをしたいと考えています。
―その「フルーツ玉ねぎ」ですが、オススメの食べ方を教えてください。
清水 ポトフのように煮込んだり、シンプルに蒸したり、炒めてカレーに入れたり、加熱することで甘さや旨みが凝縮され、料理がワンランクアップすると思います。また、ごはんを炊くとき、炊飯器や鍋に「フルーツ玉ねぎ」丸ごと1つとコンソメを入れた「玉ねぎごはん」もおいしいですよ。水分を多めにして炊くとリゾット風になります。仕上げにオリーブオイルと粉チーズ、好みのハーブをかければ、パーティやおもてなしにもぴったりな一品になります。
フライパンで焼いてステーキにしたり、グリルで焼いたりすると、とろけるようなやわらかい食感になり、感動する。
―どれもおいしそうです!ところで、インターネットで箱買いすると便利なのですが、一方で、保存場所や方法に悩みます。
清水 一番良いのは、冷蔵庫(野菜室)での保存。常温で保存される方が多いと思いますが、冷蔵保存が一番長持ちしますのでオススメです。冷蔵庫に入らない分は、穴あきの麻袋や野菜保存袋などに入れて、比較的涼しい場所に吊るしておいて、ここから使い始めるといいと思います。私たちの楽天ショップから購入していただいた方には、保存用ネットをおつけしていますので、ご活用ください。
箱買いは「多いかな」と思いきや、美味しさのあまり、気付くとすぐになくなるので、まとめ買いがおすすめ!写真は5kg入り。
―冷蔵庫で保存するのが一番だったとは、意外でした!すばらしいお話をありがとうございました!
「フルーツ玉ねぎ」(3kg)
価格:¥2,230(税込)
店名:淡路島玉ねぎ工房
電話:0799-45-0520(10:30~17:00 水曜、土曜、日曜、祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/awajitamanegi/910922/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/awajitamanegi/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
清水くみ子(株式会社善太 代表取締役社長)
1979年生まれ。早稲田大学卒業後、NHK奈良放送局に勤務。その後、淡路島に帰郷し、淡路島玉ねぎの販売を開始する。自家農園にて淡路島フルーツ玉ねぎを栽培し、インターネット通販や百貨店の通販で販売する。
<文/よしおかまさこ MC/伊藤マヤ 画像協力/善太>