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黒糖蜜香る、老舗和菓子屋・髙林堂の「かりまん」「かりまんどら焼き」

2024/02/21

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、上生菓子や羊羹、大福など四季折々の美しいお菓子を愉しめる栃木県宇都宮市の髙林堂。創業約140年、地元で愛され続ける老舗和菓子店です。北海道産小豆を使用した自家製餡を堪能できる「かりまん」「かりまんどら焼き」は店頭でもお取り寄せでも大人気。そのおいしさの秘密と誕生秘話を代表取締役社長・和氣康匡氏にうかがいました。

有限会社髙林堂 代表取締役社長の和氣康匡氏
有限会社髙林堂 代表取締役社長の和氣康匡氏

―歴史があるお店ですね。

和氣 創業1885年、139年の歴史、と公言しているのですが、実はもっと前なんです。記録として残るなかで最も古いのが、1885年にかんぴょうを使った宇都宮市の銘菓「友志良賀(ともがしら)」を発売した、という記録なので、そこを創業年としています。その前からお菓子を作っていたわけですから、正確にはわかりませんが、おそらく250、260年ほどの歴史があるのではないかと思っています。

―先祖代々受け継がれてきたのですか?

和氣 いえ、違います。髙林堂の創業家は小島さんという方です。私の祖父は1935年から髙林堂で修業をしていました。そして戦後に自分で菓子店を立ち上げて事業を営んでいたのですが、小島家の後継者がいなくなった際に祖父が指名をいただき、自分の店を閉めて髙林堂を引き継いだ、という形になります。

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宇都宮市馬場通りにある髙林堂本店を始め、
宇都宮市内を中心に5店舗を構える。
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店頭には上生菓子や大福、饅頭、羊羹など伝統的な季節の和菓子が並ぶ。
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マカロンにお餅をサンドした新しい和菓子「和マカロン」も人気!

―お祖父様から家業の話を聞かれましたか?

和氣 祖父は私が2歳の頃に他界したので、祖父から直接話を聞く機会はありませんでしたが、家業については父と祖母から大体の話は聞いてきました。ただその二人から、店を継いでほしいという話はまったくありませんでした。むしろ継ぐな、と言われていたくらいで。

―珍しいですね!?

和氣 私は子どもの頃から勉強が苦手で、中学生のとき担任の先生に「この学力で行ける高校は宇都宮市内にはありません」と言われて。それを父が激怒して「お前には継がせん!」と。とはいえ当時反抗心はあったので、継がせたくないと言われたから逆に、じゃあ継ぐか、という気持ちになって。

―反発の反発といったような?

和氣 そのような感じです。高校はなんとか入学して卒業し、その後にお菓子の専門学校に入りました。専門学校卒業後は東京の自由が丘にある「蜂の家」で5年間修業しました。

―5年の修業で気づいたことは?

和氣 まず会社の規模がまったく違い、「蜂の家」の職人さんはとても多く、修業中は菓子づくりよりも雑用をこなす日々でした。髙林堂に帰ってきてからは、職人さんが少なかったこともあり、すぐに実践的な感じで菓子づくりに携わることができて、とても楽しかったのを覚えています。

あんこの練り方も結構違いがありました。髙林堂には髙林堂の受け継がれてきたやり方があって、「蜂の家」さんにも伝統的な練り方があって。それはとても勉強になりました。

専門学校時代から東京に行って、いろいろ食べ歩きをするようになったんですけれど、髙林堂に戻ってきて、生まれたときから食べて育った味の髙林堂ってやっぱりおいしいな、という感覚がありました。

―そうして継がれたお店ですが、お祖父様の代からの教えはありますか?

和氣 祖父は、自分の店のあんこを取れなくなったらもう店を閉めろ、と言っていたと父から聞きました。

―あんこが取れなくなる?

和氣 はい。自家製のあんこが作れなくなったら、ということです。あんこは作るのが大変で、製餡所から仕入れているお菓子屋さんも多くあります。ですが髙林堂では、あんこは和菓子づくりにおいて大事なものですから、代々自家製にこだわっています。

あんこを炊くところを餡場と呼ぶのですが、弊社の餡場は8年目の職人さんに任せています。とても優秀な職人さんで、いなくなっては困る存在です。

―その自家製餡を使った看板商品「かりまん」。開発したのは?

和氣 私です。修業を終えて、初めて試作品に取り組んだのが「かりまん」です。2007年に販売を開始しました。

饅頭を揚げるという文化はもともと東北のほうにあって、福島県のあるお菓子屋さんが黒糖饅頭を油で揚げた、かりんとう饅頭というのを販売し始めたんです。それを食べてみたらおいしくて、でも自分ならもうちょっと上手くできるような自信もあり、それで試作を始めました。

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「日光金乃卵」、沖縄県産「黒糖」、栃木県産小麦粉「麦のかほり」を使用。
原材料は国産にこだわっている。

―そして人気商品に!

和氣 こんなに売れると思ってもいなかったので、びっくりしました。この当時、店の売り上げが悪く、倒産寸前だったんです。このままだと本当にまずいなという状況で、焦りながら新商品の開発に臨んでいました。本当によいタイミングで出せたと思います。首の皮1枚だったと、父も言っていました。

―救世主の「かりまん」ですが、その特徴は?

和氣 「かりまん」は黒糖を使ったかりんとう風味の揚げ饅頭です。外の生地はカリッとクリスピーで、中のあんこはしっとりとしているのが特徴です。カリカリ感は揚げてから1日ほどしかもたないので、そのあとは食べる前にオーブントースターなどで少し焼いていただけると、作りたてのようなカリカリ感や風味を味わっていただけると思います。

―中のあんこもご自慢ですね。

和氣 小豆にはでんぷんが多く含まれていて、あんこを練る際は粘りが出やすいのですが、弊社では火加減や練り方などを調整し、粘りのないあんこに仕上げています。粘りが強いと甘さを強く感じやすくなるため、弊社の粘りのないあんこは甘すぎず、豆の風味をしっかりと感じられ、舌触りも滑らかです。

髙林堂では代々、風味や味が安定的によい北海道産の小豆を使用しています。他の産地のものとはやはり全然違いますね。

―季節商品として桜や抹茶など、さまざまなバリエーションもあります。

和氣 お客様を飽きさせたくない、という想いから、季節展開を始めました。スタンダードの「かりまん」をお買い上げいただくお客様がほとんどで、季節の「かりまん」の存在を知らなかったという声もSNSなどで耳にします。広く知られ、多くの方に手に取っていただけるようになればと思っています。

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桜、抹茶、さつま芋、チョコなど、
季節ごとにさまざまな種類の「かりまん」が展開。

―「かりまんどら焼き」の特徴を教えてください。

和氣 お客様から「油で揚げているんですか」という問い合わせが結構あるのですが、揚げてはいません。「かりまん」で使っている黒糖蜜を生地に練り込み、焼き上げています。黒糖蜜には卵も入っているので、普通のどら焼きより卵がたくさん入ることになり、よりふんわりとした焼き上がりになっているのも特徴のひとつです。

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かりまんの材料である秘伝の黒糖蜜を使用したどら焼き。
黒糖の風味豊かな人気商品。

―あんこは「かりまん」と同じですか?

和氣 いえ、「かりまん」はこしあんですが、「かりまんどら焼き」はつぶあんにしています。つぶあんの「かりまん」はないのかと聞かれることもありますが、私の中ではそれは絶対ダメで、つぶあんは「かりまんどら焼き」で愉しんでいただきたいと思っています。

―今後の展望を教えてください。

和氣 髙林堂をどうするかということも大切なのですが、和菓子業界全体に目を向けていきたいと思っています。いま、和菓子屋さんはどんどん減っていて、後継者不足も問題になっているんです。

家業の和菓子屋を継ぎたい、あの和菓子屋さんで働きたい、とたくさんの人に思われるように、和菓子職人を憧れの職業にしたいなと、強く思っています。そのために、いろいろな普及活動をいま以上に頑張りたいです。

また、豪華客船「クイーン・エリザベス」で和菓子のイベントをしたところ、ものすごく喜んでもらえました。お寿司や日本酒、和食は海外に出回って久しいんですけれど、和菓子はまだまだなので、そこで初めて口にする外国人の方もいましたし、初めて見るという方もいました。感動した、感銘を受けたと声をかけてくださる方もいて、和菓子は世界に通用する、という感覚を覚えました。

これからも国内外を問わず、和菓子の間口を広げるために、より気軽に、日常的に楽しんでもらえる和菓子・お菓子をいろいろと提案していきたいです。

―本日は、素敵なお話をありがとうございました!

かりまん

「かりまん」(6個入り)
価格:¥972(税込)
店名:髙林堂オンラインショップ
電話:028-666-4987(9:30~18:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kourindo.thebase.in/items/31493688
オンラインショップ:https://kourindo.thebase.in/

かりまんどら焼き

「かりまんどら焼き」(5個入り)
価格:¥1,188(税込)
店名:髙林堂オンラインショップ
電話:028-666-4987(9:30~18:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kourindo.thebase.in/items/31496548
オンラインショップ:https://kourindo.thebase.in/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
和氣康匡(有限会社髙林堂 代表取締役社長)

栃木県宇都宮市生まれ。日本菓子専門学校卒業後、東京・自由ヶ丘「蜂の家」にて5年間修業し、2007年より家業である髙林堂の業務に従事。製造部長、専務取締役を経て、2016年に代表取締役社長に就任。国内のみならず海外でのワークショップなどを精力的に行い、2018年、2019年には大型客船「クイーン・エリザベス」に乗船し、上生菓子の実演などを行う。国際テクニカル調理師専門学校 宇都宮校 非常勤講師。

<文/棚田れんげ MC/伊藤マヤ 画像協力/髙林堂>

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