神奈川県は横須賀で1日に2,000個売れるという無添加手作りコロッケ。肉とじゃがいもが溶け合った、独特のとろーり食感が好評です。2021年には全国配送が始まり、揚げたてのおいしさを味わえるようになりました。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった有限会社丸伸商事 代表取締役の山森直大樹氏に、取材陣が伺いました。

有限会社丸伸商事 代表取締役の山森直大樹氏

―「横須賀コロッケのマルシン」で知られる丸伸商事さん。これまでの歩みをお聞かせください。

山森　神奈川県横須賀の地に伯父が精肉店をオープンし、父や叔父も手伝っていました。のれん分けという形で独立し、「肉のマルシン」の屋号で横須賀界隈にそれぞれが店舗をもつようになりました。私が父の後を継ぐ際、伯父たちの店もすべて引き継ぐことになったのです。

精肉の職人が不足していたので、精肉に関しては1店舗に集約し、他の2店舗はお惣菜専門店としました。コロッケやメンチカツなど、いわゆる肉屋の惣菜を作っていましたが、その需要が結構ありました。現在は、精肉も兼務する池上店と、惣菜専門店が5店舗あります。

コロッケが地域の皆様に浸透する中で、「マルシンの特製コロッケ」から「横須賀コロッケ」と名前を変え、現在にいたります。

横須賀地域で人気の揚げ物・惣菜店。

―お惣菜へのこだわりを教えてください。

山森　1つは食材が挙げられます。精肉業を営んでいますから、良い肉が使えますし、肉の加工技術も確かです。肉以外の食材に関しても、季節ごとに最良の産地から厳選して仕入れています。

もう1つは、すべて手作りで、添加物を使うことなく優しい味付けで作っているところでしょうか。飽きのこない、家庭で作ったかのような味を心がけています。漬物やキムチは得意なスタッフが独自の配合で漬けてくれますし、ポテトサラダやマカロニサラダなどもすべて手作り。コロッケを含めたすべての惣菜をリーズナブルに提供することも大切にしています。

種類豊富な揚げ物やサラダがラインナップ。1個からその場で揚げてくれる。

―横須賀コロッケについて教えてください。

山森　父のころから、数あるうちの揚げ物の中で、圧倒的人気の商品です。精肉の方で出る、切れ端とか形が悪いとか、そのままでは売れない肉を、なんとかしたいというところからできたようです。ひき肉にして売ったり、メンチカツもあったりしたのですが、もうひと工夫、なにかできないかと。コロッケに、通常よりかなり多めに肉を入れてみたところ新しい味わいとなり、お客様の評判も良かったことから、定番商品になりました。

じゃがいも（馬鈴薯）に豚、鶏、牛と3種類の肉が合わさり、とろりとした独特の食感に仕上がっています。衣はカリカリ、サクサク。肉汁あふれる中身とのコントラストが際立ちます。小ぶりで、俵型にも近いふっくらとした形が特徴で、1個1個手作業で成形、衣付けをしています。コロッケの中身がとても柔らかく、そのままだとバッター液に溶けてしまうので、瞬間冷蔵して少し固めるなど、工夫が必要です。

パン粉は、かなりカリカリザクザクのものを使っています。つけて時間を置くと、バッター液や中身の水分を吸って、程よい状態になりますからね。

店頭では1個から揚げたてを提供。75円という価格も喜ばれていて、近年の値上げラッシュの中では最低限の値上げに抑えました。ピッタリ小銭を用意してきてくれる年配の方や、お小遣いで買いに来られる学生さんを思うと、もうこれ以上は上げられないという気持ちです。

肉汁と溶け合った独特の食感、じゃがいもや玉ねぎの甘みもたっぷり感じる。

―コロッケだけでも多くのバリエーションがありますね。

山森　肉じゃがコロッケ、チキンクリームコロッケ、カレーコロッケ、コンビーフコロッケなどもあります。各種フライや焼豚も人気。メニュー展開は、働いてくれているスタッフからの意見が多いですね。9割が女性で、主婦の方も多いので、流行とか子どもの意見などを提案してくれます。

コンビーフなど、コロッケだけでも5種類以上のバリエーション。

―横須賀で親しまれる味を通販されるようになったのは？

山森　コロナ禍、人の流入が抑えられてしまった頃に、これだけ地元で愛されてきたのだから、他の地域でも食べてもらえるのではないかと、スタートしました。

冷凍すると割れやすくなりますし、慣れたスタッフがフライヤーで揚げるのとは状況が変わりますから、特に細心の注意を払って衣付けをしています。

―冷凍コロッケを家庭で揚げるのは難しそうです。

山森　私も店頭で揚げるのは慣れていますが、家に持ち帰って揚げるときはすごく難しかったので、失敗しない方法をお伝えするようにしています。

ポイントは温度でしょうね。低すぎると中身が溶け出てしまうし、高すぎると中が温まる前に焦げてしまいます。たっぷりの油を170℃～175℃に温め、凍ったままのコロッケを1個ずつ入れます。一度にたくさん入れると油の温度が下がってパンクしやすくなりますからね。衣が色づいてきたらひっくり返し、2個目を入れてください。時間差で揚げていくことで、温度を保ちやすくなります。先のコロッケが浮かんできたらすぐに取り出しましょう。

うちのホームページでも詳しく解説しているので参考にしてください。

コロッケが十分にかぶるくらいの油を温め、温度が下がらないように注意して揚げる。

―おすすめの食べ方やシーンなどはありますか？

山森　2個3個と食べられる小ぶりなサイズですし、薄すぎず強すぎない、子どもも年配者も安心して食べられる自然な味付けを心がけています。毎日の食卓にはもちろん、ホームパーティにも活用いただけたらありがたいですね。

そのままでも十分においしい優しい味わい、ソースをかけるとコクが増して別のおいしさに。

―今後の展望をお聞かせください。

山森　店舗の方では、お弁当を始めました。揚げ物にサラダにお漬物にと、ずっと作っていた惣菜を組み合わせたらお弁当になるのに、これまでやってなかったのが不思議なくらいですよね（笑）。安くておいしくて安心できると、地元の方にとても好評をいただいています。

通販を始め、新しい販路の開拓も進めていきます。最近、飲食店からの引き合いも増えてきましたので、卸売の方にも力を入れていくつもりです。

いずれにしても、横須賀コロッケは、私が子どもの頃から慣れ親しんだ味。当たり前だと思っていましたが、東京で働いていたときなどに、これほどおいしいコロッケは案外ないんだと気づきました。ぜひ、横須賀以外の方々にも知っていただきたいですね。

―素晴らしいお話をありがとうございました！

「横須賀コロッケ」（冷凍・20個入り）
価格：¥2,200（税込）
店名：横須賀コロッケのマルシン
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.yokosuka-marushin.com/item/a001/?mode=pc
オンラインショップ：https://www.yokosuka-marushin.com/（自社HP）
https://marusin.base.shop/（BASEショップ）

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
山森直大樹（有限会社丸伸商事 代表取締役）

1978年神奈川県生まれ。國學院大學卒業後、日本貨物検数協会に入社し、食品分析に関わる業務に従事。家業を継ぐため2014年に丸伸商事へ入社。2016年に同社代表取締役に就任。

＜取材・文・撮影／植松由紀子　MC／山口優花　画像協力／丸伸商事＞