日本の主食といえばお米。主流となっているのは白米ですが、それ以外にも胚芽米や玄米など種類があり、それぞれ栄養素に違いがあることをご存じでしょうか?今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、独自に開発した方法で炊き上げた玄米ご飯を販売している「株式会社結わえる」。商品開発のエピソードや、玄米の栄養素について、代表取締役CEOの玄米社長 荻野芳隆氏に取材陣が話を伺いました。
レンチンで手軽に食べられる!栄養豊富な「寝かせ玄米®」を、健康習慣の第一歩に
2024/03/22
株式会社結わえる 玄米社長の荻野芳隆氏
―2009年創業。起業に至るまでの経緯は?
荻野 私は、「自分で会社を経営したい」とは大学生の頃から思っていました。卒業後はすぐにでも起業したかったのですが、どのような分野で起業するのかを決められず。
そのため、まずは起業する上でも必要な経営が学べるところに就職しようと思い、コンサルティング会社に入社しました。そこで経営に関していろいろと学んだ後、弊社を立ち上げたのです。
―コンサルティングはどのような分野を担当されたのですか?
荻野 以前から興味を持っていた伝統産業や地方活性の分野です。コンサルティング会社では、5年間必死で働きました。
―伝統産業や地方活性に興味を持ったきっかけは?
荻野 大学生のときに日本全国を巡ったことで興味を持ちました。実は、中学生や高校生の頃は日本がとても嫌いで、高校生のときにはアメリカで1ヶ月ほど一人旅をしたこともあります。そのときは、海外ってすごいな、面白いなと思い、さらにもっといろいろな国を見てみたいとバックパックを背負って世界中を旅しました。
ただ、たくさん世界を巡るうち、日本ってなんていい国なんだろう、と気付いたんです。そこから、日本を巡るようになりました。ワンボックスカーに寝泊まりしながら、東北四大祭りを見に行ったり、四国を巡ったり。そうしているうちに、どんどん、日本って本当にいいな!と。
地方には豊かな自然やおいしい食べ物があり、海や山、湖もある。一般的には東京がすごい場所だと思われているけど、地方にはもっと魅力が溢れていることと気付かされました。
―地方産業の課題も何か感じましたか?
荻野 行く先々で市場や味噌屋、酒蔵などに立ち寄っていたのですが、どの産業もどんどん衰退しているということが分かりました。
近年は、大量生産できる商品がスタンダードになってきています。例えば、伝統的な製法で作られる味噌や醤油は何年も熟成させて出来上がりますが、大量生産されるものは数ヶ月で出来上がります。手間をかけて作られたいいものが廃れ、工業的なものがスタンダードになっている。その現実を知り、「何とかしたい」と思うようになりました。
稲の実からもみ殻を取り除いてできる玄米。結わえるでは、契約農家が栽培している特別栽培米を使用しています。
―起業する際に食品を選んだきっかけは?
荻野 コンサルティング会社で働いていたときに、伝統的な製法で作られた味噌、醤油、酒に関して研究したのがきっかけです。
そのような食品は、有機・無農薬・国産の原料などを使っていたり、木桶で数年熟成させたりしているので、必要な菌が生きています。そのためか、購入しているお客様のことを分析すると、食事療法や体質改善に取り組んでいる方々が多くいます。
私は、食事療法や体質改善に取り組んでいる方や指導している先生にそこで初めて出会いましたし、一生懸命に取り組んだ結果、いろいろな症状が改善されていくのも目の当たりにしました。
そのときにとても興味を持ったので、東洋医学や食事療法、現代の栄養学などについて自分でも勉強を始めて。添加物や農薬のことを知ると、現代の食生活に危機感を抱くようになったんです。
私たちの食生活の変化や近年急激に伸びている生活習慣病といった健康問題は、伝統産業の衰退ともつながっていると考えられています。今では「SDGs(持続可能な開発目標)」もよく言われるようになりましたが、食生活も変えていかないと健康的に過ごせる未来はありません。
そこで、食生活の中でも最も大きな影響を与えられる主食に注目しました。
―玄米を選んだ理由は?
荻野 三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の他、ビタミンやミネラル、食物繊維といった副栄養素が豊富に含まれていることが分かったからです。食事療法の先生方はそれぞれ流派のようなものがあるのですが、玄米を食べることは共通して言っています。
栄養素が豊富だと知ったので、私も24歳くらいのときに初めて食べたのですが、全くおいしくなくて。「絶対に食べられない」と思いました。
ただ、食事療法に取り組んでいる方々は、何らかの症状を改善したくて食べているので味は二の次。玄米を一般化させるには、この食べ方では絶対に無理だと思ったため、玄米をおいしく食べられるように試作を繰り返すようになりました。
荻野氏自身が開発した「寝かせ玄米®」。商品のラインナップは4種類です。
―「寝かせ玄米®」の開発にかかった期間は?
荻野 2~3年間ほどです。コンサルティング会社で働きながら、自宅でいろいろな炊き方を試してきました。炊飯器やお米の種類、炊き方をいろいろ変えたり、玄米を出している全国のお店に足を運んだり。原料だけでも何十種類もありましたし、玄米を寝かせる日数も変えていたので、とんでもない数の組み合わせを試したことになります。
いろいろ試す中で、今の「寝かせ玄米®」を完成させました。本当においしいので、自信を持って起業に至りました。
もちもちで、とにかくおいしい、寝かせ玄米。
―「寝かせ玄米®」の特長を教えてください。
荻野 とにかくおいしさを追求した玄米ご飯で、モチモチ感と甘み旨味があるのが特長です。圧力炊飯した後、数日保温熟成させるという炊き方をしており、この手法を「寝かせ玄米」と言います。
―おいしく仕上がった秘訣は?
荻野 玄米がおいしくない理由は、皮やぬかがあるからです。そのままそのまま炊くと、硬くてパサパサしておいしくはなりません。そのため、圧力をかけることがポイントです。食感を悪くしている皮やぬかを柔らかくできるので、食べやすくなります。
とても柔らかく炊き上がってしまうのですが、それを保温熟成させると程よく余分な水分が飛び、玄米に含まれるタンパク質がアミノ酸化します。その結果、モチモチで甘みも旨みもあるおいしい玄米が出来上がります。「寝かせ玄米」は、おいしさを追求した究極の炊き方です。
―栄養価の高い玄米。白米と比べると?
荻野 白米と玄米は、糖質やカロリーがほぼ変わらないのにもかかわらず、副栄養素が数倍~10倍ほど違います。同じ180g(茶碗一杯)のご飯を食べたとしても、摂れる栄養素が大きく異なります。お腹がいっぱいになる具合も一緒なので、玄米の方が体にいいのです。
体は食べたものを消化・吸収・分解し、脂肪や老廃物を体の外に出す働きがあります。栄養素は、その働きを円滑に行うために欠かせません。
もし何らかの栄養素が不足してしまうと、体の働きが十分に行えなくなるため、脂肪や老廃物がたまってしまいます。たまった脂肪や老廃物は体の機能の妨げとなり、最終的には病気の原因になってしまこともあります。不要なものを体の中にためないためにも、日頃から栄養素をしっかり摂ることが大切です。
玄米に含まれる栄養素のグラフ。
―玄米を食べる頻度は?
荻野 外食や飲み会などがあると、すべての食事に玄米を取り入れるのは難しいと思うので、まずは1日1回食べてみてください。私自身も飲み食いが大好きなので、毎日いろいろな食べ物・飲み物を取る機会があり、玄米ご飯を食べられるタイミングはお昼しかありません。そのため、お昼を玄米ご飯にし、夜はいつも通りの食事をしています。
私がおすすめしている食事の取り方としては、食事自体の回数を1日2回にし、そのうちの1回を玄米ご飯にすることです。「ストレスなく、健康を一生保てるようなライフスタイルにしよう」という提案をしたいので、1日1食玄米生活をおすすめしています。
―「寝かせ玄米®」のおすすめの食べ方は?
荻野 納豆やキムチ、卵かけご飯など、何と合わせて食べてもおいしいです。必要な栄養素は玄米でしっかり摂れるので、おかずは好きなもので構いません。
「寝かせ玄米®」は常温で保存できますし、レンジで温めるだけで食べられるので手軽にお召し上がりいただけます。
500Wの電子レンジで2分温めるだけで食べられます。
―購入方法は?
荻野 インターネットや実店舗でご購入いただけます。実店舗には、YUWAERU本店(東京都台東区蔵前)の他、日本橋髙島屋S.C.店、札幌円山公園店があります。店舗では、「寝かせ玄米®」はもちろん、調味料やお酒、つまみなどもご購入いただけます。玄米ご飯のお供を探しに、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。
また、YUWAERU本店では、「寝かせ玄米®」の定食もお召し上がりいただけます。おかずや汁物は数種類の中からご自身で選んでお好みの定食を作れます。
―今後の展望を教えてください。
荻野 1日1回玄米を食べる人を、世の中の3~4割まで増やしたいと考えています。そのために、できることすべてに取り組んでいきます。
現在行っている取り組みを続けて規模を拡大していくのはもちろんですが、健康に関する啓蒙活動もとても重要で。そのため、企業に福利厚生としてご飯パックを導入してもらう取り組みも始めました。また、導入してくれた企業の中で玄米を食べてくれる人が増えるよう、健康を管理したり、玄米の栄養素について学んだりできる機能を備えたアプリ開発も行っています。
将来的には、農業や漁業、食品の生産・加工・販売までを行える“結わえるヴィレッジ”を創りたいと考えています。
―玄米の魅力をたくさん教えていただき、ありがとうございました!
「寝かせ玄米®」180g×6(小豆ブレンド×2、黒米ブレンド×2、十五穀ブレンド×1、もち麦ブレンド×1)
価格:¥1,980(税込)
店名:結わえるオンラインストア本店 寝かせ玄米公式販売
電話:0297-63-5565(10:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.nekase-genmai.com/about-nekase_genmai
オンラインショップ:https://www.nekase-genmai.com/about-nekase_genmai
YUWAERU本店:https://www.yuwaeru.co.jp/honten
その他の店舗情報:https://www.omusubi-iroha.com/archives/store
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
荻野芳隆(株式会社結わえる 代表取締役CEO)
経営コンサルタントとして働く中で世の中の健康問題に危機感を抱き、ヘルスケア領域、予防分野(栄養学、東洋医学、食事療法、心理学)の研究を重ねる。2009年、栄養価は高いが食味の悪い“玄米”を、もっちもちで誰もが驚くおいしさを実現する特許技術「寝かせ玄米®」を開発し、株式会社結わえるを創業。D2C(製造、店舗、EC)の他、卸し・OEMを展開。世界の玄米リーディングカンパニー&健康問題解決を目指す。
<文/奥山りか MC/伊藤マヤ 画像協力/結わえる>