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老舗米屋が挑んだ米づくり。食べごたえたっぷりの「吉野こしひかり」は笑顔のご飯

2024/03/27

創業150年以上の歴史を持つ、石川県の老舗米屋が米づくりに挑戦。食べごたえたっぷりで和食によく合う「吉野こしひかり」が誕生しました。一粒一粒が際立つ、香りの良いご飯が炊きあがると評判です。そのお米の美しさとおいしさの魅力に迫るため、編集長アッキ―こと坂口明子が気になる株式会社米屋 代表取締役の魚住雅通氏のもとへ、取材陣がうかがいました。

株式会社米屋 代表取締役 魚住雅通氏
株式会社米屋 代表取締役の魚住雅通氏

―2021年に「米屋」を継がれています。経緯を教えてください。

魚住 2021年の2年前ぐらいから、資金繰りなどの経営面には携わっていたんですね。ある程度、会社のことを任せてもらっていた上で社長になりました。でも、当時はコロナ禍。いろいろなことが起きましたし、うちは思いっきり打撃も受けました。それも、会社を立て直そうとした矢先のことで。

いろいろな計画を組んで「いざやっていこう」というタイミングで、コロナ禍に入ってしまいました。だから、計画してたことは何もかもできない状態になったんです。でも逆に、コロナ禍になって「今までやっていなかったこともやらなくちゃいけない」状況になったことで、会社としては良い方向に進み始めました。そのときに、現在会長を務めている父から「米屋」を譲り受けたんです。

―今までやっていなかったこととは?

魚住 うちはもともと卸売りがメインでした。お米も業務用があり、飲食店さんなどに卸しているんです。それがコロナ禍になって、飲食店は休業や短縮営業を余儀なくされ、そうすると、取引先に販売することができなくなって。売り上げが激減。そのことをきっかけに、より力を入れ始めたのが一般のお客様に向けたお米の販売です。それを新しい事業として本社の一部も改装して、お米のセレクトショップも新しくオープンしました。

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「お米を通じて、健康と豊かな食卓をお届けする」というコンセプトのセレクトショップ。
お米やお米に合うおかずを販売しています。

―新しい挑戦をされる一方で、150年以上の歴史をお持ちです。そのスタートは寺子屋だったとか?

魚住 そうですね。寺子屋は現在の塾のような役割がありました。子どもたちに勉強などを教える場所でしたが、昔は月謝がお金ではなく、お米。そのお米を自分たちが食べるだけではなく、販売したりお金に換えたりしていたそうです。そんなふうに、いただいたお米を販売したことが「米屋」の原点になります。

―その時代を経て、お米を仕入れて販売するという事業に。

魚住 はい。それから、お米の販売と合わせて精米の仕事も始めました。お米は、精米されたものを皆さん食べていますよね。なので、当初はお米の販売と精米が主な事業だったんです。

―精米というと、御社ではマイナスイオン精米をされてます。通常の精米と違う点を教えてください。

魚住 まずは、食感ですね。お米は水分を保てる時間が短い。普通の精米の場合、時間が経つとお米も硬くなってしまうんですけど、マイナスイオン精米では硬くなりにくく、やわらかい時間を長く保てるイメージです。なので、時間が経ってもやわらかい状態で、おいしさが持続する。それが違いかなと思います。

―マイナスイオン精米を初めて聞きました。珍しい製法ですか?

魚住 そうですね。日本でもやってるところは少なく、全国の米穀店の中でも5社くらいじゃないかなと。10社はないと思います。実はお米って、精米をするときに静電気が発生します。この静電気が精米の邪魔をして、玄米のぬかがキレイに取り切れない。
お米は炊くときに水を吸わせますが、ぬかが残っていると、それが邪魔してなかなか水が入っていかないんです。すると、炊き上がっても、十分に水分が含まれていなくて、やわらかさや粘りも少なくなる。時間が経てば、当然硬くなりやすくなってしまうんです。でも、マイナスイオン精米をすると静電気の発生を抑えることができるので、ぬかがキレイに取れて、お米自身が水分をたくさん吸える。おいしく炊き上がるんです。

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マイナスイオン精米をされたお米は透明感があり輝くよう。
一粒、一粒が際立ち、水分もぐんぐん吸っていきます。

―なるほど。加えて、オリジナルのブレンド米にも特徴が?

魚住 ブレンド米は、ずっと昔からやっていることなんです。業務用のお米を卸していますが、たとえば飲食店をひとつとっても、いろいろな料理のジャンルがあります。和食、洋食、中華。それぞれの料理では、合うお米、合わないお米があるんですね。
飲食店さんによって「この料理にはこのお米」というふうに求めるものが違うので、ひとつの品種だけでは応えきれません。お客様が望んでいる食感などにもならないので、いろいろブレンドすることで要望に応えてきたんです。それをご家庭でもということで、商品化しました。お米もブレンドすることによって合う料理も変わるので「お米の面白さを伝えよう」という思いも込めています。

―「吉野こしひかり」もブレンド米ですか?

魚住 違います。「吉野こしひかり」は私たちの田んぼでつくっているお米です。米屋が米づくりに挑戦してできあがったのが「吉野こしひかり」です。正直なところ、米穀店は薄利多売。原料の仕入れを安くして利益をあげることを考え「米づくりからやってみよう」というのがスタートでした。

でも、想像以上に米づくりは大変。当初は甘い考えだったかなとも思いましたが、この米づくりを通してお米のすごさを再発見できましたし、どうしたらおいしいお米が育つかということもわかるようになってきて。より深く、お米を知ることにつながりました。お米自身に愛情がわきますし、お米の説明をするときも深みが出てくる。すると、お客様もお米の専門家、専門店と見てくれるようになって。本当にお米が好きというお客様が増えてきました。「お米好きの皆さんにおいしいお米を食べてもらうためにやっているんだ」と私たちの意識も変わりましたし、とても大変ですけど、結果として米づくりをやって良かったと思います。

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つやつやとした吉野こしひかり。ホクホクとした香りと弾力で、
お米のおいしさが口の中に広がります。お箸が止まりません。

―150年の歴史があっても新たなチャレンジをすることでお米の良さを知る、奥深い世界ですね。

魚住 お米を生産者さんから仕入れる際も、今までだったらより安くという考えがありました。でも自分たちがお米をつくることによって、大変さがわかる。だから、できるだけ高く買おうと思いますし、ちゃんとつくってほしいという思いも抱いているんですね。生産者さんとのつながり方、考え方も変わってきました。厳しいこともお伝えしますが、本当にお米と向き合っている皆さんとちゃんとしたお付き合いができるようになってきたかなと思います。

―お米の魅力を再発見するきっかけにもなった「吉野こしひかり」ですが、改めて特長を教えてください。

魚住 まず、弾力がありますね。噛みごたえがあってしっかりしているのがひとつの特長です。どちらかというと、モチモチではなくどっしり。加えて、すごく甘みがあります。「お米を食べている」という感じがするお米です。

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お刺し身や卵かけご飯ともよくマッチする吉野こしひかり。食べごたえも抜群です。

―どんな食べ方がおすすめですか?

魚住 お刺身など、和食に合うかなと。実際にお寿司屋さんでも使ってもらっています。そのほか、卵かけご飯も。おいしいですね。ただ、カレーライスにはどうかな…。カレーライスといっても石川県にはルーがドロッとした金沢カレーというご当地グルメがあるんです。ドロッととろみがついている分、それには合わないような気がします。でもスープカレーには合いますよ。

―食感がしっかりしているので、汁気のあるものと相性がいいのでしょうか。

魚住 そうですね。どんぶり物もいいと思います。たとえば、親子丼や牛丼といった汁が多いものでも、ご飯がベチャっとした感じにならないんですよ。それから「米屋」のセレクトショップで扱っている「とろろ昆布」も合うと思います。おすすめですね。

―そのセレクトショップではお米のスイーツも販売されています。

魚住 うちはお米を売るだけではなく、お米の魅力を伝える会社だと思っています。だから、お米にまつわるものであれば何でも提案できるような会社でもありたいんです。スイーツはそのひとつ。お米にまつわるスイーツをやりたいと考えていましたし、お米の新しい魅力をお客様にお伝えできるんじゃないかなとチャレンジしました。でも、社内ではなかなかいい案がでなくて。そんなときにインターンシップで来てもらっていた地元の学生さんのアイデアを取り入れ、生み出されたのが米粉でつくったシフォンケーキです。学生さんがいろいろ考えてくれた結果の商品なんですよ。

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セレクトショップでは秘伝の塩水を使った「塩むすび」も販売中。
シンプルな逸品だからこそ、お米の豊かな味を楽しめます。

―お米のスイーツも魅力的ですね。では最後に、今後のご展望も教えてください。

魚住 飲食関係の仕事をしたいなと考えています。今、セレクトショップでは「塩むすび」を販売しているんです。それをもうひとつ新しい店舗として展開したい。やっぱり、おいしいものを目の前で食べていただくのが一番です。おいしいご飯に特化したお店があってもいいですし、ご飯がおいしければ、お客さんも離れずに足を運んでいただけるかなと思いますから。

―おいしいご飯のお店、楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

「米屋がつくったコシヒカリ 吉野こしひかり」

「米屋がつくったコシヒカリ 吉野こしひかり」
価格:¥2,800(税込)
店名:石川県のおこめ屋
電話:076-246-6000(9:00~18:30 日祝休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/komeya188/200002.html
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/komeya188/?sc_i=shp_pc_store-item_strinfmj

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
魚住 雅通(株式会社米屋 代表取締役)

1975年石川県生まれ。大学卒業後は、地元住宅会社の営業職を13年間経験。2010年に株式会社米屋に入社し、2021年に同社代表取締役社長に就任した。

<文・撮影/青柳舞子 MC/髙橋美羽 画像協力/米屋>

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