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約80年愛される懐かしい味「おしどりミルクケーキ」の驚きの製造秘話

2024/04/05

今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、ミルクのやさしい味わいを楽しめる「おしどりミルクケーキ」。どこか懐かしさを感じるこのお菓子は、山形県高畠町にある日本製乳が製造しています。約80年親しまれているこの味を守りながら、おいしさをアップデートしたり、販売経路の拡大に力を入れたりと成長し続けているそうです。日本製乳株式会社代表取締役の髙杉裕之氏に、取材陣が伺いました。

​​日本製乳株式会社 代表取締役 髙杉裕之氏
日本製乳株式会社 代表取締役の髙杉裕之氏

―御社は105年の歴史があります。創業当時の様子を教えてください。

高杉 日本製乳ができる前、1917年に創業者の梅津裕太郎さんが「おしどり粉ミルク」という商品を発売しております。その2年後の1919年に当社が設立されました。11名を発起人とし、酪農家さんも含めた192名が出資をしたそうです。紆余曲折ありながら、約26年経過した1945年に「おしどりミルクケーキ」が発売されました。

1943年と1947年の生まれの私の両親は、小さい頃はバナナがご馳走だったそうです。そんな中、砂糖や乳など貴重で栄養のあるものを使って「おしどりミルクケーキ」を作っていたので、地元の人に栄養や食べる楽しさを提供したいという創業者の強い思いがあったのだなと感じています。

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創業当時の様子。

―まずは地元の方に向けて作られた商品なのですね。

高杉 そうです。当時は今と比べて物流が発達していなかったので、まだまだ全国に届ける体制が整っていませんでしたから。初めわが社はなかなか認知されず、徐々に広がっていったと聞いています。

―社長のご出身はどちらですか?

高杉 実は、山形県ではなく、大阪府です。大学を卒業するまで関西に住んでいました。その後、1998年に森永乳業に就職し、約16年間、東京で製造現場に従事。2014年からの4年間は、中国の南京という町の新しい工場の立ち上げや工場建設、生産指導に関わっていました。その後、神戸に戻り、約3年間生産管理や新設備の立ち上げに関わり、2021年6月より代表取締役社長として日本製乳にやって来ました。

―中国や神戸で工場の立ち上げのご苦労とは?

高杉 森永乳業で「食品製造」とはどういうものか、東京で一から学ばせていただいたことが、一番の経験です。その経験を中国や神戸で発揮しました。中国では文化や考え方が違う方々に、どうすれば信用していただけるのか毎日顔を合わせながら学んだことが一番大きいと思います。失敗したことやうまくいかなかったこともたくさんありました。

―社長就任の話が来たときはどう思われましたか?

高杉 ぜひ受けたいと思いました。ただ、乳製品はチーズや牛乳、ヨーグルトなどいろいろありますが、当社の商品は正直今まで関わっていたジャンルのものとは全く違うので、最初は何もわからない状態でした。製造工程も含めて一から学びながらやっていました。

私は製造現場の出身ですが、今では当然営業の現場にも入りますし、いろいろな形でお客様と関わる中で、潜在的なニーズをしっかりと拾い上げるというところは、どんな現場でも変わらないことなのかなと感じて日々仕事をしています。

―「おしどりミルクケーキ」はどのように作られているのでしょうか。

高杉 「おしどりミルクケーキ」はお菓子の中でもっとも手間ひまかかっていると思います。仕込んでから出荷できるまで、約一週間かかります。一番時間がかかるのは、乾燥する工程です。熱をかけて一気に乾燥すると、乳本来の優しい味がなかなか実現できない。この製法は基本的に昔から変わっていません。だからこそ昔懐かしい味を感じていただけるのだと考えています。

―それは御社にしかできない製造方法なのでしょうか。

高杉 類似品はございません。例えばポテトチップスでいうと、いろいろなメーカーからさまざまな商品が発売されていますが、こういった乳を固めたような商品は、実は当社の「おしどりミルクケーキ」以外にないです。

―社長になられた当初はあまり知識がなかったそうですが、実際に製造する工程をご覧になっていかがでしたか?

高杉 こんなに手間ひまかかるとは知らなかったので驚きました。僕は森永乳業の大規模工場にずっと従事していたので、最先端の技術を駆使して効率よくたくさん作るにはどうしたらいいのか、ずっと追求していました。ミルクケーキの製法とは真逆です。

ただ、僕はメーカーとして商品を作る実感が湧くものを作りたかったから食品会社を志したので、ここにきて夢が叶うのだと嬉しい気持ちになりました。

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ノーマルタイプのほか、メロンやヨーグルト、いちご、コーヒー、チョコレートなど味のバラエティーも豊富。

―社長になられてから、新商品は?

高杉 「おしどりミルクケーキ」のぶどう味を発売しました。当社の本社がある山形県高畠町はデラウェアというぶどうの産地になっているのですが、地元の原料を使った商品ができないかということで、JAの方々にご協力をいただき、地元置賜産のデラウェアの果汁を100%使用したぶどう味を開発することになりました。

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山形のぶどうの甘酸っぱい風味を味わえる。

―新しい味を開発するときに、どういうことを大切にされていますか?

高杉 大きく分けて2つあります。山形県産のものに極力こだわるということと、お客様の求めているものを意識することです。お客様が求めていないものをごり押しはできませんが、地元のものも広めていきたいという思いもあるので、この二つのバランスを大事にしています。ちなみに、山形シリーズはさくらんぼやラ・フランス味もあります。

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さくらんぼやラ・フランスといった山形名物もミルクケーキに。

高杉 また、抹茶味は今年4月にあっと驚くリニューアルを検討しています。昨年、初めて台湾へ輸出したことをきっかけに、日本だけでなく世界の方々にも受け入れていただきたいと思うようになったからです。

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抹茶がブレンドされた上品な風味を楽しめる。

―ミルクケーキはハイキングや登山用の携帯食として利用されることもあるそうですね。

高杉 そうです。ほかにも、乳由来のカルシウムが含まれているので、栄養補給にも向いています。また、賞味期限が300日あるので、例えば災害用の備蓄といった用途でもお使いいただけるのかなと思います。

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「おしどりミルクケーキ」の姉妹品。軽い食感で食べやすいひとくちサイズ。

―社長になられてからは、地元の高校で講義をされているそうですね。

高杉 当社はサステナビリティ活動をしっかりとやっていきたいと考えており、その一環として地元への貢献を意識するようになりました。地域との共生を意識する中で我々に何ができるのか考えたときに、まずは地元の方々との接点をしっかり持っていこうと。そのような中、学校さんと協業できないか模索し、ぜひ地元の高校生に社会のいろいろなことをお話ししたいと思い、始めました。

―高校生の反応はいかがですか?

高杉 実は、中学校でも講義をしているのですが、そこで話を聞いてくれた生徒さんと高校で再会したことがあります。講義のテーマでつながるというよりも、人と人との接点ができたと感じています。

ほかにも、山形市立商業高校で商品開発のお手伝いをしたこともあり、ミルクケーキを使ったラスクを作りました。こちらは実際に発売もして、山形県の観光のショップなどでも販売してきました。

―社長として、日々どんな思いで仕事に取り組んでいますか?

高杉 明るく前向きに仕事に取り組み、人も会社も成長するという理念を掲げています。当社は100年以上続く企業であり、「おしどりミルクケーキ」は約80年ご愛顧いただいている商品ですが、変化の激しい世の中、現状に甘んじていたら正直将来はないなと思っています。守るべき伝統は守りながらも、変えるべきところは積極的にチャレンジしていきたいです。

―今後の展望を教えてください。

高杉 「おしどりミルクケーキ」は私自身だけでなく、従業員や会社の思いが詰まった素晴らしいお菓子です。このロングセラー商品をいろいろな方に知っていただくため、これからも成長し続けていきたいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました!

​​「おしどりミルクケーキ ミルク」(8本入)

「おしどりミルクケーキ ミルク」(8本入)
価格:¥216(税込)
店名:おしどりミルクケーキご注文窓口
電話:0238-57-4050(9:00~17:00 土日祝日お盆、 年末年始除く)
FAX:0238-57-4170
メールアドレス:nihonseinyu-inquiry@morinagamilk.co.jp
定休日:土曜日曜祝日お盆、年末年始
商品URL:https://www.nihonseinyu.co.jp/information/pcate/milkcake
※ご注文はメール・お電話にて承っております

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
髙杉裕之(日本製乳株式会社 代表取締役社長)

1974年 大阪府出身 両親と兄の四人家族
1998年3月同志社大学工学部を卒業し、1998年4月に森永乳業株式会社へ入社。
工場の製造現場を経験し、2021年6月より日本製乳に出向し現職。

<文・撮影/坂本彩 MC/伊藤マヤ 画像協力/日本製乳>

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