今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、こうじやの無添加の冷凍スープ。レンジや湯せんで温めるだけで、栄養バランスのいいスープが味わえると注目を集めています。その和漢膳スープの誕生秘話や、商品開発へのこだわりについて、有限会社こうじやの代表取締役、鈴木良成氏に取材陣がお話を伺いました。
野菜たっぷりで無添加!冷凍庫にストックしておきたい「こうじやの和漢膳 お野菜ゴロゴロ スープ 選べる6食セット」
2024/04/11
有限会社こうじや 代表取締役の鈴木良成氏
―「こうじや」という社名の由来を教えてください。
鈴木 昔祖父が大洗町で米こうじを作っており、そのときの屋号が「こうじや」でした。当時は、食品関連のお店や味噌屋さんなどに米こうじを卸していたようです。33年前に弁当屋を開業する際、米に関する店なので実家の屋号だった「こうじや」を社名にしようと思い、「有限会社こうじや」と名付けました。
―お弁当屋さんをはじめたきっかけは?
鈴木 開業前は商社に勤める会社員でした。ところが家に帰れないほど激務が続き、体調を崩してしまいました。このままでは体がもたないと判断し、思いきって会社を辞めてお弁当屋をはじめたのがきっかけです。
「お弁当の万年屋」として、日替わり弁当・学校給食・駅弁・仕出し弁当など、幅広く展開している。
私の妻は料理が得意で、高校生のときに調理師免許を取得しました。彼女の親はホテルを経営していて、長期滞在している人向けに仕出し弁当を作っていたこともあり、子どものころから弁当作りに馴染みがありました。当時「実家もお弁当屋をやっていたし、食べるのに困らないくらいは稼げるだろう」と考えていたようです。
それで34年前に私の実家の車庫を改造し、15坪くらいの小さな弁当工場を作りました。私には娘が3人いるのですが、いま33歳の娘がちょうど生まれたばかりで、おんぶしながらの仕事です。私は食べることが好きでしたから、包丁の研ぎ方や料理もそこから覚えていきました。
―経営はどうでしたか?
鈴木 当時の地元では、弁当が200円くらいで販売されていたのですが、あえて少し高めの価格設定にしました。これが意外と売れ行きがよくて、市役所や県庁で働く人たち向けに1日に700個の弁当を作るようになりました。ところがここまで増えると、2人では製造が追いつきません。
より多くのお弁当を作れる工場をつくろうと、思い切って土地を購入し工場を建設しました。1年半か2年後くらいには、1日3,000食の弁当を製造できるようになり、イベントとかスポーツ大会用の弁当も作るようになりました。その後、水戸に学校給食センターを設立し、小学校、中学校、高校の学校給食の製造もはじめました。
―お弁当屋さんが、なぜスープ作りを?
鈴木 東日本大震災の影響を受け、1か月ほど仕事ができなくなったことがあります。借金をして工場を修理し、ようやく復帰して落ち着いたと思ったら、今度はコロナ禍で売上が激減してしまいました。弁当を作って、近隣のお客様に届ける商売一本では駄目だと実感しました。人口も減り商圏も狭まっている中で、また同じようなことが起きた場合に備えて、新しい事業を軸に加えなければと思ったのです。
こうじやの和漢膳スープには、自家製の塩こうじ・醤油こうじ・甘酒がつかわれている。
―こうじに着目した理由は?
鈴木 コロナ禍や、企業がリモートワークに切り替えたことで弁当の売上がかなり減りました。でも従業員が80人いますから、会社を閉めるわけにはいきません。彼らを路頭に迷わせないために、どうすればいいのか毎日悩んでいました。
そんなとき、祖父が米こうじ屋をやっていたことを思い出し、資料を探して自分で研究しながら、こうじ作りをはじめました。やってみたら意外と面白くて、塩こうじから甘酒を作ったり、肉や魚を塩こうじ漬けにしたりと、活用方法が多くあることに気づきました。米こうじは、おいしいだけじゃなく体にもいい、だったらスープにしてみたらどうかと思ったのです。
「せっかくなら完全無添加でやってみよう」と、こうじで塩味を整えたり、砂糖の代わりに甘酒を加えたりと試行錯誤しました。努力の甲斐あって、甘酒や塩こうじなど発酵の力をプラスした、野菜がたくさん摂れるスープが完成しました。コロナ禍で「原点にかえってこうじを作ってみよう」と挑戦したことが、結果的に成功につながったのだと思います。
やさしい味わいと、豊富なバリエーションがうれしい。
―社内の反応はいかがでしたか?
鈴木 売上が減っているのに、事業再構築補助金でスープ専用工場をつくったので、社員たちは「大丈夫だろうか」と心配していたと思います。ですが私の代が終わったとき、いまの若い社員たちはまだ現役です。何か残せるものがないかと考え、最後にもう一勝負しようと、思いきって設備投資しました。それまでは弁当工場でスープを作っていたのですが、2022年に専用工場を設立しました。
―スープのベースはどのようにできたのですか?
鈴木 お弁当を作るとき、キャベツの外葉や、にんじん、たまねぎの皮など毎日たくさんの野菜くずが出ます。捨てるのはもったいないので、とにかく何でも無駄にしないで使ってみようと思いました。試しに野菜くずを全部鍋に入れて煮込んでみたら、甘くておいしい野菜スープができた。このスープならいける!と確信しました。
野菜くずを煮込むことで、毎日30~50kg以上出ていたゴミもかなり減らせます。しかも、おいしくて栄養のあるスープも作れますから、これは大きなメリットです。いま販売している和漢膳スープは全て、野菜からとった出汁がベースになっています。
一品で野菜がたっぷり摂れるから、忙しい毎日にぴったり。
―いろいろな種類のスープを作るコツは?
鈴木 ベースの野菜スープに、出汁となるブイヨンを組み合わせ、バランスを考えながら作っています。スパイスのほか、自然のものからイノシン酸・アミノ酸・グルタミン酸などの旨味も加えます。和風に仕上げるときは鰹節と昆布を、洋風ならトマトで旨味を出す等です。
実は最初、野菜スープをカレーにしようと思っていました。でもカレーだとありきたりなので、野菜がゴロゴロ入っていて、お腹いっぱいになるスープにしようと考えました。無添加で化学調味料を使わず、体にいいものにしようと、甘酒や塩こうじ、さらに醤油こうじも自家製です。味噌も少しずつ作りはじめています。
―「和漢膳スープ」の名前の由来は?
鈴木 和漢膳スープという名前は、漢方の“漢”と、薬膳の“膳”、和食の“和”を組み合わせた造語です。友人で薬膳を教えている先生に、「この野菜スープで、薬膳を活かした体にいいスープはできますか」と相談したことがきっかけで生まれました。
野菜スープをベースに、刻んだ野菜を加えて旨味をひきだしたり、肉や魚を足したりと、栄養バランスが整うようなレシピを考案しました。スープによって、加える発酵食材も変えています。いまでは先生が作ったレシピを参考に、弊社の管理栄養士たちが中心になり商品開発しています。
和漢膳プロフェッサーの宮澤孝子先生の教えをもとに、自社で商品開発を行っている。
―とくに人気の商品を教えてください。
鈴木 一番人気は「参鶏湯(サムゲタン)」です。骨付き肉とカットした鶏肉の両方が入っており、もち米やクコの実、きくらげ、ショウガも加えました。お腹いっぱいになるし、カロリーも控えめだから体にいいと大変好評です。
ほかには「海老のビスク風スープ」や、「白きくらげ入り和漢膳塩糀スープ」も人気です。「甘酒入り かぼちゃポタージュ」もよく売れていますよ。かぼちゃのポタージュには自家製の甘酒と裏ごししたかぼちゃが入っていて、生クリームで滑らかさを出し、クコの実やナツメグといった和漢膳の食材も含まれています。世界中のスープからヒントを得ながら、どうすれば薬膳を取り入れることができるのか、意識しながら開発しています。
一番人気の「和漢膳 参鶏湯(サムゲタン)」
体がポカポカと温まり、美肌効果も期待できそう。
―スープ作りでこだわっている点は?
鈴木 季節にあわせて販売するスープを変えています。例えばじゃがいものビシソワーズは夏季限定です。暑い夏なら体を冷やす食材、冬は体を温めたり発汗させたりする食材といった形です。スープは全部で20種類ほどあり、どれも薬膳の教えに基づいてアレンジしながら、季節の旬の食材を加えて仕上げています。
また、スープは250g~300gとたっぷりサイズなので、2人でシェアすることもできます。薄味で塩分も控えめながら、素材の旨味とやさしい甘みを感じますから、満足感も十分得られます。
食卓に彩りを添える、カラフルなスープ。
―和漢膳スープはどのようなシーンで人気ですか?
鈴木 毎日の食卓はもちろん、お歳暮やお中元など贈答用としても人気です。昨年の母の日には、大変多くのお客様にご購入いただきました。やはり大切な方には、体にいいものを届けたいという想いがあるからでしょう。ご自宅用にお買い求めいただくリピーターのお客様もたくさんいらっしゃいます。ほかにも一人暮らしや、ご年配の方にも好評です。
冷凍庫に常備しておけば、電子レンジか湯せんで温めるだけで食べられますから、調理も簡単です。たくさんの野菜を毎日食べるのは大変ですが、スープなら手軽に摂取できます。栄養バランスを整える効果も期待できますので、ぜひ一度お試しいただければと思います。
好みにあわせてスープを選び、自由に組み合わせることができる。
―今後の展望について教えてください。
鈴木 これからも薬膳の力を活かした商品を開発しながら、地域に貢献していきます。スープ作りには地元の農産物が欠かせませんので、食材を無駄にせず、お客様の健康に寄り添えるような商品を作り続けていきたいと考えております。年内には、自社のECサイトで新しい商品を販売することも検討しております。和漢膳スープで、お客様の健康をサポートするお手伝いができればうれしく思います。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「こうじやの和漢膳 お野菜ゴロゴロ スープ 選べる6食セット」
価格:¥4,800(税込)
店名:有限会社こうじや
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/koujiya-wakanzen/select_6/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/koujiya-wakanzen/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
鈴木良成(有限会社こうじや 代表取締役)
1962年茨城県生まれ。1991年に工場を設立し開業。駅弁や企業向け昼食弁当、イベント向け弁当のほかに、和漢膳冷凍スープなど加工食品の製造開発にも注力している。また、地元産の素材をつかった商品開発も行っており、地域社会を盛り上げるべく活動している。
<文/香川けいこ MC/三好彩子 画像協力/こうじや>